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「(暴走チェリーの2)みたいなことになってたりして」 「んなわけあるか」 事情を聞いて思いついた予想――いや妄想を間髪入れずにかがみが一蹴する。 ぶうと口を曲げながらこなたは珍しく持ち歩いていた携帯を取り出し、耳に当てた。「……つながんないや」「まだ追いかけられているとしたら……電話に出る余裕はないと思います」 そう答えるみなみの顔は真っ青だった。 ひよりは彼女にとってゆたかと同じ、大切な友人のひとり。そして「鬼」はそのひよりと相性の悪いチェリーなのだ。 飼い主である自分でさえも手がつけられない今の状態では「獲物を追って駆ける大型犬」でしかない。 もしもひよりの身に何かあったら――頭をめぐる嫌な考えに、みなみはぐっと拳を握り締めた。「とにかく、手分けして探すしかないわね」 かがみの言葉に三人が頷く。ここで立ち話をしていたところで埒は明かない。「先輩方は三人で探してください……一人、二人じゃチェリーを止められないと思います」「みなみちゃんはどうするの?」「いったん家に戻って、最終兵器を持ってきます……」 こなたたちの目が点になる。 最終兵器。みなみの口からは逆立ちしても出てこないようなワードだ。 だが彼女はこんな冗談を言うようなタチではないし、現状はおそらく深刻なはず。 そう言わしめたる「何か」が彼女の家にはあるのだろう。「おっけー。何かあったら携帯ね」「はい。田村さんたちはあっちの方へ行きました」 こなたがぴっと親指を上に立てる。 それを合図に、彼女たちは駆け出した。
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