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「FILE.1」(2008/03/06 (木) 10:22:46) の最新版変更点
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<p>FILE.1</p>
<p>「三年生になる前にさ、みんなで旅行とかに行こうよ!」</p>
<p>そう提案したのは泉こなただった。三年生になってからだと、受験勉強で忙しくなるだろうから、今のうちにということだった</p>
<p>「そうねぇ。でもこなたは来年も勉強しなさそう」<br />
「うっ!!」<br />
「でも、いいねぇ。行こうよ!」<br />
「そうですね、時間は今しかありませんもんね」</p>
<p>満場一致で決定、加えて柊かがみのクラスの友人二人を誘い、かがみの妹、柊つかさの提案で山奥の片田舎までやってきた</p>
<p>……のだが</p>
<p>「もー!! なんだってこう嵐に会っちゃうワケ!?」<br />
「せっかくの旅行が台無しだよ~!!」</p>
<p>山道を歩いている途中に嵐に遭遇、彼女達は雨宿りできる場所を求めて走っていた</p>
<p>「あ、あそこ!! 家みたいなのがあるよ!」</p>
<p>つかさの指差す方には、木造のロッジのような家が建っていた<br />
明かりは見えないので誰も住んでいないと見え、これ幸いとばかりに建物に飛び込んだ</p>
<p>「うひゃ~、びしょ濡れだゼ~!」<br />
「うう……気持ち悪いわ……お風呂あるかしら……」</p>
<p>そう洩らすのは柊かがみの親友、日下部みさおと峰岸あやのだ<br />
二人の問には答えず、かがみは中を見渡す</p>
<p>「……誰かの所有する別荘かしら……」<br />
「だろうね。場所が場所だけに避暑地か何かかな?」</p>
<p>続いてこなたが呟く。そしていつのまにか二階にあがっていた高良みゆきが、</p>
<p>「皆さん! 部屋はちょうど六部屋あるみたいです!」<br />
「とりあえず、一人一部屋ずつ使えるわね」<br />
「ちょ、ちょっと待ってよぉ! 本当にここに泊まるの!?」</p>
<p>つかさがそう声をあげる。怖い場所がキライなつかさは、得体の知れないこの家を恐がっているようだ</p>
<p>「その通りよ。イヤなら外で野宿してなさい」<br />
「うう……そっちの方が怖いよ……」</p>
<p>つかさもしぶしぶ賛同し、とりあえず部屋決めとなった</p>
<p>入り口から見て左奥からみさお、あやの、こなた、つかさの順で、みさおの正面の部屋にかがみが、つかさの正面の部屋にみゆきが入ることとなった</p>
<p>「うっわ! 下着までびしょ濡れかよ……明日までゼッテー乾かないな……」</p>
<p>みさおは自室でそうぼやいていた。まあ、明日が晴れるかどうかもわからないのだが……<br />
着替えるのはお風呂の後にして、自室のストーブを付ける。幸い電気はちゃんと通っている</p>
<p>「みさちゃん」</p>
<p>突然、あやのの声が聞こえた、びっくりして辺りを見回すと……</p>
<p>「こっちこっち」<br />
「あらら、穴が開いてんじゃん」</p>
<p>隣の部屋との壁に小さな穴が開いていて、その穴からあやのが喋りかけてきたのだ</p>
<p>「よく見ると穴ばっかじゃん。覗かれたらまずいよなー」<br />
「でも、今は女の子しかいないからいいじゃない」<br />
「まあ、そうだけどさ」</p>
<p>『みんなー! お風呂沸いたよー!』</p>
<p>聞こえてきたこなたの声。二人は穴からお互いを見て、</p>
<p>「まずはお風呂の順番を決めないとね」<br />
「ああ、みんなを呼ぼうぜ!」</p>
<p>二人は同時に部屋から飛び出した</p>
<p> </p>
<p> </p>
<p>(さあ……始めようか……)</p>
<p>その頃、部屋の一室で一人の少女が不気味な笑みを浮かべていた――</p>