ID:4mnfSq20氏:猫

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「…うちはお母さんいないんだ…」 「どうして…?」 「私がすごく小さいころに…」 この何気ない会話から全てが始まった。 すごく小さいころにいなくなってしまった私のお母さん。 私はお母さんの事をよく知らない…。 でもまさか、あんなことが起こるなんて…そのときの私には想像もつかなかった。 それはある日のことだった。 私が買い物に行った帰り、小さな猫に出会った。 猫に会うこと自体は別にどうってことない、しょっちゅう会ってるからだ。 でも…今回は違った。 なぜかその猫はずっと私のほうを見てる。どこか暖かく、懐かしい瞳で。 その時、私はその猫に惹かれていたのかもしれない…。 いかんいかん、早く帰らなきゃ…と足を進めたその時… 「にゃ~」 と声がする。猫が私の後についてきている…。 普段は猫に付きまとわれることなんてない私が、なぜか今回は付きまとわれていた。 一体何者なんだっ!?と思いながら猛ダッシュで家へ急ぐ。 やっとのことで玄関まで辿り着いた。流石にここまでは追ってこないだろうな…。 そう思ったその時だった。 「にゃ~」 …マジですか、猫さん…。 玄関のドアを開けるとお父さんが待っていた。 「おかえり、こなた。買い物ご苦労!」 「お父さん、ちょっといいかな」 「ん?」 「にゃ~」 「おほぉ~、こりゃ可愛い猫だなぁ」 「なんか私の後をついてきちゃったんだけど…」 「そうだな、とりあえず部屋に入れてあげるか」 いいのか父よ。それでいいのか父よ! そう思いながら私は猫を家に入れてあげることにした。 「ここでゆっくりしてるんだよ」 私は猫を自分の部屋に待たせて、お父さんやゆーちゃんと食事をする。 今日の夕食はこなた特製麻婆豆腐。食卓の話題はあの猫のことでもちきりだった。 余ったらあの猫にも分けてあげるかな。 夕食を済ませた私は、食器を片付けたあと、自分の部屋に戻った。 余った麻婆豆腐を皿に盛って。 「ただいま~、猫ちゃん元気にしてた~?」 と、ドアを開けてみる…。 あれ?…ここで待ってるはずの猫がいない…? そんなハズはない。窓は全部締め切っているはずだし、逃げだせる訳がない。 でもそれ以上に驚いたのは… 「お、お母さん…?」 猫がいなくなった代わりに、いるはずのない人がいるということだった。 しかも驚いたのはそれだけじゃなく…。 お母さんの頭には猫耳がつき、腰からは尻尾が生え、その手足は青っぽい毛で覆われ肉球がついていた。 そして笑って見せたお母さんの口には…猫特有のキバが生えていた。 「あら、こなたじゃない」 「何やってるの、お母さん…」 「何って…ずっとここにいたのよ。ペロペロ」 顔を洗いながら話すお母さん。呆気にとられる私。 一体お母さんに何があったんだろう? 私はお母さんに聞いてみた。 「お母さん、何でそんなカッコしてるの?」 「…こなた。あなたがものすごく小さいころ、私が死んじゃったってこと、知ってるわよね?」 「…うん」 「でも、こなたのことが心配で、現世に戻ってきたの。…もっとも、人間として戻ることは出来なかった…」 「それで、お母さんは猫に…じゃぁさっきから私の後についてきた猫は…まさか!?」 「ふふふ、そのまさかよ。…それにしてもホント、誰に似たのかしらね」 「えぇ!?」 「いろいろとマニアックなものばかり集めて…毎日遅くまでネトゲー。本当に大丈夫なの?」 「うっ!…それはまぁ、その、何ですな…」 「…でも、家事をしっかりやってくれてるあたり、立派になったのかな…」 「…」 「麻婆豆腐、美味しかったわよ」 「そっか…ありがと」 それから私はしばらくお母さんと話をした。肉球をさわって遊んだりもした。 色々話しているうちに、私は嬉しくなった。お母さんがこうして目の前にいることがとても嬉しかった。 それから数日後。 「…ねぇかがみ、つかさ、今度私の家によってかない?」 「いいけど…えらく唐突ね。何かあったの?」 「ウチは猫がいるんだけどさ」 「へぇ、こなちゃん猫飼ってるんだ~」 「いやいや。飼ってるんじゃなくて、『いる』んだよ~」 あのとき突然、猫になって帰ってきたお母さん。 今日は私の友達に、お母さんを紹介してあげよう。 ビックリするだろうな、2人とも。 「ただいま~」 「あら、お帰りこなた」 「「ねねねねねね、猫が喋ったぁ!!!!」」               <完>

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