ID:0 > 5WtIM0氏:泉こなた内閣

1.組閣名簿

国務大臣(敬称略)
 内閣総理大臣 泉こなた
 内閣官房長官 柊かがみ
 総務大臣 小早川ゆたか
 法務大臣 黒井ななこ
 外務大臣 魔天ぱとりしあ(旧名パトリシア・マーティン、帰化済み)
 財務大臣 高良みゆき
 文部科学大臣 田村ひより
 厚生労働大臣 岩崎みなみ
 農林水産大臣 柊つかさ
 経済産業大臣 日下部あやの(旧姓峰岸)
 国土交通大臣 桜庭ひかる
 環境大臣 天原ふゆき
 防衛大臣 兄沢命斗
 国家公安委員会委員長 成美ゆい
 金融担当大臣 八坂こう
 沖縄及び北方対策担当大臣 魔天ぱとりしあ(外務大臣兼務)

国務大臣以外の主な役職(敬称略)
 内閣総理大臣補佐官 日下部みさお、にゃもー
 内閣官房副長官(政務) 泉そうじろう
 内閣情報官 高良ゆかり
 内閣危機管理監 成美きよたか
 内閣官房副長官補 柊ただお、柊いのり、柊まつり
 内閣総務官 柊みき
 内閣広報官 小神あきら
 内閣広報室企画官 白石みのる
 内閣総理大臣秘書官(政務担当) 泉かなた


2.記者会見
「政府は今後、国民総オタク化、外国へのオタク文化の大放出、『貧乳はステータスだ、希少価値だ』キャンペーンの展開などを、精力的に進めていきたいと……」
 パシン。
 かがみがハリセンで、こなたの頭をたたいた。
「ぬぉ、かがみん。ひとがせっかく盛り上がっているところに何をする!」
「なに馬鹿なこといってるのよ」
 かがみが、こなたをのけて、会見席についた。
「総理大臣の今の発言はジョークですので、本気にしないように。内閣の基本的な方針は、多様な文化の発展、コンテンツ産業の振興及び海外輸出の促進、偏見・差別のない社会の確立などに必要な諸施策を推進していくことです」
「そういう言い方すると、中身が同じでももっともらしく聞こえるよね」
「余計なこというな」
 かがみは小声でこなたを制し、再び記者たちに視線を戻す。
「みなさん、何か御質問は?」
 記者の一人が手を上げた。
「どうぞ」
「総理大臣秘書官が幽霊だという噂があるのですが本当でしょうか?」
「そんなのは根も葉もない噂です」
「あと、総理大臣補佐官のにゃもー氏も人間ではないという噂が……」
「それも単なる噂です。そのような戯言に惑わされるようでは困りますね」


3.内閣官房
「柊さん。そちらの娘さんがたには巫女服で働いてもらうというのはどうですかね?」
 そうじろうの唐突な提案に、
「いや……それは、政教分離の原則からしてもまずいような気がするんですが……」
 ただおが困った顔をしていると、
「なにしてるのかしら? そう君」
 そうじろうが振り向くと、そこにはかなた(幽霊)がいた。
「あっ、かなた……いや、これはそのう……。ところで、こなたにはついてなくていいのか?」
「こなたにはかがみちゃんがついてるから大丈夫よ。で、なにをしていたの?」
「それは……ははは……」
 そうじろうは、冷や汗を流しながら固まっていた。

「これはこのあきら様が世界進出を果たすためのチャンスなのよ! というわけで、白石!」
「はい」
「あたしをプロデュースするための企画をさっさと作れ」
「いや、あきら様。広報室はですね、政府の政策を広報するためにあるわけでして……」
「そんな細かいことはどうでもいいわよ。さっさとやれ」

「そうなんですか。それは大変ですね」
「そうなの~」
 みきとゆかりはのほほんと世間話をしている。

「ねえねえ、姉さん。これなんかいい感じじゃない?」
「そうね。今度買っておこうか。機密費で」
 まつりといのりは、ファッション誌を見ながら盛り上がっている。

「補佐官ってなんか暇だよなぁ。なんかやることねぇかなぁ~」
 みさおがぼやく横で、にゃもー氏は丸まって眠っていた。

「大丈夫なんだろうか、この内閣……」
 きよたかのつぶやきは、誰にも聞かれることはなかった。

 何ともやる気のないメンバーたちの中で、官僚出身の事務方だけが黙々と仕事をしていた。


4.各大臣
 総務省大臣室。
「えい、えい」
 ゆたか大臣は、書類に一生懸命ハンコを押してた。
「やほー、ゆたか。遊び来たよ」
 いつもの調子で入ってきたのは、ゆい委員長にほかならない。
「あっ、お姉ちゃん。今日はお仕事終わったの?」
「公安委員会なんてたいして仕事ないから」
「そうなんだぁ」
 その後、姉妹の会話で盛り上がり、書類の決裁が滞って総務官僚たちは困り果てていた。

 法務省大臣室。
「なんかこう、書類の決裁っちゅうもんはめんどくさいもんやな」
 ななこがそうぼやくと、事務次官が、
「国の仕事は書類主義でございますので」
「まあ、そういうのも分かるんやけどなぁ。もう少し簡単にならへんもんかなぁ」
「では、この書類だけでも早急にお願いいたします。これの決裁が終わらないと、趣味的少数派侮辱罪を新設する刑法改正法案の今国会への提出が間に合いません」
 『趣味的少数派侮辱罪』などといういかめしい名称になっているが、世間一般では『オタク侮辱罪』と言われている(というか、こなた総理がそういっているから、世間にもそれが広まった)。

 外務省会議室……。
「オタク文化保護条約を作って世界中の国を加盟させるのデース」
 ぱとりしあ大臣が明るくそう宣言する中、会議に列席している官僚たちは、困った表情で顔を見合わせていた。

 財務省大臣室。
 みゆき大臣は、書類を見ながらため息をついていた。
「みなさん、精力的に政策を推進するのはいいのですが、予算のことは考えてくれているのでしょうか」
 事務次官が相槌を打つ。
「まったく、そのとおりです。大臣からも泉総理に言っていただけませんか」
「そうですね。今度の閣議で、私から泉さんに言っておきます。でも、その前にかがみさんに話を通しておいた方がいいでしょうね」

 文部科学省大臣室。
「ふふふ、全国各地でコミケの開催を義務付けるッス。二次創作を全部合法化するッス……」
 やばい目つきでブツブツつぶやくひより大臣を前にして、事務次官は青ざめていた。
 原稿締切前は精神に変調をきたしてやばいとは聞いていたが……。

 厚生労働省大臣室。
「豊胸手術への健康保険適用。すぐにやって」
 みなみ大臣の最初の指示は、それだった。
「それは、内閣の貧乳保護政策に反するのではありませんか?」
 事務次官がそう述べると、
「かまわない。責任は私がとる」

 農林水産省大臣室。
「これは、かくかくしかじか……」
「うーん、難しいね。もう一回説明してくれるかな?」
「ええっとですね。これは……」
 農林水産官僚たちは、つかさ大臣へのレクチャーに四苦八苦していた。

 経済産業省大臣室。
 あやの大臣は、精力的に仕事をこなしていた。
 さっさと仕事を終わらせて、愛する夫のもとに帰りたかったから。
 一通り終わったら、明日のスケジュールを確認する。
 明日は省内の検討会議がある。
 会議の議題が記された紙切れを眺める。
 『オタク産業を大いに盛り上げる計画』の文字が取消線で消されて、『コンテンツ関連産業振興計画』と書き直されていた。訂正の筆跡はかがみのものだ。
 おそらく、こなたが印刷した原稿をかがみが訂正したのだろう。
「柊ちゃんも大変よね……」

 国土交通省大臣室。
「泉からの指示だ。この計画の具体案をさっさとまとめろ」
 ひかる大臣から紙切れを一枚受け取った事務次官は、書かれている内容を一読した。
 『全国乙女ロード整備計画』の文字が取消線で消してあり、『コンテンツ関連産業集積地幹線道路整備計画』と書き直されていた。
「かしこまりました。持ち帰って検討いたします」

 事務次官が退室したあと、ひかるは積まれている書類の山に目をやった。
「さっさとすませるか」

 環境省大臣室。
 ふゆき大臣は淡々と仕事をこなしていた。
 この内閣の下では、この省の官僚たちがもっとも幸せなのかもしれない。
 内閣から無理難題を押し付けられることもなく、大臣もマシな方だから。

 防衛省会議室。
 居並ぶ防衛省幹部・自衛隊幹部たちを前に、命斗大臣は訓示を行なっていた。
「諸君! 防衛に必要なものとは何か!? それは、情熱、訓練、そして防衛費だぁー!! これらのものなくして、わが国の防衛を語ることはできない! そして……」
 訓示が延々と続く中、防衛庁幹部・自衛隊幹部たちは直立不動の態勢を維持し続けていた。早く終わらないかなぁ……などと思いつつ。

 金融担当大臣室。
「生徒会で会計やってたから金融担当大臣、っていうのもめちゃくちゃよね」
 こう大臣がそんなぼやきをもらしていると、金融庁長官がやってきた。
「お呼びでしょうか」
「総理からの指示よ」
 こうは紙切れを一枚渡した。
 長官は一読して、眉をひそめた。
 『ツンデレ融資制度』の文字が取消線で消されて、『民間金融機関におけるコンテンツ関連産業への低利融資に対する優遇策の検討』と訂正されていた。
「これは……?」
「具体案まとめて」
「……かしこまりました。持ち帰って検討させていただきます」

 

 

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最終更新:2008年07月21日 22:53
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