それはある日の昼休みの事だった。「はむっ…。うぉっ!………ペロペロ」「あはは、こなちゃんったら相変わらずだね~」こなたはいつものようにチョココロネをほおばる。中身のチョコがだらんと垂れるのもまた、お約束。コイツ、毎日チョココロネばっかり食べてるけど大丈夫なんだろうか。でも私は料理が苦手だしなぁ。
「そうそう、かがみん。今日はこっそり家から持ってきちゃったんだ」「何を持って来たのよ?エロゲとかギャルゲは正直引くぞ」「やだなぁ、そんなんじゃないよ。ジャーン☆」「あ、すごーい!」
そういってこなたが取り出したのは…白と青のロボット。いや、これは誰でも判る。頭にVの字のアンテナがついている白いロボットといえば…。そう、ガンダムだ。…そういや最近新作がやってたな。たしかこなたが持ってるガンダム…エクシアと言ったっけ。
「こなちゃん、ガンプラなんか持ってたんだ~」「いやぁ、エクシアは細かいパーツが多いから大変だったよ~」「塗装まで完璧になさってるんですね」「…あんた、その情熱をちっとは勉強に生かしたらどうなんだ…」
と、突然みゆきが言った。「あ、思い出しました。もし宜しければ私の家にいらしては如何でしょう?」「えー!どんだけー?」「…私はいいけど…でもなんでみゆきさんの家に?」「あ、泉さん。宜しければ、そのガンプラを持ってきていただけませんか?」「ガンプラを?何に使うのさ」「それは着いてからのお楽しみです」一体みゆきはガンプラを何に使うんだろう…あ、思い出した。確か私もガンプラを持ってたんだ。確か、えーと…緑色をした…。
そうそう、ガンダムデュナメス。ロックオンがカッコいいから、つい買っちゃったのよねー。はぁ…なんか、こなたに毒されてるなぁ…。
「ゆきちゃん、そのことなんだけどね…」ふと、つかさが思い出したように懐からガンプラを取り出した。確かこの機体は…オーバーフラッグと言ったっけ。
「さぁ、次はかがみんの番だよー」げっ!…まさかこなた…私がデュナメスを持ち込んでいたことを見抜いていた!?なんか悔しい気持ちになった私は、しぶしぶとデュナメスを出すのだった。
「あら、皆さんもガンプラを持っていたのですね」「まぁ…グラハム・エーカーがカッコよかったからってのもあるんだけどね~」「つかさも隅におけないね~、このこの」「…ま、まぁ…そういうことよ、うん、そういうこと」「では、私もお見せしましょう」
「あー!オーバーフラッグ!ゆきちゃん、私とおそろいだー」「つかささんのはライフルを左手に持っていますけど…」「みゆきさんはまだ薄いね~。グラハム・エーカーは左利きなのだよ☆」「そうなんですか?」おーぃ、私の入り込む余地がなくなってきたんですが。やれやれ…と思っていると、勢いよく教室の扉が開いた。「おー、楽しそうな話してるじゃねえかー。柊、アタシらも混ぜろよぅ」「あ、泉ちゃん。それ…ガンプラよね?」「そだよ?これからガンプラもってみゆきさんの家に集合するんだけど一緒に行く?」「まぁ、人数は多いほうがいいものね」「大人数なら盛り上がるんだってヴぁ」と言って、日下部と峰岸もガンプラを出す。…またオーバーフラッグかよ。「これなら、より臨場感の溢れる試合になりそうですね」「試合…?みゆき、アンタ何言ってるのよ?」「来てのお楽しみです☆」
そして私たち6人は、みゆきの家に集合した。「ようこそおいでくださいました。さぁ、こちらへ」みゆきに言われるがままについていく。なにやら地下に巨大な空洞があるようだけど…と、いきなり電気がついた。うぉっまぶし。しかし、目をあけてみると、とんでもないことが起きていたのだ。
「なぁにこれぇ」間の抜けた声を上げるこなた。「…即興で作ってみたのですが、これは一種のシミュレーション・システムです」みゆきの説明によると、この機械にガンプラをセットして実際に戦う機械なんだそうだ。なんかどっかで見たことあるな…こういう話。なにか、操縦席のようなものがあったので、そこに入るように言われた。
「それでは皆さん、お手持ちのガンプラをセットしてください」そういわれるがまま、操縦席の横にあるボックスにガンプラをセットする。ガンダム2機、オーバーフラッグ4機が次々にセットされていく。「では、始めます。シミュレーション、スタート!」部屋が暗くなり、目の前の画面が暗くなる。
…次に画面が明るくなった時、私の目の前は夕焼け空だった。そうか、ここはデュナメスのコックピットの中なんだ…。と、いうことは…?
「カガミン、カガミン」…いた!いましたよハロ!…妙にこなたっぽいのはなんでだ?
「…それではゲームの説明を致します。泉さんとかがみさんはガンダム・マイスターとしての任務を終えて帰還中に、私たち『オーバーフラッグス』に補足されるというものです。目標ポイントまで逃げ切るか、私たちを全機撃墜、あるいは撤収させたらかがみさんたちの勝利。かがみさんたちが撃墜されますと私たちの勝利になります」 2対4か…こっちが不利だな…。「それでは、いいゲームを」「ちょっ!みゆき!?」通信が切れた。やるしかないのか?とりあえず私はこなたに通信を入れた。「こなた、作戦内容は聞いた?」「んぁ、大体把握した。逃げ切れる自信はあるかい?」「まぁ…とにかく逃げろって言うんだから逃げるしかないじゃない」「でも、余所見をしているとぉ…」「敵機接近!敵機接近!」ハロが、敵が来ていることを告げる。ふと、閃光が飛んできた。あれはオーバーフラッグのリニアライフルの光…!このままじゃ直撃。どうすれば…!
そうだ、思い出した。ロックオンのハロって、こういう時のためにいるんだっけ。私は目の前のハロに指示を出した。「…ハロ、シールド展開!」「了解、了解」すると、機体前方にマントのようなシールドが覆い被さった。さすがみゆき…再現度高いじゃない。
(ここからつかさ視点)「…ハズれたぜ、隊長さんよぉー」「どうしますか?」あの機体…お姉ちゃんとこなちゃんだよね…目標ポイントまで逃げるつもりだろうけど、そうはいかないよ。勝つのは私たち、オーバーフラッグスだもんね。
私はスロットルをFULLに入れ、ガンダムめがけて飛び出した。「各機、ガンダムを迎撃する!フォーメーションを崩しちゃ駄目だよ!」「了解!」…さてさて、なぜか私が隊長なわけだけど、これは私の作ってきたオーバーフラッグがグラハム仕様だったからって言う理由みたい。どんだけー。
「見つけた!…ガンダム!!」峰岸さんがガンダムを発見。青い機体…エクシアだからこなちゃんだね。「わかった、峰岸さんは日下部さんと一緒にエクシアを迎撃。私はゆきちゃんと一緒にデュナメスを狙うよ」「了解ッ!」
「覚悟しろぉ!ちびっ子ぉ!!」いきなり変形してくるフラッグ2機。この無鉄砲極まりない戦法はみさきちだな。その後ろについている機体は峰岸さんと見た。うん。
「くっ…!」私は咄嗟にGNブレイドを抜き放ち応戦する。さすがガンダム、パワーがダンチだ。と、ジュドー・アーシタの台詞をもじってみる。
「泉ちゃん…目標ポイントへは行かせないわよ?」「そうそう、どっちが勝っても恨みっこなしだってヴぁ!」「へぇ…初めての割には本気じゃん?でもね…」次の瞬間、私は2機のフラッグをGNソードでぶった斬った。
「きゃ!?」「みゅーん…!」「……俺は、ガンダムだ」くぅー、最高のキメ台詞!一度言ってみたかったんだよなぁ。
私を狙ってくるフラッグは動きが素早い。1機はライフルのラインが青いつかさ。もう1機はみゆきだ。このまま逃げるのもなんかいけ好かない。私は2機のフラッグに勝負を挑むことにした。
「…狙い撃つ!」デュナメスのコクピットから射撃用のユニットが出てくる。本当、こんなところまで再現するとは…やってくれるじゃない、みゆき。
「狙い撃つぜ!」
私はトリガーを引いた。デュナメスのライフルから粒子ビームが放たれる。しかし、相手は一気に変形してビームをかわした。
「ハズレタ、ハズレタ」「…なかなかの芸当じゃない…けどね!」1発、また1発、私はビームを放つ。しかし、相手は速い…次から次へとビームをかわしていく。接近戦しかないのか!?と思ったその時だった。
「おりゃーっ!」「きゃ!?」「ゆ、ゆきちゃん!」こなたの乗るエクシアのキックがみゆきのフラッグに炸裂。「待たせたな、真打ち登場☆ってね」「アンタ…タイミング良すぎだろ。どこから見てたんだ…」呆れながらも私は笑う。ほんと、コイツは一体なんなんだか。
「さぁ、これで2対2だよ」「こ、こなちゃんのくせにぃ…」「さぁ!反撃開始よ!」「つかささん!?」「くっ…悔しいけど…性能はあっちの方が上だもんね…撤退するよ、ゆきちゃん…」「了解しました。ではこの勝負、泉さんならびにかがみさんの勝利とします」
「なんか、あっという間に終わったって言うか…」「フッ…俺がガンダムDA☆」「でも次は負けないよ、こなちゃん。今度は…バルキリーで勝負!」「おぉ!?」
…戦いはまだまだ続く、のか?
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー と 利用規約 が適用されます。
1文字以上入力してください
本文は少なくとも1文字以上必要です。
1文字以上入力してください。
下から選んでください: