ID:j1gRIwPg0氏:好きなわけ

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ー好きなわけー 「こなちゃんってチョココロネ好きだよね~」 「て言うかそれしか食べてないわよね。あんた。身体持つわけ?」 「まぁね。身体が小さい分、胃も小さいみたいで」 「こなちゃんのコロネ好き、いつからなの?」 「ん~、言われてみればいつからだろ?小さい時から好きだった気もするけど・・・」 今から10数年前、泉家。 そうじろうが1人、台所に立っていた。 「これからは俺1人でこなたを育てなきゃならんからな。料理もしっかり出来る様にならないと」 かなたを亡くして数年、いつまでもくよくよはしていられない。 少しでも美味しい物を作れる様、そうじろうは日々研究を重ねていた。 「次のおやつは・・・よし!これだ」 そうじろう初の試み、パン作り。 右も左もわからない、まさに0からのスタートだった。 試作、失敗、試作、失敗の繰り返し。 加減の悪さに半ば苛つきながらも、遂にひとつの形が完成した。 「どれ、試食。あむ。・・・ん~、どうなんだろ」 微妙。悪くはない気もするが何かが足りない。そんな感じ。 「本の通りに作ったんだけどな~」 何かが足りない、何かが違うのどうどう廻り。 しかも何がおかしいのかがわからない。 「こなた、ちょっとコレ、食べてみてくれ。・・・どうだ?美味しいか?」 こなたは渋い顔をして呟いた。 「おとーさん、コレ、にがいよ」 苦い・・・よくよく見てみたら、パンに詰まれたチョコはビター。 元より子供向けではなかった。 更に改良を加えること数日。 「こなた、今度はどうだ?」 「あむ・・・あむ・・・おいしい!おいしいよ!おとうさん!」 そうじろう特製、チョココロネの完成であった。 小さなこなたの定番おやつ、チョココロネ。 チョコが入っているのが面白い、チョコが甘くて美味しい。 こなた大満足の一品。 今こなたが食べているものの半分、更にその半分くらいのミニコロネ。 こなたは毎日の様にねだり、拵えてもらった、父の味。 でももう、殆ど覚えていない。 曖昧な思い出。曖昧な味。      「でもさ、昔食べたのはもっと美味しかった気がするんだよね。あ~んむ」 市販品では到底味わえない絆の味。 かすれた記憶の父の味。 「どんなんだったか、また食べてみたいな」 ーおわりー

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