「ID:NI4jWhQ0氏:泉こなたの○○」の編集履歴（バックアップ）一覧はこちら
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<p> “それ”は、全宇宙に広がる情報の海から生まれた、肉体を持たぬ情報生命体だった。<br>
宇宙開闢と同時に誕生し、<br>
膨張し、<br>
拡大し、<br>
巨大化し、<br>
観察してきた。</p>
<p> 何時しか自我をもった“それ”は、だが特に自ら行動することなく、やはり傍観者に徹したまま、更に何十億年もの時を過ごし続けた。<br>
そして100億年を幾らか越えた頃、“それ”は某銀河系の某有機生命体が発した、とある情報に興味を持った。 ……それは、“それ”が生まれて初めてのことだった。<br>
<br>
『かったるい』</p>
<p> その情報に、“それ”は大いなる衝撃を受けた。<br>
その“言葉”は、まさしく今の“それ”の状態を、的確に表していた。<br>
生まれて初めての感情、興奮が“それ”を支配する。<br>
が、次の瞬間、“それ”は激しい欝――これもやはり初めての感情だ――に襲われた。</p>
<p> ――我は、一体何時までこんなことやってなければならぬのだ……orz</p>
<p> 『かったるい』を会得したが故に、“それ”は気付いてしまった、気付かされてしまった。<br>
……これから永遠に等しい時間を、こうやってただ過ごしていくことの馬鹿馬鹿しさに。<br>
が、次なる情報が、“それ”を欝の底から救い出した。</p>
<p> 『また～り』</p>
<p> そのコペルニクス的転回に、“それ”は驚愕する。</p>
<p> ――でかるちゃー（←既に感化され始めている）</p>
<p> 次から次への『未知との遭遇』、もたらされる激しい感情――その全てが生まれて130余億年、初めての経験である。</p>
<p> ――やらないか。</p>
<p> “それ”は決断した。<br>
この素晴らしき情報を創り出した生命体をより深く観察すべく、己が分身を送り込むことを。</p>
<p> …………</p>
<p> …………</p>
<p> …………</p>
<p>「――だから、私はここにいる。<br>
これからの数百数千億年を、『また～り』生きていくために」</p>
<p>「ちょっ、何でそれで私の所に来るのよ！？」</p>
<p> 心外だ、と言わんばかりにかがみは声を上げる。<br>
……や、いろいろと突っ込みたい所はある。<br>
が、それにしても、だ。何故そこで自分に白羽の矢が立ったのだろう？他に適任なヤツがいるのではないか？<br>
たとえば、こなたとかこなたとか……</p>
<p>「もちろん、観察対象は泉こなた……というか、泉家」</p>
<p>「……怒るわよ？」</p>
<p> からかわれたと思い、かがみは拳を握る。</p>
<p>「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」</p>
<p>「はあ？」</p>
<p>「『かがみんは私の嫁』」</p>
<p>「……いや、あれ冗談だから」</p>
<p> でいうか、そう信じたい。全力で。</p>
<p>「あなたの協力が必要」</p>
<p>「そ、そんなことを言われても……」</p>
<p>「ちなみに、拒否権は無い」</p>
<p>「何でよっ！？」</p>
<p>「助けた」</p>
<p>「う゛……」</p>
<p> そうだ、そうだった……<br>
ああ、こいつが只の電波女だったら、とっとと叩きだせるのにっ！</p>
<p> そう内心で歯噛みすると、かがみは目の前の女――永森やまとを睨み付けた。</p>
