「ID:UZiQPssyO氏:風呂SS~こなた諞」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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あの日から、私の幸せは音を立てて崩れていった。私だけじゃない。多分、そう君も……。
こなたがいたから、そう君の幸せはすぐに戻ってきただろうけど。
だけど……こなたはどうなのかしら……。
私がいなくて、淋しい思いをしていないかしら……。
そう思った私は、こっそりこなたの様子を見に行くことにした。
「ゆーちゃん。背中の流しあいっこしよ!」
「うん、私がお姉ちゃんの背中を洗ってあげる。」
どうやら、杞憂だったみたいね。あんなに笑って……
「多分、お父さんの好みの髪型なんじゃないかな……。」
「好みの?」
次第に会話はこなたの髪型へと移る。ふふ、それは私が死ぬ直前、そう君にお願いしたのよね。
少しでも、私に似るようにって……。切っても似てたでしょうけどね。
「好みって言うより、思い入れがあるのかも知れないね。」
「思い入れ……。」
「うん。私のお母さんの髪型にそっくりなんだよ。だからお父さんは、私の髪を切ろうとしなかったんだろうね。」
……え……?
こなた、なんだか淋しそうな顔をしてる……。
「あったかいね……。」
「そうだねぇー。」
「最近寒いよね。」
「そうだねぇー。」
「学校のもみじも真っ赤だよ。」
「そうだねぇー。」
「お姉ちゃん、おんなじ事ばっかり言ってるよ?」
「え?あ、ごめん。ちょっとボーっとしてたよ。お風呂っていつもそうしてるから……。」
「うん、私もいつもそうかも……。気持ちいいからね……。」
……そう、そうよね。
淋しくないわけ――悲しくないわけ、ないわよね。
私は、それが届くことはないと知りつつも、こなたの身体を抱き締めた。
暖かい……こなたのぬくもりが、伝わってくる。お風呂に入ってるんだから、あたりまえかな……。
……暖かい?
「……お母さん?」
「え?」
あらあら、これは大誤算だったわ……。まさか、私のぬくもりがこなたに通じたなんて……。
それに……私もこなたの……。
「お母、さん……。」
「お姉ちゃん?」
こなたったら、泣きながらゆたかちゃんに抱きついて……。
まあ、それも仕方のないことなのかもしれないわね。
こなたは人一倍、淋しさに耐えてきたんだろうな。
笑顔ではあったけれど、幸せを装っていたけど、それは表面上だけ……
「ううぅ、お母さん……。お母さん……。会いたいよ、会いたいよぉぉぉ。」
「大丈夫だよ。大丈夫だよ……。」
いいわ、今だけは、思い切り泣きなさい。気が済むまで泣きなさい。
こなたは、頑張ってきたんだもん。こういうご褒美も、たまには必要なのよ。
『少しくらい……』
「……え……?」
「お、お姉ちゃん?」
「お母さんの……声……?」
……本日二度目の大誤算だわ。
でも、この際だから、全部伝えようかしら。
『こなた、我慢ばかりしてないで、少しくらいは――』
確かに、お母さんの声が聞こえた。
『少しくらいワガママ言わないと、幸せを掴みそこねちゃうわよ――?』
そして、私に手を振るお母さんが、一瞬だけ見えて――
「うぅ……、うああああああああ!!!」
「うわぁ! お姉ちゃん!」
私はまた、ゆーちゃんに抱きついた。今度は、号泣しながら。
淋しさ、っていうのもあったんだろうけど、お母さんに会えた嬉しさもあったんだろうな。
別にいいよね。思い切り泣いても。見てるのはゆーちゃんと……お母さんだけなんだから。
「ううっ、ひっぐ! うあああ!!」
「……お姉ちゃん……」
ゆーちゃんも、私を抱き返してくれた。
ゆーちゃんだけじゃない。多分、お母さんも私を……。
そういえば、最後に号泣したのっていつ頃だろう?
すすり泣きをすることはたまにあったけど、号泣は、多分なかったと思う。
小中学校の卒業式っていっても、友達いなかったし、特に思い入れもなかったし……。
そういう意味でも、今年は特別な年になりそうだ。
友達もたくさんできたし、チアダンスもやったんだし。
だから……。
「みゆきさん、ここはこれで大丈夫?」
「はい、ちゃんとあってますよ。」
「あんた、どういう風の吹き回し? 自分で勉強してるなんて……。」
「いやー、たまにはちゃんと自分でやらないと……ってね。」
「偉いねぇ、こなちゃん。」
「いやー、つかさじゃあるまいし。」
「なにーっ!?」
これは、今まで迷惑を掛けてきた三人への恩返し。
卒業式の日は、また違った意味で迷惑を掛けちゃうだろうから……ね。
それで今までの分が帳消しになるわけじゃないけど、私が三人にできることをたくさんしていくつもり。
親友って認めてもらったんだ。やっぱり持ってもらってばかりじゃダメだから。
というわけで、『その日』はよろしくね? 三人とも……。
関連作品
http://www34.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/587.html『風呂ssそうじろう編』
http://www34.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/586.html『幻想(ゆめ)への回帰』
http://www34.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/584.html『風呂ssゆたか編』
あの日から、私の幸せは音を立てて崩れていった。私だけじゃない。多分、そう君も……。
こなたがいたから、そう君の幸せはすぐに戻ってきただろうけど。
だけど……こなたはどうなのかしら……。
私がいなくて、淋しい思いをしていないかしら……。
そう思った私は、こっそりこなたの様子を見に行くことにした。
「ゆーちゃん。背中の流しあいっこしよ!」
「うん、私がお姉ちゃんの背中を洗ってあげる。」
どうやら、杞憂だったみたいね。あんなに笑って……
「多分、お父さんの好みの髪型なんじゃないかな……。」
「好みの?」
次第に会話はこなたの髪型へと移る。ふふ、それは私が死ぬ直前、そう君にお願いしたのよね。
少しでも、私に似るようにって……。切っても似てたでしょうけどね。
「好みって言うより、思い入れがあるのかも知れないね。」
「思い入れ……。」
「うん。私のお母さんの髪型にそっくりなんだよ。だからお父さんは、私の髪を切ろうとしなかったんだろうね。」
……え……?
こなた、なんだか淋しそうな顔をしてる……。
「あったかいね……。」
「そうだねぇー。」
「最近寒いよね。」
「そうだねぇー。」
「学校のもみじも真っ赤だよ。」
「そうだねぇー。」
「お姉ちゃん、おんなじ事ばっかり言ってるよ?」
「え?あ、ごめん。ちょっとボーっとしてたよ。お風呂っていつもそうしてるから……。」
「うん、私もいつもそうかも……。気持ちいいからね……。」
……そう、そうよね。
淋しくないわけ――悲しくないわけ、ないわよね。
私は、それが届くことはないと知りつつも、こなたの身体を抱き締めた。
暖かい……こなたのぬくもりが、伝わってくる。お風呂に入ってるんだから、あたりまえかな……。
……暖かい?
「……お母さん?」
「え?」
あらあら、これは大誤算だったわ……。まさか、私のぬくもりがこなたに通じたなんて……。
それに……私もこなたの……。
「お母、さん……。」
「お姉ちゃん?」
こなたったら、泣きながらゆたかちゃんに抱きついて……。
まあ、それも仕方のないことなのかもしれないわね。
こなたは人一倍、淋しさに耐えてきたんだろうな。
笑顔ではあったけれど、幸せを装っていたけど、それは表面上だけ……
「ううぅ、お母さん……。お母さん……。会いたいよ、会いたいよぉぉぉ。」
「大丈夫だよ。大丈夫だよ……。」
いいわ、今だけは、思い切り泣きなさい。気が済むまで泣きなさい。
こなたは、頑張ってきたんだもん。こういうご褒美も、たまには必要なのよ。
『少しくらい……』
「……え……?」
「お、お姉ちゃん?」
「お母さんの……声……?」
……本日二度目の大誤算だわ。
でも、この際だから、全部伝えようかしら。
『こなた、我慢ばかりしてないで、少しくらいは――』
確かに、お母さんの声が聞こえた。
『少しくらいワガママ言わないと、幸せを掴みそこねちゃうわよ――?』
そして、私に手を振るお母さんが、一瞬だけ見えて――
「うぅ……、うああああああああ!!!」
「うわぁ! お姉ちゃん!」
私はまた、ゆーちゃんに抱きついた。今度は、号泣しながら。
淋しさ、っていうのもあったんだろうけど、お母さんに会えた嬉しさもあったんだろうな。
別にいいよね。思い切り泣いても。見てるのはゆーちゃんと……お母さんだけなんだから。
「ううっ、ひっぐ! うあああ!!」
「……お姉ちゃん……」
ゆーちゃんも、私を抱き返してくれた。
ゆーちゃんだけじゃない。多分、お母さんも私を……。
そういえば、最後に号泣したのっていつ頃だろう?
すすり泣きをすることはたまにあったけど、号泣は、多分なかったと思う。
小中学校の卒業式っていっても、友達いなかったし、特に思い入れもなかったし……。
そういう意味でも、今年は特別な年になりそうだ。
友達もたくさんできたし、チアダンスもやったんだし。
だから……。
「みゆきさん、ここはこれで大丈夫?」
「はい、ちゃんとあってますよ。」
「あんた、どういう風の吹き回し? 自分で勉強してるなんて……。」
「いやー、たまにはちゃんと自分でやらないと……ってね。」
「偉いねぇ、こなちゃん。」
「いやー、つかさじゃあるまいし。」
「なにーっ!?」
これは、今まで迷惑を掛けてきた三人への恩返し。
卒業式の日は、また違った意味で迷惑を掛けちゃうだろうから……ね。
それで今までの分が帳消しになるわけじゃないけど、私が三人にできることをたくさんしていくつもり。
親友って認めてもらったんだ。やっぱり持ってもらってばかりじゃダメだから。
というわけで、『その日』はよろしくね? 三人とも……。