第十一回コンクール作品レビュー

「……遅い」


「え? 埒があかないから始める?
 でもさすがに一人は……今回はゲストもいないし」


「はぁ……」



 *



やまと「……永森やまとです。今回は事情があって私一人でレビューするんだけど……こうと違って気の利いたことは言えないから期待はしないで」


◆No.01:「高良みゆきの自伝」

やまと「三作続いた叙述トリックだけど、今回もというわけにはいかなかったみたいね。
    この作品は高良先輩が講演会で話した内容っていう設定。堅い印象があるし、実際に終始難しい話が続くから少し読みづらいかもしれない。
    だけど最後の結論もそれまでの話があってこその説得力。だから食わず嫌いをしないでじっくり読んでみるべき作品だと思う。

    ……いきなりこういうクオリティの作品が出てくるあたりさすが高良先輩ね」


◆No.02:「私が文系を選んだ理由」

やまと「そういえば高良先輩は医大に進学したけど陵桜では文系だったのよね。
    友情を優先したら目標が遠のいてしまうのにこの人はその二つを難なく両立してしまった。
    努力すれば何だってできるっていうのはその通りだと思うけど、やっぱり高良先輩はすごい人だと思うわ。
    それに高良先輩のお父さんも。自分の娘への信頼と自信があるからこそこのアドバイスができるのね」


◆No.03:「Desire」

やまと「最近、このスレでは泉先輩と高良先輩の絡みが流行ってるわね。この作品はそのブームに乗った話になっているわ。
    前から言われてることだけど、この二人の話は読んでいてほっとできるのよね。
    ……もっとも、こういう話に食いつくのはこうの方で、私にはよくわからないんだけど。

    ただ、敬語で書かれてるせいか、なんだか狂気が潜んでいるような気がして不安になるわね……」


◆No.04:「ダメな子ってなんですか?」

やまと「なんていうか……かわいい演技よね。確かにこれは誰が見ても心配してしまうわ。
    こういうちょっとだけズレた勘違いも高良先輩の魅力のひとつね。
    メイン四人の中で高良先輩は少し距離があるとか言われてるけどそんなことは全然ないぞ、っていう主張が見えてくる。
    この作品の作者さんは高良先輩というキャラクターを細かいところまでしっかり把握できてると感じたわ」


◆No.05:「それぞれの優しさ」

やまと「高良先輩の悩みは誰もが少なからず考えることよね。
    こうしてきっぱりと答えてる泉先輩だってきっと悩んだことがあったはず。こういう結論に至れるのは実はすごいことなのかもしれない。
    私もこうとこんな話をする時が来るのかしらね……。

    そうそう、ラストの泉先輩とかがみ先輩のやり取りは個人的にすごく評価したい部分ね」


◆No.06:「少年Aの青春」

やまと「たまに恋愛物を読みたいっていう気分になるんだけど、いつもそこにタイミング良くこんな話が投下されるのよね。
    らき☆すたには男性が少ないし、そういう漫画でもないってわかってはいるんだけど、ね。
    六巻ではあんな形で卒業を迎えてしまったA君だけど、いつかこの話のように想いを伝えるチャンスが来るといいわね。

    ……こういう感想を言う時はこうがいなくてよかったって思えるわ。茶化されないし」


◆No.07:「B of M」

やまと「Birthday of Miyuki。私はしばらく意味に気付けなかったわ……。
    この作品は最初から最後までツッコミ所が散りばめられていてまったく退屈せずに読むことができたわね。
    こういうセンスはなかなか真似できるものじゃない。武器にしていけると思うわ。

    そういえば後半、泉先輩への三人称が変わってたのが少し気になったんだけど……」


◆No.08:「白の世界の向こうに」

やまと「これは他の作品とはかなり毛色が違ってるわね。
    誕生日ネタっていう点ではNo.07と同じなんだけど、こっちは世にも奇妙な物語っぽい雰囲気。
    三人称が変だと疑問に感じてたのが終盤でなるほどと思える理由付けがされてたり、読み物として普通に面白かったわ。

    ところで、劇中の大雪はやっぱり『深雪』とかけてるのかしらね?」


◆No.09:「青鈍空」

やまと「No.6がA君側の物語ならこれは高良先輩側の物語。作者さんもNo.6と対になるように意識したって言ってたし。
    こういう想いに手遅れになってから気付くことほど切ないものはないわ。
    だけどNo.6で語られた通り、同窓会っていう機会もある。きっと心配要らないわよね。

    それにしても二人とも詩人ね……」


◆No.10:「人生相談」

やまと「今回はないと思っていたトリック的要素がここにあったわね。世代がひとつ後だってことにしばらく気付けなかった。
    No.2でも感じたけど、頼りになる親がいるっていうのはすごく大切で誇れることね。
    もちろん友達もそう。両方に恵まれてるから高良先輩はあんな人格者になれたんだと思う。
    この話自体は短いけど、今回の作品群の半数が取り上げてた『友情』っていうテーマを総括する締めくくりになっているわ」



やまと「以上十作品、前回と比べて作品数は少ないけどクオリティは相変わらず高水準を保っているわ。
    お題が高良先輩だとなかなか書くのが難しいっていう声もあったことだし、次回にも期待が持てるわね。

    それじゃあ、ばい……じゃない、えっと……また次回のコンクールで」


 ガタン


やまと「……ふー」

こう「いっやあゴメン! お待たせ! 待った?」

やまと「っ、こう……なんで遅れたの。もう全部終わっちゃったわよ」
こう「うそ!? ホントにごめん!」
やまと「なんで遅れたのかって聞いてるんだけど」
こう「いや、それがさ。今日もゲーセンでチビ助に挑戦してきたんだけど相変わらず勝てなくて思わず連コ……」
やまと「ほぉ……」
こう「あー……やっぱ怒られる? ってそのグーは何!? やまとの左手が真っ赤に燃える!? ちょっ、やめ」


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