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「郵便でーす」
ある晴れた土曜日、私の元に一通の手紙が届いた。一体、誰からだろう?
…手にとって見ると、封筒には独特の可愛らしい文字で『泉こなた様』と書いてあった。
知っている…そう、知っている。この文字は…。
私は早速手紙を読んでみることにした。
☆
こなちゃんへ
いつもお仕事おつかれさま。頑張ってますか?
こなちゃんの事だから、張り切ってると思うけど…あんまり頑張りすぎるのも身体に毒だよ。
いつも私に会うときは元気そうだけど…やっぱり心配。
無理しないで執筆活動、続けてください。私はこなちゃんの作品が大好きです。
さて、前置きが長くなりましたが、ついに私も念願のお店を開くことになりました。
場所は…私たちがこなちゃんたちとはじめて出会った、あの駅…。春日部駅の目の前です。
今度の日曜にオープンなので、是非来てくださいね。
ゆたかちゃんやみなみちゃんにもよろしく伝えておいてください。
最後になったけど、お互いお仕事、がんばろ。こなちゃん!
2011年10月22日 柊つかさ
☆
「つかさ…夢が叶ったんだね…おめでと…」
私はとても嬉しかった。私と一緒に笑いあってきた友達の夢がこうして叶ったんだ。
自分のことじゃないんだけど、なんだか嬉しかった。おめでとう、つかさ。
さぁて、私も『漂流奇行ナイスボート』の原稿を仕上げなくっちゃ。お仕事お仕事。
☆
それから1週間。
私はゆーちゃんとみなみちゃんを連れて、春日部駅の前に来ていた。
「おーっす、こなた」
「お久しぶりです、泉さん」
「やぁ、かがみんにみゆきさん。つかさがお店開いたって聞いた?」
「聞いた聞いた。正直ひとりで切り盛りできるのかが心配だけど」
「おっ、噂をすればなんとやら」
「おーい!みんなー!」
シャッターが開けられた小さな店。
そんな小さな店の看板には『喫茶 ひいらぎの葉』と書いてあった。
素朴だけどオシャレなつかさの店。私たちはその小さな喫茶店の記念すべき最初の客になった。
「今日はみんなが来てくれたから大サービス。特製ケーキを作ったよ」
「うわぁ…また大きなケーキね…」
「……おいしそう…」
「つかささんらしい、かわいい仕上がりですね」
「えへへ…ありがとう、ゆきちゃん」
☆
小さなテーブルを囲む6人。つかさのパティシエ姿もすっかりサマになって、どこか引き締まっていた。
「ところで、ゆたかちゃんはお仕事のほう頑張ってる?」
「それが、昨日強盗が入ってきて『金を出せ』って脅されちゃったんです><」
「はは、それは大変だね…」
つかさが苦笑いを浮かべていたその時、かがみが口を開いた。
「だったら、やっつけちゃえば良かったんじゃない?あんたのそのパワーでww」
「かがみさん…簡単に言いますけど、私が働いてるの…コンビニです…」
…あー、確かに。今のゆーちゃんには色々な能力があるけど、コンビニのように人が集まる場所でそんな力を使っちゃうと周りのお客さんまで傷つけちゃうもんね…。
「で、どうしていいかわからなくてあたふたしてたら、みなみちゃんが…」
その次の瞬間、ゆーちゃんの隣に座っていたみなみちゃんが一瞬ビクついた。
「みなみちゃんが『僕、アルバイトォォォ!』って叫んで追っ払っちゃったんですよ」
「……恥ずかしい…」
「ど、どんだけwwwwwwwwww」
「つ、つかさ…あんた…笑いすぎ…フヒヒ…」
「かがみさんこそ笑っているじゃないですか…クスクス」
みんなの笑い声の中で、ただ一人顔を赤らめてるみなみちゃん。
かわいいなぁ、まったくwwよし!今度のネタはコレでいこうか…なんて考えてる自分は末期か。
☆
「で、かがみんはどう?」
「いや、司法書士目指して一直線の筈が、気がついたら工業デザインの方面にのめりこんじゃったわ」
「それで、かがみさんはデザイナーに就職されたのですね?」
「まぁ、家具のデザインなんだけどね…それにしてもこなた、ちょっといい?」
「な、何かな…」
「『ナイスボート』読ませてもらったけど、この『KAG-A3ホリィ』って…」
「あ、気付いた~?これはかがみんがモデr」
「やっぱりか!…ったくあんたってやつはぁ!」
春日部の小さな喫茶店『ひいらぎの葉』。
きっとこれから先も、この店には笑い声が聞こえるのだろう。