別の人によるID:lxiw2.AO氏:デュエル?の続き/ かがみの怒りが静まった後、せっかく説明をしたのだからと、『ダウト』で遊ぶことになった。「念のためにもう一度、基本ルールを確認しておこうか」・1、2、3、…と数字を言いながら、順番に手札を裏向きで場に出していく・一度に出すカードは何枚でも良い・相手の言っている数字と出したカードの数字が違うと思ったら「ダウト」を宣言・「ダウト」の宣言があった場合、出されたカードを表にする 出すべき数字とカードの内容がすべて一致していたら、ダウトと言ったプレイヤーは場の札を全て回収する 開いた中に正しくないカードが一枚でもあれば、その時カードを出した人は場にある全ての札を回収する・手札を全て無くした人が一位で、他の順位はその時点での手札の残り枚数によって決まる「ああ、そうだ。諦めてカードを集める人が出ないように、一つだけルールを追加するね」・コレクターの登場を防ぐ為に、二十枚以上のカードをもったプレイヤーはゲームから除外される なお、除外される際に所持手札はゲームから取り除き、全員に公開される「順番は名前の順番でいいよね? 苗字じゃなくて、名前のほうで」「別にいいわよ」 かがみがそう言うと、残りの四人も頷いた。 六人は円形に座り、配られたカードを真剣に見つめて作戦を立て始めた。 こうしてゲームは開始されたのだった。「まずは私からね。1」 あやのはそう宣言して、二枚のカードを場に伏せた。「ダウト」 次の瞬間、つかさが楽しげに言った。 開かれたカードに書かれているのは「7とK」だった。「うーん残念。最初だから通してもらえると思ったんだけどね」 7とK……。 かがみは頭の中でカードの内容を繰り返したあと、妹について心配した。 おそらく、つかさの手には1が三枚あるのだろう。 『二枚を嘘だと見抜く』のは、三枚以上そのカードを持っている人でなければ難しい。 こんな最序盤で手札を三枚も見破られてしまうのは、かなり不利なことだ。 そんなリスクを犯すのは、出したカードを回収させるだけなのに重過ぎると、かがみは思ったのだ。「まあ、いっか。次いくわよ。二」 一枚のカードが場に伏せられた。 かがみは誰かがダウトと言うことを期待したが、誰も反応しなかった。「さーん、っと。ねえねえ、勝ったら一つだけ最下位の人に命令できるって事にしない?」 一枚のカードを伏せながら、こなたは言った。 突然の提案にかがみ達は考え込む。 たしかに賭けるものがある方が、ゲームは盛り上がるだろう。「いいかもね。ただし、あんまり無理な命令――」「ダウト」
「えっ?」 かがみの言葉を遮ったのはあやのだった。 こなたは空いているほうの手で頭を掻いた後、カードをめくった。「さりげなくやった……つもりだったんだけどね」 カードの表面に印刷されていたのは、ハートのキングだった。「だってタイミングが怪しすぎたから。逆に、ダウトと言わせるための罠かと思っちゃったくらい」「うーん。意外に手ごわいなあ」 こなたは二枚のカードを回収して、手札が十枚になった。「えっと、私の番だね。クラブの4」「つかさ。マークは言わなくていいんだよ?」「あっ、そうなんだ?」 こなたの説明につかさが驚く素振りを見せたときだった。「ふっふっふっ。ミスったみたいだな。ダウト!」 みさおが勢いよく宣言して、つかさの代わりにカードをめくった。「……ありゃ?」 みさおが見たのは、つかさの出すべき数字の『4』だった。 宣言と違っているのはマークだけで、ルール上はクラブもダイヤも同じ物として扱われる。「あの、ごめんね?」 つかさは首を傾け、身体の前で両手を合わせた。「だーっ。余計にむかつくから謝んな。次。次っ。5っ」「ダウト」 こなたはノリでそう言ったのだが、調子が悪いときには全てが悪いほうへと行くのだろうか。 みさおが出したのは5ではなく、9だった。「くっそー。減らねえ」 みさおの初期手札は八枚だったが、自分の番が終わった今、減るどころか一枚増えてしまっていた。「では、私の番ですね。6を四枚出します」「「ダウト」」 つかさとみさおが叫んだ。「って、同時かよ。この場合は外れたらどうなるんだ?」 みさおの問いに、主催者であるこなたは少し考えてから答えた。「二人以上がダウトと言ったけど正しい数だった場合は、自分の番に近いほうが手札を増やすって事で」 つまり、みゆきが正しい札を出していたら、つかさが四枚も拾うことになる。 二人は無根拠でも行動しそうな性格であり、何も言わなかった三人は「もしかしたら」と期待をした。「えっと、ですね」 しかし、みゆきは頬を掻きながら残念そうにカードを公開した。「残念ながら、見破られてしまいました。Qが三枚と、2が一枚です」「あのさあ、みゆきさん。せめて三枚にしておかないと、一枚持ってるだけでも嘘だとわかっちゃうよ?」「なるほど。確かにそうですね。参考にさせていただきます」 みゆきの番が終わったことで、また最初の一人目からになった。「7を一枚で」 あやのが言った。「ダウト」 どうせ四度目の自分の番には出すのだから、回収しても構わない。 そう考えて、かがみが言った。 開かれたカードは宣言どおりの7だった。「何やってんだよ、柊。最初に7は見ただろ?」「うるさいわね。はい、8を二枚」「私は9を三枚」
こなたがカードを伏せた瞬間、みさおを除く四人は互いに顔を見合わせた。 残りの一枚はすでに見た。 だから誰かが一枚でも持っていれば、嘘だと判断する事が出来る。 しかし、沈黙が保たれたまま時間が過ぎていった。「……誰もダウトと言わないみたいだね。じゃあ、つかさの番だよ」「う、うん。十をペアで」 カードの束の中から、つかさは隣り合った二枚を出した。「こっちもJを二枚っと」 みさおも同じように二枚を抜き取り、場に出した。 ごく自然な動作だったが、こなたはそれを見逃さなかった。「嘘だっ!」「な、なんだよ。ちびっこ。ダウトならダウトって言えって」「じゃあダウト。みさきちってさ、右から順に数字の大きいカードを並べてるよね?」 その瞬間、部屋の空気が凍った。「あんた、そんなところまで観察してたんだ……」 そう言いながら、かがみは慌ててカードを混ぜた。 つかさとあやのも同じように手札をシャッフルしていて、何もしていないのはみゆきだけだった。「10とJか。いやーしかし、みんな素直だねえ」 こなたはカードを表にしながら笑った。「あれ、8が一枚しかない。柊ちゃん、一枚は嘘だったんだ」「ふむふむ。嘘というツンと、本物というデレの二面性か。まさしくツンデレの鑑だね」「いや、意味不明だから。ツンデレは関係ないでしょ」 再び場がリセットされた。 次はみゆきの番だった。「では、いきます。クイーンの四枚です」「えっ。さすがに嘘だろ……?」 戸惑いを隠しきれずにみさおは言ったが、当然のことながら返事は無かった。「それはダウトという発言と受け取ってよろしいですか?」「ん……えっと。あー、ちょっとタイム」 一巡目にみゆきが見せたカードの中には、クイーンは三枚含まれていた。 それでも、残る一枚を持っている人間ならば迷わずダウトと叫ぶだろう。 よほど安全にカードを出し続けられるのでない限り、このタイミングで黙っているはずがなかった。 みゆきが嘘をついているのか、四人の内の誰かが偽っているのか。 みさおがそこまで考えることが出来たのかは定かでないが、リスクの大きさだけは理解していた。 彼女の手札は十六枚。 ここで四枚も拾ってしまえば、その時点でコレクター防止ルールによる敗北が決まってしまう。「私は通すよ?」 最後の揺さぶりをかけるように、こなたが言った。 みさおは手札を床に置き、頭を抱えて唸った。 リスクは承知の上で、賭けに出るべきなのか。 それとも、安全確実にゲームを続けるべきなのか。 迷った末に、みさおは床を叩いて叫んだ。「くそ。どうせ、このままなら負けるに決まってるんだ。ダウトだ! ダウト!」 みさおのダウト宣言が終わった後、部屋が静まり返った。 この結果によっては一人がゲームから外れる。 公開される二十枚もの手札は、戦略に大きく影響するだろう。「では、開きますね」
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