第二次泉こなた内閣──与野党の風景

1.地デ○カ

総務大臣ら民放連に地デ○カの二次創作を認めるよう行政指導

 民放連が地デジ普及のために創作したキャラ「地デ○カ」関連の二次創作を認めていない問題に関して、泉そうじろう総務大臣、田村ひより法務大臣及び魔天ぱとりしあ文部科学大臣は、民放連に対し連名で二次創作を認めるよう行政指導を行なったことを明らかにした。
 泉こなた総理大臣も了承済みだという。
 泉そうじろう総務大臣は「地デジ普及は国策であり、地デ○カの二次創作を認めないことは、その妨げになる。民放連には地デジ普及のためにも、是非ともご協力いただきたい」と語った。
 田村ひより法務大臣は「今度のコミケで、地デ○カの同人誌出すっスよ」と鼻息荒く語った。「公私混同では?」という指摘には「とんでもないっス。地デジ普及のための広報活動っスよ」と反論した。
 魔天ぱとりしあ文部科学大臣は「せっかくの萌えキャラがもったいないデス。ア○ロ熊ともコラボもありデスね」とコメントした。


2.豚インフルエンザ

 首相官邸。
「かがみんや」
「なによ」
「豚インフルエンザ感染防止の広報活動用に『豚フルちゃん』なんてキャラはどうかな?」
「それはいったいどんなキャラだ」
 柊家の一斉離党に一時期は気を落としていたかがみも、もうすっかり復活していた。
 ツッコミにいつものキレが戻っている。
 泉こなた政権下の官房長官の第一の役目は、首相にツッコミを入れることだ。それがつつがなく行なわれていることは、喜ぶべきことであった。
「こう、かわいい豚さんの、美少女キャラっぽい感じ?」
「少しは真面目にやってくれ」
「私は常に大真面目だよ、かがみん。国民に強くアピールするためにはインパクトが必要なんだ。さっそく、ひよりんにキャラデザ頼もうかな。キャラソン作って、小神さんに歌ってもらうのもいいね」
「勝手にしてくれ」
 かがみは呆れた顔だった。


3.対抗

 新星党本部、総裁室。
「防諜組織の創設ですか?」
「うむ」
 ふゆきの疑問形に、ひかるは簡潔に答えた。
 ひかるは、ふゆきが淹れた紅茶に口をつけた。本場イギリス仕込みの方法で淹れられた紅茶は、今日も至高の香りと味であった。
「裏事はあまり好きではないですね」
「この党本部だけでも、500個以上の盗聴器が見つかった。せめて、情報のただ漏れだけでも防がんと、永森機関に対抗できん」
「それも一理ありますね。ですが、その組織は誰が引き受けるのですか?」
「私がやる。汚れ役だからな。若いもんに押し付ける気はない」
「ひかるさんだってまだ若いではないですか? その歳でそんな年寄りめいたことをいっていては、柊夫人に怒られますよ」
「あの人は別格だろ。あの歳であれはありえん。あの人の生年月日は詐称じゃないだろな?」
「それはないと思いますよ。私たちもああいうふうになりたいものですね。それはともかくとして、防諜組織の創設については承認します」
「うむ」


4.引き裂かれた人たち

 新星党本部。
「かがみお姉ちゃん、大丈夫かな……」
 つかさは、ぽつりとそうつぶやいた。
「かがみなら、大丈夫でしょ」
 お気楽にそう答えたのは、まつりだ。
「でも……」
「そんなにいうなら、こっちに誘えばよかったじゃん」
「それは、ゆたかちゃんに止められちゃったから。見込みが全くないからって」
「確かにね。かがみは、こなたちゃんにべったりだからねぇ」


 厚生労働大臣室。
 小神あきら厚生労働大臣が一枚の紙とにらめっこしてるところに、音無りんこ国土交通大臣が来訪してきた。
「きらっち、何してるん?」
「おまえ、仕事はいいのかよ?」
「ハンコ押すだけだから、すぐに終わったじぇ。あとは役人さんにまかせとけばいいし」
「そうかい」
 あきらはにらめっこしていた紙切れを、りんこに渡した。
 そこには、「豚フルちゃんの消失」と題された詩みたいなものが書かれていた。
「これはなんだにゃ?」
「泉先輩からの命令。それ歌えってさ」
「アイドルは大変だにゃ」
「どこにいたって私の役目は広告塔だから、それも仕事のうちっちゃうちなんだけどさ」
 歌詞の内容は支離滅裂だ。それでも、命令とあらば歌わねばならない。
「がんばれ、きらっち」
「ああ。それにしても、音無はなんでこっちに残ったんだ? 大原も中谷もあっちに行ったんだから、音無もあっちの方がよかったんじゃ」
「きらっち一人だと寂しいでしょ?」
「そんなことねぇよ」
「白石君がいれば私は大丈夫なの、ってか?」
「白石は関係ねぇ」


 新星党本部。
「はぁ……」
 みなみは、ゆたかの写真を眺めながら溜息をついていた。
 ここ最近、そればっかりしているような気がする。
 ゆたかは逝き、ひよりやパティとは対立関係になってしまった。姉のように慕っていたみゆきも、あっちに残っている。
 自分の拠って立つべき場所がすべて失われてしまったような喪失感が、ただ重くのしかかっていた。
「いつまでも引きずっていては精神衛生上よろしくありませんよ」
 みなみが振り返ると、そこにはふゆきがいた。
 あの日からずっと、最低一日一回はこうして様子を見に来ていた。
「分かってます。分かってはいるんです……」
「小早川さんの最期の言葉は覚えていらっしゃいますね?」
「はい……」
「ならばよろしいです。岩崎さんには、小早川さんの期待に応える義務はありませんが、そうする権利は与えられています。その権利を行使するかどうかは岩崎さん次第ですよ」
 下手ななぐさめなどに意味はない。
 ふゆきはそれが分かっていたから、ただそれだけを告げて、その場を去った。

──みなみちゃん。私のためでなく、みんなのために生きて。

 それがゆたかの最期の言葉。
 もちろん覚えている。何があったとしても決して忘れることはないだろう。


 財務大臣室。
 みゆきは、黙々と仕事をこなしていた。
 金融担当大臣との兼務は楽ではないが、それでも官房長官時代に比べればまだマシだった。
 豪腕を轟かせたかがみの官房長官復帰は、みゆきの負担を格段に減少させていた。
 仕事がひと段落つき、席を立って窓のガラス越しに外の風景を眺める。
「みなみさんは、大丈夫でしょうか?」
 ゆたかの入院中の検査結果情報をみなみに流した件は、永森機関の察知するところとなり、こなたに報告されていた。その結果、みゆきは、こなたから厳重注意を受けることとなった。
 そのため、みなみとは気軽に連絡しあえる状態ではなくなってしまい、心配はつのるばかりだった。


5.封緘命令書

 幸星党本部。
 やまとは、一通の封書を手にしていた。それは、ゆたかの幸星党総裁辞任の前日に、やまと宛に届いたものだった。
 差出人名は「幸星党総裁小早川ゆたか」となっている。
 そして、封書の表には、次のように書かれていた。

 Sealed Order,
 Eyes Only in the Future

 硬い感じで意訳すれば、「封緘命令、未来においてのみ開封可」といったところだろうか。
 あえて英語なのは、ゆたかの精一杯のシャレっ気だったのかもしれない。
 そのゆたかはもうこの世にはいない。よって、開封すべき「未来」がいつなのかの判断は、すべてやまとに任されているということになる。

 やまとは、いまだにそれを開封していなかった。
 今はまだそのときではないと判断していたから。あるいは、ただ単にそうすることが怖かっただけなのかもしれない。
 余命わずかしかないことを悟ったゆたかが、死後を見越して下した命令。その内容は想像もつかない。
 それでも、一度開封したらもう後戻りはできない。やまとはそう確信していた。

 やまとは、封書を開かず、金庫の中にしまった。
 そのとき電話が鳴り響いた。
「はい。永森です。……はい、かしこまりました。ただいま出頭いたします」
 こなた総裁からの呼び出しだった。
 自衛隊洗脳計画の進行状況を聞きたいとのことだった。
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