催眠・パニック!

かがみ「やっと着いた~」
つかさ「結構遅くなっちゃったね」

今日は土曜日、この柊かがみ・つかさ姉妹は親友である泉こなたの家に来ていた。
ただ親の仕事の手伝いが入ってしまったため、少し来るのが遅れたのだ。
もう一人の親友である高翌良みゆきは、もうすでにここに来ているはずだ。
こなたの父親であるそうじろうに挨拶をし、二階のこなたの部屋へ向かう。

かがみ「こなた、みゆき、入るわよ」
つかさ「おじゃましま~す」

ノックをして二人がドアを開ける。

みゆき「あら、かがみさんにつかささん。こんにちは」

中では奇妙な光景が広がっていた。
こなたの身体を、みゆきが自分の膝の上に乗せて抱き締めているのである。

かがみ「み、みゆき……何してるの……?」

普段ならあり得ない光景に、二人は戸惑っていた。
更に、みゆきの中にいるこなたが放った言葉が、更に二人を混乱させた。

こなた「み、みゆきおねーしゃん、ちょっとくりゅしいよぉ……」
二人「!?」
みゆき「あ、ごめんなさい、こなたさん」

呂律の回っていないこなたの喋り方、みゆきがこなたを名前で呼んでいること……
二人には、何が何だか分からなかった。

つかさ「ど、どーゆーこと??」
みゆき「泉さんに退行催眠を掛けたんです。今の泉さんの精神は、4歳にまで戻っています」

しばらくの沈黙。そして……

二人『えぇぇええぇええ!!?』

絶叫。


こなた「あぁー、かがみねぇしゃんとつかしゃねぇしゃんだー」

 ててて、とかがみとつかさの基に歩み寄る。

こなた「こんにちわっ」

 こなたが左腕を上げ、笑顔で挨拶をする。一方、二人は衝撃的事実に固まっていたが、やがて……。

つかさ「か、可愛いぃぃぃぃぃっ!!」

 つかさが動き出した。それから、こなたを抱きしめ、抱き上げそのまま振り回す。

つかさ「可愛いよおぉぉぉぉっ!!」
こなた「わーい、コーヒーカップみたーい♪」

 かがみは呆然と見ていたが、そっとみゆきに近づき問いただす。

かがみ「ちょっと、どーゆーことよ?」
みゆき「どうもこうもありません。昨日テレビで見た事を試してみましたら本当になってしまって……てへ☆」
かがみ「てへ☆ じゃないわよ……」

 つかさとこなたは未だに回っている。

つかさ「あはは、バルサミコ酢~~♪♪♪」
こなた「うぇ~……」

 楽しんでるのは、もはやつかさだけだった。

かがみ「ちょっとつかさ! こなたが気持ち悪がってるでしょ!」
つかさ「あ……」

 つかさからこなたをふんだくるかがみ。

かがみ「大丈夫? こなた?」

 

分岐 A:カオスルート→このまま進む

分岐 B:催眠ルート→リンク先へ

 


 かがみがこなたの肩を軽い力で叩くと、抱き締められるままになっていた少女はゆっくりと目を開いた。
「あれ、かがみ? もう来たんだ」
 唐突に態度が変わった事に驚きながらも、その理由に気がついたかがみはみゆきを見て口を開いた。
「私はこなたの肩を叩いた。これが催眠術を解くための条件だったのよね?」
「ええ、仰るとおりです。個人差もあるそうですが、刺激によって覚醒するのは共通しているようですね」
「そうなんだ。じゃあ、私がこなちゃんを振り回している間に、元に戻っちゃってたかもしれない?」
 つかさの疑問の声によって、三人の視線がこなたに集まる。
 こなたは困ったように笑った後、頬を掻きながら答えた。
「っていうかさ、実は催眠術の影響を受けたっていうのは嘘だったんだよね」
「えっ?」
 三人の声が完全に重なる。そんなはずはないという不審は消える事なく、かがみはこなたを睨みつけた。
「信じられないわよ。さっきまでのが演技だったって言うの?」
「そうだよ。アニメで幼児退行したシーンとかも見たことあるからさ、それを思い出しながらね」
「つまり、私の催眠術は失敗していたわけですか……」
 みゆきは残念そうに俯いたが、反対につかさは明るい調子で会話に加わった。
「でも、良かった。こなちゃんが元に戻れずにあの状態が続いていたら、大変だもん」
「確かにね。あのままじゃ、普段以上に迷惑をかけられそうだったわ」
「おおっと。まるで、いつも私が迷惑をかけてるみたいな言い草だね」
「事実でしょ。今日も宿題を写させて欲しいと言って、ノートを持ってくるように頼んだのは誰?」
「あはは。つかさ、じゃないかなぁ」
 こなた達が談笑をするなかで、みゆきだけは顔を合わせようとはせずに、独り言を呟いていた。
 彼女は立ち上がると、部屋の隅にある姿見の前にまで移動して座りなおした。
「正しい手順を踏んだのに、失敗するはずがありません。私は十年前に戻る。十年前の私を取り戻す――」
 中央の穴に糸を通した五円玉を使い、みゆきは催眠術を再度試した。
「みゆきさん、もうやめときなよ」
 こなたの後に、かがみも呆れた口調で続く。
「そうよ。やっぱり、そういう番組はやらせなのよ」
 かがみ達の説得に応じたのか、数秒のタイムラグがあってから、みゆきの呟きが停止した。
「ゆきちゃん。それよりもクッキーを焼いてきたから、一緒に食べようよ」
 呼びかけに反応したみゆきは上半身を捻り、三人のほうへと顔を向け、その表情に不安をにじませた。
「あの、どちらさまでしょうか?」
 悔しさを抑え切れなかったための演技だろうと、全員が思った。
 しかし、真顔で喋るみゆきからは冗談のような雰囲気がまるで感じられず、本気で怯えているように見えた。
「まさか、本当に?」
 そう言いながらつかさがみゆきに近づこうとしたのは、刺激を与えさえすれば元に戻るという話を思い出したためだった。
「こ、来ないでください。こんなトコロにつれてきて、みのしろ金でもようきゅうするつもりですか!?」
「落ち着いてよ。そんな声を出したら、近所に住んでいる人から通報されちゃうかも知れないでしょ」
「来ないでくださいと、言ったはずです!」
 体格で勝るみゆきは油断をしていたかがみを突き飛ばし、制止の声を振り切って部屋から飛び出した。
「待ってよ。みゆきさん」
 こなたは慌てて追いかけたが、階段を降り、玄関まで行っても彼女を見つけられず、そこで一足の靴がなくなっているという情報を得ただけだった。
 遅れてやってきた二人に対してこなたが質問をすると、消えたのはつかさの靴であるらしいとわかった。
 靴を間違えるほどの動揺をしていたか、あるいは『現在の自分が履いている靴さえ知らない』のだろう。
 このまま放っておくわけには行かない。
 しかし、行き先もわからない人間を三人だけで探し出せるはずもなかった。
 人海戦術。それがこなた達の考えた、最良にして唯一の手段だった。
「どうか、みんなが暇を持て余していますように……」
 こなたは部屋に戻って携帯電話を取り出すと、祈るような気持ちで電話をかけた。
 まずは一人目。かがみ達の携帯には登録されていない、異国から来た少女へと。


こなた「あ~もう!なんでこんな時に限ってみんな用事があるのさぁ!!」

バイトにデート、犬の散歩に原稿〆切とことごとく玉砕。
同じ家に住む父親のそうじろうにお願いしても、「精神年齢が8歳」と言おうものなら、何をしでかすかわからない。
従妹のゆたかは……みゆきのスピードには追い付けないだろう。
最後の望みをかけ、「み」のところに登録されている友達へと電話を掛けようとした時だった。

みゆき「あの……皆さん……」

なんと、みゆきが自分から戻ってきた。
先ほどまでの怯えた様子もなく、いつもの高翌良みゆきだ。

かがみ「みゆき、戻ったの?」
みゆき「はい……途中で転んでしまって……あ、つかささん、靴、すみませんでした……」
つかさ「ううん、ゆきちゃんが無事ならそれでいいよ」

そういうのは靴が戻らなかった場合に言う台詞だ、とこなたとかがみがツッコみかけて、やめた。
そして、こなたの部屋に戻ってきてから。

こなた「ちゃんと催眠にかかってないってサイン、出してたんだけどなぁ」
つかさ「サインって?」
こなた「なんで4歳の私がかがみとつかさを知ってるのかって話だよ」
かがみ「ああ、そういや見た瞬間に名前言ってたよな……」
みゆき「お待たせしました」

リビングからみゆきが戻ってきた。
みゆきは新しい催眠道具を探してきますと言い、こなたに許可を得て探させてもらったのだ。
そんな彼女が持っているのは、ローソクとマッチ。

みゆき「今度こそ、泉さんを4歳に戻します」

/

みゆき「あなたは4歳の自分に戻る……あなたは4歳の自分に戻る……」

そう呟いているみゆきの正面で、こなたは虚ろな瞳で、揺らめくローソクの炎を眺めていた。
瞳までは騙し切れまい、かがみは今度こそ催眠が成功すると確信した。
そしてもう一つ、つかさがこなたと同じように、虚ろな瞳でローソクの炎を眺めていることに気が付いた。
と、みゆきがローソクの炎を吹き消した。これで催眠が掛かるはずだが……


 ロウソクが消えても、二人は黙っている。何も反応が無いが、どうしたのだろうかと、かがみがつかさの頭を触れようとしたときだった。
 二人は突然立ち上がり、こなたは口を開け、つかさは両手を上げ、万歳をしたのである。
 かがみ「二人とも……?」
 みゆき「成功したんで――」
 みゆきの言葉が終わる前に事態は急変した。
 つかさ「さようなら」
 かがみ「へ……?」
 それは一瞬だった。つかさの身体が光だし、煙になってしまったのだ。残ったものは着ていた衣服とリボンのみ。
 かがみ「え……、え……?」
 そしてその煙を口を開けていたこなたが吸い込んでいく。
 みゆき「(゚Д゚)」
 この異様な光景にみゆきは開いた口が塞がらないようだ。かがみはというと……。
 かがみ「いや……嘘よ……つかさ……」
 よろよろとつかさが居た場所に歩み寄り、ぺたんとその場に座り込んでしまった。
 かがみ「つかさ……つかさぁ……つかさあぁぁぁぁっ!!」
 つかさの衣服を抱きしめ号泣する。それもそのはず、何しろ目の前でいきなり意味不明な現象で消えてしまったのだから……。
 みゆき「よしっ!」
 かがみ「よしっ、じゃないわよ!!」
 みゆき「あいたっ><」
 かがみが高速でみゆきを殴りにかかる。
 かがみ「何て事してくれたのよ! 世界に一人しか居ない私の大事な可愛い妹、その名もつかさなのよ!! 返してつかさを! つかさを返してよ!!」
 みゆき「ちょ……苦しいでふ……そんな事言われましても知りませ――」
 かがみ「ああぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 みゆきの胸倉をつかみ、激しく揺さぶるかがみ。
 ???「落ち着いて、お姉ちゃん!」
 かがみ「え?」
 かがみは耳を疑った。今の声は正しくつかさの声……どこに居るのか!?
 こなた「お姉ちゃん、私なら大丈夫! こなちゃんの中に居るから!」
 そこには、つかさの声でこなたの姿をしたこなたが居た。
 かがみ「これは一体……」
 みゆき「意味が分かりませんね^^;」
 かがみ「(#^ω^)」
 ガッシ、ボカ! みゆきはその場に倒れた。


かがみ「でも、信じられないわね…つかさ一体どこにいるのよ…」
かがみはこなたの肩を掴んで瞳を覗き込んだ。
掴みかかられた瞬間にこなたから出たのはこなたの声。
こなた「ちょ、かがみ!?」
かがみはこなたの瞳の中を見て目を疑った。
なんと中にはつかさがいたのだ。しかも何故かちゃぶ台まで完備されている。
つかさの座っている席にはハンドルらしきものがあるようだ。

つかさ『気持ちいいよー、冷蔵庫もついてて快適だよー、お姉ちゃんも乗りなよー』
かがみ「…どーやって乗るのよ…」


かがみ「なんとかしなさいよみゆき! 元に戻せぇっ!」
みゆき「ばたんきゅう」
かがみ「寝んなあぁぁあぁっ!!」
こなた「いや、かがみが殴って気絶させたんでしょーが」
かがみ「あんたも! んな平然としてないでもっと危機感ってのを持て!」
こなた「そんな心配しなくても大丈夫だって。これ結構楽し――」
 カクーン
かがみ「ひっ!? こなた、こなた!!」
 プヒュー
つかさ「ほら、私とこなちゃんの意識いつでも切り替えられるんだよ。すごいでしょー」
かがみ「すごくない! ていうか何よ今の音!?」
こなた『今の私の体は私とつかさが交代で動かすロボットみたいなもんだからー』
かがみ「なアホな……答えになってないし」
こなた『ちょっと喉かわいたし麦茶でも飲んでこよーか。つかさ、れっつらごー』
つかさ「はーい。こなちゃん号はっしーん!」
 バタム

かがみ「……おいこら、起きろ元凶」


かがみ「起きろ、デカ乳女」

 ガタン!!
 みゆきを起こそうと、身体を揺さ振っていたかがみだったが……突然、閉められていたドアが勢いよく開けられたので、何事かと振り返る。果たしてそこにいたのは……。

かがみ「ゆたかちゃん?」

 そこには涙目で、少し怒った様子のゆたかが、かがみとみゆきを睨み付けていた。少し可愛いと思ったのは内緒だ。byかがみ。

ゆたか「何ですか……何なんですか……」
かがみ「ゆたかちゃ――うぉっ!?」

 ずんずんとかがみに歩み寄ると、かがみの胸倉を掴みにかかる。普段の彼女からは想像も出来ない行動だった。

ゆたか「あの理解できない現象は何なんですか! 先輩達の仕業ですよね!! 何て事してくれたんですか! 世界に一人しか居ない私の大事な可愛いお姉ちゃん、その名もこなたお姉ちゃんなんですよ!! 返してお姉ちゃん! お姉ちゃんを返してよ!!」
かがみ「ちょ……苦しいわ……そんな事言われても私の仕業じゃ――」
ゆたか「ああぁぁぁぁぁぁっ!!!」
 かがみの胸倉をつかみ、激しく揺さぶるゆたか。その力はかがみよりも強い……そう、まるで鬼神の如く。

ゆたか「お姉ちゃんが……お姉ちゃんがあぁぁぁあぁぁぁっ!!」
かがみ「落ち着い……て、ゆたかちゃん……全ての元凶は……そこで気絶しているみゆき……よ……」

 その事実を知ったゆたかは、掴んでいたかがみを離し、スライディングでみゆきに近づく。

かがみ「いたっ!」

 急に離されたかがみは頭から後ろにゴッチーン!

 ゆたか「高翌良(笑)先輩……あなたという人は!! 起きてください」

 ゆたかの おうふくビンタ !!
 3かい あたった!!

みゆき「ぱちくり」
かがみ「やっと起きたわね……いたたた」
ゆたか「先輩! 早くお姉ちゃんを元に戻してください! お願いします><」
みゆき「…………」
 みゆきは虚ろな目で辺りを見渡している。寝ぼけているのだろうか?

みゆき「ここはどこだ……? 私は誰だ? 私は何のためにここに居る? ……逆襲だ」
かがみ「(#^ω^)」
ゆたか「(#^ω^)」

 かがみとゆたかの メガトンパンチ !!
 みゆきは倒れた。


「ウチらの出番だな!」
かがみ「…あの声…どっかで聴いたような…」

 その時壁の一部が剥がれ、山○正之っぽいBGMとともに中から2人の人陰が現れた。
みさお「日下部みさおッ!」
あやの「み、峰岸あやの!!」
みさお・あやの「ヤッt…背景コンビ、只今参上!!」
かがみ「今違うことを言いかけたな!!」

ゆたか「お願いです!お姉ちゃんを元に戻してきてください!」
かがみ「そうよ、つかさを元に戻してきてよ!!」
みさお「って言われてもなー」
あやの「どうやって元に戻したら…」
ガッシ!ボカ!!
かがみ「じゃあ何しにきたんだ!」
 かがみの こうげき!
 かいしんの いちげき!!

みさお「わ、わかったよ、そこに倒れてるピンク色に代わって何とかするってヴぁ…」
あやの「みさちゃん、本当に大丈夫なの?」
みさお「……多分…これで何とかできる…と思う」

 みさおはポケットから何かを取り出した。
かがみ「おいっ、何だこれは」
みさお「……秘密兵器?」
かがみ「何で疑問系…」
 そのときゆたかは変な視線を感じた!!
ゆたか「……!?」
みさお「いっけー!メカの素だってヴぁー!!」
ゆたか「え…?むぐっ…!!」

 解説しよう!
 ゆたかはメカの素を食べることにより、中で小型メカを次々と作り、発進させることが出来るのだ!!

ゆたか「んが~(泣)」
みなみ「みなみ、みなみ、みなみ、みなみ…」ゾロゾロ
かがみ「中からちっこいの出てきた!…って、この展開はまさか…」
ドッカーン!!
こなた「うしょーん!?」
つかさ「おぉねぇぇちゃぁぁぁぁぁぁん!(泣)」
みさお「勝利のポーズ!」
みさお・あやの「ヤッターヤッターヤッt」
かがみ「……こなたとつかさを返せええぇぇぇぇええええええ!!」

 かがみは イオナズンを唱えた!
 背景の群れをやっつけた!


みゆき「では本題に戻りましょう」
かがみ「うおっ!? しぶとい……」
みゆき「か、かがみさん……まさか本気で?」
かがみ「それは置いといて、収拾つけられるのコレ?(色んな意味で)」
みゆき「任せてください」スック

みゆき「スターz」
かがみ「念仏は唱え終わったか」
みゆき「ちょ、まっ」

 ガッシ、ボカ!

みゆき「三度目のスイーツ(笑)」バタッ


かがみ「ったく、どいつもこいつも壊すことしか頭にないし……」
ゆい「やほーこなt……」
かがみ「あ、成実さん」
ゆい「何がどーなってんのコレ」
かがみ「色々すったもんだがありまして」

 ※状況説明中

ゆい「なるほどねぇ」
かがみ「警察の力でなんとかなりませんか?」
ゆい「おっけー! お姉さんにまっかせなさーい!」
かがみ「うっわ、なんとかなるんだ」
ゆい「ん?」
かがみ「いえなんでも」


ゆい「ところでー」
かがみ「はい?」
ゆい「どいつもこいつも壊すことしか頭にないって、かがみちゃんも含まれてるよねぇ?」
かがみ「……」


ゆい 「とりあえず警察の力でゆたかだけは元に戻せたよ」
ゆたか「ありがとう、お姉ちゃん……まだ口の中にみなみちゃんの味が……」ペッペェッ

かがみ「こなたは? つかさは?」

ゆい 「知らんがな(´・ω・)」
ゆたか「そんなぁ」
かがみ「はぁ……役立たずですね」
ゆい 「カチンと来た、じゃあかがみちゃんは何か役に立ったの? 殴ったり愚痴言ったりしてるだけじゃない」

かがみ「必要ないキャラは削除」ピッ
ゆい 「アッー!」ヒューン

かがみがボタンを押すと、ゆいの下に穴が出来、そこにゆいは落ちた。

ゆたか「ばいばい、お姉ちゃん」

みゆき「ワカメの再生力は伊達じゃない」
かがみ「みゆき、復活したからには全て元通りにしてもらうわよ」
みゆき「こんなこともあろうかと……」
かがみ「あろうかと?」
みゆき「…………………」

みゆき「もう、良いじゃないですか。かがみさんはつかささんが好き、こなたさんが好き。その二人が一つとなって何の不満があるんです?」
かがみ「それも……そうね……」
ゆたか「私はこなたお姉ちゃんだけが良いのにぃっ!」
かがみ「ばいばい」ピッ
ゆたか「アッー!」ヒューン

かがみ「ところで肝心のこなた+つかさは背景コンビにやられちゃったんだけど……」
みゆき「もう、一々うるさいわね」ピッ
かがみ「へ? アッー!」ヒューン

みゆき「さてさて、これからどうしましょう? うふふ」


 高良みゆきは考えた。この破綻した世界を元通りにする手段はあるのか。
「もちろん、あるはずですよね。思いつきだけで行動してしまうなど、私らしくありません」
 自分自身の性格について、彼女はよく理解していた。
 この悪夢の発端はみゆきが催眠術を試そうとした事だ。それならば、解決の方法が存在することは必然。
 床に転がる肉片と深い穴の中で叫び声をあげる友人達を交互に見つめながら、みゆきは推理を口にする。
 言葉にする事で、自分の考えをまとめようとして。
「私はこうなる事を――最悪の事態を予測できた。では、どうして今のような状況に?」
 考えられる原因は二つしかなかった。まずは、みゆきが何かを間違えたという可能性。
 しかし、それはまずありえないと言ってよいだろう。つまり、もうひとつの答えこそが正しい。
「私は自分に催眠術をかけて、このありえない空想の世界を体験している?」
 その仮説を信じるのならば、みゆきの催眠状態さえ解けばよいことになる。
「ちょっとー。聞こえているんでしょ、みゆき。ここから出しなさいよ」
 かがみの声が部屋に響き渡ったが、集中したみゆきの耳には届かない。
 彼女が次に動き出すのは、起こすべき行動を見つけたときのみ。そして、それには数分とかからなかった。
 みゆきは床の上に転がっているロウソクを手に取ると、マッチを使い火を点けた。
「私は目を覚ます。催眠術の効果は終わり、この世界も同時に終わる」
 彼女が火を吹き消した瞬間、世界は闇に包まれた。

 あらゆる感覚が消えた一瞬の後、黒い空間の中でみゆきは声を聞いた。
「――みゆきさん?」
「はい。なんでしょうか」
 まばたきをしながら呼びかけに答えたみゆきは、目の前に後輩たちがいる事に驚いた。
「あっ、気がついたみたい。高良先輩、大丈夫ですか?」
「ええと、なるほど。どうやら上手くいったようですね」
 一人で納得をするみゆきに、ひより達は首を傾げながらも安堵の溜息をつく。
「お姉ちゃん達。先輩が起きたみたいだよ」
 振り向いて無事を伝えるゆたかの視線を追うと、そこにはみゆきの知り合いが集まっていた。
「ゆきちゃん。気分はどう?」
「みゆきったら。自分を実験台にして大成功。でも、催眠が解けません――なんて、笑えないわよ」
「まあまあ、そういうドジも萌え要素だって」
「余暇ったデス。一次は胴なるかと思いマシタ」
 つかさにかがみ、こなた。そしていくつかの語句の発音がおかしいパティが微笑んでみゆきを見ていた。
 一人で催眠術の練習をして元に戻れなくなったみゆきを偶然に発見したのは回覧板を届けに来たみなみで、助けを求めて今集まっている全員を呼んだのだと教えられた。
「皆さん、ご心配をおかけしました」
 みゆきが深々と頭を下げたとき、ふと、自身の履いているスカートが焦げているのを見つけた。
「あの……どうして服が焦げているのか、どなたかご存知ですか?」
「さあ? アイロンがけに失敗した事に、そのとき気がつかなかっただけじゃない」
 かがみは常識的な意見を語り、つかさもその言葉に頷いた。
「そうだよね。タバコの火やロウソクなんて置いてないし」
 ロウソク――その単語に、みゆきは嫌な予感がした。
 完全に吹き消したと思っても、再び火が勢いを取り戻すのを見たことがあった。
「ん? あれ、焦げてなんかいないよ。みゆきさんの見間違いじゃないの」
 こなたの言うのを聞いた数人がみゆきの衣服を眺め、それが正しいことを確認した。
 しかし、みゆき自身の目ははっきりと、服が黒く変色していくのを捉えていた。
 これは現実の出来事ではない。そう認識できたが、同時にみゆきにとっては紛れもない現実の痛みだった。
 たとえ偽りの世界の出来事であっても、みゆきにだけはその影響が継続しているのだ。
 おそらく、向こうの世界では火事になっている。それを消し止めなければいけないと、みゆきは思った。
「すみませんが、私が催眠術をかけるのに使った道具を持ってきてください。急いで戻らなければいけないんです」

 

分岐 A:火事だ!→そのまま進む

分岐 C:火事じゃない?→リンク先へ


みなみ「持ってきました……でも、向こうに戻って何を?」
みゆき「新世界の神になってきます」
かがみ「( ゚д゚) ……」
みゆき「なんでもありません。向こうに長く居すぎて狂った言動が伝染してしまいました。それでは」



みゆき「と、戻ってきたはいいものの……こうも八方を火に塞がれていてはどうしようも――
     ……皆さん、もう焼かれてしまっていますか。私の不注意で……すみません。
     それにしても、こんな状況とはいえ好き勝手に発言できるというのは悪くないものですね」

 …………

みゆき「……こちらに来てから熱さを感じませんね。
     服が焦げて、さらには目の前で人が燃えてさえいるのに。不思議なことも――」

 ピコーン(電球)

みゆき「なるほど。向こう――この世界では火事になっている。この世界は催眠術によってのみ訪れられる世界。
     つまりは私の夢。夢だと確信しているから熱くない、という暗示……。
     もっとも、熱くないとはいえ火事は火事ですよね。このままここにいたら痛みを感じないまま焼死してしまいますね」

 ピコーン(電球)

みゆき「焼死してしまう、というのもまた暗示……ですか。厄介ですね。
     一歩間違えば冗談ではなく新世界の神になってしまいます……。
     ちなみにこれは私の夢なので実際に泉さんたちが亡くなっているわけではありません……?
     何でしょうかこの頭の中に響いてきたメタ的なセリフは。それはともかく」

 キョロキョロ

みゆき「……さて、どうしましょうか。助けが欲しい、と願えば助けが来るんでしょうか?」


みゆき「助けてください、お願いします><」

 みゆきがお願いすると、目の前にポンッと何やら杖の様なものが現れた。

みゆき「これは、子供向けアニメによくある“マジカルステッキ”という物ですね、わかります」

 みゆきはその杖を広い天にかざす……が何も起きない。

みゆき「魔法の言葉ですか……それに衣装も必要ですよね……」

 しかし、この炎の中……衣装など見つかるわけもなく、仕方なくみゆきは自身の着ている服を破り、いかにも魔法少女の様なひらひら衣装を作った。そして……。

みゆき「……プリチー・エッチー・イヤバカン! 全ての現象よ、元にもどーれ♪」

 ピカー! 辺り一面が眩しく光る、世界を戻せと輝き叫ぶ!!
 次第に、火は消え、死んでしまったこなたも復活し、穴に落ちた三人も元に戻り、つかさもこなたから出て来た。何もかも元通りだ。

かがみ「あれ? こなた……つかさ!」
こなた「元に戻った?」
つかさ「そうみたいだね」
ゆたか「こなたお姉ちゃあぁん!!」
ゆい 「わーお^o^」
みさお「ヴぁぶー」
あやの「いくら乙」

 全員無事なようだ。みゆきのこの世界の役目は終わった。

みゆき「もう、大丈夫みたいですね……泉さん、私に猫騙しをしてくれませんか?」
こなた「ん? うん」

 パチン!! そこでみゆきの意識は通常世界に戻った……。


みゆき「……ふわぁ」


みゆきが目が覚ましたとき、高良家に集まっていた人間は一人も欠けていなかった。
催眠術で自分だけの世界に行ったあと、そこで彼女が何をするのか説明していなかった事もあり、全員が心配そうな顔をしていた。
みゆきは衣服に何の異常もないことを確かめると、全員を見て言った。
「安心してください、これてすべて終わりました」
「よくわからないけど、何かやり残したことでもあったの?」
かがみの問いに、みゆきは頷いて答える。
「ええ。なにがあったのかを説明すると、長くなってしまうのですが……」
みゆきはそう前置きしたが、ここまで来て詳細を知らないまま帰ってしまえるほどに無関心な者はいなかった。
「では、順を追ってお話しますね。きっかけは、昨晩の催眠術特集のテレビでした――」


みゆきの話をたっぷり三時間は聞いたこなた達は、既に太陽も沈みかけていることを知って帰る事にした。
帰宅ルートごとに別れた仲間は、三々五々帰っていく。
それを見送ってから、玄関の三和土で靴を脱ぎ、居間に戻ったみゆきは催眠術に使った道具が無くなっている事に気がついた。
いったい、どこに?
深く考えるまでもなく、そんな物に興味を示すであろう人物は一人しかいなかった。
みゆきが物語っている最中に帰ってきた母親が犯人に違いない。
大事にならないうちに、早く止めなければ。
「お母さん?」
思考にふけっていたみゆきの背後から声をかけたのは、みゆきの母親であるはずのゆかりだった。
「あの、まさかとは思いますが……」
「お母さん。私、お腹空いちゃった。晩御飯はまだ?」
完全に手遅れだった。みゆきは溜息をつきながら、ゆかりを元に戻すために猫だましを――。
刹那、みゆきは腕をつかまれた。
眼前で手を打ち合わせ、ショックで目を覚まさせようとした試みは失敗に終わる。
「ねえ、ちゃんと聞いてた?」
「も、もちろんですよ。今から作りますね」
みゆきはそう答え、隙を突いて再度――腕をつかまれる。
その後もみゆきの挑戦は繰り返されたが、まるで意識していないようなのに必ず妨害をされてしまう。

「あーあ、明日は学校か。面倒くさい。行きたくないなー」
「是非! 是非とも、そうしてください。一日くらい休んだって構いませんよ」

みゆきの願いも空しく、翌日の学校では娘の予備の制服に身を包んだ婦人の姿が目撃されたという。


終わり。

ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。