「らき☆すた・ファンタジーＲ２【静かに燃える復讐の蒼き炎】プロローグ」の編集履歴（バックアップ）一覧はこちら
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<p>かつて、この世界《シャナン》には、たったの一週間で終わった戦争があった。<br />
魔法を使う人種が作った《ザッパーアイン国》と、武術に長けた人種が作った《ジェリウス国》の、領土をめぐる戦い。<br />
勝利したのは、この戦争を吹っかけたジェリウス軍であった。基本戦闘能力で劣るザッパーアイン人が、ジェリウス人にかなうわけがなかったのだ。<br />
戦争の後、世界からザッパーアイン国の名は消え、最北にある《ザッパーアイン城》にその名を残すのみとなった。</p>
<p>そして百年の歳月が過ぎた今日、ザッパーアイン人の姿を街中で見ることはなくなった。<br />
彼らは住むところを追いやられ、誰も来ないような辺境の地でひっそりと暮らしているのだ。<br />
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しかし――<br />
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ザッパーアイン人は、その身分を隠し、今も私達の近くで生活しているのかもしれない……<br />
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～シャナン歴史書５９ページ『地図から消えたザッパーアイン』の項より抜粋～<br />
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プロローグ：全ての始まり、次元を越えての再会<br />
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「ん……」</p>
<p>目を覚ました彼女が一番に見たのは、二人の少女の顔だった。</p>
<p>「お！ 気が付いたみたいだゼ！」<br />
「よかった……一時はどうなることかと思ったヨ」</p>
<p>日下部みさおと泉こなた。彼女の親友二人である。</p>
<p>「……ここは……」</p>
<p>おかしい。<br />
昨日は確かに自分の部屋にいたはず。しかし二人の間から見る天井は自分の部屋のものではなかった。</p>
<p>「私の家です。覚えていますか？」</p>
<p>顔を横に向けると、椅子に腰掛けた少女がちょうど本を閉じたところだった。</p>
<p>「……みゆき？」</p>
<p>彼女の親友の一人、高良みゆきであった。<br />
だが……格好が変だった。<br />
中世ヨーロッパというか、どこかファンタジーな服装をしている。</p>
<p>「えと……私、なにしてたんだっけ……」<br />
「あっ、まだ動くんじゃねぇ！！」</p>
<p>昨日の記憶を思い出そうとしながら、身体を起こすかがみに怒号が飛ぶ。<br />
その瞬間……</p>
<p>「ぅぐ！？ うああ！！」</p>
<p>身体中に激痛が走る。<br />
気を失いそうな痛みに必死に耐えるが、身体をあげることはできずベッドに倒れこんだ。</p>
<p>「まだ傷が治ってないから安静にしてないと」<br />
「はぁ……はぁ……き、傷……？ な、何があったの……？」</p>
<p>思い出せない。<br />
昨日は普通に学校に行き、普通にみんなとお弁当を食べ、普通に家に帰って普通に眠ったはずなのだ。<br />
それがなぜ、いきなり傷だらけになっているのだろうか？<br />
いつもと違うことと言えば、『魔法の使える世界とか行ってみたくない？』と、こなたに言われたくらいだろうか。</p>
<p>「覚えてねぇのか？」<br />
「う、うん……」<br />
「記憶喪失……ではありませんよね。私の名前が出てきたわけですし……」<br />
「何があったって聞かれても、私が見つけた時にはもうボロボロだったし……」<br />
「そ、そう……」</p>
<p>やはり、おかしい。<br />
彼女の一番の親友であったはずのこなたが、どこかよそよそしいのだ。<br />
一体、何が起こっているのか……理解不能。</p>
<p>「一時的な記憶喪失かもしれませんね。とりあえず、自分の名前は思い出せますか？」<br />
「ん、と……私は……柊、かがみ、よね……」</p>
<p>自分の名前は柊かがみ。そして目の前にいる人達は親友達の泉こなた、日下部みさお、高良みゆきの三人に間違いない。はず。</p>
<p>「あらら、本気で軽い記憶喪失になってるみたいだな」<br />
「ええ、自分のフルネームも覚えていないなんて……私達のことは覚えているようですが、改めて自己紹介した方がいいかもしれませんね」<br />
「へ？ え？」</p>
<p>自分は今、ちゃんとフルネームを言ったではないか。<br />
それなのに……一体どういう意味なのか？ まったくもって理解不能である。<br />
かがみの混乱を解こうとみさおが発した言葉が、さらにかがみに追い討ちをかけることとなる。</p>
<p>「名前は柊かがみで間違いないけどな、一個抜けてるんだよ」<br />
「へ？」<br />
「『柊・Osmanthus・かがみ』。これが柊のフルネーム。ちなみにアタシは『日下部・Sununder・みさお』だゼ」<br />
「私の名前は『高良・Goodheight・みゆき』です」<br />
「柊さん、はじめまして。『泉・Spring・こなた』だよ。３年前からここで居候させてもらってるんだ。これからよろしくね」</p>
<p>かがみの頭上に大量のハテナマークが浮かぶ。<br />
とりあえず深呼吸して頭を冷やし今の状況をゆっくり整理。<br />
そして、彼女が導きだした結論は……</p>
<p>「はああああぁあぁぁあああぁぁ！！？」</p>
<p>……否、結論を導きだすことは不可能だった。<br />
今の彼女にとって、この状況はなにもかもが理解不能であった。<br />
ちなみにその後、叫びのために発生した激痛に耐え切れず、かがみは気を失ってしまうのだが……<br />
それはまた、別のお話である。</p>
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