再び3次元に戻ったこなたたち一行。自分たちの世界、2次元を元に戻すために原作者を探すことになった。しかし、そうは言ってもこなたたちは原作者のことをまったく知らないのだ。
「私たちの世界を作って、私たちを作り出した人のことを私たちが知らないっていうのも何か変な話よね」「まあそだね。(=ω=.)そう考えると不思議な感じだよ」
夜のアキバの街を歩く。私たちは一応放置しっぱなしになっているらきすたの単行本を回収しに行くことになった。
「んー、でも何でその原作者さんは私たちの世界をオカシくしたんだろう・・・」「今までこんなことなかったしね・・・やっぱり原作者に何か起こったんじゃないかな」
頭上に?を浮かべているつかさに、私が答えた。
「何かって何よ。それに何で私たちがいちいち3次元に来てまで・・・」「それはやはり、”私たちにしか”解決できないようなことだから、とかですか?」「んー、謎が謎を呼ぶ・・・これぞゲームだ!!」「ゲームじゃねーよ。もっと真剣に考えなさいよね!」
そんな会話をしながら、放置されたままのらきすた単行本を見つける。
「おお、まだ無事だった!」「良かったねぇ~」
私とつかさがそれぞれ拾い上げる。
「これがあれば何かあったときすぐ2次元に戻れるね」「今の状況じゃ戻らない方がいいと思うけどな」「そうですね。それより、原作者という方の情報収集から始めませんと・・・」みゆきさんの言葉に頷いてまじまじと単行本に目を落とす。「えーと・・・原作者は・・・(=ω=.)・・・∑(=ω=.;)」
「・・・何で私を見るのよ」「いや、だって・・・(=ω=.;)」かがみが私から単行本をひったくる。そして表紙の原作者の名前を見て顔をしかめる。
「・・・みみずかがみ?」「いえ、こちらにローマ字で書いてあります。よしみずかがみさんですね」「何でお姉ちゃんの名前なのかなぁ?( ゚ω゚)」「まさか・・・かがみが実は原作者ってオチ!?」「なワケないでしょーがっ!!」
結局分かった原作者の情報はペンネームだけだった。
「ねえねえ、見て見てすごいよ~。これ、あのときの!わ~懐かしいなぁ」いつの間にかつかさはらきすたの熟読を始めていた。「何か私たちの私生活丸見えでなんかもうプライバシーの侵害って感じね」「原作者は私たちにとっては神な存在だからそんなこと言えないよ」
私たちはまたアニメイトに向かっていた。1番最近のらきすたの情報を得るため、雑誌を買いに行くことにしたのだった。
「でも、大丈夫か?またオタクの人たちがいたらどーする・・・」「大丈夫だよ、お姉ちゃん。オタクの人たち、けっこういい人たちなんだよ~ちょっと怖いけどねっ」不安そうに歩くかがみとニコニコするつかさ。「まあ、いい人もいれば嫌な人もいる。一般人にも言えることだネ。でも追いかけられるのは勘弁(=ω=.;)気持ちは分かるけど・・・」「分かんのかよ」「私、まだ追いかけられたりしてないんですが・・・」みゆきさんが1人苦笑した。
そんなこんなでアニメイトに到着した。
「今度はみんなで行こうよー」私がみんなを見て言った。「うん、そうだねぇ」「私は別にいいけど・・・」「私も構いませんよ」と、おめでたくみんな賛同。「はい、決まりー!」
こなたたちが店内に入ろうとしたとき、店の前にいた人たちが叫んだ。
「あ、またこなたんだー!」「今日1日でこなたんに2回も逢えるとはwwww」
「あれ?(=ω=.)あー、昼間の・・・」そこにいたオタクの集団は昼間にアニメイト内で見かけた人たちだった。
「こなたんが俺のことを覚えていてくれた・・・だと!?」「やばい・・・俺嬉しすぎて死ぬ・・・」「俺ももう死んでイイや・・・」
(=ω=.;)・・・・。
「こなた、いきましょ」「う、うん・・・」嬉しさのあまりガタガタ震え始めたオタクの人たちを置いて店内に入った。
「あった、あった。これだ」雑誌を手にとって購入。「これで1番最近の私たちの世界の様子が3次元側から分かるのね」「そだね。どんな風にオカシく映ってんのかなぁ~っとワクテカww」
店を出て、すぐ雑誌を読もうとしていた矢先である。
「へぁ!?」店の外で待機していたらしい男の人に買った雑誌を奪われた。そして奪うやいなやダーッと逃げ出した。「え、ちょっと・・・」突然のことでポカーンとする一行。「・・・何してんのよ、追いかけるわよ!」かがみの一声で我に返り、私は勢いよく飛び出した。全力疾走!!「わわっ、みんな待ってぇ~っ」つかさの声が後ろから聞こえる。
「こなたんの買ったありがたい雑誌を奪うとはけしからん!!」「俺たちも追おうぜwwwwなんか楽しそうwwwwww」「おまえ楽しみたいだけだろww」「ちょww待てwwスレ立てるwwww」そんな様子を見ていた先ほどのオタクたちもこなたたちの後を追い始めた。
「待てぇ~っ!!」雑誌を奪った人と並んだ。足の速さだけなら負けない。けど雑誌を奪った人は慌てて、遠くに雑誌を放り投げた。「ちょっ・・・」しかし雑誌は地面に落ちる前に誰かに受け止められた。別の男の人が待機していたようだった。予想外の出来事に急停止。ぽかーんとまた逃げる男を眺めた。「ちょっと、どうゆうこと!?」かがみが私に追いついた。ばかまわしの如く、仲間にパスしてまで雑誌を私たちから遠ざけようとしているのだ。そこからちょっと考えて私は発言した。「・・・何故だか私たちに雑誌を読ませまいとしているみたい。多分だけど」「何で!?」「それは・・・」私は言葉に詰まってしまった。それはやっぱり私たちに雑誌を読まれては困るからだろう。でもそれは何で?私たちが読んで、あの人たちが困ることって何?3次元の人たちは2次元の異変なんかどうでもいいものなんじゃないの?ダメだ。全然分からないよ。でも2次元を元に戻すのを妨害してるってこと・・・だよね。
不審感を抱きながらも私たちはしばらく鬼ごっこのように雑誌を追いかけた。
男の人はある廃ビルの前で止まると中に入って行った。私たちも止まり、廃ビルを見上げる。「・・・ビル?」「何であいつらこんなところに・・・?」「わかんない・・・入ってみる?」何の気なしに私は提案してみる。そこにちょっと遅れてつかさとみゆきさんが到着した。「こ、怖いよ~・・・やめよ、ね、やめよっ」
「むー・・・でも、でもさあ、じゃあ何であいつらはそこまでして雑誌を見せまいとすんのさ!」「私たちに見られたら何かマズいことでもあるのかしら・・・」「それがわかんないんじゃん!・・・やっぱり行ってみるしかないって!」「ええっ、やだよっ」「だって、そうしないと・・・何にも分からないじゃん」
「珍しいわね、ケンカ?」
廃ビルの方から聞き覚えのある声が聞こえる。急いで振り向くと・・・そこには、見覚えのある、私たちの世界の住人がいた。
「こんばんは、みんな」
「峰岸さん・・・!?」
何で?どうして?何で2次元にいるはずの峰岸さんがココにいるの!?他3人も驚愕のあまり固まっていた。
「あら、みんなそこまで驚かなくても・・・」
「何・・・で?」
搾り出せた言葉がこれだった。
「何で?私がココにいちゃおかしいかしら?あなたたちだって何故こんなところにいるの?」「え?だ、だって私たちは気がついたら3次元に居て・・・」「・・・やっぱり原作者の言ったことは本当だったのね」「へ?」峰岸さんの言葉にぽかんとなる。原作者が・・・なんだって?やっぱり私たちがここにいることと原作者は関係しているのか。それに、峰岸さんが普通にこの世界にいる?それが何故だか分からない。2次元から逃げてきたとか?ぐるぐると私が思考を巡らせている中、かがみが言った。「峰岸、あんた・・・何か知ってるでしょ?」「何かって・・・?」
「私たちがこの3次元に来てしまった理由」
「ふふ、まあね」峰岸さんがにこっと笑う。「ほんとっ!?教えてっ!」それに対しつかさが食いつく。
「んー・・・まあいいわよ」少し考えてから峰岸さんが笑った。
ちょ、こんなあっさりとそんなの教えてもらっちゃっていいの!?いや、待て待て・・・怪しいぞ。「あの雑誌。何で隠そうとしたの?」私は静かに聞いた。「ん?あー、あれはあなたたちをちょっと驚かそうとしただけ。今なら見ていいわよ」また峰岸さんが笑うと廃ビルからさっきの男が出てきて峰岸さんに雑誌を渡した。「ほら、泉ちゃん」そう言って雑誌を差し出す。確かに私たちが買ったあの雑誌だった。
さっきまで雑誌を奪って逃走しておいて、今度はあっさり返したり・・・本当に何なんだろう。峰岸さんは私たちをここに誘導したいだけだったのかな。頭上を旋回する?の数が増えてきた。とにもかくにも、雑誌を峰岸さんから受け取る。他3人も私の周りに集まり、一緒に雑誌の中身を覗く。
「ちょっと・・・これ・・・」「ど、どういう・・こと?何で・・・?」「これ・・・は・・・」
声を漏らす私たち。
「お、こなたんがらきすた読んでる・・・」「こなたんがらきすたを読んでいるだと!?」先ほどのオタクたちがこちらを見てきた。私たちに追いついたのだろう。
その雑誌のらきすたには・・・峰岸さんばかりが映っていたのだ。他のキャラは皆無。流石にこれは・・・どうしたの原作者と言わざるを得ない・・・。これじゃ「峰岸さんの日常」だよっ!
「ふふ、驚いた?」峰岸さんがまた笑った。「どうゆうことよ?」かがみの鋭い視線が峰岸さんに刺さる。それに臆することなく峰岸さんが答える。「らきすたは私のものなの。他の邪魔な奴らはいない。私だけの世界」その顔には笑いは既にない。「私だけの世界って・・・あんた・・・」
「らきすたでは私はホントに出番のない・・・名前のあるただのモブキャラ。そんな扱いに私は嫌気がさしたの」峰岸さんは一拍置いて話し出した。「だから私は考えた。他のキャラを潰せばいい、と。でも2次元でそれを行うのは難しい。だから私はここ、3次元にやって来たの。そして私は原作者の人との接触に成功したの。ふふ、後は私のファンの人たちによって・・・」私はその話を聞いて、峰岸さんを睨みつけた。「原作者を・・・どうしたの?そのせいで2次元のみんながあんな風に・・・?」「他キャラの存在を封印させたの。そして、私だけを描くようにした」「酷い・・・原作者をそんな風にして・・・私たちは原作者が居たからこうやって存在できるんだよ!?」久しぶりに怒りが湧いてきた。隣に居たかがみも叫ぶ。「そうよ!あんたは原作者に対して何も思わないわけ!?」「原作者は私だけを描けばいいの。そのためだけにいる」峰岸さんが暗い瞳で私たちをみつめる。「違うよっ!そんなの間違ってるよ!みんながいない世界なんて・・・私嫌だよ・・みんながいるからいいんじゃないの!?」つかさも目に涙をためて訴えた。それでも峰岸さんは動じない。
「どういう意向か、原作者は私以外のキャラを封印するとき、あなたたちだけは封印できず、3次元に逃がした」
「逃がした・・・?」
「あなたたちには原作者的にも思い入れがあったんじゃない?」
それで私たちは3次元に来たってことか・・・。よくよく考えればそうだ・・・自分が愛を込めに込めて作り上げた私たちの存在を封印するなんて・・・それを無理矢理にやらせた峰岸さん・・・自分の出番がないからって・・・それだけの理由で。そして浮かんできたもう1つの考え。私たちの原作者に対する感謝の気持ちが峰岸さんに対する怒りと混じる。
原作者は私たちに・・・2次元を託した。そうだ、私たちに賭けたんだ。
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