ID:qCcpKqk0氏:ついに出た!?偽怪傑かがみん!?

こなた「この間は楽しかったね~、かがみ。時間があっという間に過ぎて夢のようだったヨ」
かがみ「私にとっては悪夢だったわよ……思い出すだけで頭が痛いわ」
こなた「それでさ、その時の写真を焼き増ししてきたんだけど……あれ?」
かがみ「どうしたのよ?」
こなた「いや、カバンの中に入れたはずなんだけど……あれー?あれー?」
かがみ「ちょ、おまっ!まさかどっかに落としたんじゃないでしょーね!?」
こなた「いやいや、まさか私に限ってそんな事は。家に置いてきちゃったんだよ…………たぶん」
かがみ「何故目を逸らすんですか、こなたさん」


~ついに出た!?偽怪傑かがみん!?~


放課後、みゆきは風邪で休んだつかさのお見舞いに1人で行こうとしていた。
こなたとかがみは寄るところがある――ナントカの限定版の確保が急務――とかで、とりあえず別行動なのだ。
靴を履き替え、2・3歩進んだところでみゆきは何かノートのような物が落ちているのに気付く。

みゆき「あら?落し物でしょうか?……写真帳のようですね」

それは小奇麗な写真帳。表紙の汚れ加減からして昨日か今日に誰かが落としたものだろうと思われた。
よくよく見てみると『バイト先でかがみと』などと、非常に特徴的な筆跡で書かれている。
筆跡とタイトルからしてこれは間違いなくこなたのものだろうと判断し、みゆきはそれを拾い上げる。

みゆき「少しくらい中身を見てもバチはあたりませんよね。確認も必要ですし」

誰が見ている訳でもないが、そう言い訳をして写真帳を開く。
中には様々な衣装に身を包むこなたとかがみの姿があった。
みゆきはそれを適当にパラパラとめくっていたが、あるページの写真を見て指を止める。

みゆき「こ、これは、怪傑かがみんが2人!?」

見出し部分に『友情のダブル怪傑かがみん☆』と記された写真をもう一度よく見る。

みゆき(いえ、違いますね……こちらのポーズをとっている方は泉さんです)

ツインテールにしてはいるが、頭頂部や身長、胸の大きさ、仮面に隠されていない顔のパーツなどからそれは明らかだった。

みゆき(しかし、こちらはどう見ても本物……ですが、これらの写真の流れからいうと……)

みゆきはあるひとつの仮説に辿りつかざるをえなかった。
写真帳をカバンにしまい、みゆきは再び上履きに履き替え教室へと向かった。



かがみはこなたの席に座ってボーっとしながら、その椅子の主が戻ってくるのを待っていた。
こなたは授業中の居眠りの件で黒井先生から職員室への呼び出しをくらってしまったのだ。
宿題でもしようかと考えて丁度カバンを手にした瞬間、かがみは帰ったはずの人物に声をかけられた。

みゆき「かがみさん、ちょっとよろしいですか?」
かがみ「あれ、みゆき?まだ帰ってなかったんだ?」
みゆき「はい、急な用事が出来まして。それで、ちょっと手伝っていただきたいのですが」
かがみ「んー……たぶんこなたももうしばらく戻って来ないだろうし、私もやることが無いから、別にいいわよ」
みゆき「助かります。それでは、生徒指導室までついて来ていただけますか?」

その言葉に対するかがみの返事を待たずにみゆきはさっさと移動し始める。
その姿にほんの少し違和感を感じたが、かがみはとりあえず黙ってついて行った。
人気の無い生徒指導室に入ると、みゆきはかがみの方を向いて軽く微笑んだ。

かがみ「で、何を手伝えばいいのかしら?プリントでも運ぶの?」
みゆき「……申し訳ありません。先程お願いした手伝いの件は、嘘なんです」
かがみ「へ?」
みゆき「実は、かがみさんに見ていただきたいものがありまして」
かがみ「な、何かしら?」
みゆき「はい。こちらの写真帳なんですが」

かがみ「それって、まさか!?」
みゆき「その、まさかです。泉さんが下駄箱で落とされたのだと思いますが、それを私が偶然に拾いまして」
かがみ「こなたのヤツ……やっぱり落としてたんじゃない!何が『家に置いて来た』よ!徹底的にシメテヤル!!」
みゆき「あの、話を続けてもよろしいでしょうか?」
かがみ「え?ああ、ごめんなさい。ちょっと取り乱しちゃったわね」
みゆき「いえ、十分かがみさんらしかった……コ、コホン。ええっと、それでこの写真を見てください」
かがみ「あー……黒歴史だわ……」
みゆき「そのような顔をなさらないでください。お2人とも、とても似合っていると思いますよ?」
かがみ「そんな格好が似合ってるわけが――」

みゆき「とても似合っています。特に、かがみさんなんて誰がどう見ても本物にしか見えないくらい。そうは思いませんか?」
かがみ「……みゆき、何が言いたいのかしら?」
みゆき「いえ、何も。ただ、私にはこれが本物の怪傑かがみんにしか見えない、という事実を言ったまでです」
かがみ「つまり、怪傑かがみんの正体は私なんじゃないか、とでも言いたい訳?」
みゆき「まさか。さすがにそれは論理が飛躍し過ぎだと思っています……今のところは、ですが」
かがみ「今のところは?」
みゆき「はい。かがみさんのこの格好が本物に見える、というだけではその結論に達することができない理由があります」

みゆき「まず第一に、どんな理由があれ、かがみさんが人前であんな奇抜で少し残念な格好のできる方だと私には思えません」
かがみ「うっ」
みゆき「それに、実際にかがみさんが正体だとして、あんなふざけた仮面とマント程度の変装なら今までに見破っていた自信があります」
かがみ「くっ」
みゆき「かがみさん、どうかされましたか?突然、胸をおさえられて……心臓に持病でも?」
かがみ「な、なんでもないわ。気にしないで話を続けて」

みゆき「ええっと、そういう訳でして、私としてはそこのところをはっきりさせたいと思いまして」
かがみ「それで、真偽をただしてみようと思って私を呼んだってとこかしら?」
みゆき「いえ、そうではありません。かがみさんがYes・Noどちらを答えようとも、それを裏付ける証拠がありませんから」
かがみ「Yesと答えても信じないの?」
みゆき「はい。先程も言いましたが、どう考えてもあのようなチープな変装で私達の目をごまかせるはずがありませんから」
かがみ「ぐっ……でもそれじゃあ、私を呼ぶ意味がないじゃない。何で呼んだのよ?」

みゆき「この写真をよく見ればわかりますが、泉さんとかがみさんの衣装にはクオリティに歴然とした差があります」
かがみ「ああ、そう言えばこなたも同じような事を言ってたわね」
みゆき「かがみさん、この衣装は泉さんのバイト先のものではありませんね?」
かがみ「隠したって意味も無いから正直に言うわ。自前よ」
みゆき「やはりそうでしたか……かがみさん、その衣装を貸していただく訳にはいきませんでしょうか?」

かがみ「は?何言ってんのよ、みゆき……ま、まさか、そういう趣味なの!?」
みゆき「ちちち、違いますっ!断じてそんなことはありませんっ!」
かがみ「じゃあ、なんでよ?」
みゆき「コホン……考えた結果、私はある仮説に辿りついたんです。あの仮面とマントに認識阻害の効果があるのではないか、という仮説に」
かがみ「ああ、そういうことね。びっくりしたわ」
みゆき「分かっていただけたようですね……さあ、かがみさん。あの衣装、貸していただけますか?」



こなた「やふー。かがみん、お待たせ~」
かがみ「やふー、じゃないわよ。何も知らないでのん気なものね、まったく」
こなた「何か疲れた顔してるね。どったの?」
かがみ「別に何でもないわ。強いて言えば、あんたの事を待ちくたびれたのよ」
こなた「ごめん、ごめん。黒井先生が説教の後にネトゲの話を始めちゃってサ」
かがみ「どうりで長いはずだわ……」

こなた「あー、でもホントに遅くなっちゃったねー。今日はつかさのお見舞いもあるっていうのに」
かがみ「あれ?あんたお見舞いに来るもりだったの?」
こなた「モチロンだよ。つかさのイベントCGを回収する義務が私にはあるからネ!」
かがみ「でも今から秋葉原まで行くのよね?戻ってくる頃には、つかさ寝ちゃってると思うわよ?」
こなた「そうなの?」
かがみ「たぶんね。病気の時はやけに早く寝るのよ。お見舞いしたいんだったら、限定グッズとやらは明日にしなきゃダメね」
こなた「むむむ。限定グッズをとるか、はたまた友情をとるか、悩むなぁ。生きるべきか、死ぬべきか……」
かがみ「いや、そこまで本気で悩むなよ」

※※※「その悩み、私に聞かせていただけませんでしょうか?」
こなた「えっ?誰っ!?」

スラリと開く教室の扉。そして開けたらちゃんと閉める。

※※※「天空が、大地が、皆さんが呼んでいます!ええっと、八百万の神々が呼んでいます!」
こなた「そ、その姿は!」
※※※「豊富な知識でずばり解決!人呼んで『怪傑かがみん』、お恥ずかしながら参上です!」

悩めるこなたの前に優雅に現れたのは、僕らの『怪傑かがみん』……ではなかった!
タキ○ード仮面を思わせる純白の仮面に、純白のマント。
つまり、サブタイトルで既に名乗りを上げている『偽怪傑かがみん』……という訳でもなかった。
少し癖のあるピンクのロングヘアーに、陵桜学園指定の制服。
まあ、ぶっちゃけ高良みゆき。
何処で道を間違えたのか、そしてその目的はこういう方法でなくては達せられなかったのか、謎に包まれた行動だ。
可哀想だけどもう1度言おう。
高良みゆき、謎に包まれた行動だ。

みゆき「さあ、あなたの悩みをお聞かせ願えますでしょうか!」
こなた「かがみ……こんな時、どんな顔をすればいいのかなぁ……?」
かがみ「そうね……笑えばいいんじゃないかしら……」
みゆき「どんな些細なお悩みであったとしても、遠慮なさらずおっしゃってください!」
こなた「かがみ……さすがの私も、これほどまでに相手との温度差を感じたことってないよ……?」
かがみ「そうね……笑うしかないんじゃないかしら……」

そのとき再び教室の扉が開いた。

黒 井「誰や、こんな時間まで教室で騒いどんのはー?泉かー?」
こなた「あ、黒井先生」
黒 井「おー、なんややっぱり泉か。それに柊と……高…良…………!?」
みゆき「えっ?」
黒 井「うわあああ!見てへん!センセはなーんも見てへんからな!」

教室の扉が勢いよく閉められる。
数秒の静寂の後、扉の向こうから黒井はみゆきに声をかける。
心の底から残念そうな声で。

黒 井「なぁ、高良、悩みがあるんやったら、その、センセはいつでも相談にのるからな?」
みゆき「そ、そんな……私だとバレて……?」
黒 井「今日のことは、アレや、ここにおるモンだけの秘密っちゅう事にしとくから、な?」

それだけ言うと黒井は職員室へと戻っていった。
そして、みゆきはその場に崩れ落ちたのだった。



こなた「泣いてちゃわかんないよ、みゆきさん。何であんなことしたのさ?」
みゆき「わ、私はっ、ぐすっ、あの仮面にっ、認識阻害の効果がっ、ひっく、思って、実験をっ……!」
かがみ「はいはい、私はちゃんとわかってるから。もう帰りましょ、ね、みゆき?」
こなた「ねー、かがみ。みゆきさんどうしちゃったの?」
かがみ「そうね……みゆきは私達の写真を見て、少し羨ましくなっちゃったんじゃないかしら?」
こなた「写真?」
かがみ「ほら、あの時2人で最後に撮ったアレよ」
こなた「あー、アレね……あれ?でも、私みゆきさんにはあの写真まだ見せてないハズだけど?」

かがみ「ああ、そうだった。それを忘れるところだったわ」
こなた「忘れるって、何を?」
かがみ「あんたよくも今朝はいいかげんな嘘でごまかしてくれたわね……写真は家に置いてきたんでしたっけねぇ、こなたさん?」
こなた「ま、まさか、みゆきさんが拾っ……あわわわわわ」
かがみ「もちろん、覚悟はできてるのよね?」
こなた「う、うわあーーっ!ごめんよ、かがみーーーっ!」

こなたはかがみのオーラに本気で怯え、頭を抱えて教室から飛び出していった。
その姿が凄い速さで廊下の端を曲がって階段の方へ消えていくのを確認すると、かがみはみゆきの隣にしゃがみこむ。
そして、未だ立ち上がれないでいるみゆきの体を優しく抱きしめた。

みゆき「か、かがみさん?」
かがみ「ね、みゆき。ここだけの話なんだけどさ、みゆきの考えたとおり、怪傑かがみんの正体はこの私よ」
みゆき「し、しかし、私の仮説は間違っていました。この衣装には、何の効果もありませんでした」
かがみ「私が身につけなきゃ効果が発動しないのよ、きっと」

そう言うとかがみは、みゆきから仮面とマントを外し、それを己が身に着けた。

かがみ「怪傑かがみん参上!……なんてね。どうかしら、みゆき?」
みゆき「……かがみさん、あなたは優しすぎます……何故、私のためにそこまで?」
かがみ「今の私は、怪傑かがみんよ?」
みゆき「……そう……そうでしたね……はい、どこからどう見ても、正義の味方です」
かがみ「これで、怪傑かがみんの正体が私だって納得したかしら?」
みゆき「……ありがとうございます、かがみさん」
かがみ「お礼なんていいわよ。悩みを解決するのが怪傑かがみんの役割なんだから」
みゆき「……いえ。私がお礼を言ったのは、怪傑かがみんにではなく、かがみさんにです」

みゆきのその言葉に、かがみは仮面をはずす。

かがみ「どういうこと?」
みゆき「私は怪傑かがみんにではなく、かがみさんの優しさに救われたんです。他の誰でもありません。かがみさんにです」
かがみ「私自身……に?」



どうやらこなたは本気で逃げてしまったらしく、結局かがみはみゆきと2人きりで帰ることとなった。
駅へと向かいながら、みゆきはいつもと変わらない笑顔でかがみに話しかける。

みゆき「かがみさん、怪傑かがみんの正体って本当は誰なんでしょうね」
かがみ「へ?何言ってんのよ、みゆき?さっき正体は私だって……」
みゆき「うふふ。かがみさんの芝居も上手でしたが、さすがに正真正銘の本物とまでは思えませんでしたよ?」
かがみ「で、でも確か、どこからどう見ても正義の味方だって……」
みゆき「はい。言いました。あの時のかがみさんは、私のことを救ってくれる正義の味方に見えましたから」
かがみ「何よ、それ」
みゆき「衣装をお借りする際にも言いましたが、あの程度の変装では私の目はごまかされません。絶対に見破る自信があります」

みゆきは頬を赤く染め、今までかがみが見たことの無い少し悪戯っぽい表情で笑いながら言った。

みゆき「だって、私とかがみさんは、親友なのですから」





こなた「かがみは私の嫁っ!これはゆるぎない事実なのだヨ!みさきちなどにはゆずれないねぇ」
みさお「いーや、ひいらぎはウチんだっ!こればっかりは、ゆずれねぇかんな!」
かがみ「またそれか……あんたらときたら、まったく」

そんないつものやり取りを、いつものように笑顔で眺めるみゆき。
そして、そっと定期入れの中の写真を見て、ひとり呟く。

みゆき「……お2人には申し訳ありませんが、かがみさんは私のものです。私だってゆずれません」

その写真には、みゆきの言うところの『奇抜で少し残念な格好』をした2人の少女が写っている。
あの一件の数日後、みゆきがかがみに是非にとお願いして撮ったものだ。
写真のタイトルは『真・友情のダブル怪傑かがみん』……みゆきの最高の宝物だ。
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