「ルート無限大」ID:w6M5ZADO氏

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私の存在理由ってなんだろう。 ただ生きてるだけで、ただアニメとかゲームとかにお金を使い果たしてるだけで、夢も希望も何もない。 アルバイトはしてるけど、社会貢献とはいえないだろうな。その給料も娯楽に消えてるワケだし。 私はなんでここにいるの? 私には生きてる価値ってあるの? 私は一体、何がしたいの? わからない。 わからない。 わからない。 わからない。 私はなんで生きてるの?       いつからだろうな、こんなに黒くなっちゃったの。 今までは、普通にオタクを楽しんでたはずなのに。なんだか、疲れちゃった。 私はこんな言葉を言えるような歳じゃないけどさ。 / 「え……人間の存在理由、ですか?」 とりあえず物知りなみゆきさんに、根本的なことから聞いてみることにした。 人間の存在理由がわかれば、自分がなんでここにいるか、わかるかもしれない。 「それは……難しいですね。『例え人間が絶滅したとしても、自然にはなんの悪影響もない』と言われてるくらいですから」 そっか。じゃあ人間って必要ないんじゃん。 だったら……死んじゃおうかな。生きてる意味もないだろうし。 「確かに、今の人間は自分の欲に呑まれがちです。そのため、自然には悪影響しか及ぼさない……しかしですね、私はそうは思いません」 窓の外を見つめながら言うみゆきさんの瞳は、とてもキレイに見えた。 私の心が荒んでるからかな。余計にキレイに見える。 「人間は、本当は『今の状況を良くするために存在するんじゃないか』……そう思うんです」 今の状況を……良くするため……? 「動物の世界で言えば、自然に大規模に手を加えられるのは今のところ人間だけです。  ですから、何か悪い事態が起こってしまった際に打開策を見つけだす……そのための人間だと、私は思っています」 う~ん、さすがみゆきさんだぁ。考え方がまず違うもん。 「じゃあ、さ……」 なぜだか、聞かずにはいられなかった。 それを聞くことで、私が何を考えているか、わかっちゃうっていうのに。 「私って、何のためにいるのかなぁ?」 「え……」 みゆきさんの表情が曇る。私の心の内を読み取ったんだろーな。 みゆきさんの目を見たくなくなって、私は視線を逸らした。 多分、ずっと私を見てる。どんな表情をしてるかは……わからないけど。 「……そうですね。泉さんは今、『自分の夢を決めるために生きている』のだと思います」 まるで見当違いな答えが帰ってきて、驚いた。 みゆきさんの顔を見てみると、微笑みながら私の目を見つめていた。 「人間は、生まれた瞬間に死に向かって歩き始めるんです。それまでに、人の存在理由はコロコロと変わっていくんですよ?」 「あ……」 「泉さんは、まだ夢がないんですよね。ですから、今の泉さんの存在理由は夢を見つけること。それを自ら断ってしまうのは……人間、失格ですよ?」 ……やっぱり、みゆきさんは凄いな。私の心の中を、完全に見透かしてる。 見透かしたうえで、こんな私に進むべき道を与えてくれた。 私には……絶対に真似できない。 「死ぬことはいつでもできます。でも」 「死んだらそこで終わり。もう何もできなくなる。でしょ?」 「うふふ……わかってるじゃないですか」 そう、本当はわかってた。『わからないと思い込んでいた』。 私が今、やるべきことは……進むべきルートを探すことから始めなきゃいけない。 それが決まったら、今度は『夢に向けて努力すること』。それが私の存在理由になる。 「みゆきさん、ありがとう。私、たまにものっすごいネガティブ思考になっちゃうんだよ」 「いえ、お役にたてて光栄です。例えどんなにネガティブになったとしても、自らの命を棄てるような行為はやめてくださいね」 存在理由。そんなものは最初からない。 生きていることそのものが、人間の存在理由なんだ。 私の目の前には……そりゃあ限界はあるだろうけど、無限にルートが広がってる。 私はそのルートを歩いていく。どこに繋がるかはわからないけど、それが、私の選んだ道なのだから。

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