天原ふゆきの土曜日は、桜庭ひかるの部屋を訪れることから始まる。
ピンポーン。
インターホンを鳴らすが反応なし。
いつものことだ。
合鍵で錠を開けて、部屋に入る。
ひかるはベッドにだらしない格好で寝ていた。
「ひかるさん。朝ですよ。起きてください」
ひかるの体をゆする。
「う~ん……休みなんだから、朝ぐらい寝かせてくれ」
「駄目です。不規則な生活は健康に悪いですよ」
トースターでパンを焼き、丁寧にバターやジャムを塗っているうちに、ひかるが着替えと歯磨きを終えて食卓についた。
二人で朝食。
それが終わると、ひかるはごろごろと寝転がってBL本を読み、ふゆきは掃除機で部屋を掃除する。
ひかるが寝転がっている部分以外は綺麗になり、ふゆきもソファに腰をかけホラー本を読む。
ひかるがトイレに行った隙に、ひかるが寝転がっていた部分にも掃除機をかけておいた。
お昼。
昼食は、ミートソーススパゲティ。
よくありがちなことだが、食べてる途中でミートソースが飛んで、ひかるの服についた。
「洗いますまから、脱いでください」
「これぐらいは大丈夫だろ?」
「駄目です。その手のシミは時間がたつと落ちにくくなります」
ふゆきは、ひかるの服を脱がせて、洗濯機に入れた。
乾燥まで全自動でやってくれる洗濯機には、一週間分の洗濯物が放り込まれたままになっていた。いくら全自動洗濯機とはいえ、スイッチを入れることまで全自動でやってくれるわけではない。
ふゆきは、洗剤をきちんと計量して入れ、ふたを閉め、スイッチをオンにした。
午後。
ふゆきがもってきたDVDを、二人で鑑賞する。
内容は、「本物」のグリム童話のアニメだ。
かなりグロい内容のため、描写は省略させていただく。
DVDが終わったあたりで、洗濯物の乾燥が終わっていた。
ふゆきは、洗濯機から洗濯物を取り出し、丁寧にアイロンをかける。
その間、ひかるはまたBL本を読んでいた。
夕食。
「今週も鍋ですか?」
「うむ。これが一番楽だからな。今日はゴマだれだ」
ふゆきは、ゴマだれの容器を手に取り、消費期限を確認した。
案の定、一年前だった。
「消費期限が一年前ですよ」
「まだ開けてないんだし、大丈夫だろ?」
「駄目です。買ってきますね」
ふゆきは、近くのコンビニまで行き、ゴマだれを買ってきた。
二人で夕食をとる。
「ひかるさん。お肉ばかりでは、栄養が偏ります」
ふゆきが鍋から野菜を取り出し、ひかるの小皿に積み上げていく。
夕食が終わると、ふゆきは食器洗いに取り掛かる。
洗い終えた食器を食器乾燥機に入れれば、一日の終わりももう近い。
「夜更かししないで早く寝てくださいね」
「うむ」
「では、また明日」
そういってふゆきが帰っていったあと、ひかるはBL本を読みながら夜更かししていた。
なお、念のため申し添えるが、天原ふゆきは桜庭ひかるの親友である。
断じて、通い妻などではない。
終わり
最終更新:2008年10月02日 20:14