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<p>こなたが、かなたの願いどおりに育っていたら</p>
<p><br />
・身体の成長<br />
「胸の大きい人は頭が悪いって言うけど、私もそれが原因でバカなのかなあ……」<br />
「でも、ゆきちゃんは勉強できるよね」<br />
「うん。そうなんだよね」<br />
「羨ましいよね~。こなちゃんみたいに、背が高いのにも憧れるけど」<br />
「うん――ところで今。つかさは私がバカっていうところ、否定しなかったよね」<br />
「え、えっと」</p>
<p><br />
・性格<br />
「こなた。これ貸してあげるから読んでみなさいよ」<br />
「え? うーん。ラノベってさ、オタクっぽいイメージがあるんだよね」<br />
「そんなこと言わないで、試しに読んでみなさいよ。アニメにもなっている人気作品よ?」<br />
「いやいや、アニメなんて見るほど子供じゃないから」<br />
「わかってないわね。大人が見ても感動するような名作アニメだってあるのに」<br />
「……かがみって、私のお父さんと話が合いそうだよね。年齢は違うけど、オタク的な趣味の部分で」</p>
<p><br />
・アルバイト<br />
「最近の喫茶店には、変わった趣向の店があるそうですね」<br />
「ああ、メイド喫茶とか言うんだっけ。テレビで見たけど、気持ち悪いよね」<br />
「そうですか? 何事も経験だと思い、そういった場所で働いてみようと思ったのですが」<br />
「やめときなよ。アルバイトなんて、他でいくらでも募集してるじゃん」<br />
「ええ。確かにそうかもしれません……」<br />
「みゆきさんは、どうしてそんな所に応募してみようと思ったのさ」<br />
「理由は特にないですよ。ただ、泉さんなら……たとえ冗談で言ったのだとしても、きっと――」<br />
「きっと?」<br />
「いえ、なんでもありません。気にしないでください」</p>
<p><br />
・記憶<br />
「おっ? どうしたんだ、こなた。こんな夜遅くに起きてるなんて」<br />
「お父さん……。ううん。よくわからないんだけど、目が覚めちゃって」<br />
「そうか。あまり夜更かしはするなよ。徹夜は健康と美容の敵だからな」<br />
「わかってるよ。でも、何かやるべき事があるような気がして……。お父さんはなんで起きてるの?」<br />
「ん、深夜にアニメをやっているんだが、録画が失敗していないか気になってな」<br />
「野球中継があったからね」<br />
「ああ、時間がずれ込むんだよな。よし、折角だ。久しぶりに親子でアニメを見るか?」<br />
「……いい。私はもう寝るね。おやすみなさい」</p>
<p><br />
・習慣<br />
「お姉ちゃん。友達にゲームを借りたんだけど、一緒にやらない?」<br />
「ゲームか。苦手なんだけど、たまにはいいかな」<br />
「うん。私はちょっと経験があるから、少しだけハンデを付けるね」</p>
<p>「――あはは。ビギナーズラックって言うのかな。適当にやってただけなのに」<br />
「すごい。すごいよ、お姉ちゃん。まるでプロみたい」<br />
「…………うん」<br />
「お姉ちゃん? どうかしたの?」<br />
「大丈夫。なんでもないよ。こういうのにも、プロがいるんだろうかと考えてただけ。本当だよ?」</p>
<p><br />
・願い<br />
「たぶんさ、これは私らしくないと思う」<br />
そうかもね。<br />
「身体の成長とかには不満があっても、他人に言いづらい趣味だからといって、後悔したことはないよ」<br />
押し付けたりして、ごめんね。<br />
「私こそ。希望に添えなくてごめんなさい」<br />
いいのよ。どう成長するのかは、本人が決めるべきことだから。こなた、幸せになってね。<br />
「……ありがとう。お母さん」</p>
<p><br />
・いま<br />
「やっぱり、かがみはツンデレだよねー」<br />
「違うわよ」<br />
「ツンデレは、そうやって否定するんだよ」<br />
「まったく。カエルの子はカエルって言うけど、どんな風に育てられたらこうなるのよ」<br />
「そりゃあ、私の幸せを願って育てたら、こうなるんじゃない?」<br />
「幸せを願うなら、もうちょっと違った感じに育つのを望むと思うけど」<br />
「どう育って欲しいという希望があっても、たぶんこれで正しいんだよ。少なくとも、今の私にとっては」<br />
「ふむ、まあ確かに……人生をやり直せるって言われても、趣味までは変えたくないかもね」<br />
「そうそう。話がまとまったところで、いざアニメイトへ」<br />
「って、話を逸らしたまま誤魔化すな!」<br /></p>