ID:UZiQPssyO氏:風呂SS~こなた諞

「ID:UZiQPssyO氏:風呂SS~こなた諞」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

ID:UZiQPssyO氏:風呂SS~こなた諞」(2007/12/02 (日) 00:03:12) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

 あの日から、私の幸せは音を立てて崩れていった。私だけじゃない。多分、そう君も……。  こなたがいたから、そう君の幸せはすぐに戻ってきただろうけど。  だけど……こなたはどうなのかしら……。  私がいなくて、淋しい思いをしていないかしら……。  そう思った私は、こっそりこなたの様子を見に行くことにした。 「ゆーちゃん。背中の流しあいっこしよ!」 「うん、私がお姉ちゃんの背中を洗ってあげる。」  どうやら、杞憂だったみたいね。あんなに笑って…… 「多分、お父さんの好みの髪型なんじゃないかな……。」 「好みの?」  次第に会話はこなたの髪型へと移る。ふふ、それは私が死ぬ直前、そう君にお願いしたのよね。  少しでも、私に似るようにって……。切っても似てたでしょうけどね。 「好みって言うより、思い入れがあるのかも知れないね。」 「思い入れ……。」 「うん。私のお母さんの髪型にそっくりなんだよ。だからお父さんは、私の髪を切ろうとしなかったんだろうね。」  ……え……?  こなた、なんだか淋しそうな顔をしてる……。 「あったかいね……。」 「そうだねぇー。」 「最近寒いよね。」 「そうだねぇー。」 「学校のもみじも真っ赤だよ。」 「そうだねぇー。」 「お姉ちゃん、おんなじ事ばっかり言ってるよ?」 「え?あ、ごめん。ちょっとボーっとしてたよ。お風呂っていつもそうしてるから……。」 「うん、私もいつもそうかも……。気持ちいいからね……。」  ……そう、そうよね。  淋しくないわけ――悲しくないわけ、ないわよね。  私は、それが届くことはないと知りつつも、こなたの身体を抱き締めた。  暖かい……こなたのぬくもりが、伝わってくる。お風呂に入ってるんだから、あたりまえかな……。  ……暖かい? 「……お母さん?」 「え?」  あらあら、これは大誤算だったわ……。まさか、私のぬくもりがこなたに通じたなんて……。  それに……私もこなたの……。 「お母、さん……。」 「お姉ちゃん?」  こなたったら、泣きながらゆたかちゃんに抱きついて……。  まあ、それも仕方のないことなのかもしれないわね。  こなたは人一倍、淋しさに耐えてきたんだろうな。  笑顔ではあったけれど、幸せを装っていたけど、それは表面上だけ…… 「ううぅ、お母さん……。お母さん……。会いたいよ、会いたいよぉぉぉ。」 「大丈夫だよ。大丈夫だよ……。」  いいわ、今だけは、思い切り泣きなさい。気が済むまで泣きなさい。  こなたは、頑張ってきたんだもん。こういうご褒美も、たまには必要なのよ。 『少しくらい……』 「……え……?」 「お、お姉ちゃん?」 「お母さんの……声……?」  ……本日二度目の大誤算だわ。  でも、この際だから、全部伝えようかしら。 『こなた、我慢ばかりしてないで、少しくらいは――』  確かに、お母さんの声が聞こえた。  『少しくらいワガママ言わないと、幸せを掴みそこねちゃうわよ――?』  そして、私に手を振るお母さんが、一瞬だけ見えて―― 「うぅ……、うああああああああ!!!」 「うわぁ! お姉ちゃん!」  私はまた、ゆーちゃんに抱きついた。今度は、号泣しながら。  淋しさ、っていうのもあったんだろうけど、お母さんに会えた嬉しさもあったんだろうな。  別にいいよね。思い切り泣いても。見てるのはゆーちゃんと……お母さんだけなんだから。 「ううっ、ひっぐ! うあああ!!」 「……お姉ちゃん……」  ゆーちゃんも、私を抱き返してくれた。  ゆーちゃんだけじゃない。多分、お母さんも私を……。  そういえば、最後に号泣したのっていつ頃だろう?  すすり泣きをすることはたまにあったけど、号泣は、多分なかったと思う。  小中学校の卒業式っていっても、友達いなかったし、特に思い入れもなかったし……。  そういう意味でも、今年は特別な年になりそうだ。  友達もたくさんできたし、チアダンスもやったんだし。  だから……。 「みゆきさん、ここはこれで大丈夫?」 「はい、ちゃんとあってますよ。」 「あんた、どういう風の吹き回し? 自分で勉強してるなんて……。」 「いやー、たまにはちゃんと自分でやらないと……ってね。」 「偉いねぇ、こなちゃん。」 「いやー、つかさじゃあるまいし。」 「なにーっ!?」  これは、今まで迷惑を掛けてきた三人への恩返し。  卒業式の日は、また違った意味で迷惑を掛けちゃうだろうから……ね。  それで今までの分が帳消しになるわけじゃないけど、私が三人にできることをたくさんしていくつもり。  親友って認めてもらったんだ。やっぱり持ってもらってばかりじゃダメだから。  というわけで、『その日』はよろしくね? 三人とも……。
関連作品 http://www34.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/587.html『風呂ssそうじろう編』 http://www34.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/586.html『幻想(ゆめ)への回帰』 http://www34.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/584.html『風呂ssゆたか編』  あの日から、私の幸せは音を立てて崩れていった。私だけじゃない。多分、そう君も……。  こなたがいたから、そう君の幸せはすぐに戻ってきただろうけど。  だけど……こなたはどうなのかしら……。  私がいなくて、淋しい思いをしていないかしら……。  そう思った私は、こっそりこなたの様子を見に行くことにした。 「ゆーちゃん。背中の流しあいっこしよ!」 「うん、私がお姉ちゃんの背中を洗ってあげる。」  どうやら、杞憂だったみたいね。あんなに笑って…… 「多分、お父さんの好みの髪型なんじゃないかな……。」 「好みの?」  次第に会話はこなたの髪型へと移る。ふふ、それは私が死ぬ直前、そう君にお願いしたのよね。  少しでも、私に似るようにって……。切っても似てたでしょうけどね。 「好みって言うより、思い入れがあるのかも知れないね。」 「思い入れ……。」 「うん。私のお母さんの髪型にそっくりなんだよ。だからお父さんは、私の髪を切ろうとしなかったんだろうね。」  ……え……?  こなた、なんだか淋しそうな顔をしてる……。 「あったかいね……。」 「そうだねぇー。」 「最近寒いよね。」 「そうだねぇー。」 「学校のもみじも真っ赤だよ。」 「そうだねぇー。」 「お姉ちゃん、おんなじ事ばっかり言ってるよ?」 「え?あ、ごめん。ちょっとボーっとしてたよ。お風呂っていつもそうしてるから……。」 「うん、私もいつもそうかも……。気持ちいいからね……。」  ……そう、そうよね。  淋しくないわけ――悲しくないわけ、ないわよね。  私は、それが届くことはないと知りつつも、こなたの身体を抱き締めた。  暖かい……こなたのぬくもりが、伝わってくる。お風呂に入ってるんだから、あたりまえかな……。  ……暖かい? 「……お母さん?」 「え?」  あらあら、これは大誤算だったわ……。まさか、私のぬくもりがこなたに通じたなんて……。  それに……私もこなたの……。 「お母、さん……。」 「お姉ちゃん?」  こなたったら、泣きながらゆたかちゃんに抱きついて……。  まあ、それも仕方のないことなのかもしれないわね。  こなたは人一倍、淋しさに耐えてきたんだろうな。  笑顔ではあったけれど、幸せを装っていたけど、それは表面上だけ…… 「ううぅ、お母さん……。お母さん……。会いたいよ、会いたいよぉぉぉ。」 「大丈夫だよ。大丈夫だよ……。」  いいわ、今だけは、思い切り泣きなさい。気が済むまで泣きなさい。  こなたは、頑張ってきたんだもん。こういうご褒美も、たまには必要なのよ。 『少しくらい……』 「……え……?」 「お、お姉ちゃん?」 「お母さんの……声……?」  ……本日二度目の大誤算だわ。  でも、この際だから、全部伝えようかしら。 『こなた、我慢ばかりしてないで、少しくらいは――』  確かに、お母さんの声が聞こえた。  『少しくらいワガママ言わないと、幸せを掴みそこねちゃうわよ――?』  そして、私に手を振るお母さんが、一瞬だけ見えて―― 「うぅ……、うああああああああ!!!」 「うわぁ! お姉ちゃん!」  私はまた、ゆーちゃんに抱きついた。今度は、号泣しながら。  淋しさ、っていうのもあったんだろうけど、お母さんに会えた嬉しさもあったんだろうな。  別にいいよね。思い切り泣いても。見てるのはゆーちゃんと……お母さんだけなんだから。 「ううっ、ひっぐ! うあああ!!」 「……お姉ちゃん……」  ゆーちゃんも、私を抱き返してくれた。  ゆーちゃんだけじゃない。多分、お母さんも私を……。  そういえば、最後に号泣したのっていつ頃だろう?  すすり泣きをすることはたまにあったけど、号泣は、多分なかったと思う。  小中学校の卒業式っていっても、友達いなかったし、特に思い入れもなかったし……。  そういう意味でも、今年は特別な年になりそうだ。  友達もたくさんできたし、チアダンスもやったんだし。  だから……。 「みゆきさん、ここはこれで大丈夫?」 「はい、ちゃんとあってますよ。」 「あんた、どういう風の吹き回し? 自分で勉強してるなんて……。」 「いやー、たまにはちゃんと自分でやらないと……ってね。」 「偉いねぇ、こなちゃん。」 「いやー、つかさじゃあるまいし。」 「なにーっ!?」  これは、今まで迷惑を掛けてきた三人への恩返し。  卒業式の日は、また違った意味で迷惑を掛けちゃうだろうから……ね。  それで今までの分が帳消しになるわけじゃないけど、私が三人にできることをたくさんしていくつもり。  親友って認めてもらったんだ。やっぱり持ってもらってばかりじゃダメだから。  というわけで、『その日』はよろしくね? 三人とも……。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。