ID:ewuCmQ0a0氏:タイトル不明

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―私は今、深い夢の中にいる。 もう1ヶ月以上眠ってる。 もしかしたら1年以上、10年以上かもしれない。 お母さんと同じ病気。 もう限界が近い。 お医者さんがどれだけ頑張ってももう無理。 私の体は私が一番よく知ってる。 生まれた時から決まってた。 お母さんの運命は、私の運命。 私が倒れる少し前、ふと気になってアルバム開き、 幼くして亡くした母の写真を見た。 記憶にないお母さんの顔。 へえ、私とそっくりだったんだな って。 でも、顔や仕草、性格・・・ 何一つ覚えてなくても、 私は、泉かなたの実の娘。 何よりの証拠は、この通り、小柄な身長と目の下の泣きぼくろ。 そしてこの病気。 私は今死んでも後悔はしない。 むしろ充実してたかなってくらい。 でも、ひとつ心残りなのが、 私のお母さんは、死ぬ前にお父さんたちに 「ありがとう」って伝えて逝ったって聞いたけど、 私は友達に心から「ありがとう」って伝えてないんだよね。 私は、地下に掘り進むドリルのように、 夢の世界にどんどん入っていく。 でも、しばらくして掘り進むのを止めた。 いや、進めなかった。 何かがつまって進めない、もしかしてここは終点なのかな。 ・・・何か聞こえる。 私に似てるけど、私より少し高い声が。 小さい声。聞き取れない。          「起きて…」 最後のほうにこう聞こえたかもしれない。 起きてって、私はもうすぐ死ぬのに。 夢の中をすべて見てしまったのかな、何か体が浮く気分だ。 天国に昇るように、というか、本当に昇っているのかも。 死ぬときってこんな感覚だったんだ。 何か、寝ているところを起こされる感覚だ。 そういえば、私は中学3年まで、お父さんに起こしてもらってたなぁ。 何か懐かしい気分だ。 ああ、光が見える ゴールが近づいてきたみたい。 お父さん、かがみん、つかさ、みゆきちゃん・・・お母さん。 今までありがとう。私、やっぱり最後まで頑張れなかったよ。 あれ、ここは・・・ 何やら騒がしい。いろんな人が私を囲んでる。 「おはよう」・・優しい声、かすかに聞こえた。 さっきの声だ。 でも、辺りには女の人はいない。 「こなたぁ 心配したぞおおお」ああ、お父さんだ。 ―私が眠っていたのは、たったの1週間。 何十年にも思えた期間だったけど、現実の時の流れはゆったりとしてる。 1週間、つきっきりで見守ってくれた父に、 私は返した。「・・ありがとう。」 ああ、なんだ。私は夢を見終わったのか。 行き着いた先は病室のベッドの上。 今もあの声のは誰だったのかわからない。 でも、考えられる人といえば、あなたしかいない・・・お母さん。 fin

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