「ID:x4Z4FESO氏:こなたんゲットだぜ」の編集履歴（バックアップ）一覧はこちら
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<p> いつからだっただろうか……、こなたの顔を直に見れなくなったのは……。<br>
いつからだっただろうか……、こなたの事を思うと胸が熱くなったのは……。<br>
これは恋なのだろうか？ いや、まさか、女の子同士でそれはない。顔が見れないのはきっと、こなたの顔が面白いからで……胸が熱くなるのはきっと……。</p>
<p>「……はぁ～」</p>
<p> 変な言い訳はよそう、私はこなたが好きだ。超が付くほど大好きだ。思えばあれは一週間前……。</p>
<p> </p>
<p>「はい、かがみん」<br>
「これは？」<br>
「やだなぁ、今日はバレンタインだよ？ 女の子が好きな子にチョコをあげる日」<br>
「なっ……好きな子！？」<br>
「あはは☆ なに真に受けてんのさ。この間良いカカオが手に入ってね、ちょうど良い時期だし、試しに作ってみたんだよ。つかさにもあるよ～」<br>
「わ～い、ありがとうこなちゃん」</p>
<p> </p>
<p> あれ以来、何故かこなたの事を意識し始める様になってしまった……。こなたが冗談で言ったって分かっているのに関わらずだ。</p>
<p>「はぁ～……」<br>
「お？ どうしたんだ柊～、溜め息なんか付いちゃって。お前はオッサンか～」</p>
<p> 日下部が横でうるさい。人の気も知らないで……。</p>
<p>「あんたには一生わからない悩みよ」<br>
「な、なんだよそれー！ あやのー、柊が虐めるよー」<br>
「あなたはだあれ？」<br>
「ガーン」</p>
<p> 少し落ち着こう。トイレにでも行ってすっきりしたい。</p>
<p>「おーい、柊ぃー！ あやのの記憶が……って柊ぃー！？」</p>
<p> 後ろで何か聞こえたが、無視する事にした。今は私の事で精一杯よ……。</p>
<p> </p>
<p>＊</p>
<p> </p>
<p> この想い、伝えるべきか……でもそんなことしたら、こなたはどう思うだろうか？ やっぱり冗談として見られちゃうのかな？<br>
そんな事を考えているときだった。</p>
<p>「痛っ！」</p>
<p> 頭に何かが当たった。上から落ちて来た？</p>
<p>「ったく、なんなのよ……って」</p>
<p> その物体を見て、私は言葉を失った。それは私が小学生だった頃に見た覚えのある物、どうやっても絶対に手に入れる事は出来ない物だったからだ。</p>
<p>「これって……マスターボール？」</p>
<p> それは私が小学生の頃、夢中でやってたゲームに出てくるアイテムだ。<br>
捕獲率１００％で一回キリの幻のアイテム。その珍しさから、子供の頃は現実には無いということを知らなくて、よくお父さんに欲しい欲しいってお願いしてたっけ……。<br>
それが今、私の目の前に落ちている。</p>
<p>「…………」</p>
<p> 私はそれを拾う。捕獲率１００％……。人間にも有効？ いや、なに考えてるんだ私！ そんな事したら犯罪だって！</p>
<p>「でも……」</p>
<p>
もし、これでこなたを捕まえたら……こなたは一生私の物。変な悩みも無くなる……。こなたを一生愛せる。こなたと一生を過ごせる。誰にもこなたを盗られない。こなたこなたこなたこなたこなたこなたこなたこなた……。</p>
<p> 気がついたら、私は走っていた。そしてたどり着いたのは３―Ｂ、こなたの居る教室。<br>
私の勢いは止まらず、ガラッ、とドアを開ける。</p>
<p> </p>
<p>「ん？ おいもう授業始まるで、自分の教室に戻っとき」</p>
<p> 私はずんずんと、こなたの前に立ちはだかる。</p>
<p>「コラ、柊！ もうチャイム鳴った……」<br>
「黙りなさい」<br>
「す……すまん……」</p>
<p> 相手が先生だろうと関係なかった。見なさい、私の一言で萎縮してるわ。今の私なら何だって出来る、そんな気がした。</p>
<p>「かがみ……？ 息が荒いよ、どうしたの？」</p>
<p> 愛おしいこなた……。もうすぐあんたは私の物よ。</p>
<p>「こなた」<br>
「はい！」</p>
<p> そんなに固くならなくても良いのに……。緊張してるのね♪</p>
<p>「放課後、体育館の裏に来なさい」<br>
「え、う……うん。わかったよ」<br>
「じゃ」</p>
<p> それだけ伝えると、私は教室を出た。それにしても、なんであんなに怯えてたのかしら？</p>
<p> </p>
<p> 放課後、こなたを待つこと１分３２秒……遅いわね。３３、３４、３５……。</p>
<p>「か、かがみ……待った？」<br>
「別に、今来たとこ」</p>
<p> こなたが物影からひょっこり顔を出し、訪ねてくる。あぁ、もうなんて可愛いのかしら！！</p>
<p><br>
「あのさ、かがみ……私かがみに何かしたかな？」<br>
「何を勘違いしてるのか知らないけど、そういうのじゃないわよ」<br>
「え？ じゃあ……」</p>
<p> だめ……もう我慢できない……！ 私はポケットからマスターボールを取り出す。</p>
<p>「へ？ なにそれ？」<br>
「こなた……ゲットよ」</p>
<p> こなたに向かって投げ付ける。ゴメンこなた、痛いのは最初だけだからぁ！！</p>
<p>「痛っ！」<br>
「よしっ！」</p>
<p> 後はボールに入って……。</p>
<p>「なにすんだよ～、かがみ」<br>
「あれ？」</p>
<p> おかしいな、捕獲率１００％の筈なのに……。</p>
<p>「って、これってもしかしてマスターボール？ なんでこんな”おもちゃ”を」<br>
「へ？ おもちゃ？」</p>
<p> おもちゃ……、おもちゃ！？</p>
<p>「ちょっと待ってかがみ、その反応……まさかこれをゲームと同じ物だと思ってない？」<br>
「な……なにを……」<br>
「だって、『こなたゲットよ』とか言って私に投げたよね」<br>
「そ…それは……」<br>
「かがみ？」<br>
「あ、あっはは！ 私そろそろバイトに行かなきゃ！ また明日！」<br>
「バイト！？」</p>
<p> 私は全速力でその場から逃げる。さようなら私の初恋……。<br>
あぁ～、明日からどんな顔して会えば良いのよ～！！</p>
<p><br>
＊</p>
<p><br>
「……ここは」<br>
「あ、目を覚ましたよ」<br>
「大丈夫ですか？ かがみさん」</p>
<p> 保健室？ 何で……。</p>
<p>「お姉ちゃん、廊下で倒れてたんだよ？ 覚えてないの？」<br>
「廊下で……？ はっ」</p>
<p>
あの時……、頭に何か落ちて来て……。ということは、あのマスターボールを見つけた辺りから全部夢！？ うあぁ、我ながらなんて変な夢を見てしまったんだ……。</p>
<p>「も～、心配かけないでよかがみ～ん」<br>
「こ、こなた！？」<br>
「え？ そうだけど……」</p>
<p> 私は咄嗟に顔を下に向ける。やばい、心臓の鼓動が早くなる……。</p>
<p>「え？ どったのかがみ？」<br>
「ひゃ！」</p>
<p> いきなり覗き込まないでよ！ 顔が近い……、あぁ～夢で積極的だった私はどこ行ったのよ！？ 恥ずかしくて顔がまともに見れないなんて！</p>
<p>「なんか、かがみが凄い萌えキャラになってるんだけど」</p>
<p> ええい！ 迷うな私！ いつまでもうじうじしてるのは性に合わん！ この雰囲気を逃したら次はないと思いなさい！！</p>
<p>「こなた！！」<br>
「うを！？ なに？」<br>
「あの……ね……？」</p>
<p><br>
後は想像にお任せします＾＾</p>
<p><br>
「私たち完全に空気だね、ゆきちゃん」<br>
「良いんですよ、慣れてますから」</p>
<p><br>
完！！<br></p>
