萌え☆死にストーリー:最終萌―中編―

―ここまでのあらすじ―

 萌え死に……それは、特定の人種が何かしら行動を起こす際、そのあまりの可愛さに失神して死亡してしまう恐ろしい奇病である。
 しかし、萌え死にした人間は数時間後には何事も無かったかのように蘇り、自分が死んだことにも気付かない。気付くことが出来るのは萌え死にの存在を知る者だけである。
 今現在、萌え死にの存在を理解している者は……つかさ・みゆき・みなみの三人である。その中のみなみは、萌え死にを利用して何かを企んでいる様子。そしてそれを止めるべく、つかさとみゆきは行動を起こそうとしていた。

 

 萌え☆死にストーリー
   最終萌・中編

 

―異世界・萌え死に帝王の間―

かなた「いけないわ、このままあの娘を放っておいたら……」

 大きな鏡からつかさ達の世界を見ている女性が一人。
 彼女は萌え死にの帝王カナタン。つかさの夢に介入し、萌え死にの存在を教えた人物だ。
 名前表記三文字規制なので細かい事は気にしちゃいけない。

???「あら? 帝王ともあろうお方が何を慌てているのかしら?」

 どこからともなく声が聞こえ、やがて鏡に映っていた映像が消え、自分とよく似た人物がそこに映し出されて来た。

かなた「やはり、出て来てしまうのですね……」
???「まだ完全ではないけれどね」
かなた「萌え死にヘルカイザー……」
カナタ「ふふ、もうすぐよ……もうすぐ私は復活するわ」

 ヘルカイザーと呼ばれた女性は、何か悪戯を思い付いた子供の様に、ニシシと笑う。

かなた「復活なんてさせません。そのためにあの娘に、つかさちゃんに託したのですから」
カナタ「あのおっとりした子? 残念だけど、みなみちゃんの敵じゃないわね」

かなた「つかさちゃんを甘く見てはいけませんよ。あーゆー子はやるときはやるんですから」
カナタ「そうかも知れないわね」

かなた「それに、みなみちゃんがあなたの復活を望んでいるとは思いません。あなたの存在はあちら側には知られていないのですから」
カナタ「確かに、あの娘がどんな理由で萌え死にカウントをしているかは分かりません。でも、そんなのは私には関係ないの」

カナタ「カウントが最大になったとき、あの娘の意識を乗っ取ることで私は復活する事が出来るのよ」
かなた「酷いわ……あの娘を利用しているのね」

 酷い、という言葉を聞いて、ヘルカイザーは少しムスッとする。

カナタ「酷い? 私をこんな鏡に封印したあなたが言う台詞かしら?」
かなた「それは……確かに悪いと思っているわ。だけど……」

カナタ「もういい、それ以上は言わないで。私も封印されて当たり前の事をしてきた訳だから」
かなた「……」

カナタ「とにかく、私は自力でここから出るの。自力で出られれば誰も文句は言わない……そういう決まりだった筈よ」
かなた「……そうね。でもね、ヘルカイザー」
カナタ「?」

かなた「封印されているのに、どうやってみなみちゃんの意識を乗っ取るつもりなのかしら?」
カナタ「…………あ><」

かなた「なんていうか……やっぱりあなたは私の分身ね……」
カナタ「うぅ、それって自虐してるわよ……。もぅ! いつか自力で出てやりますからね!」

 そういって、ヘルカイザーは鏡の奥に消えていく。

カナタ(なんちゃって。私が何もしていないと思っているのかしら? 既に策は打ってあるわ……私はあなたとは違うのよ帝王カナタン! せいぜい安心してなさい)

かなた(さてと、念のためもう一度つかさちゃんに会っておきましょうか……)


―つかさ達の世界・1年生組―

みなみ「え!?」
先生Ω「ん? どうした岩崎?」
みなみ「いえ、なんでもないです……」
先生Ω「ですよね」

みなみ(萌え率が上昇している……一体誰が……?)


―3年B組―

こなた「ねぇ、この絆創膏、剥がしても良いかな?」
つかさ「え、一応貼ったままにしておいた方が……こなちゃん下に何も着てないわけだし」
こなた「うーん、なんか変な違和感があって嫌なんだけどなぁ~」

 そう言って、胸をペタペタ触るこなた。それを見てしまった教室の一部の人は昇天してしまう。

つかさ(もし絆創膏を剥がしてお水を被った所をお姉ちゃんが見たら間違いなく死んじゃうし……それだけは阻止しないと!)

こなた「それにしても保健の先生、何で急に倒れちゃったんだろうね」
つかさ「え、それは……何でだろうね~?(こなちゃんが原因だよ)」
みゆき「疲労ではないでしょうか? 先生というお仕事は見た目と違って疲れるものと聞きますよ」

 みゆきがすかさず適当な解説をする。

こなた「なるほどねー」
つかさ(ゆきちゃんグッジョブだよー)

こなた「まぁ、そんなことより一番驚いたのは……」
つかさ「ふぇ?」

 こなたがつかさのスカートをめくる。

こなた「つかさが旧スク水を持っていたことかなー?」
つかさ「ひゃぅ! も~、こなちゃん!」
こなた「良いではないか良いではないか♪ この触り心地……Fantastic!」
つかさ「ダメだよぉ……そんな風に触られたら私……」
みゆき「ストップです、お二人とも」

 何か危険を感じたみゆきは二人の中に割って入る。

つかさ「ありがとう、ゆきちゃん。あのままだったら教室中に恥を撒き散らすとこだったよー」
みゆき(とゆーか、何人か卒倒しているんですが……つかささん、少しは自覚して下さい)
こなた「みゆきさんも実は触りたかったり――」

ななこ「こらー、お前らちゃんと自習せんかー!」

 ななこが教室に入って来て、それまでざわめいていたクラスが少し静かになった。

こなた「黒井先生ー、保健の先生は大丈夫なんですかー?」
ななこ「まぁ、な……意識が無かったんやけど暫くしたら目が覚めてな。すっかり元気になったわ。念のため今は横になってるけど……何が原因なんやろーなぁ?」

つかさ(こなちゃんです)
みゆき(泉さんです)

キーンコーンカーンコーン

ななこ「なんやもう終わりの時間やったんかい。まぁ、えぇわ……身体測定は明日に変更になったさかい忘れんよーに。特に……」

 ななこはつかさとこなたを見る。

ななこ「柊と泉はちゃんとしたもん準備してくるよーに」
つかさ「はぅっ><」
こなた「むぅ……」

 クスクスという女子の笑い声が二人の顔をより一層赤くした。


―休み時間―

かがみ「こなたとつかさ、ちょっと良い?」
つかさ「あ……お姉ちゃん」
こなた「ん、教科書貸してほしいのかな?」
かがみ「誰がっ」

 二人はかがみの待つ廊下へ行く。つかさは少し元気がなさ気だ。

つかさ「お姉ちゃん……さっきは、その……」
かがみ「その事なんだけど、私もちょっと言いすぎたわ……ごめん」

つかさ「え? ううん、こっちこそごめんね」
こなた「めんご☆」

 かがみが謝ると緊張の糸が切れたようにつかさも謝る。こなたも適当に謝る。

かがみ「あんたは……」
こなた「だってこれぐらいで私達の友情は崩れないっしょ?」
かがみ「……ふふ、そうね」

つかさ「こなちゃんもたまには良いこと言うなー」
こなた「む、たまにはってなにさー」

 こなたがつかさの肩をポカポカと叩く。良い感じの空気に戻って来ていた。

つかさ「ごめんごめん、口に出しちゃった」
こなた「つかさのくせにぃ……あっ、そだ」

 こなたは何かを思いだしたのか、頭にピコーンと電球が出てくる。

こなた「ねぇ、かがみー、見てみてー♪」

 なんとこなたはセーラー服をめくってかがみに例のアレを見せ付けた。

こなた「エロくない?」
かがみ「!?!?!?!?!?」
つかさ(えぇっ!? こんなところで何考えてるの!? 保健室の先生だって一発だったのに、こんなのお姉ちゃんが見たら……どどどどどうしよう!)

 かがみは既に目を回してクラクラ状態だ。

つかさ「わわわー! お姉ちゃんのベッドがゴキブリだらけだーっ!!」
こなた「はぇ?」

 それを聞いたかがみは暫く黙り込んだ後、ガクブルと震える。

かがみ「つ、つかさぁ~変なこと言わないでよ~ぅ……」
つかさ「だって……(なんとか萌え死には回避できたよー)」
こなた「ゴキブリにgkbrしてるかがみ萌え」

かがみ「あんたは怖くないのか?」
こなた「だって想像じゃん」
かがみ「くっ」

つかさ「あ、そろそろ授業始まるよ?」
かがみ「おっと、じゃ、また後でね」
こなた「ほーぃ、因みにつかさも絆創膏貼ってるんだよ♪」
つかさ「ひゃぅ! それは言わなくて良いのにぃ~」

 そう言い残して二人は教室に戻る。

かがみ「……なんだろう、つかさが萌えの塊に見えてしまう……って、何を口走ってるんだ私は!」

 かがみも慌てて教室に戻る。


―3年B組―

みゆき「つかささん、少し宜しいでしょうか?」

 みゆきは真剣な顔だ。

つかさ「何? もう授業始まっちゃ……あ(もしかして萌え死にの……!?)」
みゆき「その……私も触っても良いでしょうか? つかささんのスク水」

 みゆきは真剣な顔だ。

つかさ(なにぃー? 本気で言ってるのかなぁ……)
みゆき「えらくマジです。その……泉さんがとても気持ち良さそうに触っているものですから……お願いします」
つかさ「どんだけー……」

 つかさは暫く迷った後、ゆきちゃんにはお世話になってるし、まぁいっかと納得した。

つかさ「変な所は触らないでよ?」

 そう言って、つかさはセーラー服を捲くり上げる。

みゆき「では失礼します。あ、気持ちいい」

こなた「いやぁ、眼福眼福♪」

 そしてこなたは、ニヤニヤしながらそれを見ていた。

女子A「柊さん、私も触って良いかしら?」
女子B「あ、私も」
女子C「ウチもー!」
「「「「「僕も、俺も、某も、我も、あたしも、あたいも!!!」」」」」

つかさ「ふぇぇぇっ!?」

こなた「…………合掌」

 授業が始まる数秒前に起きた悲劇(笑)であった。撫でたり、触ったり、引っ張ったりとやりたい放題だ。

「「「「「きんもちいぃぃぃっ!」」」」」

 キーンコーンカーンコーン……。

ななこ「はい、席つけー……って、なんやお前ら、肌テカテカやないか、って柊どないした!? 真っ白やないか!」
つかさ「もうお嫁さんにいけないよぅ……」

ななこ「……お前ら柊に何かしたんか?」
「「「「「別に何も!!!!!!」」」」」

ななこ「……まぁええわ、授業始めるんで号令」
女子A「きりーつ」

みゆき(つかささん、すみません……原因は私ですよね)


―――

ななこ「UC.195年、世界は闇に包まれた。この時活躍したのが――」
つかさ(うぅ、みんなに触られて身体が熱いよー。それに少し眠いし……)

つかさ「…………」ウトウト
ななこ「五機の……ん? 柊ぃー、まだ授業は始まったばかりやでー」
つかさ「でもそんなの関係ねぇ」
ななこ「あ?」

つかさ「先生、保健室行っても良いですか?」
ななこ「ほーぅ、寝るためにウチの授業サボるっちゅーんか……えぇ度胸やなぁ」

つかさ「じゃあ失礼します……」テクテク
ななこ「な、待たんかい! 誰が行って――」
みゆき「黒井先生、つかささんは(ry」

 責任を感じたみゆきはななこに納得のいく説明を発動した。

ななこ「そうなんか、なら仕方ないわな……」

こなた(みゆきさん? 今なんて?)


―保健室―

つかさ「失礼しまーす」
ふゆき「あら? どうしましたか?」
つかさ「ちょっと眠くて……じゃなかった、具合が悪くて」

ふゆき「そうですか。一応、熱を測っておきましょう」
つかさ(良かった、言い直したこと気付かれてないや)


ふゆき「熱は無いみたいですね。安心しました。でも油断は出来ませんので、空いてるベッドで横になっていて下さい」
つかさ「ありがとうございます……あの」

ふゆき「はい?」
つかさ「先生は大丈夫なんですか?」

 何が大丈夫かは言うまでもない。何を隠そう、先程倒れた保健室の先生とは、このふゆきであるからだ。

ふゆき「はい、大丈夫ですよ。保健室の先生がいつまでも倒れてる訳にもいきませんし」
つかさ「そうですかー」

 それだけ聞くと、つかさはベッドに向かった。

つかさ(どー見てもあの先生、萌えとは無縁に見えるのに……とてつもなく可愛い行動したんだろうね、こなちゃん)

 カーテンを開け、ベッドに座る。

つかさ(ちょっと見てみたかったかも……なんて♪)

 そしてカーテンを閉める。

つかさ(それにしても暑いなぁ。制服のまま寝るとシワになっちゃうし……誰にも見られてないし、大丈夫だよね)

 そう言って、つかさは制服を脱ぎ、スク水姿になった。因みに靴下は穿いたままだ。

つかさ(ちょっとは涼しくなったかな。ホントはこの水着も脱ぎたいけど……流石に危ないよね……汗でベタベタだけど……)

 つかさは脱いだ制服を畳んでから休もうとした。だがしかし。

つかさ「およ?」

 急に強力な眠気がやってきたのだ。

つかさ(なんじゃこりゃあ…………)

 つかさは倒れるようにベッドにダイブし、すぐに寝息を起て始めた。


―夢の世界―

つかさ(何で急にあんな眠気が……って)
つかさ「あれー? 私、意識があるよ? それにここって……」

 つかさが辺りを見渡していると、目の前に優しい光が現れた。そしてそこから……

かなた「こんにちは。つかさちゃん」

 優しい笑顔をした女性が現れた。

つかさ「あ、確か帝王かなたさん」
かなた「カナタンです。まぁそれは措いときましょう」

つかさ「もしかしてかな……タンさんが私を眠らせたんですか?」
かなた「そうですよ。……あら、もしかして授業中だったかしら?」
つかさ「いえ、授業中ではないですけど、その……」
かなた「?」

つかさ(これは今後の為にも言っておいた方が良いよね。うん)

つかさ「き、急にあんな眠気が来たら危ないですよ。どこにいるかも分からないのに」

 つかさの意見は最もだ。道路とか廊下とかでいきなり寝てしまったら、最悪死に至る事も有り得る。それに気付いたカナタンは顔を青ざめる。

かなた「ごめんなさい。私ったら何も考えないで……自分の用件を優先するなんて最低よね、私」
つかさ(えー、そんなに落ち込まないでよー)

 そんなカナタンを見て、つかさは狼狽する。

つかさ「次から気をつけてくれれば良いですからっ、今回はたまたまベッドに居たし」
かなた「……ありがとう。次からはちゃんとします」
つかさ「いえ、分かってくれればそれで……」

かなた「では本題に入りますね。今回もあまり時間が取れないの」
つかさ「え? はい」


かなた「みなみちゃんの事はもう知ってるかしら?」
つかさ(この人の口からみなみちゃんか……やっぱりゆきちゃんの予想通りって事だよね)

つかさ「何かを企んでいるとか、まだ情報が少ないですけど……」
かなた「そう、彼女が何かをしようとしているのは事実よ。だから私は彼女を野望を止めてもらうべく、あなたに情報を与えに来たの」

 カナタンは真剣な顔付きに変わる。それを見たつかさも、少し緊張して来た。

つかさ「情報……」
かなた「まず、みなみちゃんが萌え死んでる人をカウントしてる方法ですが……」
つかさ(方法? 普通に数えてるんじゃないのかな?)

かなた「あれは萌え死にスカウターと呼ばれる玩具(おもちゃ)を使っていると思うの」
つかさ「へ? 玩具?」

 玩具という超現実的な言葉にポカンとしてしまうつかさ。

かなた「そうです。私が居る世界で作られた非常に高度な玩具です。どういう経緯でみなみちゃんが手に入れたかは分からないけど」
つかさ「……その玩具って、萌え死んだ人を数える以外には何かあったりするんですか?」

かなた「時間がないから今回も簡単に説明しますね」

 カナタンはどこか疲れている様子だ。恐らく夢に介入するのは体力を消耗するのだろう。

かなた「1.スカウターのメモリが最大まで溜まると、“萌え萌え魂”が手に入る。
    2.萌え萌え魂を使うと、自分に好きな萌え要素が加えられる。
    3.それ以外に萌え萌え魂には、死んでしまった者を蘇らす、或は封印されている何かを復活させる力がある。」

かなた「こんなところね……うっ」
つかさ「わ、大丈夫ですか!?」

 倒れそうになるカナタンをつかさは間一髪で受け止める。

かなた「ありがとう。だいたいは理解してくれたかしら?」
つかさ「はい。それで萌え萌え魂の効力で、封印されている何かって何ですか?」

 カナタンはつかさに手を借りて、その場に座り込む。

かなた「私の世界はね、私ともう一人の女性で世界をまとめていたの」

 つかさもその場に座り込む。正座で。

かなた「ところがもう一人の女性が萌え死にを悪用して――う」
つかさ「大丈夫ですか!」

かなた「ごめんなさい。もう……限界……。とにかく、みなみちゃんを……」
つかさ「あ!」

 カナタンは光になり消えてしまった。決して死んだわけではない。

つかさ「もう一人の女性……萌え死にを悪用して?」
つかさ(つまりその人が封印されているってことだよね。みなみちゃんはどう考えても萌え要素云々なんて興味なさそうだし……みなみちゃんの目的は本当に封印を解くことなの?)

 段々とつかさの周りにも光の靄が出てくる。目が覚める前兆だ。

つかさ(でも、みなみちゃんがそんな悪いことをするとは思えないし……。もしかして操られてるんじゃあ!)

 つかさの視界が真っ白に染まった。カナタンの介入が終わる。

つかさ(とにかく、みなみちゃんを止めよう!)


―再び保健室―

つかさ「それで全て解決……って、え……な、きゃあぁぁっ」

 その悲鳴を聞き、ピシャっとカーテンを開けるふゆき。

ふゆき「起きてしまいましたか」
つかさ「せ、先生~。何で私……」

 つかさは小動物の様に縮こまって、ぶるぶると震えている。顔はもうトマトだ。
 今のつかさの状況……身につけているものはリボン、靴下、それと隠すために包まっている毛布だけである。
 因みに絆創膏も取られている。

ふゆき「汗が凄かったから身体を拭いてあげたの。寝ているうちに終わらせたかったのですけど」
つかさ「はぅぅ……」

 いくら相手が女性とは言え、恥ずかしいものは恥ずかしい。つかさは毛布を頭まで被って隠れてしまう。まるでお化け。

ふゆき「それに熱も凄いですよ。水着は洗って乾燥機に入れておきましたから――」
つかさ(あれ? そういえばちょっと熱っぽい……)

 ピー、ピーと音がなる。乾燥が終わったようだ。

ふゆき「乾いたみたいですね。まったく、どうしてちゃんとした下着を着てこなかったんですか? 理由によっては怒りますよ」
つかさ「え、と……」

 つかさは毛布から顔半分だけ出している。
 そして「あの、その、う~ん」等と呟いて、答えようとしない。

ふゆき「言いたくないなら別に構いません。明日からはちゃんとしたものを着てくるんですよ?」
つかさ「はい。ごめんなさい」

 ふゆきは乾燥機からスク水を取りだし、持ってきてつかさに渡す。
 つかさはそれを片手で毛布を抑えながら、もう片方の手で受け取った。

ふゆき「着替えたら今日は早退した方が良いですね」
つかさ「そーたい……」


 ―とにかく、みなみちゃんを……―


つかさ「っ!」

 つかさの脳裏に先程のカナタンの台詞が蘇る。

つかさ「早退は……出来ません」
ふゆき「え?」
つかさ「しなくちゃいけないことがあるんです」キリッ

ふゆき「でも熱がありますよ? 保険医として、そーゆー生徒を見過ごすわけには……」

 つかさは真剣な眼差しでふゆきを見つめる。
 毛布から顔しか出してないそれは、どこか笑える。

ふゆき「困りましたね。それは今日しないといけないのですか?」
つかさ「今日やらないと間に合わないんです」

 つかさの真剣な物言いに、ふゆきは遂に折れた。

ふゆき「分かりました。でも無茶はしないと約束してください」
つかさ「はい、約束します」

 ふゆきはその場で「ふぅ」と息を吐く。

ふゆき「若いって良いですね」
つかさ「えへへ……あの、着替えるので向こう行っててもらって良いですか?」

 向こうというのはカーテンの向こうだ。
 今更ながら説明すると、保健室のベッドはカーテンで隠れるようになっているのだ。

ふゆき「おかしいですね。急に足が動かなくなりました」
つかさ「へ?」

ふゆき「薬の用意をしなくてはいけないのに……柊さん、申し訳ありませんが、早く着替えてくれませんか?」
つかさ(なにそれー?)

 つかさは仕方なく後ろを向き、毛布の中でもぞもぞと着替えるのだった。

つかさ(これもみなみちゃんや萌え死にに関係があるのかな……)

ふゆき「ところで、凄くきつい水着でしたが……わざとですか?」
つかさ「はぅっ」

 図星を突かれ茹でタコになる。しかし、どこか違和感がある台詞だった。

つかさ「(きつい水着でしたが?)何できついって分かったんですか?」
ふゆき「! それは保健室の先生ですから……」

 ふゆきも赤くなる。目も泳いでいる。

つかさ(説明になってなーい)

 なんとか着替え終わったつかさは毛布を取っ払い、制服も着てしまう。

つかさ(恥ずかしかったよ~)

 その後つかさは、ふゆきに軽目の風邪薬と冷えピタをもらい、無理はしないよう注意を受け、保健室を後にしたのだった。


―3年B組。三時限目―

つかさ(もうすぐお昼かぁ、お昼休み中に終わるかなぁ……)

 カラカラと教室のドアを開ける。

先生ω「お、柊帰って来たか。具合は?」
こなた(眠くて寝てただけなのにね)
つかさ「少し熱がありますけど大丈夫です」
こなた(あれー?)

 つかさは自分の席に向かう。するとみゆきが小さな声で呼び止める。

みゆき「熱があるのでしたら早退した方がよろしいのでは? 後の事は私に任せて――」
つかさ「ゆきちゃんだけに任せる訳にはいかないよ」
みゆき「つかささん……」
つかさ「それに夢で頼まれたからね」
みゆき「……そうですか、無理はしないでくださいね」
つかさ「うん。それさっき先生にも言われちゃった」

つかさ「ゆきちゃん、お昼休みに……全部終わらそう」
みゆき「……そうですね」

 そして授業は終わり、物語りは昼休みへ……。

 

 


 

萌え死にの帝王カナタン



自然系。存在そのものが萌えてしまう。
何もしなくても萌えるが、何かすると余計に萌える。
こなたとゆたかもこのタイプ。

 

萌え死にヘルカイザー



直接系。見た目重視、セクシーさで攻める。
ツリ目、ツインテール、ロングヘアー、絶対領域、幼さ、この容姿でかなたとほぼ同じ性格というギャップ。
萌えの塊ですね。
萌えを勘違いしたみなみに近いタイプ。

ツールボックス

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