ID:vBTCWslM0氏:井戸端会議は続かない。

「あははははは!」
「あははははははは!!」

あちらこちらで不定期に笑い声が響き渡る今日は1月3日。
そう、今日は三が日の最終日。各々の行事もひと段落したらしく、そこでこなたの家に集まって「今年もよろしくパーティ」を開催することと相成った。
しかし皆意外とヒマなのか、声をかければ集まるのなんの。いつもの4人組をはじめ、元々家に居るそうじろう、ゆい、こなた達の担任であるななこまでが一同に会することとなった。
ちなみに先生であるななこに声をかけたのは言わずもがな、こなたである。ネトゲーでヒマそうにしてたななこを誘い、家に招いたのだ。

「ゆぅいねーさぁん、もっとぉ~!」
「おしきた、任せとけぇい☆」

おぼつかない足元でこなたの方へと向かうゆいの手には、『明鏡止水』と銘されたラベルが貼られた茶色い瓶が握られている。

そう、最初の方は子供達が無邪気に騒ぎ、大人達は初顔合わせと新年の挨拶が混ざったような会釈をし、次第に腹をさぐるような会話へと続いていくいわばどこにでもあるような話だった。
しかしこの中の1人、ゆいがあろうことか日本酒を内緒で子供達に与えるという狼藉を働いたがために、やがて『明鏡止水』の言葉とはかけ離れた状況へとなっていく。むしろ鏡をぶっこわし波1つ立たぬ水面を手榴弾でもぶち込んで写る水すら吹き飛ばしてしまう展開だ。

「よぉーし、じゃあここいらで皆1人ずつ一発芸でもかましてもらおうと思うのだが、どうかね諸君?!」

ゆいから受け取った酒瓶を速攻で空にしたかと思うと、ソレをマイク代わりにし立ち上がり皆に呼びかけるこなた。

「おぉ、なんや泉お前芸なんて出来るんかー?」
「うふふ、楽しそうですねっ」
「やれやれー!お姉さんもみんなの意外な一面を見てみたいなぁ♪」

自称警察官のゆいが拳を振り上げて叫ぶ。
立場的に、未成年の飲酒によるこの混乱を収めなければいけないのはまぎれもなくこのゆいである筈だが、そもそも酒を持ち込んだ挙句皆に飲んでまわさせた張本人がこのゆいなので、そこはツッコんではいけない。
きっとお正月ということで警察という立場からも休みをもらっているのだろう。たぶん。
個人的にゆい姉ではなく、みゆきがソレを止めるどころか助長するように赤らめた顔でにっこりと笑ってパチパチ拍手してる時点で最後の良心の糸は切られたと思ってる。


「でもとっさに一発芸、って言われてパッて思いつかないわよ?」
「そこで!!!今回はコレをメインにした芸をしてもらおうと思う!」

かがみのジト目を吹き飛ばす勢いで右手を上げるこなた。その手には‥‥

「チョコ、コロネ‥‥?」

皆と同じように顔を紅潮させたつかさが、赤ちゃんが生まれて初めて覚えた言葉を呟くかのような口調でこなたの手に握られている物体の名をいう。

「そう、今回はこれを使って考えてもらうことにした!では言いだしっぺのあたしがお手本を見せて進ぜよ~
ってなわけでみゆきさん、ちょっとここに座って」
「わ、わたくしですかぁ?えっと‥‥‥はい、これでいいですか?」
「うぃっ、んじゃ目を瞑って~りらぁあぁ~っくす~♪」

目を瞑らせたみゆきの目を更に覆うようにして背後から手をかざすと、そのまま何かを呟きだした。

「幻想を抱き生きつづけ彷徨う者よ、今こそ我の手に導きの光を見出したまへっ」
「アンタはRPGのやりすぎだ!!それと幻想を抱き行きつづけ彷徨ってるのは紛れもなくお前の方だろうが!!」

かがみのツッコミも虚しく、こなたの呪文もどきは佳境へと向かう。

「その身を委ねよ、さすれば汝の夢想はありつづけるだろう‥‥ドリームキャスト!!」
「ゲーム機かっ!!」

例によってかがみのツッコミはスルーされ、こなたはみゆきの視界を開放する。そこには。

「みゆきさん、今日はちょっと、いえ‥‥だいぶ痛いと思いますが‥‥我慢してくださいね?」
「えっ、でも、そそそそそ、そんな‥‥麻酔とかはないんですかぁ?」


視界のみを開放し、未だイスに座り続けるみゆき。それを見下すように、みゆきの顔を両手で包み込んで何故か敬語で語りかけるこなた。

「ありません。実は今、少し在庫を切らしていまして‥‥本来ならば絶対に麻酔をかけなければいけない手術なんですが、まぁ大丈夫でしょう」
「しゅ、手術って言いました?!言いましたよね?!」
「はっはっは、そんな物騒なこと言ってませんよ。作業と言っただけです」
「何ですかその事務的かつ適当な言葉はぁ?!それに在庫を切らすって、そんな本が売り切れたみたいに‥‥わっ、私もぅ帰ります!!違う歯科で‥‥」
「それは無理ですね‥‥なんせ」

その一言と同時に、みゆきの胸の下辺りを後ろから抱きしめてホールドする。

「貴方はもう、作業が終わるまでこの台から離れることは出来ないのですから‥‥」
「ええっ??!ひやっ、やああぁっ!!!」

大きな瞳にめいっぱい涙を溜めて叫ぶみゆき。

「ゆきちゃん、どうしたんだろ・・・?」
「何や意外やなー。高良がこんな役者やったとは」
「いや、先生‥‥どう見てもあの反応は本気でしょ・・・」
「? お姉ちゃん、どういうこと?」
「要するにみゆきはこなたの手におちた、ってこと。こなたがさっきブツブツ言ってたのはきっと催眠術の類なのよ。まぁ、信じられないけど‥‥」
「私の出したお酒が彼女の思考能力を奪ってったんだね~さすが私っ♪」
「いやいやそこは止めてください警察官っ!!」

そう、かがみが予想したとおり、みゆきの視界には彼女の弱点である歯科の風景が広がっていた。
そして今のみゆきフィルタを通すと、目の前に居るこなたはみゆきの主治医であるおじさんの姿をしている。

「じゃあそろそろ作業を始めますね~」
「せっ、せめて治療って言ってください!!」

かがみばりのツッコミを放つみゆきの視界に、直径5センチはあろうかというどでかいドリル‥‥もとい、チョココロネが入ってきた。

「ちょ、えぇええ!!?そんなドリルで‥‥」
「ふっふっふ、行きますよみゆきさん‥‥ういいぃいいぃいぃいいぃん」
「きゃああぁ、あふっ、い!!!いひゃっ!いひゃいでふううぅっ!!!やめへぇっ!!!」

チョココロネを歯に当てられてまるで腕一本切り落とされるかのような苦悶の表情を浮かべるみゆきだが、どうみてもそこはパン生地である。もっちりとツヤのあるチョココロネのパン生地そのものである。

「ほらほぉら、うぃいいいぃいいぃいん!!!」
「ひゃああぁっ、やめ、やめへふらはいっ!!おねがいひまふっ!!!いひゃいでふいひゃいでふっ!!!あ、あはっ、あふううぅうううぅっ!!!!!」

かくっ。

「あ。」

みゆき以外の皆が一斉に呟く。

「もしかして‥‥イっちゃった?」
「白目向いてる~。お姉さんビックリだ☆」
「嘘でしょ、まさかそこまで‥‥」
「ゆ、ゆきちゃん‥‥」

みwiki、己の芸を疲労する間もなく戦線離脱。
幻覚とはいえ、みゆきはあまりの痛みに耐え切れず意識を手放してしまったようだ。豊富な知識も厳しい現実の前では無力に等しかった。

「こなちゃん、ひどぃ‥‥」
「何やアイツ鬼かいな‥‥」
「外道」
「鬼畜」
「トラウマクラッシャー」
「父さんはお前をそんな風に育てた覚えはないぞ!!」
「うるさいなぁみんなっ!!ホラ次いくよ、つかさっ!」

様々な批判を受け尻込みしつつも、バトンをつかさへと渡す。

「えっ、えぇええーっ?!私ぃ?」
「そぉだよつかさ!とゆーよりこの状況を収める位のほのぼのギャグを繰り出してくれるのはつかさくらいしか居ないと思う。。。」
「そ、そんな‥‥私無理だよぉ!!」
「いいからいいから~」
「うぅ~っ‥‥」

しぶしぶながらもチョココロネを受け取るつかさ。
数秒ほど、うんうん唸りながらチョココロネと名のついた物体を眺めた後、何か閃いたのかこなたのところへと駆け寄っていった。
そしてチョココロネの太い部分をこなたへと向ける。

「ぇ、何、つかさ‥‥」
「こなちゃんっ‥‥お誕生日、おめでとうっ!!」

それは祝いの言葉。こなたに向けられたチョココロネは、さしずめお祝いの時に皆で鳴らすクラッカーである。

チョココロネの胴体部分をぎゅっ、と握り締める。圧縮されて行き場をなくしたチョコは、当然太い方から勢い良く射出されて。
ビターチョコゼロ距離射撃が何の問題もなく完了された。

「うえああぁあぁっ!!??」
「ひゃあっ??!だ、大丈夫こなちゃんっ!!?」

しかし元々ボケボケのつかさにお酒が入ったこともあり、ネタに必死で後々の処理のことまで考えていなかったようで。

「アンタね‥‥しかも人の家で、こなたの顔だったからよかったものの、これがカーペットの上とかに飛び散ってたらどうするのよ」
「えへへへへ、ごめんね、お姉ちゃん」
「えっと、謝るんならあたしに謝ってほしいんですけど‥‥ってか2人共さり気に酷。。。」
「アンタがさっきみゆきにしたことに比べたら全然マシでしょ」


チョコレートをなめたり拭いたりしつつ、すっかり酔いが冷めてしまったこなたが恨みがましい目でつかさを見つめる。

「さてと、次は私の番ね」

そういって立ち上がったのは、柊家三女、つかさの姉であるかがみ。
ゴッドハンドを喰らって干からびたチョココロネもすぐに代役が立てられ、なんと両手に1つずつのチョココロネが握られている。
それを頭に持っていって、

「ツインドリルっ!!!」




一瞬である。

空気を読むとか読まないとかの話ではない。もう一瞬の出来事である。
絶対零度の静けさが泉家を包み、時間の流れをも完全に停止させてしまったが如く。

動けないし話せない。言葉にならないというか、お金で買えないものはプライスレスというか。

「‥‥さむっ」
「今のはアウトだな」
「やっぱ誰にでも欠点はあるっちゅうか、テストで満点笑いで25点ちゅうやつやな」
「かがみん、どんまい」
「あはは、バルサミコ酢ぅ~」
「う る さ い!!!ホラ次!!次は誰っ!??!」

普通ならこの山に積もった雪がまだ解けてないような空気で挙手しようと思う人間は中々居ないところだが、やはりここは年の功と言うか、このムードを断ち切るべく彼女らよりも10年先輩であり、教師でもある人間の手が上げられた。


「しゃーないなぁー、んじゃここは1つ先生が芸、ちゅうヤツの手本を見せたろやないかー!」
「おぉ、先生の芸か~!!」
「わーい、頑張って先生~!」
「出ました先生のハードゲイっ!!」
「やかましわ泉っ!!そんじゃやったるで~?」

握られたチョココロネは1つ。
だがそれを気にすることなく、セリフを呟き始めた。

「3分経った。さぁ、キミ達の答えを聞かせてもらおう」

言い終わると、それを自分の頭上へとかかげた。先生は掲げられたチョココロネを見つめたまま‥‥かと思うと、そのチョココロネを先刻のつかさのように握り締めて。
当然チョココロネの中のチョコレートは自分の顔の上に‥‥

「目が!目がああぁーーー!!!!」

「「「「………」」」」


人の歴史、それは栄華と衰退の繰り返しである。
人生にとっても同じことで、良いことばかりが続くわけでもなく、だからといって悪いことばかりが続くわけでもない。
昔の人は言った。「堕ちる時はどこまでも」と。

「‥‥なんや、えらい反応薄いなー」

凍りついた空気の中、そう呟いて周囲を見渡そうとした時である。

「うわっ??!いっ、いたたたたた!!!ちょっ、ホンマにチョコが目に入ってもーた!!!おぉお、おい泉!!ちょっとティッシュかなんか取ってくれへんか?!いたたたたたたた!!!」


誰しもが動けないまま、かがみはふと思った。
「あぁ、さっき私がやったことって、こういうことだったんだ」と。



「さぁ、では最後はおとーさんにびしっとシメて貰いましょうっ!!」
「よぉおし、まかせとけぃこなたっ!!」

紆余曲折あった一発芸大会もいよいよ大詰め。こなたの父、そうじろうの出番は来た。
実はその間もずっとちょびちょび酒を呑み続けていたせいか、かなり酔いが回っている。これが吉と出るか凶と出るか。

「・・・あれ、そー言えばゆい姉さんは?」
「ホラ、そこ」

かがみの指差す方には、机に突っ伏したままくぅくぅと静かな寝息を立てるゆいの姿があった。

「ゆい姉さん、何と言うか、さすがだね」

散々種をまいた挙句、自分はのんきに寝てしまうというゆいをあらわしたこなたの心の一句である。

「っしゃあ、じゃあいくぞー!!泉そうじろう流・奥義!!」

カッ!と目を見開くそうじろう。
かつて無い真剣な表情をする彼に、酔いの回った頭でありつつも雰囲気に呑まれてく一同。

そしてそれは、放たれた。
2つのチョココロネを、股下に持っていって、

「ユニゾンち○こキャノn」
「バルスーーーーーーーーッ!!!!」

瞬間、めきゃ、という耐え難い音と共に、こなたの道場直伝の飛び蹴りがそうじろうの横顔にクリティカルヒットした。
それも一瞬で、次にはもうガラスの破裂音やら金属の鈍い音やらでただの雑音の一つへと消えていく。
何やら叫びながら父をフルボッコにした後、返り血を浴びたせいか血みどろになったこなたが言うには、

「・・・ゆい姉さん、けーさつ呼んで。何かもうあたし色々嫌んなったから」


さて、このまま警察に行ったとして、一体何人の条例違反者が出るでしょーか。
皆で考えよう☆
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