私は泉こなた。もと冒険家で今は小説家の父・泉そうじろうと、伝説の氷竜(アイスドラゴン)・泉かなたとの間に生まれた半竜人(ハーフドラゴン)。
そんな私は18歳、といってもドラゴン族にとってはまだまだちっぽけなレベル。ゆえに、人間としての生活には慣れてない。ちょっと気を抜くと、ほら、ツノとか出ちゃうし。それでも私はめげずに学校生活やってます。でも…中には私の生活を脅かす人たちも、当然いるわけで。
「ふんぎゃぁあぁぁあああ!?」私が部屋でマンガを読んでいたそのとき、突然窓ガラスが割れて一本の矢が飛んできた…。後頭部に直撃を食らった私は思わず、アイスドラゴンの姿に戻って叫んでしまった。なんとか矢を抜いたけど…うぅ、まだ痛い…。
「……もぅ、誰さ。人の部屋にこんな危ないのを撃ちこむなんて…」と、ぶつくさ文句を言っているとさっき開いた穴からもう一発、矢が飛んできて…。流石に2発連続で喰らう訳にもいかないので、マトリックスもビックリの動きで究極回避。
「…ドラゴン感覚に感知あり!!」…説明しよー。私、泉こなたには普通の人間には絶対感知できないような、怪しい気配を感じ取る能力があるのだ。さっそく、その能力で辺りを探ってみると…そこにいたのはなにやら怪しげな男。私が気配を探ったのに感づいたのか、そそくさと逃げ出してしまった。なんなんだろう、あの人は…。と思っていたら急に呼び鈴が鳴って、みゆきさんが駆け込んできた。
「泉さん!泉さんはいらっしゃいますか!?」「…そんな大声出さなくても聞こえてるよ…」みゆきさんはなにやらあたふたした様子で部屋に入ってきた。何をそんなに慌てているのか、私が訊いてみると…。「先ほど、泉さんの部屋に矢が飛んできませんでしたか!?」「…あぁ、2発ほど飛んできたけど…なんでみゆきさんが知ってるの?」と、みゆきさんはいきなり頭を下げた。「すみません!じつはあの矢を撃った犯人は…私の……兄なんです……!!」
…な、なんだって―――――――――!!!
「そ、それは本当かキバヤシ!?」「…みゆきです…それよりも、私の兄がこんなことをしてしまって本当に申し訳ありません…泉さんにお怪我をさせてしまって…」「いいんだよ、みゆきさんは悪くないし、私ドラゴン族だからこの程度じゃ…」「ですが……」と、泣いているみゆきさんを慰めていたそのときだった。
「…見つけたぞ!お前があの娘の母親か!?」なにやら男の声が聞こえた。なんか気迫と余裕に満ち溢れてる気がするけど…。「な、なんですかあなた!?」続いて女の声。あの声は…まさか私のお母さん!?私は急に冷や汗がダラダラ出てきた。お母さんが何者かに狙われている…!「ど、どうしようみゆきさん!…あれ?みゆきさん?」みゆきさんは走って部屋から出て行ってしまった。私は空を飛んでみゆきさんの後をついていく。そして私は、その光景を見て目を疑ってしまった。
「兄さん!やめてください!この人は私のお友達の母親なんです!」「この人?人じゃない、こいつはアイスドラゴンだ!私が求めていた伝説のアイスドラゴンだ!こいつの生き血を使えば、全人類が…」「そのためにこの方を犠牲にするんですか!?」見ていられなくなった私は、勢いよく急降下して言い争いの間に割って入った。
「あぃや待たれぃ!!」「泉さん!?」「こ、こなた!?」「!?…半竜人か…」私の怒りは、すでに爆発していた。
「ちょっと、みゆきさんのお兄さん!さっきはよくも人の部屋に矢を撃ちこんでくれちゃって!すごく痛かったんだよ!?それに…私のお母さんをどうするつもりなのさ!」 「…ふふっ、ちょっと血をいただくだけだよ、実験材料としてね…」「実験材料…?」「君も知っての通り、ドラゴンには優れた再生能力がある。その再生能力を医学の分野に応用したくてね。それで血をいただこうと…」「だったら血じゃなくてもいいじゃないですか!」「そうだそうだ!せめて髪の毛をもらうとかならまだしも血はダメだよ!」私とみゆきさんは勢いよく食って掛かる。が、高良兄は続ける。「わかってないな、みゆき、それにおチビさん。生きている獲物をスパッと一瞬でしとめる。このスリルなくして何がドラゴン狩りk…」と、自信満々に熱く語る高良兄の後ろに、揺らめく影が…。
「スリル…?……つまり私はスリルの対象ってわけ……?」ついにお母さんの怒りも爆発。地雷踏んだね、高良兄さん。「や、あの、まぁ、なんだ……。うん、そういうことだな、ハハハハハ」「笑って誤魔化したってダメだよ…?私だって怒ってるんだから…」「人に剣を向けて血をくれだなんて…少しお仕置きをする必要がありそうね…」「兄さん……辞世の句を詠む時間をさしあげましょうか…?」高良兄さんの顔が引きつる。詰め寄る私たち。焦る兄さん。
「……アデュー!」「「「あっ!…こら!待たんかーい!!!!!」」」
その後、私たちは逃げる高良兄さんをふん捕まえて、フルボッコにしましたとさ。それでは今回はコレにて。ちょうど時間となりました。
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