今日はこなちゃん、午前中から元気がない。休み時間も、何か調子が悪い感じが私にはした。お昼休みもお姉ちゃんとの会話もほとんどしないでなにか考え事をしているようだった。何気に聞いても、答えてくれなかった。お姉ちゃんは徹夜のしすぎと言って終わらせてしまった。そして、あっと言う間に放課後がきてしまった。
こなた「帰ろうか、かがみは?」つかさ「お姉ちゃんも、ゆきちゃんも委員会の会議だよ」こなた「あ、遅くなるって言ってたね、二人で帰ろうか」 今日はこなちゃんと帰ることになった。帰り道。こなた「つかさ、せっかくだから、ゲーセンに寄っていかない」つかさ「私は下手だよ、ゲームやってもすぐゲームオーバーになっちゃうし・・・」こなた「まあまあ、ちょっとだけ、それに見てるだけでもいいから」つかさ「それじゃ、ちょっとだけ」普段ならお姉ちゃんと一緒に誘われる、私だけを誘うのは初めてのような気がした。
ゲームセンターで私達はしばらく遊んだ。でも思ったとおり、私は見ているだけになった。一時間くらい遊んだかな。それから特にすることも無いから帰ろうとした時だった。
こなた「つかさ、ちょっと見て欲しいものがあるんだ、それで相談があるんだけど」つかさ「えっ?」こなちゃんが私に相談、想像もつかない、でもこなちゃんは真剣な顔で私をみている。つかさ「こなちゃん、相談なら私よりお姉ちゃん、ゆきちゃんの方がいいんじゃないかな・・・」こなた「いいや、つかさにしか言えない事なんだ、いいかな」つかさ「そこまで言うなら・・・」こなた「ありがと、ついてきて」
こなちゃんは私の前を歩き出した。私はその後を付いていく。見せたいもの、相談、何だろう。私じゃなきゃダメな相談って・・・こなちゃんの後ろ姿を見ながら相談は何か色々考えていた。
こなちゃんはこなちゃんの家の近くの公園の倉庫裏に案内した。つかさ「こなちゃん、どんな相談なの、深刻な相談なら私・・・何もできないよ」こなちゃんは黙って倉庫裏にあるダンボールを退けた。そこに一匹の子猫がいた。三毛猫の子猫だった。つかさ「かわいい・・・」私は子猫を抱こうと近づこうとした。こなた「あっ、つかさ、気をつけて」それと同時だった。『フー』子猫は唸り声をあげた。毛が逆立っている。口も開けて威嚇している。私は一歩後ろに下がった。こなた「一昨日見つけたんだ、子猫、でも・・・この調子で・・・手に負えないんだ」つかさ「何かあったのかな、こんなに怒ってるなんて」こなた「分からない、虐められたのかな、餌も食べようとしないんだよ」つかさ「まだ小さいから餌よりミルクがいいかも」こなた「そうか、それじゃ家から持ってくる、ちょっと待ってて」そう言うとこなちゃんは、家に向かって走って行った。
子猫は私を見ているけど、警戒している。私はまた猫に近づいた。また唸り声をあげてきた。つかさ「にゃーん、怖くないよ」そう何回も言いながら少しつつ近づいていった。子猫は唸りながら後ろに逃げていく。でも後ろは壁で行き止まり。子猫は逃げられなくなった。私はさらに近づく。そして手をゆっくり子猫に近づけた。つかさ「怖くないよ」手を近づけると子猫は口を大きく開けて私の指に噛みつこうとした。ここで手を引くと子猫はきっと驚いてよけいに私を嫌いになる。手をそのまま止めて子猫のさせるがままにした。そこで子猫は何度か私の指を噛みつこうとした。しばらくすると私が敵意がないことに気が付いたのか。唸り声が止まった。つかさ「寂しかったんだね、もう大丈夫だよ」ゆっくり手を動かして子猫の体に触った。もう抵抗してこなくなった。そのまま頭をなぜた。毛の逆立ちもなくなった。そして甘えた声で鳴き出した。やっと子猫らしくなった。
こなた「つかさ・・・ナウシカ」びっくりして後ろを振り返った。こなちゃんがミルクとお皿を持って立っていた。つかさ「こなちゃん、いつからそこに」こなた「子猫がつかさを噛み付こうとした辺りから、私じゃできなかったよ、つかさにナウシカを見た!」つかさ「ナウシカって・・・大げさだよ」こなた「ミルク、持ってきたよ」こなちゃんは私にミルクとお皿を渡した。お皿にミルクを注ぐと私は子猫の前にお皿を置いた。子猫は走るように近づいてお皿のミルクを貪るように飲み始めた。こなた「やっぱりつかさに来てもらって正解だった、さすがツンデレの妹だね、扱い慣れてる」つかさ「ツンデレって・・・一匹で怖かっただけだよきっと・・・でも、確かにこの子猫お姉ちゃんに性格似てるかも」こなた「ところで・・・相談の話なんだけど・・・」つかさ「この子猫をどうするかってこと?」こなちゃんは無言で頷いた。こなた「このままにはしておけない、里親を探したいんだけど・・・」つかさ「こなちゃんの家はだめなの?」こなた「猫そのものは問題ないと思うけど、でもお父さん、猫アレルギーなんだよね」つかさ「・・・」こなた「花粉症でもあるから・・・さすがに無理っぽい、つかさの家はどう?」つかさ「私の家は・・・以前お父さんに犬飼っていいって聞いたことあるんだけど、ハッキリした返事はもらえなかった、でもダメとも言ってなかった」こなた「大丈夫そう?」つかさ「お母さん、まつりお姉ちゃん、いのりお姉ちゃん、みんな動物好きだよ、よく一緒に動物番組とか見るし」そこで一人忘れていたことに気付いてしまった。つかさ「だめだ、お姉ちゃん・・・」こなた「かがみ?、なんでさ」つかさ「お父さんに犬飼っていいって聞いたとき、お姉ちゃんが居て大反対された・・・」こなた「う・・・よりによってかがみかい、それじゃかがみがOKだせば飼えそうだね」
気付くと子猫はお皿のミルクを全て飲み干していた。そして私の靴の上で丸くなって寝ていた。子猫をそっと両手でつかんで抱き寄せた。こなた「もうその子猫すっかりつかさを気に入ったね」つかさ「飼ってみたい」こなた「それもかがみ次第か、かがみをどうやって説得するかだけど・・・口では敵わないし」つかさ「私から話してみる、お姉ちゃんならきっと許してくれる」こなた「悪いね、こんなことまでさせて、それまで子猫、ここにおいて置くしかないかな」つかさ「でも、ここだと夜冷えそう・・・神社の裏に私しか知らない秘密の倉庫があるんだけど、そこなら大丈夫そう」こなた「秘密の倉庫?」つかさ「そう、子供の頃見つけたの、中学まで使ってた・・・でもこの子猫、どうやって神社まで運ぼうかな、さすがに歩いては無理かな」こなちゃんは少し考えていた。こなた「それなら大丈夫、今日、ゆい姉さんが遊びにくるんだ、車で送ってもらうように言うよ」つかさ「ありがとう」辺りを探し、小さなダンボール箱を見つけてその中に子猫を入れた。そして倉庫の奥に隠すように置いた。こなた「とりあえず、ゆい姉さんが来るまで、家で待ってよ」つかさ「うん、その前に、あの子猫、名前付けないと」こなた「名前ね、ツンデレ猫だから かがみ でいいんじゃない」つかさ「・・・その名前だと私が呼び辛いよ・・・三毛猫だからミケ」こなた「んー、まあ、それでいいや」
私達はとりえずこなちゃんの家で待つ事になった。おじさんは仕事の打ち合わせで出かけていた。ゆたかちゃんもまだ帰ってきていなかった。成実さんがすでに遊びに来ていた。早番で早く勤務が終わったと言っていた。こなちゃんは早速理由を言って私を家まで来るまで送ってくれるように頼んでくれた。成実さんは快く引き受けてくれた。でも、私を送ってくれる間、動物を育てるのは大変だよと耳が痛くなるまで言われた。私に責任が重くのしかかる。うまくミケちゃんを家族の仲間にできだろうか。
成実さんに神社の前まで送ってもらった。鞄とミケの入った箱を車から取り出した。ゆ い「それじゃ、つかさちゃん、がんばってね」つかさ「ありがとうございます」その瞬間、車は猛スピードで走り去った。
とりあえず私は神社の秘密の倉庫に向かった。中学まで使っていたけど、特に何かを隠していたわけではなかった。こんな時の為に覚えただけ。箱の中のミケちゃんを見る。まだぐっすり寝ていた。寝姿がとってもかわいい。私は決意を新たに箱を倉庫に隠した。そして、家に着いたた。落ち着いたらとりあえず要らないタオルとかを倉庫に持っていこう。
つかさ「ただいま」家に入ると、お姉ちゃんはまだ帰ってきていなかった。しかし、お姉ちゃん意外がみんな居る。丁度いい。つかさ「ちょっとみんないいかな」まつり「なによ、改まって」つかさ「えーと、私、猫を飼いたいんだけど・・・いいかな」いのり「唐突ね・・・猫か・・・私は構わないわよ」まつり「猫ね、いいね、私もいいと思う」ただお「・・・つかさが自分で世話をするなら」み き「猫ね、そういえば今まで飼った事なかったわね、皆がよければ」まつり「なんでそんな話を?」つかさ「いや、友達が子猫を分けてくれるって言ってくれたから」まつり「なら話は決まりよ」
つかさ「やったー」
思ったより反応がよかった。みんな気持ちよくいいって言ってくれた。これならお姉ちゃんも・・・期待がいっきに膨らんだ。
夕食の準備が終わった。まだお姉ちゃんは帰ってこない。つかさ「お姉ちゃん遅いね」いのり「さっき携帯に電話したら、駅に着いたって言ってからもうすぐじゃないの」しばらくすると。かがみ「ただいま」つかさ「おかえり」お姉ちゃんの様子がちょっとおかしい。苦虫を噛んだような顔をしていた。学校で何かあったに違いない。こんな時に限って、ミケちゃんの事が聞き難くなった。み き「おかえり、すぐにご飯にしましょ」
私達は居間で食事をした。楽しい会話が弾む。でも、お姉ちゃんだけ黙っていた。もくもくとご飯を食べていた。ミケちゃんの話をいつするか、そのチャンスを探していたけど、今のお姉ちゃんはそんな話をする状態じゃない。まつり「かがみ、どうしたのさ、さっきから黙っちゃってさ」かがみ「別に、どうもしないわよ」いのり「学校で何かあったの、まあその様子だと話してくれそうにないわね」まつり「つかさがかがみに話したいことがあるみたいだけど」まつりお姉ちゃんが話のきっかけを作ってくれた。でも今はあまり話したくなかった。かがみ「なによ、つかさ話したいことって」つかさ「えっと、こなちゃんが子猫を拾ったんだけど、こなちゃんの家じゃ飼えなくて、私が飼おうかって言ったんだけど」かがみ「つかさが、猫を?」つかさ「うん」かがみ「皆は?、お父さん、お母さん、姉さん達・・・」皆は笑ってお姉ちゃんに答えた。お姉ちゃんは一瞬笑ったように見えた。でもすぐにもとのけわしい顔に戻った。かがみ「つかさ、本当に猫を飼うの」つかさ「うん」かがみ「私、この前言わなかったっけ、動物を育てるってことがどんな事かって」つかさ「知ってる、それでも飼いたいと思った、ミケちゃん、かわいい子猫だよ」かがみ「みけちゃん・・・って、こなたに何言われたか知らないけど、私は反対するわ」つかさ「お姉ちゃん・・・私、ちゃんと世話する」かがみ「どうかしら、以前、朝顔に水あげるの忘れて枯らした事あったじゃない」つかさ「そんな昔のこと・・・あれは小学校の頃だよ、今は違うよ、絶対そんなことしないよ」かがみ「何度言っても同じ、私は猫飼うの反対」信じられなかった、いくらお姉ちゃんでもここまで反対されると私も怒らずにはいられない。つかさ「お姉ちゃんの分からず屋、もう子猫は預かってきてるから、反対しても飼うからね」かがみ「なんだって、もう一回言ってみろ」つかさ「何度だって言うよ、分からず屋、分からず屋、分からず・・」
頬を叩く乾いた音が響いた。私の頬をお姉ちゃんは叩いた。初めての事だった。思わず私も叩き返した。これも初めての事だった。お姉ちゃんはもう一度私を叩こうと手を上げた時、まつりお姉ちゃんがお姉ちゃんの手を掴んで止めた。かがみ「まつり姉さん放して、こいつにもう一発食らわせないと」いのりお姉ちゃんは私の両肩を掴んでいる。私はもうお姉ちゃんを叩くつもりはなかったけど、私の手はお姉ちゃんをもう一回叩こうとしていた。私はいつの間にか涙を流していた。お姉ちゃんは私に頬を叩かれて鼻血が少し出ていた。それを拭おうともせず私を睨んでいた。ここまで反対されるとは思わなかった。叩かれた事よりそれが悲しくて涙を流した。
お母さんが大きくため息をついた。み き「いい加減にしなさい、二人とも、食事中に」まつり「かがみ、つかさの喧嘩初めて見たわ、つかさも意外にやるわね」み き「まつりは黙ってなさい、猫を飼うのはかがみ意外賛成よ、どしたのかがみ、らしくないわよ」かがみ「・・・」み き「かがみ、少し自分の部屋で頭冷やしてきなさい」お姉ちゃんは黙って自分の部屋に向かった。み き「つかさ、子猫すでにもう預かってるって言ったわね、さっきと話がちがうじゃないの、子猫はどこにいるの」つかさ「・・・神社の・・・秘密の所」み き「つかさも先走りすぎだわね、だから喧嘩になるのよ、つかさも自分の部屋で少し頭冷やしなさい」私は部屋に向かおうとした。み き「待ちなさい、つかさ、食事の準備中、タオルとか用意してたわね、それは子猫のため?」私は黙って頷いた。み き「自分の部屋に行く前に、子猫の世話してあげなさい、もう始まってるわよ、つかさ」つかさ「それじゃ、ミケちゃん連れてきていい」み き「それはまだ、かがみがあの調子じゃね、もう少し待ちましょう、この季節なら外でも大丈夫でしょ」お母さんは私に微笑んでいた。
お母さんに言われたとおりタオルとミルクを持って倉庫に向かった。倉庫に着いて早速ミケちゃんの世話をした。ミルクを飲ませている間にタオルを箱にひいた。飲ませ終わるとしばらくミケの遊び相手をしてあげた。タオルの箱の中で丸くなって寝るのを確認して自分の部屋へと戻った。
自分の部屋でお姉ちゃんの事を考えていた。叩かれた頬がまだ少し熱い。今までこんな喧嘩したことなかった。私を一番理解してくれたし理解していたと思っていた。なんでそこまで反対したんだろ、その理由が知りたかった。喧嘩する前なら聞けたけど、もう聞けない。そんな考えが頭の中をグルグル回っていた。
どのくらい時間が経ったか、ノックする音がするみ き「つかさ、入るわよ」入ってくると、おにぎりの入った皿を私に渡した。み き「ほとんど食べてなかったでしょ」つかさ「ありがとう」おにぎりを食べた。み き「お父さん、私、いのり、まつり、でかがみと話し合ったわ、あの子も頑固ね、猫飼うの反対しか言わないのよ」つかさ「お母さん・・・」み き「でもね、その理由を聞くと、言葉を濁らせちゃってね、本心を言ってくれないのよね」つかさ「もう飼えないのかな」み き「私が怒ったらね、かがみが飼う条件出してきたわよ、この条件を達成できたら飼ってもいいって」つかさ「どんな条件なの」み き「つかさが一人で次の日曜まで子猫の面倒をみれれば、だって」つかさ「それでいいの」み き「さすがに昼は無理よね、昼は私とお父さんで世話するわ、朝と晩、しっかりね」つかさ「分かった頑張る」み き「朝起こすのもダメって言われたわよ、つかさは朝弱いわよね、私はそれが心配」つかさ「お姉ちゃんを見返してやる」お母さんは笑っていた。み き「明日の朝、世話に行くとき私に声かけて、子猫の居る場所を教えてもらいたいの」
私は早速目覚まし時計の時間を今までより一時間早くセットした。いつもより早く寝た。お姉ちゃんに負けたくない。次の日曜くらいの世話が出来ないと思ってるんだ。
目覚まし時計が鳴った。私は飛び起きた。急いで準備をして、お母さんを呼ぶ。そして、倉庫へと向かった。心配だった。ミケちゃんがお母さんを警戒してしまわないかと。でもそれは心配だけで済んだ。もうミケちゃんは人を怖がらないみたい。一通りの世話を済ませて家に戻ると、玄関でお姉ちゃんと出合った。もう学校へ行く姿になっている。かがみ「さすがに初日に寝坊はしなかったみたいね」すごくいやみに聞こえた。つかさ「悪いけど、もう飼うのは決まったと同じだよ」かがみ「せいぜい頑張りな、私は先に学校に行ってるわよ」お姉ちゃんはそのまま駅に向かって歩いて行った。お母さんはため息を一回ついた。
私も遅れて学校へ行く準備をして学校に向かった。教室に入ると、こなちゃんとゆきちゃんが私に駈け寄ってきた。そして、お姉ちゃんのことを聞いてきた。様子がおかしいって。朝の時間では話しきれないからお昼休み話すって言った。お姉ちゃんは多分お昼休み私た達のクラスに来ない。
お昼休みなった。思った通りお姉ちゃんは私た達の所に来なかった。早速こなちゃん達が私の所に来た。私は昨日起きたことを全て話した。話したおかげでなんかスッキリした。気が付いてみると、こなちゃん、ゆきちゃんは呆然と私を見ていた。
こなた「やっぱりつかさはかがみの妹・・・だね、あのかがみに反撃できるなんて、見てみたかった・・・喧嘩」つかさ「私のした事って・・・間違ってたのかな」こなた「今更なに言ってるの、ここまで来たら、かがみを見返してやりなよ」みゆき「今、つかささんはかがみさんの出した課題を進行されているのですね、今朝からのかがみさんの態度を理解できました」こなた「かがみも意地が悪いね、つかさの弱点を攻めるなんて」つかさ「ごめんね、みんなを巻き込んじゃって、お姉ちゃんもしかしたら、もう二度と来てくれないかも」みゆき「大丈夫ですよ、かがみさんはそんな人ではありません」その時、お姉ちゃんが昨日帰ってから不機嫌だったことを思い出した。つかさ「ゆきちゃんに聞きたいことがあるのだけど」みゆき「なんでしょうか」つかさ「昨日、放課後お姉ちゃんに何かなかったかな、昨日家に帰ってから機嫌が悪かったから、それに帰りも遅かったし」ゆきちゃんはしばらく上を見て考えてから答えた。みゆき「昨日は、私とかがみさんで意見が合わなくて・・・会議が長引きました、最後は多数決で私の案が採用されたのですが、かがみさんは不服そうでしたね」つかさ「それじゃ、喧嘩しちゃったの」みゆき「いいえ、このような事は頻繁にあるので・・・しかし、かがみさんがその事で機嫌を悪くされたのは想像できますが・・・」こなた「言い出すタイミングが悪かったね、でも、かがみが猫嫌いだったとは思わなかったよ、野良猫とか見かけるとかがみ、微笑みかけているの見たことあるから 大丈夫だと思ったんだけどね、分からないもんだね」つかさ「私も、そこまで反対されるとは思わなかった、そういえば、お姉ちゃん、みなみちゃんのチェリーちゃんを触ったところ見た事ないな」みゆき「かがみさんがチェリーちゃんを見ていた時、さりげなく聞いたことがあります、犬は飼いたいと思いませんかと」つかさ「で、なんて言ったの」みゆき「犬は好きだけど、見ているだけはいや・・・と言っていました、私には意味が分かりませんでしたが、それ以上私は聞きませんでした、かがみさんが悲しそうな顔をされたので」 こなた「それは関係なさそうだね、犬だしね」つかさ「ところで、頼みたいことがあるんだけど」こなた「何」みゆき「何でしょうか」つかさ「猫の世話の仕方を教えてもらいたんだけど、特に子猫だし、失敗もしたくないし」こなた「悪い、猫とか犬とか飼ったことないから、そうゆうの分からないんだ」みゆき「私も、お恥ずかしながら・・・図書室にそういった本があるのを見ましたが」つかさ「そうだよね、飼ったことないとなかなか分からないよね、図書室で調べるよ、ありがとう」こなた「私も付き合うよ、子猫に関しては私が発端だからね」つかさ「ありがとう・・・」みゆき「すみません、私は、委員会の・・・」つかさ「あ、別にいいよ、これは私の問題だから」
昼休みは終わった。放課後、私とこなちゃんは図書室で猫の育て方の本を調べた。良さそうなのを何冊か選んで、ポイントをノートに書いた。しばらく時間が経つと、こなちゃんが私をジーと見てることに気が付いた。つかさ「どうしたの、休憩する?」こなた「いや、どうしても想像つかなくてね、つかさがかがみを叩く場面が」つかさ「・・・」こなた「その逆も・・・かがみがつかさを叩くのも、私は何度も殴れてるけどね」つかさ「私も分からない、なんでお姉ちゃんを・・・」こなた「それでふと思ったんだ、ゆーちゃんが私を叩いたらどうするかなって」つかさ「・・・どうするの」こなた「分からない、けど、叩き返すことはできないかな・・さすがに・・・つかさはこれからどうするの?」つかさ「これからって?」こなた「このまま喧嘩続けるの?」つかさ「続けたくない、でもどうして良いか、わかんないよ」こんちゃんは少し間を置いてから話し出した。こなた「こんな時はね、謝っちゃえばいいんだよ、私の時なんか謝るとすぐ許してくれたよ」つかさ「こなちゃんもお姉ちゃんと喧嘩したことあるんだ」こなた「まあね」図書室にある掛け時計を何となく見た。つかさ「あ、そろそろ本気出さないと、時間内にまとめられないよ」こなちゃんの意外なアドバイスにちょっとびっくりした。でも今、そんな事を考えている余裕はない。私は夢中になって本を書き写した。それでも、時間内にまとまりきれなかった。しかたがないので一冊を選んで借りることにした。
つかさ「ごめんねこなちゃん、すっかり遅くなっちゃって」こなた「いいよ、今日はバイトもなかったし」校舎を出たとき、お姉ちゃんとゆきちゃんにばったり出会った。こなた「おお、かがみにみゆきさん、奇遇ですな」みゆき「泉さん、つかささん、調べ物は終わったのですか」こなた「私たちじゃまとまり切れなくて、本借りたよ」みゆき「そうなんですか、泉さん、こちらへ」ゆきちゃんはこなちゃんをバス停の方に呼んだ。こなちゃんはゆきちゃんの方に走って行く。私とお姉ちゃんが残った。普段なら楽しい会話もするけど、そんな気持ちにはなれない。でも昨日お姉ちゃんを叩いたのは謝りたかった。つかさ・かがみ「「昨日は、ごめん」」つかさ・かがみ「「!」」お姉ちゃんも同じ事を思っていたみたい。こなちゃんのアドバイスがなかったら謝れなかった。つかさ「お姉ちゃん、昨日は叩いちゃって・・・鼻血まで・・・」かがみ「別にいいわよ、先に手を出したのは私だし、それに、叩かれて分かった、つかさが本気だってこともね、それだけは認めてあげる」つかさ「それじゃ、ミケを飼っても・・・」かがみ「勘違いしないで、今でも飼うのは反対だから、約束は守ってもらうわよ」私は悲しくなった。かがみ「なにしけてるよ、みゆきから聞いたわ、さっきまで、猫のこと調べてたんでしょ、今のつかさなら訳無いでしょ、この程度の事」つかさ「お姉ちゃん、教えて、なぜ反対なの、その理由教えて」お姉ちゃんは黙ってしまった。しばらく私の方を見たままだった。かがみ「見てるだけなんて・・・」つかさ「見るだけ?」かがみ「つかさに言っても分からないわよ、バスが来ちゃうわよ」お姉ちゃんがバス停の方を向くと、少し遠くでこなちゃんとゆきちゃんが私達を見て笑っていた。かがみ「こなた、なに見てるのよ、見せ物じゃないわよ」こなた「見させてもらったよ、美しい姉妹愛を・・・」かがみ「うるさいー」
お姉ちゃんの怒鳴り声が響いた。ゆきちゃんが私に手を振っている。ゆきちゃんもお姉ちゃんに喧嘩を止めるように何か言ってくれた。そんな気がした。こなちゃんとゆきちゃんのおかげでこんなに早く仲直りができた。私も手を上げてゆきちゃんに返事をした。
結局、お姉ちゃんは猫を飼いたがらない理由を教えてくれなかった。言いたくない事なのかな。ただ猫が好きとか嫌いとかそんな事を超えた何かが理由なのは分かった。
私達四人は駅で別れた。そして、お姉ちゃんにも先に帰ってもらった。ペットショップに立ち寄った。少し歯が生えていたみたいだから、もう離乳食を与えてもいいみたい。お母さんから預かったお金で、猫の離乳食を買った。その他、必要と思われるものを買い揃えた。それから、猫の首輪を買おうとしたけど、買えなかった。まだ正式に飼うと決まったわけじゃない。
家に帰ると、お父さんが決まったことがあると私に言った。それは、もし飼えないと決まったら、お父さんの知り合いに猫を飼いたがっている人がいる。その人に引き取ってもらうことになったと。さすがにお姉ちゃんもそれには少し驚いたようだった。でも私は安心した。ミケは私が成功しても失敗しても捨てられることはない。でも、私が育てたい。今までよりも強くそう思うようになった。
平日の間、朝晩、私はミケの世話をした。朝は目覚ましよりも早く起きる。晩はミケちゃんが眠るまで遊び相手をしてあげた。後半になると、晩の世話にいのりお姉ちゃん、まつりお姉ちゃんが見に来てくれた。世話は私がすることになっているので、見ているだけだったけど、二人ともミケちゃんを可愛いと言ってくれた。でも・・・本当はお姉ちゃんに来て欲しかった。ミケちゃんを見ればすぐにでも家に連れてくれる。そう思った。お姉ちゃんは仲直りしても猫の話すらしようとはしなかった。
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