第3話:みゆきさんのヘンなお願い

「あーむっ」
お昼休み。いつもクラスで一緒のつかさ、それにみゆきさんも一緒。
そして隣のクラスからかがみがやってきて、この4人。
私はいつものように大好きなチョココロネを頬張る。
相変わらず私は先の細い方から啄んでは…チョコをでろんと垂らす。

「あんた、相変わらずまたやってんのか」
かがみがツッコミを入れる。私ってそんなにコロネの食べ方変かな…?
でもこの垂れるチョコも最近はひとつの楽しみになりつつあるから、やってるんだけどね。
「いやぁ、チョココロネはハマると抜け出せないから奥が深いんだよね~」
「どうでもいいけど、毎日毎日パンばっかりで大丈夫なの?あんたの栄養が心配になるわよ」
「いやぁ…弁当を持って来たいのは山々なんだが、時間がなくてさ~」
「毎晩ネトゲばっかりやってるからでしょ?」
う!な、なんという…まぁ確かにそうだから…反論は出来ないけど、さ。

「…と。そろそろ私たちもお弁当食べましょ」
「うんっ!」
「ええ」
「おぉ、つかさとかがみんは今日は稲荷寿司か~」
「えへへ、自慢の逸品だよ~。中身は五目になってるの。酢飯に使っているのは…」
なんか、お酢好きのつかさのことだから、とんでもないものが出てくるに違いない。
何が出るんだ?お約束のバルサミコ酢?それとも……?

「じゃーん!香醋だよっ☆」
「香醋っておまっ……どうりで酢飯が黒っぽいなと思ったら!」
「まぁ、香醋は必須アミノ酸を多く含んでいて健康によいとされていますし…」
「ところでみゆきさんのお弁当は何かね?」
「はい、私のお弁当は……これです」
みゆきさんが出してきたのは…なんとっ…なんとっ!

「……うな重?」
「じゅ~?」
「ええ。本場、浜名湖の鰻と新潟・魚沼産コシヒカリを使っています。タレは高良家に代々伝わる秘伝のものを使っていますよ」
(こ…このブルジョアめっ!たかがうな重になんつうコダワリだ…!)
おー、かがみんの目が怖い。みゆきさんの弁当はいつも豪華だなぁ~。

「…ところで泉さん」
「ん?」
「今日の放課後、理科室にきていただけませんか?」
「理科室…ねぇ。別にいいけど…」

まさか、今日というこの日が私にとっての地獄になるとは想像もしていなかった……。

放課後……。
「やふー、約束どおり来たよみゆきさん~」
「ええ、お待ちしておりました。…さて」
と、みゆきさんが急に暗幕を引いて話を始める。
「泉さんが半竜人という噂は存じておりました」
「…まぁ、本人がそう言ってるから、そうだろうね」
「…先日調査に伺ったところ、やはり噂は本当だったようですね」
「え…?ちょ、調査って…」
まさか…勝手に私の家に?それじゃ…私は知らない間にみゆきさんに忍び込まれてたってこと?
「なぜ泉さんが半竜人なのか…それはあなたのお母さんがドラゴンだから。そうですよね?」
私はただ首を縦に振るしかなかった。まさか違うとはいえないもの。だって現に私はこんな身体だし。
「そこでお願いなんですが…」
「お願い?」
…次の瞬間、みゆきさんはとんでもない答えを口にした。

「泉さんの『ツノ』を、分けていただけませんか?」
「ちょ!?ツ、ツノ…!?え、えーっ!?」
「竜のツノは最高に香りのよいスパイスだそうですから、泉さんのツノを分けていただきたくて…」
「いやいやいや、ちょっと待って、なんで私のツノを…」
「簡単な答えですよ。私たちのクラスに竜人は泉さんしかいませんから。クスクス♪」
って…ああっ!?みゆきさんがピカピカのヤスリを持ってるうぅぅ!?
この光景を見た瞬間…私の脳裏に…小さい頃のトラウマが蘇ったのであった。
…それは8年前…私が小学生だった頃。
「泉ちゃーん!ボールがそっちに転がっちゃったー!」
「とってきてー!」
「うん、わかったー!」
私はボールを取りにいく。
この頃はまだ人間の姿に変身するのも完璧じゃなくって、頭の上にはいつもツノが出ていた。
転がったボールを追いかけて、何とか発見…土管の中にもぐりこんだそのときだった。
……ガリガリッ、というイヤな音とイヤな感触が頭に響いた。

「泉ちゃんありがとー、…あれ?ツノが削れてる」
「ほんとだ、削れてるー」
「え…?うわぁっ、うわぁぁぁぁぁ!」
私は恐怖のあまり青ざめて、思いっきり叫んだ。削れた部分が妙にゾクゾクして気持ち悪い。
それ以来…私はツノをちょっと擦られるだけでも敏感な体質になってしまったのだ……。

「ま、まさかみゆきさん、そ、そのヤスリで…私のツノを…ゴリゴリと…?」
「大丈夫ですよ、ほんの1分ほどで終わりますから」
「ちょっ、やめ、やめっ……」
必死に抵抗する私だったが、みゆきさんにガッシと捕まれ身動きが取れない。
逃げなきゃ…逃げなきゃ、私の…ツノが……!気持ち悪いのはもう嫌だあぁぁぁぁぁぁっ!!
そんな心の叫びも虚しく、みゆきさんは私のツノに…ヤスリを当てて…勢いよく左右に動かした。

「アッ―――――――――――――――!!!」

「…ふぅ…ありがとうございます泉さん、早速料理に使ってみますね。泉さんのツノ、どんな味がするのでしょうか…楽しみです」
そう言って、みゆきさんは立ち去った。うぅ…ひどいやみゆきさん…。
あー、頭がムズムズして気持ち悪いよー…。もうやだ…。

ちなみにこの一週間後、みゆきさんはお母さんのツノを削ろうとして氷漬けにされてしまいましたとさ。自業自得だね…やれやれ。


おまけ

かがみ「助けたいけど…なんか可愛いからこのままでもいいか…」
こなた「 黙 れ レ ズ 狐 」

 

 

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