ID:BPLp > Gw0氏:らき☆すたビル

 らき☆すたビル1階。
 ランチタイム。レストランラッキースターは、大盛況であった。
 アキバの一等地で、和洋中の様々な料理が手ごろな値段で楽しめるとあれば、人気が出ないわけもない。
 厨房は戦場である。その戦場の主役は、つかさとあやの。普段のおっとりとした印象とは打って変わって、二人ともテキパキと料理を作っていた。
「あやちゃん、そっちお願い」
「了解、ひーちゃん」


 らき☆すたビル2階。
 高良医院は、今日も平常営業だった。
「では、お薬をだしておきますね。お大事に」
 診察を終えたみゆきは、看護師兼助手のみなみにカルテを渡す。
 みなみは、カルテに従って薬を選び出し患者に手渡して、診察料と薬代をもらう。
「お大事に」
 そういって、患者を見送る。
 高良医院は、美人医師と美人看護師がいるということで、アキバでは結構な評判であった。


 らき☆すたビル3階。
 そこは、法律事務所だった。
 弁護士かがみは、訴訟に向けた資料を作成中であった。
 そこにかかってくる電話。
 所轄の警察署からだ。痴漢事件の容疑者が接見を望んでいるとのこと。今日は当番弁護士。要請があれば行かねばならない。
 人ごみでごった返すアキバであるから、この手の事件は珍しくもない。しかし、たまに痴漢冤罪もあるので、油断ならない。
「ちょっと、署まで行ってくるわ」
 雇っている事務員にそういい残して、かがみは事務所を後にした。


 らき☆すたビル4階。
 スポーツジムみさお。
 ジムとはいっても、ゲーム感覚のアトラクションが主であるあたりが、アキバ風といえた。ゲーセンみたいに、コインを入れればゲーム開始である。月額制会員になればカードが発行され、そのカードを差し込めば、どのゲームも遊び放題だ。
 ルームランナー、リフティングなどのジムの定番から、エアホッケーなどのゲームまで、なんでもそろっている。
 このアイデアはこなたの発想であった。でも、なぜかジムのオーナーは、みさお。
 そのみさおは、オーナー特権のゴールドカードを差し込んで、ルームランナーで走りこみをしていた。今度の国際マラソン大会に向けて、最終調整中なのだ。
 そして、ジムは、今日も大賑わいだった。アキバに集う人間は運動不足な人種が多いだけに、ゲーム感覚で体を動かせるこのジムは開設とともに人気のスポットとなっていた。


 らき☆すたビル5階。
 アニメショップらき☆すたは、人ごみでごった返していた。
 とあるアニメのDVDボックスの初回限定特典を求めるマニアたちが詰めかけていたのだった。
 その様子を眺めながら、満足そうにうなずいているのは、店長のパティ。
「今日の売り上げはばっちりデスネ」


 らき☆すたビル4階。
 そこには、二人の作家の仕事場があった。
 漫画家のひよりと、絵本作家のゆたかである。

 仕事場1。
「ほら、ひよりん、さっさと仕上げる! 〆切は今日だよ」
「うう。よりによって、なんでこうちゃん先輩が担当なんスかね?」
「私が担当じゃ不満か、ひよりん?」
「そういうわけじゃないっスけど、なんつーか、世間狭すぎませんか?」
「まあ、世の中そんなもんだって。ほら、余計な口動かしてないで、手を動かす!」
「イェッサー」

 仕事場2。
「永森先輩。できました」
 ゆたかが、やまとに絵本の原稿を手渡した。
「ありがとう」
「永森先輩。今日も1階で夕食とりませんか?」
「そうね。ご一緒させていただくわ。こうも来るだろうし」


 らき☆すたビル5階。
「よしっ。今日の取引終了」
 こなたは、五台のパソコンに立ち上げていたそれぞれのプログラムをいっせいに終了した。
 今日の稼ぎは、1000万円ちょい。カリスマデイトレーダーこなたとしては、まあまあといったところだった。
 株価が上下する兆候を見極めるのは、ギャルゲでフラグを見極めるのと似たようなものだ。コツさえつかめば、こなたにとって、株取引など簡単なゲームでしかなかった。
 それで稼いだ金で、アキバの一等地を買い上げ、ビルを建てた。それがこのらき☆すたビルである。
 そして、高校卒業後それぞれの進路を歩んでいた友人・後輩を誘って、このビルに入居させたのであった。
 こなたは、友人たちといつまで一緒にいたいという高校時代の夢を、こういう形でかなえたのだ。
「さてと、みさきちのところで体動かしてから、つかさとあやのんの美味しい料理をいただきに参りますかね」


 らき☆すたビル1階。
 レストランラッキースターの夜の営業時間が始まる前の時間帯。みんなが集まって夕食である。
「おお、あやのの料理はうまいなぁ」
 みさおは、そういいながらバクバクと口に料理を放り込む。
「みさちゃん。そんなにあわてなくても大丈夫よ」
「いやぁ、ちょっと走りこんだから腹減ってさ」
「つかさの料理は、いつも美味しいねぇ」
「ありがとう、こなちゃん」
「ゆたか。今日は大丈夫だった?」
「うん。今日も体調はよかったし、大丈夫だよ。みなみちゃん」
「体調が崩れたらいつでも来てくださいね。医院にはベッドもありますので」
「いつもありがとうございます、高良先輩」
「美人医師と美人助手がいる医院を訪れる病弱な萌え患者。ああ、妄想が、妄想がぁ」
「ひよりん、自重しろ」
 こうがひよりの妄想を制止する。
「ハーイ、こなた。今日発売のDVDデス」
「いつもすまないね。パティ」
「いえいえ、私のお店が繁盛してるのも、ここを格安で貸してくれてるこなたのおかげデスから」
「ところで、かがみん。あそこのショップはどうなってるのかね?」
「なんとか民事再生手続にはのったけど、あとは再生計画どおりに行くかどうか次第ね」
「あそこは、五歳のころから通ってる思い入れのあるところなのだよ。つぶれたら嫌だよ」
「あんたのその情熱だけは感心するわ」
「いつもにぎやかよね、この人たちは」
 そんなやまとのつぶやきに、こうが答える。
「それだけみんな仲いいってことじゃね?」

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「……という夢を今朝見たんですよ、先生」
「アホ。進路面談で将来の夢を訊かれて、寝たときに見る夢を語る奴がどこにおるねん」
「ここにおります」
「あのなぁ、泉。少しは真面目に考えろや」
「でも、実現したらいいなぁって思いません?」
「確かに本当になったら楽しそうやけどな。ビル建てるとこまではいっても、みんながそう都合よく集まるとは限らんで。みんなそれぞれの人生があるんやからな」
「うっ。そうですよね」

終わり
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