こなた「第一回四十こえても独身女会議ぃ~」かがみ「ストレートに嫌な名前の会議だな。ってか、そんな会議に呼ばれたことが、はなはだ不名誉だ」こなた「事実は事実として認めるべきだよ、かがみん」かがみ「言い返せないのが悔しいわ」ななこ「ええねん、ええねん。どうせ、うちは五十こえても独身やねん。グビグビ」こなた「先生、昼間からビールなんか飲まないでくださいよ」ふゆき「一気飲みは健康によくありませんよ」ななこ「なんで、うちは結婚でけへんやろな?」こなた「黒井先生は、口でいうほど欲しがってないんじゃないですか? 別に独り身でも構わないって心のどこかで思ってるように見えますけどね」ななこ「そうやろか?」ひかる「私もそうですけど、別に独り身でも死にはしないわな、ってところが、本音では?」ななこ「うーん、言われてみれば、そんな気もするかもしれへんな」こなた「そうでしょう?」ななこ「そういう泉はどうなんや?」こなた「私はリアルでの恋愛や結婚には興味ありませんから」パティ「そうデス、そうデス。リアルでの恋愛や結婚なんて、人生損するだけデース」ひより「そうそう。恋愛は二次元に限るッスよ」ひかる「おまえらなぁ。全く興味なしってのもどうかしてるぞ」こなた「まあ、筋金入りのオタク女子なんて、そんなもんですよ。それより、天原先生がいまだに独身というのが不思議ですけどね。何か原因に心当たりはありますか?」 ふゆき「ひかるさんとの友情に理解を示してくれるひとが誰一人としていなかったんですよ」ひかる「それで喧嘩になってふゆきの方から振ってるってのが、いつものパターンだな。もったいない」ひより「いっそのこと、天原先生と桜庭先生が結婚すればいいんじゃないッスか?」パティ「そうデス。アメリカにも同性婚が認められてる州がありマス。いますぐ移住すべきデス」ふゆき「愛のない結婚なんて駄目ですよ」こなた「あれだけの仲なのに愛がないと言い切れる先生も、ある意味聖人だよね。では、次はかがみんのコイバナいってみよう」かがみ「なんで、私なのよ」こなた「なぜ、かがみの恋愛はうまく行かないか? これが解明できれば、かがみにも結婚のチャンスが」かがみ「余計なお世話だ」こなた「やっぱり、かがみは、プライドの高さっていうか、個人的な拘りっていうか、そういうところを理解してくれる男がなかなかいないってところなんだろうね」かがみ「……」ひかる「図星だな」かがみ「……」こなた「別にそれが悪いとは言わないよ、かがみん。それが無くなっちゃったら、かえってかがみの魅力は落ちるしね」かがみ「あんがと」こなた「ところで、かがみん。仕事でよくつるんでる彼とはどうなのさ?」ななこ「ほう。そんな奴がおるんか?」かがみ「あれは仕事上の付き合いだけよ。だいたい、あんただって知ってるでしょ? あの男はとっくの昔に三日で振った相手よ」こなた「その割りには仕事でよくつるんでるじゃん」かがみ「だから、それは仕事だから割り切ってるだけよ。私は仕事には私情は挟まない主義だし、利害さえ一致すれば一緒に仕事ぐらいはできるわ。でも、それだけ。あの男とは考え方が全然合わないし、ともに人生を歩むなんて考えられない。それに、あれでも若い娘にはモテる奴だから、それうちどっかの娘とでも結婚するでしょ」 こなた「そのつもりならとっくにそうしてるよ。彼はまだかがみんに気があると見るね、私は」かがみ「だとしても、私の考えに変わりはないわ」こなた「ならしょうがないね。実は、彼から相談を受けてたんだけど、脈なしだと伝えておくよ」かがみ「……そうしといて」ななこ「もったいない話やなぁ。少しは復縁を考えやってもいいんちゃうか?」こなた「駄目ですよ、先生。こうなるとテコでも動きませんからね、かがみんは」ななこ「そうなんか?」こなた「そうですよ。まあ、これでだいたいの話はまとまりましたね。では、本日の会議は解散。次回にまたお会いしましょう」かがみ「二回もやりたくないわ!」
みんなが順次立ち去っていったあと、「まったく、あの男は、あのとき私がどれだけの覚悟を決めて振ったのか全然理解してないのよ」 かがみのつぶやきだけがその場に残された。
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