ID:X24ZLuY0氏:キャンプ大作戦

(視点変更が多用されています。☆=こなた視点、○=ゆたか視点)


―――プアァァァァン!
警笛とモーターの音を高らかに響かせて、一本の列車が駆け抜けていく。
白い流線型のボディには、オレンジと赤のライン。東武鉄道の誇る特急スペーシアだ。
ついこの間、代替わりが始まったばかりだというスペーシア。
そのスペーシアに乗って、私とゆい姉さん、ゆーちゃん、みなみちゃんの4人は日光へと向かっていた。

「いやぁ、たまには電車でのんびり旅をするってのもいいよね~」
「そうだね~」
と、談義を交わすのはゆい姉さんとゆーちゃん。
網棚にはかなり大きい荷物。…私もみなみちゃんも、これまた大きい荷物を持ってきていた。
実は、今回私たちがスペーシアに乗ってきている理由、それは…



『…武日光、東武日光、終点です。お忘れ物のございませんよう…』
「いやー、やっと着いたよ!」
「……あっという間でしたね」
「そりゃ速いよ、だってスペーシアだもん」
列車を降りて大きく背伸びをするゆいお姉ちゃん。
みなみちゃんは思ったよりも速い到着にちょっとビックリしているようです。
さて、後はここから中禅寺湖行きのバスに乗る…ことになってるんですけど…あれ?こなたお姉ちゃん?

「うおぉー!名車8000系ともそろそろお別れだし…今のうちに撮っておかなきゃー!!」
「こなたお姉ちゃん!電車の写真なんか撮ってる場合じゃないよぅ!バス出ちゃうよー!!」
…結局、こなたお姉ちゃんは写真を撮りまくり、私たちは時間ギリギリでバスに駆け込む羽目になってしまったのでした。

「…まったく、お姉ちゃんのせいで乗り遅れるところだったんだよ?」
「ゴメンゴメン、最近ホント鉄道にハマっちゃってさぁ」
…ハマるのは一向に構わないけど、つき合わされるこっち側の身にもなって欲しいと思いました。
「お、ゆたかー。そろそろ着くころだね」
ふと、ゆいお姉ちゃんの声に気付いて車窓を見ると、目指す目的地が見えてきました。
そう、今回の目的地はキャンプ場。湖畔の風景がいいと噂の有名な場所です。
でも、まさか今回のキャンプであんなことが起こるなんて…その時の私たちにはわかりませんでした…。


なんとかキャンプ場に着いた私たちは、早速キャンプの準備を始める。
寝泊りするバンガローの場所とか、あれこれと指示を出すゆい姉さん。
キビキビとしてて、なかなかカッコイイ。ううむ、私も負けてはいられないね、こりゃ。
持って来た食料に、スキレットもOK。寝袋も持って来た。DSも…。
…でも、一つだけ足りないことに気がついた。
キャンプに来るんなら持っておかなきゃいけない荷物だ。
「…あれ?ゆい姉さん、ガスは?」
「ガス?…持ってきてないけどどうかしたの?」
「だって、ガスがなきゃ火を起こせな…」
「……こなた、何でガスを持ってきてないかわかる?」
ゆい姉さんがニコニコしながら訊いてくる。何でガスを持ってきてないかだって?
…ガスを買うお金がないから?いやいや、まさかそんなことはありえない。
…面倒くさいから?まさか。生真面目なゆい姉さんのことだからそういう理由でガスを置いてくるなんてことはしないと思う。
じゃあ…と、考えたところで私はふと、あることを思い出した。
そうだ。昨日、ゆーちゃんがみさきちにイタズラされてカンカンに怒っていたとき…みさきちに向かって右手から火を放っていたっけな…。

ん?…今のゆーちゃんはサイボーグ…右手から火…右手…!!
「…ようやく理解した……この理由…」
「…?」
「まさしく『冷熱ハンド』だ!!」
「大正解ー!」
そう…ゆい姉さんがガスをもってこなかった理由。
それは、ゆーちゃんがサイボーグであるということ。そして、その力で火を起こすことが出来るということ。
それを考えれば、ゆい姉さんがガスを持ってこなかったのも納得かな。
と、感心している場合じゃないや。手伝い手伝いっとぉ!

「…あはは、でね…」
「……ふふっ」
「それで出てきた敵が強くってさぁ、ゴッドセイバーが大ピンチで…」
などとアニメの話で盛り上がっている一行。
ゆーちゃんの影響なのか、いや寧ろ私の影響なのか、最近みなみちゃんまでアニメにハマっているような気がする…。
いやぁ、オタクって簡単に伝染るもんなんだねー、とか感心していた私なのであった。


…すっかり日が落ちて、夕食の時間がやってきました。
今日の夕食はドライカレー。外で料理を作るって大丈夫なのかなぁ、なんて思っていたけど…。
やっぱり、こなたお姉ちゃんの料理は美味しいです。

「…美味しい~!こなたやるじゃん!」
「へへ、自信作だよー」
「…あっ…」
ふと私が食べてるドライカレーの中に、固い歯ざわりが…。
どうやら、ご飯におこげが出来ちゃったみたい…火加減間違えたかなぁ…。
心配になった私は、ゆいお姉ちゃんに相談してみることにしました。

「お姉ちゃん、ご飯におこげが…」
「あー、外で炊いたからしょうがないよ。それにこういうご飯はおこげが一番美味しいんだよ」
あ、確かに言われてみれば、そんな気もする…。
ゆいお姉ちゃんが美味しそうに食べているのを見ると、ちょっとホッとしました。
「よーし、私2杯目いっちゃうぞー」
「ちょ、ゆい姉さん食べ過ぎだって!!」
「…私は3杯目…」
「うしょーん!?」
みなみちゃん…相当お腹をすかせてきたんだね…。

夜になると星がきれいに輝いて見えます。
山の中だからか空気が澄んでて、一面にちりばめられた星空を見ていると、不思議な気分になります。
「…ふぅ」
「どったの、ゆたか?」
「あ、ゆいお姉ちゃん…」
「星空を眺めて物思いにふけるなんて乙女チックだなー、なんてね」
「あの星空に比べたら、やっぱり私たちってちっぽけなんだなぁって」
「まぁ…それだけ自然は大きいってことだよ」
「…そういうものなのかなぁ…」
「そういうものなんだよー。…それよりゆたか、そろそろキャンプファイヤー始めるよー」
「あ、うんっ!!」
…私は両腕を冷熱ハンドに切り替えてみんなが待っている焚き火台へと走っていくのでした。
みんなで過ごすキャンプ、たまにはこんな日もいいよね。さて、焚き火の準備も出来たし、そろそろ…

「それじゃぁ、火つけるよー」
「「おーっ!!!」」

キャンプファイヤーで楽しんでいると、 急に空がチカチカと眩しく輝きだした。
「…泉さん、あれ…」
みなみちゃんが不思議そうな瞳でこちらを見つめて訊いてくる。
「あぁ…あれは多分星かなんかじゃないのかな?」
「でもこなた、あれなんか変な動きしてない?」

確かにゆい姉さんの言った通りだ。星があんな風に動くはずがない。
航空機か?いやいや、だとしたらあんな飛び方はありえない。
そう思っていた次の瞬間だった。

「うわぁ!なんだこいつは!!」
「誰か!誰か!!」
周りのテントやバンガローで寝ていた人たちがいっせいに起きてきて騒ぎ出しているじゃないか!
一体何が起こっちゃったんだ!?…私が悲鳴に気付いて飛び出したそのときだった。

それは円盤のようでもあり…手足のようなものが生えている。
パワーローダーか?…この異質感はパワーローダーのそれではない。
寧ろ、地球上のものでは無さそうな感じだった。

「…ど、どうしよう、ゆーちゃん……あれ?…ゆーちゃん?ゆーちゃん!!」


「…!」
目の前に降り立った怪獣は、次々とキャンパーさん達を襲っていきます。
このままじゃ、折角のキャンプが台無しになっちゃう。
私は出力を全開にまで上げて、怪獣に立ち向かっていきます。

「チェンジ!エレキハンドっ!!!」
まずは相手の動きを奪うのが肝心…。電気エネルギーを使って相手をマヒさせられれば…。
でも、怪獣の方もなかなか手ごわい感じです。
「…!」
間合いを詰める間もなく、触手で打ち払われてしまいます。ならば、遠距離からの攻撃はどうか。

「くっ…!チェンジ、冷熱ハンド!」
咄嗟に腕を切り替えて、怪獣に向かって冷凍ガスを発射します。
でも…怪獣の方は何ともなかったかのようにこちらを狙っては、熱線を浴びせてきます。
「ああぁぁあぁぁぁあっ!!!」
もうダメだ…と思ったそのときでした。

「超級!覇王!電・影・弾ッ!!」
「…みなみちゃん!?」
「……これ以上、ゆたかに手は出させない」
「ダメだよ、みなみちゃんは生身の人間なんだから…」
「…大丈夫、私は怪獣なんかに負けたりはしない。一緒に闘おう、ゆたか」
…みなみちゃんの言葉を聞いて、私は胸を打たれました。
そうだ、戦うのは一人じゃない。みんなを守りたいって気持ちは…きっとみなみちゃんも同じ。
「…いくよ!ゆたか!」
「うん!!」
息をピッタリ合わせて怪獣に向かっていく私たち。ですが…怪獣も一匹ではなかったのです。


「きゃあぁぁぁっ!!」
「くっ……!!」
まさに戦場だった。湖畔の静かなキャンプ場が、『未知の存在』の飛来によって戦場となってしまったのだ。
宇宙怪獣に振り回され、苦戦するゆーちゃんとみなみちゃん。
ゆい姉さんも拳銃を抜いて応戦するけど…相手は未知の存在。全く歯が立ちやしない。
万事休すか…?

「負けんなァ!小早川!岩崎!あたしたちもいるってヴぁ!!」
聞き覚えのある声が響く…。まさか、みさきちもキャンプに来ていたのかっ!?
「そうよ!こんな宇宙怪獣なんかにキャンプをめちゃめちゃにされてたまるもんですか!!」
「あのぉ…ときにお二人さん?」
ゆい姉さんがみさきちと峰岸さんに尋ねる。
「キミたちもキャンプに来てたの?」
「…いやぁ、あやのが行きたいって言うし、折角だからキャンプでもすっかなーなんて」
「で、キャンプにきてみたらこの騒ぎ…」
なるほど、つまり今回はこの二人も騒動の被害者ってわけか。
「あやの!久々に行くぞ!ドッキングだ!!」
「うん!」
みさきちと峰岸さんは右肩にパーツを取り付け、いつぞやのように一直線に並ぶ。

「エネルギーチャージ!120%!!」
「吹っ飛べ、UFO野郎!!!」
ビームが怪獣に直撃!これは威力大か!?

「…み、みさちゃん…?」
「あ、あれ…?」
え、ちょまっ、お、おーい?…もしかしてお二人さん、怪獣を怒らせちゃった?
「ぎゃああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
二人分の悲鳴が深夜の日光にこだました…。


「…武器ももう出し尽くして……これじゃキリがないよぅ…」
「はぁ…はぁ……」
技も全部出し尽くして傷だらけ、満身創痍の私たち。
私たち、このままやられちゃうのかな…。こんな怪獣にやられちゃうのかな…。
このまま何も守れずに終わるなんて、絶対にいやだ…。
そう思ったそのとき、一人のキャンパーさんが叫びました。

「立ち上がれ!鋼の勇者よ!!」
「だ、誰ですか!?」
凛と輝く瞳のお兄さん。その瞳は勇気に満ちていました。
「あぁっ!あなた様は!!」
こなたお姉ちゃんが激しく反応。一体何があったの!?
「まさかあなたは…アニソン歌手の影山ヒロノブさんでわーっ!すごいや、私ファンなんですー!!」
「でもお嬢さん…ここに来ているのは俺だけじゃないんだ」
「え…?」
次の瞬間、テントから出てきたのは熱い瞳を持つ人たちばかり。
「熱き魂のシンガー集団『JAM Project』!ここに見参!!!!」
「ええええええええっ!?!?」
な、なんかとんでもない人たちを登場させちゃった!?
作者さん!?ちょっと!作者さーん!!!!

「私たちは直接闘うことは出来ない…でも」
「君たちに勇気を与えることは出来る!」
「さぁ!聴いてくれ!魂の叫びを!!」
「『VICTORY』!!!!」

(BGM~JAM Project『VICTORY』)
すごい…この人たちの歌を聴いていると…不思議と身体の中に熱い何かが込み上げてくる…。
オーバーヒートすることなんてありえないのに…いや、この熱さは違う…機械の故障なんかじゃない。
そう…今まで私が胸の中に秘めていたもの…これが『勇気』…?

「うおー!すっげえな!なんか知らないけど力が湧いてくるぜー!」
「みさちゃん…感じるよ…魂の叫びを…!!」
「…ゆたか…!」

「V・I・C・T・O・R・Y!3,2,1,0,Never Give up!Oh Yeah!!!」

「…行くぞぉ!あやのぉ!!」
「任せて!みさちゃん!!」
「「ダブゥゥルゲキガンフレアァァァァァァァ!!!!!」」
すごい…みさおさんもあやのさんも…あんな力があったんだ…。
二人の攻撃を受けた怪獣は一瞬にして粉々です。
「石!破!天ッ驚ぉぉけぇぇぇぇぇぇんっ!!!!」
つづいてみなみちゃんも、怪獣を1体撃破。
皆がここまで熱くなっているなんて…あんな姿は、生まれて初めて見た気がします。よぉし、私も出来るだけのことをしなくっちゃ!
「…トランザム、発動!」
私は全エネルギーを身体に集中し、残った1体の怪獣に向かって突撃をしていきます。
そう…これは今放送中のアニメ『機神合体ゴッドセイバー』の原作を担当したこなたお姉ちゃんが1週間かけて考えたっていう、技の一つ…。

「一撃必中!ゴッド…ストリィィーーーームっ!!!!!」


「やったっ…!」
まさかゆーちゃんがゴッドセイバーの技を使うとは…。我が従妹ながらあなどれないやつ…!
今回襲ってきた怪獣は3体。ゆーちゃんたちの活躍で地球の平和は守られたのだ。
「ありがとうー!ありがとうー!」
キャンパー達が手を振って、ゆーちゃんたちに感謝の声を贈る。
私もゆーちゃんにお礼を言った後…すぐ隣に立っているJAM Projectの皆さんにも、感謝の意を表した。
「JAM Projectの皆さん、ゆーちゃんたちに勇気を分けてくれてありがとじゅしたー!」
「こちらこそ、ありがとじゅしたー」
「ちょww」
その後、私たちは改めてキャンプファイヤーで楽しいひとときを過ごした。

…キャンプ場が戦場になったという今回の事件。
どんな時でも、勇気を失っちゃいけない。大切なものを守りたいということを忘れちゃいけない。
ロボットアニメとかじゃよく言われてることだけど、今回の事件で改めてそれを教わった気がする。
ありがとう…魂の兄弟たちよ!!!

ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。