ID:aevuFI20氏:サイバー☆ゆーちゃん~アメ雨フカシギ~

その日は、どこか天気が荒れていました。
大粒の雨が横殴りに降っており、街行く人々も傘をさすのがやっとのようです。
私が、いつものようにアルバイトを終えて、帰ろうとした時のことでした。

―ピシャーン!!
「あアァaぁアAあぁあ……!!」
…いきなり雷が私の頭上に落ちてきたんです。幸い、電磁遮断シールドをつけていたので記憶は無事だったんですが……。
雷に打たれたショックで地面に倒れた私が、頭を擦りながら起き上がったときのことです。

(いたたた…そういえば今日は雷だった…)
と、呟いたつもりでしたが…その直後、私は自分の身体に起きている異変に気がつきました。
(あ、あれ?…あー、あー…)
と、声を出そうとしてみますが、声が出ません…。口は動いているのに、声は全然出せなくなってて…。
まさか、雷のショックで…声を出す部分が壊れちゃった…!?

「ゆたか!?一体どうしたの!?」
…緊急アラームでゆいお姉ちゃんを呼んだ私は、どうにかしてこの異変を伝えようとしました。
身振り手振りを上手く使って、ありったけの手段で…。
お姉ちゃん、気付いてくれるかなぁ…。

「あっ、そうか!」
あっ…気付いてくれた…? よかっ…
「ゆたか、朝から何も食べてないんだね!?ダメだよ、いくらサイボーグだからって、朝ごはんはしっかり食べなきゃ!」
―ズコッ
ち、違うのに……。全然、気付いてもらえませんでした…。
あぁ…声さえ出せればなぁ…。
…声……?そういえば、声は言葉を伝える手段…。声…言葉……そうか!

「…え?違うの?」
私はゆいお姉ちゃんのスカートの裾を軽く引っ張って、再びジェスチャーをはじめました。
「えーっと?」
―サッ サッ
「…紙と……ペンが欲しい…?」
(こくこく)
「ははぁ…わかった。それで一発ネタでも…」
(ぶんぶんぶんっ)
「え?お笑いをやる訳じゃない…って?」
(かきかき)
「何書いてんだろ…」

(お姉ちゃん!声が出なくなっちゃった…)
「……ええぇぇぇぇぇっ!?そりゃ大変だ!どうしてそんな大事なことを最初に言わないの!」
……お姉ちゃんのせいなんだけど……。
とにかく、私は必至で説明するため、お姉ちゃんが渡してくれたメモ帳に次々と言葉を書いていきました。
(さっき雷に打たれて、そのショックで声が出なくなっちゃったみたい)
「ほうほう…あれ?雷って高いところに落ちるんじゃなかったっけ?」
(……お姉ちゃん、それ大嘘です…!)

…ところ変わって泉家。
「ふぅん、なるほど…それでゆーちゃんは声が出なくなっちゃったと」
「そういうわけなんだよ~。こなた、どうしよう?」
「まぁ、そうなるだろうね…私もあんまりメカの類の直し方は知らないし、こういうときは天原先生に頼むしかなさそうだね」
(こくこく)
「…でもさ……言葉を喋れなくって、メモ帳で会話するゆーちゃんもそれはそれで可愛いよね」
「…うーん、わからないでもないけど……でもそれとこれとは話が別じゃ……」
「萌えるから少しそのまま…」
(…うるうる)
私は目を潤ませてこなたお姉ちゃんに訴えかけます。
効果はバツグン、流石のこなたお姉ちゃんもタジタジです。涙の効果ってすごいね☆
「…わ、悪かったよ、わかったから泣かないでよ…」
(…にぱー☆)

…数分後。
「…ダメだ、天原先生に電話してみたけど、今医療会議に出席してるらしくってさ…暫く帰ってこれないみたい」
ええっ!?そ、そんな…。
それじゃあ…それじゃあ私、このままずうっと喋れないままなの!?
うう…イヤだよう、そんなのイヤだよう~…。
(ゆいお姉ちゃん…私どうすればいいの?)
「あ、あー…だから、いや、そのぉ…」
…私が泣きそうになったそのときでした。

「…あっ、そだ」
「…こなた?」
「……みゆきさんだ!みゆきさんならわかるかも知れない!!」
「そうか!さっすがこなた!」
…そ、そういえばそうでした。
こなたお姉ちゃんのお友達のみゆきさんなら…機械にも詳しいから、きっと頼りになるかも…。

…さらに数十分後、みゆきさんがやってきました。
「どうしました!?泉さん!?」
「いいから早く!ゆーちゃんが困ってるんだよぉ!」
「ふぇ!?い、泉さん!?」
……こなたお姉ちゃんが慌ててみゆきさんを部屋に引っ張り込んできました。
みゆきさんはなにやら工具箱を持っているみたいです。
「…いったい、小早川さんに何があったのですか?」
「実はね…かくかくしかじか…というわけなんだ」
「…なるほど、それで小早川さんは声が出なくなってしまったのですね?」
「という訳なんだけど…直せるかな?」
「その点なら心配ありません。なにしろ小早川さんの身体を構成する電子部品は高良電工製の規格品がほとんどですから」

…えええぇぇっ!?そ、そうだったの!?
…なんでみゆきさんが私のオプションを作れるのか、不思議に思っていたんだけど…。
そういうことだったんですね…自分でもビックリです。

…とか驚いているうちに、修理が始まりました。
今回壊れていたのは、ノドの奥にある「発声デバイス」という装置なんだそうです。
雷の電流で、ここに繋がる配線が焼ききれたのが原因みたい。
こなたお姉ちゃんもゆいお姉ちゃんも、心配そうに修理が終わるのを見つめていました…。
900 :サイバー☆ゆーちゃん~アメ雨フカシギ~ [saga]:2008/09/18(木) 00:35:49.36 ID:aevuFI20
「…ふぅ、終わりました。小早川さん、早速ですが声を出してみてください」
…私は言われるがままそっと息を吸い込み、声を出してみました。

「…あ、あー、あー……あ…れ?」
「ゆーちゃん…声が…」
「も、戻った……」
「え…?」
…ほ、ほんとだ…声が…元通りに戻ってる…。
「…みゆきさん…声が…声が戻りました!ありがとうございます!」
「お礼には及びませんよ、小早川さんに喜んでもらえて何よりです」
「いやぁ、やっぱりみゆきさんは天才だネ」
「いよっ!技術士官ー!」
「…そ、それほどでも…」
その日、部屋にはこなたお姉ちゃん、ゆいお姉ちゃん、みゆきさん…そして、私の笑い声が響きあっていました。
窓の外を見ると、すっかり雨は上がってて…そこには大きな虹がかかっていました。

そんな出来事があってからというもの、私は雷の日は十分注意するようにしていたんですが…。
―ピシャーン!!
「…いたた…なんか前にも同じような経験をしたような気が…って、あれ?」
…辺りを見回すと、周りは真っ暗。誰もいないし、建物もありません…。
それどころか…何も見えなくなってて………。
「うわ~ん!目が見えなくなっちゃったよぅ!ゆいお姉ちゃん、こなたお姉ちゃ~ん!!」

<おしまい?>

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