ID:x6DW2C2o氏:呪いのカケラ

「こなた、これあげるわ」
「何? お守り?」
「そ、受験近いし、ね」
「かがみ心配してくれてるんだー?」
 ニヤニヤとしんがら、かがみを見る。
「うん……私、こなたが心配で……」
「え!?」
 予想外の反応にこなたは動揺する。が、
「だって……私たちの中であんたが一番危なそうだからね~」
「なんて失礼な」
「人生に絶望して一人寂しく……とかなられると、寝覚めが悪くなっちゃうわよ」
「なるかー!」
 果たしていつも通りのかがみなのであった。

「ったくもー! なんで私なのさ。どっちかって言うとつかさじゃん!」
「そんな言い難いことをはっきり……」
 成績の面では同類なこなたに言われ、つかさは肩を落とす。
「あんたよりましよ、あんたより」
「何ー!」
「あはは……でも、つかささんは最近成績も上がっておられますし」
「みゆきさんまで!?」
「あ、いえ、その、泉さんはサボりがちな癖があるので」
「う……まぁ、それを言われると、ねぇ?」
「ねぇ? じゃない。もっとちゃんと勉強しろ」
「アーアーキコエナーイ」
「そういえばお姉ちゃん、このお守りどうしたの? うちの神社のと違うみたいだけど」
「ああ、こないだ納屋掃除してたらそれが出てきたのよ」
「そうなんだ~。勝手に持ってきちゃって良かったの?」
「いいんじゃない? ほこり被ってたし。中に勾玉が入ってて、磨いたら綺麗になったからお守りにいいかなーって」
「あれ……なんか急にありがたみが……」
「何よ、いいでしょ? 私が手間隙かけて磨いたんだから」
「う、うんー……。これがあのやけくそ守りか……」
「返せ」
「あ、ウソウソ。チョー嬉しいよーありがとー」
「納得いかねぇ」


「ゆーちゃーん、ご飯できたよ~」
「はーい。お姉ちゃん機嫌いいね? 何かいいことでもあったの?」
「んー? かがみにやけくそ守り貰ったんだー」
「や、やけくそ?」
「うん、やけくそ。事故も病気も受験もまかせとけーみたいな」
「そうなんだ……。よかったね!」
「まぁ、効かないだろうけどね~」
 そう言って笑うこなたはまんざらでもないようで、とても嬉しそうな顔をしていた。

『本日未明、歩行者が乗用車に……』
「事故とか事件とか多いよね」
 日ごと流れる事故のニュース。
 いつ誰が事故に遭うかわからないものだ。
「んだね~」
「二人も気をつけてくれよ?」
 そうじろうの心配をよそに、こなたは笑いながら答える。
「大丈夫大丈夫。私運動神経いいから」
「それはあんまり関係ないんじゃ……」
 そんなことを言い合いながら、いつも通り変わらない日が過ぎていった。



「最近寒いよね~」
「そうですね。地球温暖化といわれていますが、やはり冬は寒いです」
「って、かがみ?」
「……」
 話に入ってこないのを不思議に思い振り返ると、かがみは洋菓子店を眺め、固まっていた。
「食べたいの?」
「! え、いや何をおっしゃるこなたさん」
「お姉ちゃん話し方変だよ」
「う、うっさいわね」
「寄って行きましょうか?」
「え?」
 みゆきに言われ、かがみは嬉しそうな顔をする。と、その時。
 バリン! と大きな音がした。
「何!?」
 音がしたほうを見ると、鉢植えが粉々になっていた。
「あれ、下手したら私たちに当たってたんじゃないの」
 まさしく、もう少し早くその場所まで行っていたら、誰かに直撃していただろう。
 本当に運が良かった。

 しかし、この日から数日間、彼女たちの周りで様々な事件、事故が起こるようになった。
 交通事故はもちろん、向かっていたコンビニに強盗が入ったり、工事現場の鉄筋が数十メートルの高さから落下すると言うこともあった。

「最近、本当によく危険な目に遭いますよね。私たち」
「……」
「そうだね~。今までなかったのにね」
「その事なんだけど……」
「なぁに? お姉ちゃん」
「昨日ね、いのり姉さんがあの勾玉探しててさ」
「あれ、やっぱり大事なものだったんだ?」
「いや、大事って言うか、私も気になって聞いてみたらね……」
 かがみは目をそらしながら、と言うより体ごと顔を背けて言った。
「呪いの……勾玉なんだって……」
「ええ! 呪われてるの!?」
「えっと……それはどういう」
「なんか、特定の行動を取ったら死ぬ確率が上がる呪いらしいのよ」
 目が点、というのだろうか。それを聞いていたみゆきはきょとんとしていた。つかさはというと若干おびえた様子でかがみのことを見ている。
「しかも、今年が十年に一度のお払いの年だって……」
「あの、かがみさん」
「わかってるわよ! 呪いなんてあるわけないけど……」
「たしかに、言われてみると私たちの周りで危険な事が起こるようになったのは、かがみさんがお守りを渡した頃からですね」
「そうでしょ? だから気になって」
「こなちゃんにお守り返してもらってお払いしようよ! 呪いなんてダメだよ~!」
「そうですね、私もそれがいいと思います」
「……わかったわ。帰りに返してもらってくる」


「こなたー」
「ん? どったのかがみ」
「あのさ、こないだあげたお守り返してくれない?」
「なんで?」
「いや、ちょっとね」
「えー、やだよー」
「いいじゃない、今度代わりの持ってくるからさ」
「えー……」
「ね」
 顔は笑っているものの、語気を強めるかがみに気圧されたこなたは、素直にお守りを返すことにした。
「悪いわね。じゃあ、私は委員会あるから」
「あ、うん。また明日ー」
「またねー」
(どうしたんだろ……)
 疑問に思いながらも、こなたは机を片付け、帰宅の途についた。

 それから、勾玉は柊神社に返され、かがみの両親によるお払いの後、再び納屋へと戻された。
 勝手に持ち出したことを怒られはしたが、以降事件も事故も起きず、平和な日々が戻りつつあった。


「おはよー!」
 一週間ほど経った日の朝、髪をボサボサにしたままのこなたが登校してきた。
「おはよ、今日は遅かったわね」
「いやぁ、寝坊しちゃって……。ところで、かがみいつお守り返してくれたの? 鞄に入ってるの気付かなかったよ~」
「は?」
 かがみたちは顔を見合わせる。
「鞄に入れてくれたのかがみでしょ?」
「……ちょっと、電話してくる!」
「え? かがみー?」
 どうしたんだろうね? と聞くこなたに、つかさとみゆきは何も答えられなかった。
 数分後、帰って来たかがみは、信じられないといった顔をしていた。
「なくなってるって」
「じゃあ、お姉ちゃん……」
「何? どゆこと?」
「話しましょう」
「ええ……。こなた、そのお守りね、呪いがかかってるの」
「はい?」
「荒唐無稽な話であるのは理解しています。しかし、これまでにあったことや、かがみさんから聞いたことを踏まえると、ありえないとも言えないんです」
「いや、え? みんな一体何を」
「それがね……」
 かがみたちは話した。実はお守りが呪いの品であったこと、お守りを鞄に戻したのは自分たちではないことを。

「話は分かったけど、漫画じゃないんだし……そんな死亡フラグの呪いみたいな」
「私だってそう思うわよ。でも、私たちの周りで、危険な事が起きるようになったの私がお守りあげてからでしょ?」
「まぁ、そうだねぇ……」
 こなたは少し考え、問いかける。
「でも、これ手放そうにも戻ってきちゃうなら、どうしようもなくない?」
「解決方法については、はっきりと言えません。ですが、一応の対策といいますか、回避方法はわかっています」
「うーん、死亡フラグになりそうなこと全部言わないようにしろ、とかだったら無理だよ?」
「ええ、わかっています。方法は別のものです。覚えていますか? 以前に鉢植えが落ちてきたときのことを」
 こなたの頭の中にあの時の光景がよみがえる。 
「あの時、かがみさんが洋菓子店のケーキに気を取られて止まりましたよね?」
「いや、あのね? 違うのよ?」
「それを見て、泉さんも立ち止まりました」
「私は別にケーキに気をとられたわけじゃないのよ?」
「これがどういうことがわかりますか?」
「お願い話を聞いて……」
「かがみの行動で、私の死亡フラグが回避された?」
「ぐすん……」
「その通りです。コンビニ強盗があったときもそうです。あの時はつかささんが転んでバッグの中身をばら撒いてしまい、それを片付けていた分コンビニに行くのが少し遅れました。
結果、コンビニで起きた事件に出くわさずに済んだ。つまり、泉さん以外の誰かが介入することで呪いを回避できる。と、言うのが私の考えです」
「なるほどね。でも、それだと私の死亡フラグに巻き込まれるってことだから、みんなも危なくなるんじゃないの?」
「いえ、それは大丈夫です。呪いの媒体を持っているのは泉さんだけですから、こちらには影響ありません」
「……そっか。んじゃ安心だね」
(実際はそうではありませんが……)
 そう、確かに呪い自体は、こなた以外には影響しないかも知れない。しかし、それによって引き起こされた事象は別物だ。
 鉢植えの件で言えば、落ちたのは呪いの影響であっても、誰に当たるかは呪いの影響下にない。
 だからこそ、かがみの行動によりこなたに鉢植えが当たることを回避できた。
 と言う事は、こなたの言った通り、フラグに介入したものに危険が迫る可能性は十分にあるのだ。かがみもつかさも、このことはみゆきから聞いていた。
 その上で、こなたを助けるための協力を承知したのだ。



 ところがそれから二週間近く経っても、これといって危険なことは起きなかった。強いて言うならこなたが階段を踏み外したことだが、それはごく一般的によくあること。
 お払いをしたから呪いが消えたのか? という話さえ出ていた。
 そんな中、四人は待ち合わせをして買い物に行くことになった。むやみにフラグを引き寄せない様に外出を控えていたため、全員がこの日を楽しみにしていた。

 今日は目的地の関係で、こなたとみゆきが合流した後、かがみたちのところへ行く予定だ。
「泉さんですか? 今どこでしょう」
『こっちからはもう見えてるよ~』
 そう言われ、辺りを見回すと少し離れた横断歩道の向こう側で手を振っているこなたが見えた。
「見えました。電話切りますね」
『はいよ~』
 会話を終え、携帯電話をバッグにしまおうとしたみゆきは不意に顔を上げる。
 辺りを見回したとき視界に入った車、スピードこそ速くないものの運転手の様子がおかしかった様な気がする。
 あれは……。
 刹那の速さでそれを理解したみゆきはバッグを投げ出し、走り出す。25メートルに満たない距離を全速力で駆ける。
 その様子を見て、こなたは不思議そうな顔で立ち止まる。後ろに気付いて! そう願うが、声は出ない。
 こなたの後ろでは、予想したとおり居眠り運転をする車が迫っている。ご丁寧にこなたの居る方向へハンドルを切って。
 もうみゆきは何も考えず、こなたへダイブした。
 金属のひしゃげる音と、激しい衝突音が辺りに響き渡った。
 車に轢かれたものは誰も居ない。だが、
「みゆきさん! しっかりして! みゆきさん!」
 こなたを抱きかかえる形で地面を転がったのだろう。みゆきの全身には擦り傷ができ、縁石に頭をぶつけたのか血が流れていた。
「誰か! 誰か救急車呼んで!」
 野次馬の一人が救急車を呼び、到着したのは数分後のことだった。



 幸い、みゆきの怪我はそこまで酷いものではなかった。
 全身の擦り傷、打撲、頭部の怪我も骨にまでは達して居なかったため、命に別状はない。
 ただ、肋骨にヒビが入っており、数日間の入院としばらくの通院を余儀なくされた。
 事故の翌日には目を覚まし、面会も可能になっていた。
「それでは、お大事に」
「はい、ありがとうございます」
 診察を終えた医者が、みゆきの病室を出る。
「泉さん、りんご食べますか?」
「ううん。それより、ごめんね。私のせいで」
「いえいえ、泉さんが悪いわけではないですから」
 みゆきは、笑顔でそう言った。
「……私、ちょっとジュース買って来るね」
「泉さん?」
 病室を出ていくこなたを見たとき、あの光景がフラッシュバックした。
 かがみがこなたへお守りを渡したあの光景が。
『人生に絶望して一人寂しく……とかなられると寝覚めが悪くなっちゃうわよ』
『なるかー!』
「まさか……」
 みゆきは確信する。最初に立てられたフラグ、これまでの全てがそれを成立させるために動いていたのかもしれない。
 だとすれば、なんと皮肉なことか。こなたを助けるための行動が、こなたを追い詰めるための布石になっていたのだから。

 こなたを追うため、怪我であまり自由の利かない体を押して、病室から飛び出す。
 近くに居た患者に、青い髪の少女を見なかったか聞いたところ、階段を上がっていったという答えが返ってきた。
 つまり、こなたの向かった先は――。


 こなたにはわかっていた。みゆきの言ったフラグを回避する方法。それが彼女たちを巻き込んでしまうことを。
 それでも、自分を助けようとしてくれることが嬉しかった。みんなでならきっと何とかできる。そんな風に考えていた。
 しかし、それが甘かった。その甘さがみゆきに怪我を負わせた。
(次は、怪我じゃすまないかもしれない……)
 自分のせいで誰かが死ぬかもしれない。それだけは、絶対に、避けなければいけない。
(誰も死なせない。もうこれ以上、誰も傷付けさせない。そのためにも、早く……)
 屋上へ通じる扉を、こなたは開けた。

 頭上に広がる空は、憎たらしいほどに晴れ渡っていた。
 こんなことさえなければ、みんなで買い物にでも行ってたかもしれないのに。
 こなたは空に向かって悪態をつく。
「神様も役に立たないなぁ」
 屋上から、眼下を見渡す。
「これが、私の最後の風景かぁ」
 目に映るのは、美しい緑と、人々の営み。
 悪くないかもね。そう言って、大きく深呼吸する。
「でも、ちょっと怖いかな……」
 どれほど経ったのか、もしかしたら一分も経っていないかもしれない。
 こなたは、足を上げ、一歩前へ踏み出そうとする。踏みしめる場所のない、その場所へ。
 バン! と扉が開いたのはそれと同時だった。
「泉さん!」
 そこにいたのは、肩を上下させ苦しそうにしているみゆきだった。
「みゆきさん」
 上げた足を下ろし、みゆきに向き直る。
「何を……してるん、ですか」
「んー景色見てた?」
「ふざけないで下さい」
「……」
「こっちに、来て下さい」
 お互いの目を見つめたまま話す。
「嫌だって言ったら?」
「来て下さい!」
 そう言うと同時に、みゆきは胸を押さえる。声を張り上げたのが傷に響いたのだろう。
「ダメだよみゆきさん、無理しちゃ」
「私のことはいいですから、こっちに」
「ごめん」
「どうして謝るんですか」
「その怪我、私のせいだから」
「これは泉さんのせいじゃありません」
「私のせいだよ。私がみんなに甘えたから」
 顔をしかめてそう言うこなたは、まるで、自嘲しているかのようだった。
「それの何がいけないんですか!」
「え?」
「困ったことがあって、友達に頼るのはいけないことですか?」
 こなたは視線を落とし、うつむく。
「それは……でも、そんな怪我まで……」
「この怪我は私がしたいことをした結果です。泉さんは関係ありません!」 
「で、でも……」
 こなたが顔を上げようとしたその時、風が吹いた。風を遮るもののない場所では、必然的に風は強くなる。
 身体の小さな者を押す程度の力は十分にあった。
 堪らず、こなたは後ずさる。後ろに下げた足は屋上の縁にぶつかり、こなたの身体がゆっくりと傾いた。
「泉さん!」


 身体に痛みはない。死ぬというのはこんなものなんだろうか?
 そっと開けた目に映ったのは、自分の手を掴み、耐えているみゆきの姿だった。
「み、みゆきさん」
「泉さん、早く……私の手を、掴んで下さい!」
「もういいから、みゆきさん、離して」
「いやっ、です……」
「離してったら!」
「嫌です!」
 みゆきは、必死叫ぶ。
「絶対に、嫌です……」
 こなたの顔に、一粒の液体が落ちた。みゆきの顔から、赤い液体が。
「っみゆきさん、頭から血が」
「傷が、開いてしまったかもしれませんね」
「ダメだよ……みゆきさん……」
 また、こなたの顔に液体が落ちる。今度は透明な、そう……涙が。
「これぐらい、全然平気です。私は泉さんが居なくなることのほうが、ずっと苦しいですから」
「……」
 全身に激痛が走っているだろうみゆきは、笑顔そう言った。

 分かっていたはずなのに。
 大切な人が傷つく苦しみを、知っていたはずなのに。
 逃げていただけだ。
 自分が傷つかないように、逃げていた。

 こなたは、手を伸ばす。
 だが、それを支えていたみゆきの体が、重みに引き摺られ上半身が空中に投げ出される。
「っ! このままじゃ、みゆきさんまで落ちちゃうよ!」
「大丈夫です。なんとか、なります」
「なんとかって!」
「大丈夫……です……」
 みゆきは何かを待つように、ただひたすらこなたの腕を掴んでいた。
 少しずつ、みゆきの身体は引き摺られていく。
 もうダメだと、こなたが目を瞑った瞬間――。

「しっかりしなさい!」
「こなちゃん、掴まって!」
「かがみ? つかさ?」
 かがみが、みゆきの体を支えながらこなたの腕を掴み、もう片方の腕をつかさが両手で掴む。
「一気に行くわよ!」
 そして、三人は息を合わせ、こなたを引き上げる。
「せーのっ!」
 なんとかこなたを引き上げた四人は屋上に座り込む。
「あんたたち何してんの!」
「すみません……」
「ごめんなさい……」
「あんまり心配かけないでよ……」
「みゆきさんも……ごめんね。私のせいでまた」
「……はぁ」
 みゆきは大きくため息をつき、
「えい」
「あう」
 こなたの頭を小突いた。
「何度言わせるんですか? この怪我も、今のことも、私がしたいことをした結果です。泉さんのせいではありません」
「みゆきさん……。うん、ありがとう」
「でも、二人とも無事でホントによかったぁ」
「はい、お二人のおかげで……。なんとかなりましたね? 泉さん」
「そうだね」
 不思議と、二人から笑みがこぼれる。
「そうだ、勾玉は?」
「えっと……」
 こなたが、ポケットから勾玉の入ったお守り袋を取り出す。
 紐を緩め中を見てみると、そこには四つに砕けた勾玉が入っていた。
「これって、呪いに勝ったってことなのかなぁ?」
「かもね」
「友情パワーとか?」
 茶化すように言うこなたに、みゆきは真剣な顔で答える。
「だとしたら、素敵ですね」
 四人は、少し照れた顔で笑いあう。
 そして、誰からともなく、一人一つずつそのカケラを取った。彼女たちがいつまでも友達であり続ける、呪い(まじない)の証として。



 その後、私たちは病室に戻って看護婦さんを呼んだ。
 すごく驚いてたなぁ……。って患者がなぜか血まみれになってるんだから当たり前だよね。そして、慌ててやってきた医者の先生にこっぴどく叱られた。
 再検査の結果、肋骨のヒビが広がっちゃって、みゆきさんの入院が一週間伸びた。当の本人は笑っていたけど、さすがにこれは土下座で謝るしかなかった。



「そういえば、かがみもつかさもどうして私たちが屋上に居るって分かったの?」

「みゆきの病室言ったら誰も居ないし、変だなって思ってたら他の患者さんから伝言を聞いたのよ」

「何があるか分かりませんので、もうすぐお二人がいらっしゃる時間でしたし」 

「さすがゆきちゃん! あ……でも私たちが遅れてたらどうするつもりだったの?」

「……それは、考えていませんでしたね。急いでましたし、きっと間に合ってくれると信じてましたから」

「なんか、恥ずかしいわね」

「照れるかがみ萌え」

「うっさい!」

「あはは」


 みんなでならなんとかなる。か……本当だったなぁ。なんかこの先、何があっても大丈夫な気がしてくる。
 って、これも死亡フラグかな。でも、もう絶対に負けない。どんな死亡フラグも打ち破ってやるからね。

「こなた」
「こなちゃん」
「泉さん」
「はーい、今いく~」


~fin~
ツールボックス

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