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「FILE.4」(2008/03/06 (木) 10:24:37) の最新版変更点
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<p>FILE.4</p>
<p>「ちょっと！ 何よ今の叫び声は！」<br />
「何かあったのですか！？」</p>
<p>みさおの声を聞きつけ、かがみとみゆきが飛んできた</p>
<p>「うっ！！」<br />
「そ、そんな……峰岸さん、まで……」</p>
<p>あやのの惨状を見た二人は、思わず目を背けた</p>
<p>「く、日下部……」</p>
<p>そのあやのにすがり付くみさおに声を掛けようとしたとき、</p>
<p>「うあああああああああ！！」</p>
<p>みさおは叫びながら、階段を駆け上がっていった</p>
<p>「あ、ちょ、日下部！？」<br />
「……そっとしておいてあげましょう。お二人は幼なじみだと言っていましたし……相当ショックを受けたのでしょうから……」</p>
<p><br />
・・・</p>
<p><br />
「ううう……うあああああ！！！」</p>
<p>その頃、日下部は自室でなにやら唸っていた。鬼のような形相で</p>
<p><br />
あやのを殺されたことで、彼女の頭は怒りでいっぱいになっていた<br />
犯人を見つけたら、殺す。あやのと、同じ苦しみを味わわせてやる。そういった感情が、彼女を支配していた<br />
しかし、良心までは支配されていなかった。敵討ちなんて間違っている、という思いが、彼女を動かした<br />
誰の干渉も受けないで、自分の気持ちを鎮めるために、自室に閉じこもったのだ</p>
<p>「……はぁ……はぁ……」</p>
<p>なんとか落ち着いたみさおは、汗でびっしょりの顔を拭いた<br />
親友を殺される。それが、こんなにも辛いなんて、知らなかった</p>
<p>「……あやの……」</p>
<p>ベッドで仰向けになり、そっと目を閉じる。太陽のようなあやのの笑顔が、そこにはあった<br />
だが、その笑顔はもう、二度と見ることはない。次に目を開けた時、瞳は怒りに燃えていた。ただし、先ほどとは反対の怒りだ</p>
<p>「そうだ……人殺しなんて、間違ってる……！！ どんな理由があっても、人の未来を奪うなんて……そんなの……おかしいじゃないか！！」</p>
<p>みさおは拳を握り、決意する</p>
<p>「犯人は、私が絶対に見つけだす！ ……そうだ、みんなの部屋を見せてもらおう！ 何か手掛かりがあるかも！」</p>
<p>みさおがドアを開けようとした時、いきなりドアが開いておでこがぶつかった</p>
<p>「～～～！！」<br />
「く、日下部！？ ごめん！」</p>
<p>ドアを開けようとしたのはかがみだった。みさおは頭を押さえてしゃがみこんだまま動かない</p>
<p>「あ、あれ……？ く、日下部……？」<br />
「ぷ……く……あはは……」<br />
「へ？」<br />
「あっはははははははは！！」<br />
「どわあぁ！ 日下部が壊れたぁ！！」</p>
<p>みさおはしばらく笑い続けた。よくある光景に、張り詰めていた緊張の糸が切れたのだ</p>
<p>「ははは……柊、ありがとな。少し、頭が冷えたよ……」<br />
「い、いや……そんな風には見えなかったんだけど……」</p>
<p>笑い終えたみさおはかがみの瞳を見つめる</p>
<p>「柊、もうちょっと待ってくれ。ちびっことあやのを殺した犯人、絶対に見つけるからな」</p>
<p>みさおのまっすぐな瞳を見て、かがみは頷いた</p>
<p>「そういや柊、なんのようだ？」<br />
「あ、うん。話し合って決めたんだけど、みんなで広間にいるわ。お互いを監視できれば、それはそれで安心だもの」<br />
「わかった。じゃあ、柊から二人に言っておいてくれ。みんなの部屋を調べたいから、勝手に入るぞって」<br />
「わかったわ」</p>
<p><br />
・・・</p>
<p><br />
つかさの部屋――</p>
<p>「さて、まずはここからだな。……しっかし、隣であんなことがあって気が付かないモンなのか？」</p>
<p>ぶつくさ独り言を言いながら、物色を開始する</p>
<p>「まあ柊の話だと、アイツ抜けてるらしいし……ん？」</p>
<p>部屋の隅に赤い箱を発見、開けてみるとスパナやハンマー、どうやら工具箱のようだ</p>
<p>「なんでこんなとこに……って、これはテグスか？」</p>
<p><br />
・・・</p>
<p><br />
みゆきの部屋――</p>
<p>「さて、次は高良の部屋だな」</p>
<p>着くや否や、早速部屋を調べ始める</p>
<p>「っても、そんなホイホイ証拠が出るワケが……」</p>
<p>そう言いながらベッドの下を覗き込んだ時、部屋の光に反射して光を放つものが見えた。引っ張りだしてみると、</p>
<p>「！ これは……ボーガンじゃん！！」</p>
<p>そのボーガンを持ったままドアに目をやる</p>
<p>「高良……まさか……」</p>
<p><br />
・・・</p>
<p><br />
かがみの部屋――</p>
<p>「んだよ……ここにもあんのか……」</p>
<p>かがみの部屋に着いて真っ先に調べたのはベッドの下だった<br />
すると、なんとそこからもボーガンが見つかったのだ</p>
<p>「つーことは、ボーガンは全部の部屋に備え付けられてるのかよ……」</p>
<p>嘆息しながらも証拠となり得るものを探す。が、最初のボーガン以外に見つからなかった</p>
<p><br />
・・・</p>
<p><br />
「……さて、結局戻って来ちまったか……」</p>
<p>みさおはこなたの部屋に戻ってきた<br />
部屋の穴に目をやる。飛び散ったこなたの血液に、何か紐のような跡が付いていた、あの穴である</p>
<p>「う～ん……多分こうしたんだろうけど、これなら犯人は誰でも……」</p>
<p>部屋の中を行ったり来たりして考える</p>
<p>「……ダメだ！ 埒が開かねぇ！！」</p>
<p><br />
気分転換も必要だ、みさおは窓を開けて外の空気を吸う。外はまだ薄暗く、何があるのかよくわからない<br />
懐中電灯を地面に向けて照らすと、そこは白く覆われていた</p>
<p>「ん、いつの間にか雪が降ってたのか。気付かなかったゼ」</p>
<p>まだ四月上旬、しかもここは山奥だ。雪が降ってもおかしくはない<br />
よく見てみると、木の右側に雪が集中している。ついさっきまでは吹雪いていたのだろう</p>
<p>「……ん？ なんだありゃ？」</p>
<p>みさおが懐中電灯を向けた先には、黒光りする謎の物体。よく見ると、雪のなかにボーガンが埋まっていた</p>
<p>「ボーガン……？ なんであんなところに……誰かが落としたのか……？」</p>
<p>前述したように、ここは山奥だ。漁師のような職業の人が無くしたとしてもおかしくはない</p>
<p>「……待てよ？ それはあり得ない！ ということは……！」</p>
<p>部屋を飛び出すと、また全員の部屋を調べ始めた<br />
そして、最後に調べた自室から出てきたみさおはあごに手をやる</p>
<p>「外に捨てられたボーガン……穴の血にあった紐のような跡……そして……」</p>
<p>ぶつぶつと呟き、状況を整理していく</p>
<p>「ダメだ……あれがある限り、犯人とは言えな……？」</p>
<p>待てよ？ と言って、みさおはこの屋敷に来てからの出来事を思い出す</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>「そうか……そういうことだったのか……！」</p>
<p>拳を握りしめ、階段を降りていく</p>
<p>「あ、日下部！！」<br />
「どうでした？ 」<br />
「……ああ、バッチリだよ」<br />
『！！』</p>
<p>日下部の言葉に、三人の顔が強張った</p>
<p>「で、では……」<br />
「ああ。犯人も、密室殺人の謎もわかった」<br />
「そ、それで、犯人は誰！？」</p>
<p>かがみがみさおに詰め寄った</p>
<p>「その前に、みんな、私が誰を差しても、驚くなよ」<br />
三人の唾を飲み込む音が、広間の静寂を切り裂く</p>
<p>「ちびっこを、そして、あやのを殺した犯人……それは、アンタだよ！！！」</p>
