ID:fnPvA85K0氏:タイトル不明

見慣れた自分の部屋
ついさっきまでずっと楽しい仲間と楽しい学園生活を送る夢を見ていた気がする
夢の中の自分は、こうありたい私の理想の自分だった・・・楽しかった
現実の私の部屋には、アニメのポスターや、フィギュアは一切ない
友達だと思って家に招待した
柊姉妹に全て壊されてしまった…それ以降私は
オタク系のものを飾るのをやめた…
こなた「これから学校か…」
正直いきたくなかった…いじめられるのはいつものことだが
今まで見ていた夢のせいで、現実がさらに酷く思えたのだ。


私は授業が始まるギリギリに学校につくように家を出た
先生がいれば、酷い中傷は回避できるからだ
学校につけば、なるべく目立たないように席につく。
先生がクラスにくるまで、そこはとても居心地が悪い…


私はずっと寝ているふりをしていた
柊つかさと目があわないように…
目の前の現実から目をそむけるように…
教室のドアがあく、黒井先生が入ってきた
私は顔をあげ、HRの間平和をかみしめていた。
しかしHRの最後に先生が一言こういった
黒井「今日1間目自習な、各自プリント学習や」

自習…それは昼休みより最悪の時間…
今日は最悪な日になりそうだった


自習の間、ずっと誰かにいじめられないか
酷いことをされないか…とても不安だ
不安を抱えたまま1間目が始まる

私は目立たないように本を読むことにした
新しく買ったライトノベルだ…
カバーをしっかりかけ、誰にも見られないように…ひっそりと読んでいた。
1間目も半分が終わり、もういじめられることもないかなと思っていた矢先
柊つかさが話し掛けてきた
もの凄い笑顔で…
つかさ「こなちゃん…なに読んでるの?わたしにもみせて~☆」

最悪な展開だった


こなた「え、いやえっと」
私は焦った、どうすればこの本を見られるのを回避できるんだろう…
つかさ「いいから見せてよ」
こなた「でも…」
つかさ「はやくしろ」
あまりの迫力に私は本を渡してしまった…
そして柊つかさはわざとみんなに聞こえるような声で
つかさ「なにこの気持ち悪いほん、ねーみてみてーこんな本読んでるよ泉の奴」
生徒A「キャーきも~い」
生徒B「まじきもい…なんなのあのチビ」




こなた「や、やめてよ…」
つかさ「あ?きもいんだよ、オタク」


こなた「早く返してよー」
つかさ「え?返して欲しいの?別にいいけどね」
グシャ!ビリビリ
つかさ「はい…返したよ、問題ないよね?」
つかさから返ってきた本は滅茶苦茶にやぶれていた。
そして満足したかのような顔で他の友達の元に戻っていった
こなた「…グス」
私は半泣き状態だった…
そこに一人の男が話し掛けてきた
白石「お前大丈夫か…あんまりああいうの気にするよ、っていっても無理だろうけど」
こなた「ありがと…」

ちょっと嬉しかった


今日は珍しくつかさの1間目の私へのいじめが問題になった
2間目の時間、黒井先生の授業だったのだが
その時間HRをやることになった
教卓の前に学級委員のみゆきさんが立ちこういった
みゆき「こなたさんが気持ち悪いからっていじめるのはよくないと思いますよ?」


黒井「そういうこというなや、高良」
みゆき「あ、す、すいません。私正直なもので」
黒井「まぁ気持ち悪いのは認めるけどなぁ」

こなた「…」
先生まで…もう無理、泣きそう

白石「先生、高良、あんたたち頭おかしいんじゃないか?
それじゃ先生までいじめに加わってるようなもんじゃないですか!!!
みんなもなにもしてない人に危害を加えて楽しいのか?
高良も学級委員ならもっとしっかりやれよ!!お前ら最低だぜ」

先生「チッ、これで今日この時間のHRはおしまいや、授業面倒になったし…
この時間も自習や!!うちはちょっと職員室いくけど
く!れ!ぐ!れ!も、うちがいないからって泉と白石をいじめたりしちゃいかんぞ?いいな?」


先生が出て行った後は最悪だった。
結局クラスの人間は二つに分かれた。
私たちをイジメるか…無視するか…。
つかさ「白石~アンタ調子乗りすぎなんだよ」
生徒A「ゴミ虫同士お似合いのカップルなんじゃない!?」

あはははははははははは

女子数人の異常な笑い声が響く。

もう…死にたい…


みゆき「みなさんっ!!」

突然傍観していた委員長が声を上げた。

みゆき「今は自習の時間ですよ。騒がしいと他のクラスの迷惑になります」

静まり返る一同
庇って…くれたのだろうか?

つかさ「ゆきちゃん…」
みゆき「ですので」

そこで委員長はつかさの方を向き

みゆき「やるなら静かにね?」

いやらしい笑みを浮かべ、そう言った。


私の周りを取り囲んだ女子が次々に私の持ち物を床にぶちまけていく。
教科書、ノート、筆箱、体操着、チョココロネ…
もう抵抗する気も失せた。
壊されたものは買いなおせばいい。
そう自分に言い聞かせ、耐える。
ひたすら、耐える…

ガシャンッ!!

大きな音が聞こえ顔を上げると、白石が殴られていた。
男子A「調子乗ってんじゃねぇよ!!キメェんだよっ!!」
白石も最初は抵抗してたのだろう。
しかし数人がかりでは立ち向かいようが無い。
白石の友達もみんな見てみぬフリだ。

アンタら、…友達だったんじゃないの?
私には友達がいないからいい。
でもアンタら白石といつも話してたじゃん…。


こなた「やめ…て」
つかさ「はぁ?」
私の持ち物に落書きしてたつかさが怪訝な顔をして私を見る。
そして私の視線の先に目をやるとニヤニヤ笑い出す。
つかさ「アンタマジで白石のこと好きだったんだぁ。」

つかさを無視して私は白石を殴っている男子の間に割って入った。

こなた「おねがい、もうやめてよぉ…」

男子A「邪魔だよチビ。殴られたいのかぁ?」
白石「…いずみ」
白石は殴られて苦しそうにうずくまっていた。
私は視線を合わせないで、それでも懇願する。

男子B「あ、じゃぁさ、こういうのはどう?」

そいつは無邪気な顔で最悪な提案をした。

男子B「泉がヤらせてくれたら、殴るのやめるよ」


自分は一体どんな顔をしてたんだろう。
驚愕の顔だったか、羞恥の顔だったか、それとも…恐怖の顔だったのだろうか。

男子C「お前ロリコンだったのかよwww」
男子B「バッカwwwちげーよ」
つかさ「いい提案じゃないwww好きな人を守れるんだから安いもんでしょwww」

笑ってるのは数名、でも誰も逆らえない。

なんで?私の体ってそんなに魅力あったっけ?
今時の小学生だってもっと発達してるのに?
男の手が私を掴もうと伸びる。

こなた「ヒッ…!」


恐怖で目を瞑る。

伸ばされた手は私を捉えない。
目を開けると手を伸ばした男が私の背後を見ていた。




瞬間、私の肩越しに箒の柄が男の頭に振り落とされた。


私の目の前で男が短いうめき声を上げて倒れる。

男子A[白石ぃ…!!」

背後で白石が立ち上がり箒で殴ったらしい。
私はもう怖くて泣き出した。

白石「お前らホントにゲスだな…」

白石がつかさを睨み付ける。つかさは気まずそうに目をそらす。

反撃はそこまでで、白石は男三人がかりで床に取り押さえられた。
先ほど白石に殴られた男も立ち上がり四人がかりでリンチが始まった…。
殴る、殴る、殴る。
蹴る、蹴る、蹴る。
誰も助けない、助けない、助けてくれない…。

誰かが助けないと。


泣くのを止めて、立ち上がる。
殴っている男の腕にしがみつき、叫んだ。
こなた「やめてよっ!!やめてよっ!」
男子A「あんっ!?」
こなた「やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて
     やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて
     やめてやめてやめてやめてやめっ──」


 

男子A「うるせぇんだよっ!!!!」



          バキ



顔を殴られた。
吹っ飛んだ。
私の体って軽いからね…
そんなどうでもいい考えが浮かぶ。

ズサッ

無様に転がった私を、クラスの全員がみつめる。
─クラスは静けさを取り戻した。

白石「…だい…ぶ……い…み!?」

白石が叫びながら駆け寄ってくる。よく聞こえない。

殴られたのはほくろの上らしい。左目が…よく見えない。

つかさと男子グループが何か言い争っている。私には関係ない。



もう──どうでもいい。


最後に、白石の顔が目に入った。

すごく悲しそうな顔だっ





…目が覚めると見慣れぬ白い天井が目に入る。

質素な部屋のベッドの上に寝ていた。
たぶん病院だろう。

一瞬夢かと思った。
だけど右頬に走る痛みが現実だと教えてくれる。

視界が狭いと思ったら、左目にガーゼが当ててある。
大げさな、と思ったが、記憶の最後で、左目がよく見えなかったことを思い出した。

なんだ、私、生きてるんだ。




死んでいればかったのに




虚勢や見栄からでなく、心からそう思った。
いや──願った。


三日間ほど、退屈な時間が流れた。
その間にお父さんやゆーちゃんが見舞いにきた。
ゆーちゃんはいい子だ。
私を心配していてくれたらしい。
泣きながら私に抱きついてきた。
お父さんはなるべく平静にしようとしていたらしいけど、
やっぱり泣きながら私に抱きついてきた。


私は「ごめんなさい」とだけ言っておいた。


四日目にいろいろ検査をした。
視力の検査もした。
相変わらずよく見えない。
検査のあと、お父さんにいろいろ話を聞いた。
私を殴った生徒とその母親が謝罪に来たこと。
そしてなんとか示談にして欲しいということ。
学校側がこのことは内密にして欲しいと言ってきたこと。
お父さんはそのどちらも断ったらしい。
後からゆーちゃんに聞いたが、その時のお父さんは本当に恐かったらしい。
…私でさえ、本当に怒ったお父さんというものを見たことが無い。


五日目
退屈な生活が続く。
私は窓の外を眺めている。
その時、控えめなノックの音がして
ゆたか「お姉ちゃん、白石さんって人が来たんだけど…」
と言ってゆーちゃんが顔を出した。

私は「…入ってもらって」と言った。
三人で対峙しているとゆーちゃんが所在なさげにそわそわしていた。
ゆーちゃんに少し席を外してもらうように言い、
白石と対面した。


「…元気か?」
そう言った白石の顔には、アザがいくつか残っていた。
「まぁまぁだよ」
適当な相槌をする。
「…そうか」
短くそう答えた白石の顔は寂しそうだった。

学校はどうか?と尋ねた。
「お前を殴ったやつが無期停学になった」
そう、とだけ答えておいた。
私の学校で無期停学というのは、退学と同意義だ。
一応有名な進学校だから体裁を保ちたいのだろう。

クラスはどうか?と尋ねた。
「変わらない。腹立つけどな。」
そう、とだけ答えておいた。
白石は変わらないと言ったが、それは嘘だろう。
あの時誰も助けてくれなかった友人を白石は信じれるのだろうか。
今までとかわらず、友達としてつきあえるのだろうか。
そう思うと、少し私も罪悪感がある。


その後は適当な会話をした。
もうお互い話したいことなどなかったのだろう。

空が夕焼けで赤く染まり始めた頃、
「もう帰るわ」
白石は短くそう言い残し、帰っていった。

ゆーちゃんが「あの人彼氏?」と少し照れながら聞いてきた。
私は笑いながら「違うよ」と答えた。
だけど、わかる。
白石と私は、たぶん殴られたあの日に、同じタイプの人間になったんだろう。

何も考えず、何も思わない人間に。


十日間も入院してしまった。
お父さんはもう少し入院していようと言ったが、
これ以上入院しても変わりは無い。

結局私の左目は失明した。
医者がいろいろ理由を説明してくれたが、どうでもいい。
鏡で自分の左目を右目で見る。
白濁のドロリとした目をしている…。


退院した夜
部屋で次の日のために学校の準備をしていた。

学校からは長期欠席の許可を得ている。
だけど何もする気になれないので学校に行くことにした。
たぶんは私はもう大好きだったゲームでも感動することはないんだろう。

思えば短い10日間だった。
前の私なら学校に行きたくないと思っていたはずだ。
だけどこの10日間で私の世界観はすべて変わった。左目を代償に。
明日からまた新しい気分だろう。




サぁ、明日に備エて



今日は早メにネヨウ





泉こなたは目を覚ました

見慣れた自分の部屋

十日前の自分は、じぶんで変わろうとせず周囲の変化に期待する自分だった・・・辛かった
今の私には、もう何も無い。
心を壊されてしまった…それ以降私は
考えることをやめた…
こなた「これから学校か…」
何も思わなかった…またいじめられるかもしれないが
心を壊してくれた彼らのおかげで、苦痛は無くなった。。


私は授業に間に合うように家を出た。
お父さんは何か言いたそうに私を見つめる。
そんな視線を振り切って
「いってきます」
そう、言っておいた。


学校に着くと下駄箱で委員長に会った。
みゆき「あっ…」
委員長は私の顔を見ると気まずそうな顔をした。
そして笑顔で。
みゆき「おはようございます。お元気そうですね。大丈夫でしたか?」
そんな フザケタ ことを言ってきた。
「左目を失明しました。」
そう言ってほとんど見えなくなった左目で委員長を見つめる。
みゆき「ひっ」
委員長が短い悲鳴をあげた。
少しだけ気分がスッとした。


上履きに履き替えクラスへ向かう。
他のクラスの人間が私を見てヒソヒソ話をする。
鬱陶しい。
自分のクラスに着き教室のドアを開ける。
クラスの談笑が
ピタリと
止んだ。


皆の好奇の視線を受け自分の席に向かう。

…席の上には花瓶に飾られた白い花が置かれていた。
   
   クスクス… クスクス… 

クラスの隅から不快な笑い声が聞こえてくる。

つかさ「なんだぁ、生きてたんだぁ、死んでいればよかったのにねぇ~」
周りにいた女子がまたしても笑う。

私はこの花瓶をどうしようかと考えた末、つかさの机の上に置いた。


つかさ「ちょっとアンタ何してんのよっ!アンタのために用意してやったんだから」
こなた「……」
見えない左目でつかさを見る。
つかさは少し怯んだが、私の目を見て陰湿な笑みを浮かべた。
つかさ「アンタ左目失明したらしいね。ねぇ左目が見えないってどんなカンジ?」
こなた「………」
つかさ「何とか言えよっ!!」
つかさは私の髪をつかんで引っ張りあげた。
少し、痛い。
そのまま頭を机にぶつけられる。
痛い。

やはり、周りは、誰も、助けて、くれない。

つかさ「左目だけってのもバランス悪いからさぁ~、右目も見えなくしてあげようか?」

ドンっ

そんな音がした直後、私を押さえつけていたつかさの手が、ふっ、と離れた。
見るとつかさが床に転がっている。

つかさ「いったぁ~…」

その前に白石が立っていた。

つかさ「白石ってめぇ
白石「泉」
つかさの発言を遮って、白石がこっちを向く。
「はい」といわれて渡されたのは───カッターナイフだった


私が手にしたカッターナイフをみて、つかさが引きつった笑みを浮かべた。
つかさ「冗談…だよね?」
そう言って立ち上がろうとするが、うまく立ち上がれないらしい。

チキチキチキチキ

カッターの刃を出しながら、私はつかさに跨った。

つかさ「やめてぇ、お願い止めてぇ!!」
みっともなく腕を振り回しながら叫ぶ。
つかさ「ちょっと誰か、助けなさいよっ!!」
しかしだれも助けない。近づきさえしない。
私だって刃物をもったキチ○イには近づきたくない。
少しは私の気持ちが コノオンナ は理解できたのだろうか。
周りに人がいるのに誰も助けてくれない、その気持ちが。
つかさは相変わらずわけのわからないことを叫んでる。
ここまで怖がらせれば十分か…
そう思い立ち上がろうとしたとき


つかさ「かわいい冗談じゃない、そんなに本気で怒んなくていいじゃんっ!!」


あ、

駄目だよ、つかさ。

それを言ったら。


何も考えないよう、何も思わないように生きていこうとしていたのに。
なんで コノオンナ は私の神経を逆撫でするのかな。

私は再び足に力をいれ オンナ を押さえつける。
ぐぅっ、と オンナ の口からうめき声が漏れる。
そういえば コノオンナ はさっき言ってたじゃないか

『ねぇ左目が見えないってどんなカンジ?』

きっと左目が見えなくならないと、私の気持ちは理解できないのだろう。

きっと左目が見えなくなれば、私の気持ちが理解できるだろう。

いいアイデアじゃないか。
自然と顔がほころぶ。
そんな私の顔を見て、オンナは恐怖で失禁した。
私のスカートを、オンナの排泄物が濡らす。


私は、カッターの刃を、オンナの、左目に、近づけて───


白石「泉」

短く白石が私の名前を呼んだ。

私はハッとして動きを止めた。
つかさを見ると無様な泣き顔をしていた。
もう、十分だ。
これで私に関わってくることも無いだろう。
最後に駄目押しをしておこう

   「今度私に話しかけたら殺すよ?」

ヒッ
短い悲鳴を上げ何度も頷いた。どうやら理解してくれたらしい。
私は立ち上がり白石にカッターを返す。

白石は私を見つめ、私も白石を見つめる。
──空虚な目をしている
きっと白石も同じことを思っただろう。

最後に、
私は振り返りまだ恐がっているつかさに言った。


「かわいい冗談じゃない、そんなに本気で恐がんなくていいじゃん」





エピローグ

最初は恐がっていたクラスメイトたちも
一ヶ月もすればまた元に戻っていった。
つかさはあれから私にちょっかいだしてくることはなくなった。
クラスメイトも誰も私に話しかけない。
ようやく望んでいた静かな生活が送れる。
たまに白石と会話をする。
どうでもいい、中身の無い会話、
だけど彼と話してるときだけ、少しホッとする。



退屈な授業中。
昔見た夢を思い出す。
楽しい仲間と楽しい学園生活を送る夢。
夢の中での私はオタクだけれど、多くの友人に囲まれていた。
どちらが本当の私なのだろうか。
もしかして今が夢なのではないだろうか。
──ならこれは悪夢だね。
そんなくだらないことを考える。

窓の外を見る。
私は見えなくなった左目で空を見上げた。
腹立たしいほど青く澄み渡った空を見ると。
少しだけ、寂しい気持ちがした。




  【了】
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