今回のルールは『500文字以内』で、なおかつ『急に降ってくる』というキーワードをSSに入れることです。なお、改行は一文字として数えません。
ID:UDf3YADO氏:『雨の日の優しさ』
「も~、なんで急に降ってくるのさ~!」
私の隣でそうぼやく青い髪の女の子。身長は小学生くらいに小さいけれど、ここにいるってことはこの子も陵桜の受験生なのね。
「え……」
私は無言で、持っていた傘を差し出した。
「ど、どうして……」「わっ、私は妹と同じ傘に入っていくからさ。これ、いいよ」
女の子は傘を手に取ると、笑顔で私に言って走りだした。
「ありがとう!」 あれから二ヶ月。あの子は今、どうしているだろうか。私達は受かったけど、あの子も受かってるといいな。
「お、なんか嬉しそうね」「えへへ、今日新しい友達が――」
ID:pHc.eUSO氏:『夏の良い思い出』
「冷たくて気持ち良いわねー」「そだねー」
夏休みも後僅か、ということで私達は少し大きめのプールに来ていた。それもみゆきの所有するプールで今日は貸し切りというのだから驚きね。
「そーいえば泉さんが見当たりませんね」「あれ? さっきまでそこに居たのに」「一番、こなた! 行きます!」
私がこなたを目で探してると、上から奴の声が聞こえた。飛び込み用の台の一番上にいやがる。
「って、おい! ちょっと待――」
だが既に飛んでしまったこなたにそんな叫びは届くはずもなく、こなたは私達の近くにザッパーンと大きな音を起てて飛び込んできた。
「あんたねぇっ! 急に降ってくるな!!」「ごめんごめん、およ?」「な、何よ?」
私の顔に何か付いているのかと思ったが、こなたが見てるのは顔より下だ……って!
「ひゃっ!?」「かがみの生乳、見ぃちゃった♪」「恥ずかしいこと言うなぁっ!」
どうやらさっきの衝撃で上の水着が取れちゃったみたいね。死ぬほど恥ずかしいわ……。こなたの馬鹿。
「貸し切りで良かったね、お姉ちゃん」
まったくだ……。
ID:D.rwrwE0氏:『流れ星と友と私』
「う~ん、詰まった」 こなたはパソコンのキーボードから手を離した。 ラノベの原稿が進まない。 投げ出したい気分であったが、これが生活の糧である以上、そうもいかない。
気分転換に夜風にあたろうと外に出る。 ふと空を見上げると、急に降ってくる流れ星。 次から次へと降り注ぐ。 今日は流星群の夜だった。「これだけあれば、願い事三回いえそうだね」
──どう考えても無理だろ、現実的に
ふと思い出したのは友の言葉。 神社の家の娘とは思えないほどの現実主義者で理屈屋。それでいて面倒見がいい。 そんな彼女が弁護士になったのは、納得のいくところだった。 妄想を文字に垂れ流せばすむ自分とは対極の存在。 流れ星への願い事など彼女には無縁だろう。
そうして、流れ星を眺めているうちに、脳裏にひらめくものがあった。
急に降る流れ星への願い無く今日も頑張るかがみ先生
「う~ん、短歌もどきはラノベのネタには使えないね」 でも、誰に読まれることも誰に聞かれることもない言葉だとしても、それでもいいだろう。「がんばれ、かがみん。がんばれ、私」 そうつぶやいて、こなたは自室に戻った。 そのあとは、不思議なほど原稿がはかどった。
ID:PwzUbwAO氏: 『やさしい雨』
それぞれが具材を持ち寄って、みんながこうして私の家に集まって、騒いではしゃいで食べて……、夏休み企画のBBQは全て計画通りに進んでいたはずなのに、田村さんが曇って来たねと一言つぶやいて以来、一気に計画は崩れだし、呑気にピーマンを食べていた私は急に降ってきた夕立によりずぶ濡れになり、真っ赤に光る炭は雨粒が当たる度にジュっと音を立ててススをまき散らすようになると、たまらず私たちはガレージへと非難する事にしたのだが、逃げ遅れたゆたかはびしょ濡れになってしまい、寒いよぉと凍えだすものだから、私もそんなゆたかを見ていられず土砂降りの庭を駆け出して、放置されたままのBBQセットをガレージまで運び込み、消えかかった炎をうちわで仰いで何とかゆたかに暖が取れるように努力してみたのだが赤い光は消えてしまい努力は実らず、私は、母から借りたタオルで体を拭いているゆたかの姿を見て、ごめんと一言だけ呟き、その後にほとばしる悔しさに涙を流すと、ゆたかは力強くタオルで私の髪を拭いて、私の目を見つめながら、ありがとう、と囁いてくれて、その時初めて、悪戯な雨に対してやさしくなれたような、不思議な感覚味わう事ができたのだ。
ID:bhmCe2SO氏:『巫女の力』
「急に降ってくるんだ……」
気味が悪い夢を見た。フードを被った変な奴が何回も何回も同じ事を繰り返して……。何か最悪な一日になりそうな気がするわ。
「つかさ、そろそろ学校行くわよ」「今日は……休もうよ」
何やらつかさは悪い予感がするとかで、一緒に学校を休もうと提案する。はぁ……受験生がそんな理由で休んでどうするのよ。 そう言って急かすと、つかさは時間を稼ぐようにのそのそと支度を始めた。嫌な予感は私にもあるけど、あんな夢を一々気にしてたら生きていけないわよ。
忌ま忌ましい。さっさと学校に行ってこなた達と話してれば忘れられるわよね。うん。
家を出て、いつもの道則を歩いていると何やら人だかりが出来ていた。
「救急車はまだか!」「しっかりしろ!」
そこには頭から血を流して倒れている人が居た。近くには大きな鉄筋もある。 回りから漏れてくる情報を聞くと、鉄筋が落ちて来て、それが直撃したそうだ。
もしつかさが急いで支度をしていたら、あそこで倒れているのは自分かも知れないと思うとゾッとした。
ID:zb42mYA0氏:『ある冬の日のお話』
あるクリスマスの日、ゆたかとみなみは町を歩いていた。すると、
ゆたか「あ、雪。」みなみ「本当だ。」ゆたか「急に降ってきちゃったね。」みなみ「そうだね。」
二人は空から降っている白いきれいな雪に見とれていた。
ゆたか「ホワイトクリスマスだね、みなみちゃ」みなみ『クチュン!!』ゆたか「みなみちゃん?」みなみ「大丈夫、ちょっと寒かっただけだか・・・ら?」
ゆたかは自分の首に巻いているマフラーの余っている方をみなみの首にかけていた。二人が首に巻いても十分な長さのあるマフラーであった。というより、二人が首に巻いてちょうどの長さだ。ちなみにこなた作。
ゆたか「これなら寒くないね。」
ゆたかは一片の曇りもない笑顔で言った。それだけで寒さなど吹き飛ばしてしまうような日溜まりのような笑顔だ。
みなみ「ありがとう、ゆたか。」ゆたか「どういたしまして、みなみちゃん。」
そう言うと、二人はどちらからでもなく手を握り歩いていった。
ひより『グハッ!!』パティ「ヒヨリン!」ひより「わ、我が人生に一遍の悔いなし・・・ガク!」パティ「しっかりするネ、ヒヨリン!だれか、オタクさまの中にお医者様は・・・。」
ある冬の日のお話。
ID:hTo/LA20氏:『小さな笑顔の果てに』
納得できなかった。信じられなかった。とてつもなく壮大なドッキリだと思った。そう思いたかった。
許せなかった。急に降ってきた災い。そんな言葉で片付けられるものか。
許せなかった。降ってきた災いにドンピシャでぶち当たった本人が「急に降ってきた災いだから」と納得しているのが。
一番つらいはずだ。誰より悲しいはずだ。なにより、悔しいはずだ。
それでも、彼女は笑っていた。
日に日に起きている時間が減っていった。薬と注射の数は増えていった。医者が言葉を濁さなくなった。もう限界だと。
どうしてだ。どうして、そんなに笑っていられるんだ。
彼女の最後の夜、俺は聞いてみた。
「いつも笑顔の優しいお母さん。それが理想なの。それだけでも覚えて欲しかった。あの子に伝わったかしら?」
たった、それだけのことだった。
伝わってなかったら、伝えてやるさ。
彼女はゆっくりと目を閉じていった。
「羨ましいな、そう君が」
まだ口が動きかけていたが。
それが最期だった。
できる限り幸せに生きてやる。
かなたがなにを言いたかったのか。
かなたが望んでいた未来の中に見つけてみせる。
答えを見つけた時、俺はやっと、かなたを許せるだろう。
小さな願いの果てに。
ID:a5gXgmM0氏:『突然の恋』
急に降ってくるなんて思わないから、傘なんて持っていなかった。にわか雨であることを期待するけれど、少しも止む気配がない。降りしきる雨は、靴を履き替えた私から時間を奪い続けていた。って、今日はアニメの録画予約をしてないんだよ!てっとり早い方法としては、誰かの傘を無断で拝借するという手があるけど、さすがにまずい。くやしいけれど濡れて帰るわけにもいかないし、アニメは諦めるしかなかった。るー、という効果音付きで滝のように涙を流している私に、傘が差し出された。恋が芽生えたのは、委員長の仕事を放り出してまで予備の傘を届けてくれたから?とっくに恋をしていて、無自覚だっただけ?いつものように笑うかがみは、翌日も同じ。うそだという事にして、冗談の告白でもしてみようか。感動させられるような理由の物語も捏造して。情愛に生きるなんて私らしくないけれど、かがみの気持ちを知りたかった。はだかの心を覗こうとしても、かがみは本心を見せてくれない。防衛機密?御飯を食べていてもアニメを見ていても、頭に浮かんでくるのは彼女のことだけだった。不可逆なんだよ、この感情は。可能性の無い恋だとわかっていても、ただの友人には戻れない。
ID:ad6/16AO氏:夏休み最後の日
その日は猛暑日だった。少女がひとり、自転車にまたがり道路の真ん中を疾走していた。
急がなくては、早くかがみの所へ行かなくてはならないのだ。
完全な静寂とは、こう言うものなのだろうか。ほんの何時間か前までは、ここはもっと活気づいていたはずだった。こなたが自転車をこぎ続けてすでに20分にもなると言うのに、未だに誰ともすれ違っていない。本当なら電車を使いたい所だが、もう動いているとは思えなかった。
災いとは急に降ってくるものなのだろう。――急に?こなたは思い返す。これは十分に予測出来ていたはずだ。それなのに、この結末だ。今更そんな事を考えた所で仕方がない。
とにかくかがみのもとへ。
鷲宮神社はひっそりと佇み、人の気配を全く感じさせない。
こなたは今まで殆ど使っていなかった携帯電話を、ここぞとばかりに取り出して、すばやくかがみにコールする。
とても長い時間がたったような気がする。
ねっとりとした時間が続き、そして繋がった。
「うーん……、こな……た……?」
いつものかがみのはつらつとした返事はなく、まるでまだ夢の中にいるような、そんな曖昧な声だ。
「かがみん!宿題見せて!」「はぁ……?今何時だと……、夜の3時よ……?」
ID:ClJ.QUI0氏:『らき☆ちゃん初回収録前の二人』
渡された台本を前に、頭を抱え悶々としている男が一人。いくら悩んでも解決できぬ問題だとはわかっているのに、何故かひたすら悩んでしまう。自分のそんな性が気に食わなくて、つい舌打ちをしてしまう。
携帯電話に着信。メールだ。登録されていないアドレスからだった。その内容を読んだ男は、先週買った少し厚手のコートを手に楽屋を後にした。自分には不似合いだとは思ったが、店員がやたら勧めてくるので買った品だ。自分の意思の弱さに情けなさを感じたが、何故か笑みがこぼれた。
ラジオ局裏の公園、広場のど真ん中に立つケヤキの木。メールで指定された場所。男はマフラーに顔を埋めて、メールの送り主を待った。
10分ほど待ったが、送り主は現れない。騙されたか、と歩き出そうと思った瞬間だった。
ケヤキに積もった雪が、急に降ってくる爆撃のように彼を襲った。頭に純白の雪を積もらせ、目を丸くする男。何が起きたか一瞬理解できなかったが、直後にその疑問は一気に溶けてなくなった。
目の前に立っていた、小さな少女。ふふふ、と年齢に不相応な笑い方をして、男の手を取った。
「初めまして。小神あきらです」
今日は降らない。N○Kも、日テ○も、それに近所の人も、まるで申し合わせたかの様に、皆、降らない。そう言っていた。それなのに「結構降ってる」窓の外を見て、ひかげは言う。「急に降るんだもの、ね。でも久しぶりね」ひかげの後ろでひなたも見ていた。「明日には止むかな」空は薄暗く、日は欠片も見えてはいなかった。「う~ん、どうかしら。でも」「ん?」「今日で良かったわ。こうしてひかげちゃんと一緒にいられるんですもの」職場はセール期間中、でも、今日だけはひかげと過ごしていたい。その為にひなたは、シフトを換えてもらっていた。
数時間後、宮河家の食卓には、彩り鮮やかなご馳走が並べられていた。「お姉ちゃん、これ」「今日だけは、ね。ひかげちゃん、沢山食べてね。あとケーキもあるわよ?」ひかげは何故姉が最近同人誌を買ってこないかを理解した。(お姉ちゃん、この為に)「さあ、ひかげちゃん、頂きましょ」「うん!」今日はホワイトクリスマス。ひかげは夢にまで見た光景に、心底胸を踊らせた。
雪が雨に変わった次の日の朝、ひかげは朧気な目で枕元の包みを見る。「これ」途端、ひかげの目が眩しく輝いた。
ーひかげちゃんへ、メリークリスマスー
終
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