ID:EO5Q > xA0氏:らき☆すたミステリー劇場 こなたと電池

ここは日本の何処かにあるという、とある商店街。
泉こなたは悩んでいた。昨日ネトゲをしすぎて、眠気のあまり頭がフラフラだった。
このままじゃ、今日の体育も危ういかもしれない。

ふと、こなたは謎の看板を見つけた。薄汚れて、一部の文字は隠れてしまっているが、
「店商」と書いてある辺り、何かの店なのだろう。
軒先には「貴方の欲しいもの売ります」と書かれた看板が立っていた。

「あら、いらっしゃいませ」
奥から店の主らしきものの声が聞こえてきた。姿は見えない。
こなたは寝ぼけ眼を擦り、しばし間を置いてから、店の主の声に答える。
「あの、『貴方の欲しいもの売ります』って看板を見てきたんですけど…」
「ええ、貴方の望むものなら、なんでもお売りしますよ」
「じゃあ…」
と、こなたはあるものを注文する。
「眠気がスパーンとぶっ飛ぶものないですか?昨日夜更かししすぎて眠くて眠くて…でも今日の体育、フラフラの状態のままで出て怪我したくなくって…」
「うーん、それでしたらオススメの一品がございますよ」
「ホントに?」
こなたがウキウキしながら待っていると、店主の手が暗闇の中から伸びてきて、こなたにあるものを手渡した。
その物体は、こなたの予想の斜め上どころか、もはや裏側といってもいい位置にあったものだった。

「…電池?」
「ええ、電池ですよ」
「電池で眠気が吹っ飛ぶ、と?」
「ええ、コレで眠気が吹き飛びます」
こなたは思った。何かの冗談かな?きっと何かのインチキに違いない。
だいたい、電池で眠気が吹っ飛ぶなんて夢のような話があるわけがない。
しかし、そんなこなたをよそに店主はさらに続ける。

「この電池を貴方のお腹に入れるのです。そうすれば眠気が吹き飛ぶどころか、常人の3倍のパワーを出せるようになりますよ」
「お腹に…って、どうやって?」
「では、お腹を出してください」
まさか。自分の身体に電池が入るわけないと、こなたはそう思いながらセーラー服の裾を捲り上げる。
すると中から、血色のよいお腹が姿を現した。店主はそのみぞおちの辺りに電池を押し付ける。
「え、ちょ…待っ!?」
押される間隔にただどうしようもなく慌てふためくこなた。店主は電池をもった手にさらに力を入れる。
そんな馬鹿な。そんなに押しても無駄ではないのか、こなたがそう思っていた次の瞬間だった。

「……え?」
お腹の辺りから金属音がしたかと思うと、なんとこなたのお腹には電池が治まっているではないか。

「まさか…これ、どうなって…眠気が…全然…!?」
「これで、今日の体育の授業も大丈夫だと思いますよ」
「ほ、本当だったんですか…」
「ではこの電池を1パック差し上げましょう。代金は1260円です」
こなたはすっかりウキウキした気分になって、電池の代金を支払った。
だが、この電池が、こなたの人生を大きく狂わせることになろうとは…。

「よっ!」
「すごいよこなちゃん、100mを5秒で走りきっちゃうなんて」
「いやぁ、なんか調子いいんだよね。昨日夜更かししてたんだけど」
こなたはすっかり得意げな顔をしていた。
なぜなら、電池のおかげですっかり元気になってしまったのだから。
「一体何があったの?」
「秘密秘密☆」

それからというもの、こなたは事あるごとにあの電池を使うようになった。
授業の時も、コミケに行くときも、ネトゲをする時も。
もはやこなたにとって、この電池は一つの相棒になりつつあったのである。

それから時は過ぎ去り、秋も深まる頃、全クラス対抗のマラソン大会の季節がやって来た。
「いよいよこの季節か…体力勝負だからなぁ…今日から電池2本入れていくか…」
こなたはお腹に電池を2本入れると、意気揚揚と学校へ向かい走り出すのであった。
箱に書いてある説明書きを読まずに。

…そこにはこう書いてあった。
「電池の持続時間は1本24時間」であること、そして…
「1度に2本以上使用しないでください」ということであった。

「おーっす、こなた…あれ?今日お弁当どうしたのよ!?」
「うん…ちょっとね……何を見ても、食べる気が起きないんだ…」
「こなちゃん最近ヘンだよ?急に元気が出たかと思ったら食欲なくなっちゃうんだもの」
「ええ……確かに心配ですね」
「あんた、一体どうしちゃったのよ?」
柊かがみと柊つかさは知らなかった。こなたの身体には確実に異変が起こり始めていたことを。
そして…そんな3人をよそに、高翌良みゆきはただこなたの身体を見つめていたのだった。

こなたは悩みながら家路に就いていた。
…どうしてなんだろう?あの電池を2本入れたとたんに、急に食欲なくなったよ…しかも身体の動きも硬くなってきてるし…一体何が……?
…そうだ、あの店に行けばわかるかもしれない…。そう思ってこなたはあの商店街に足を向けたが…。

そこに、その店はなかった。一体、何がなんだかわからなかった。
いつの間に潰れてしまったんだろう?不思議に思いながらこなたはしぶしぶ家に帰るのであった。
…その数十分後だった。こなたが例の注意書きに気付いたのは。
気付いた頃には時すでに遅し、こなたの身体は家に帰り着く頃にはすっかり別のものに変化していたのである。
「…そんな……」
その肌は人間とは思えぬほどにつやを持ち、よく見ると肘や膝に人形のようなつなぎ目が見られる。
そのつなぎ目はだんだんとハッキリしていき、こなたの首から下はすっかり人形のそれと化していた。

「…あの電池は…一体……?私の身体を、知らないうちに作り変えていた…?」
こなたは急に眠気と強い不安感に襲われる。電池が切れ掛かっていたのだ。
「あ…あ……電池……!電池が欲しい…電池が……電池……っ!」
電池を求めて自分の部屋に移動する間にも、こなたの身体は変化を続けていく。
関節部分からはモーターの音が聞こえ始め、瞳の奥ではなにやらLEDの光が見え始める。
ようやく自分の部屋に辿り着いたこなたが、電池の箱に手をかけた直後であった。
『ピピーッ!電池切れです。電池を交換してください』
と、一声発したっきり、こなたはすっかり動かなくなってしまった。

―あれ…身体が……動かない……
―ア、アハ…そっか…
―私、ロボットになっちゃうんだ……

翌朝。
「…という夢を見たのだよ、みゆきさん」
「……」
「みゆきさん?」
「可哀相な泉さん…箱の注意書きを読まなかったのですね?」
「え?何言って――」

みゆきがこなたのセーラー服の裾を捲り上げると、そこには新しい電池が2本、収まっていた。
「ウソ…だ…」
「…ウソではありませんよ?貴方は注意書きを読まずに電池を2本入れてしまいました。その結果がコレという訳です…貴方は、ロボットになってしまったんですよ」
「ウソ…だ、ウソだっ、ウソだぁ!!…だいたい何であの電池のことをみゆきさんが…?」
「…フフフッ☆」
「ま…まさか……あの店の店主は……!!」

次の瞬間、みゆきは親指を立てて自分のほうに向け、キメポーズを取って叫んだ。
「このみゆき様さ!!」
「な、なんだって――――!!」
「さて泉さん、ロボットになってしまった貴方には、『持ち主』が必要ですね…」
そう言ってみゆきが指を鳴らすと、教室のドアが開いた…

「こぉぉぉなぁぁぁたぁぁぁぁああああっ!!!!」
次の瞬間やってきたのは柊かがみであった。
目をらんらんと輝かせ、凄まじい量の涎を口からダラダラとこぼしていた…。
「か、かがみん…!?」
それにしてもこのかがみん、かなりの変態である。
「みゆき…これ本当に持っていってもイイのね?」
「ええ、ご自由にお使いください」
「ちょっ、みゆきさ…」
「さぁっ、今日からあんたは私のオモチャよ!レッツラGO☆」
「アッー!!!!」
……こうしてこなたは柊家にドナドナされていったのでありました。
おしまい。

「…きれいにまとめてないで誰か助け…」
「スイッチOFF!」
「て…(プヒューン)」
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。