もしも、らき☆すたが100人の村だったら

「おーす。帰ろう」
「あ、かがみ。かがみ。かがみ、かがみ」
「って、なんでこなたが四人もいるのよ!」
「名前つきの登場人物が、百人に満たないからではないでしょうか?」
「それなら、背景の人でも増やしておけばいいじゃない。なんでまた……」
――ちなみにここで言う背景とは、あの二人のことではない。
「ところでつかさは?」
「先に二人で帰ったよ」
「誰と?」
「かがみと。なんか家の用事があるって言ってさ。ちょうど今さっき」
「ふーん……そんなのあったか記憶にはないけど、まあとりあえず帰ろっか」
「そだね。かがみ達」
「え?」
振り返ると、背後には三人の私が立っていた。


委員長の仕事があるみゆきと別れ、私達八人は駅までの道を歩いていた。
雲のない晴れた天気だったが、気候以外の理由で熱さに負けそうになりつつある。
「……ねえ、こなた」
「ん~?」
「あんたは気にならないの。この光景」
こなたAと私は、前を歩く集団から離れて歩いていた。
そこでは三人のこなたと三人の私。
それぞれが二人ずつの組になり、まるで恋人同士であるかのようにじゃれ合っている。
「そりゃ、世の中にはそういう嗜好の人もいるのは知ってるけど、人目を気にせずあんな風だと……」
「そう言われても、普段の私達もあれぐらいの事はしてるんだけどねえ」
「なっ、ここまでベタベタはしてないわよ! 分裂時にキャラが変わってるんじゃないの!?」
「いやいや、自分と違うと思えたとしても、それは無意識下の願いが表に出ているだけなんだよ」
こなたの言葉を聞いて、私はあらためて前の六人を見る。
かがみBは、こなたBに抱きつかれて照れながらも喜んでいる。
かがみCは、こなたCに髪の毛を触られて顔を赤くしている。
かがみDとこなたDは、一本の缶ジュースで間接キスになる、ならないと騒いでいた。
なんて――羨ましい。
「ち、違う。こんなの望んでないわよ」
私は否定の言葉を口にしながらも、嫉妬心から顔を背けた。


「嘘……」
目を背けた先で、別の私とつかさが顔を近づけていた。
耳打ちなどではなく、互いに顔を正面にして距離が縮まっていき、最後に距離はゼロに――。
「どしたの、かがみ?」
「わっ、なっ、なんでもない」
後ろから声をかけられ、慌ててこなたに視線を戻すが、今度はその背後に二人の姿を見つけた。
こなたの親戚だというゆたかと、またしても、私。
はじめは手を繋いで歩いているだけに見えたが、頬をつつくなどの動作の頻度が異様に多い。
二人がこちらに気づくことはなかったが、あまりに長い時間見ていたのだろう。
こなたAは、私が何を見ているのか確かめようと振り向こうと身体を捻った。
「だめっ!」
私は片手でこなたの顔を固定しながら、身動きの取れないように抱きしめた。

「かがみ……かがみってば、苦しいんだけど」
目を開けると、そこは教室だった。
目の前にはこなたの頭があって、椅子に座ったままの私がそれを抱えている。
「えっと、ごめん」
言いながら腕を開いてこなたを解放したが、まだ何が起こったのかわからない。
「ふうー。起こそうとしたら、いきなり抱きついてくるからビックリしたよ」
こなたの文句を聞き流しながら周囲を見回すが、私やこなたの分身はどこにも見当たらなかった。
消えた? 何故?
視線をさまよわせているうちに、再びこなたと目が合った。
「つかさも同じように眠いって言って倒れてるし……つかさと二人で夜更かしでも?」
つかさと二人で、という響きに私は再びパニックに陥りかける。
まだうまく動かない頭で、必死に言い訳の言葉を探した。
「ち、違うの。私はこなただけだから!」
「?」
こなたはキョトンとした顔をする。
「あ……」
もしや、今までのことは夢だったのか。
なんだそうだったのかと私は安心して、それからたった今とても危険な発言をした事に気づいた。
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