ID:xJHYfO7a0氏:今あるかなた

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久しぶりに熱をだした。知恵熱ってヤツか? 365日知恵を絞っているんだ。今更知恵熱ってのもないよなwww こなたは学校へ。今は俺一人、なんて事はない。いつもの事。まさに日常。 しかしこの状況は果てしなくしんどい。看護されたい…ふと思った時、玄関の開く音がした。 「ただいま~」 あれ?まだお昼になってないだろ?こなたのヤツ、早引きしてきたのか? 「あ、いた。そうくん。大丈夫?風邪?」 そうくん…そう呼ばれるの10何年ぶりかな。俺はゆっくり目を開けてみる。 「わざわざ帰って来てくれたのか?こなた…」 霞かかった視界に、あいつの顔が見えてきた。あれ? 「残念♪こなたじゃないよ」 そう言うこなた?の顔にはホクロがなくて、それはまるで… 「心配になって来ちゃった♪ご飯食べた?おじや作ろうと思ったんだけど…」 傍らにはスーパーの袋、ちょwwwおまwww遂にお迎え?www その、かなた?は台所にすたすた歩いていき 「いつの間にか消費税変わってたんだね。焦っちゃった♪」 食事の準備をしているらしい。 これは白昼夢?マジでお迎え?…かなたになら、迎えられても… 「お迎えとか考えてないよね?そうくんはまだまだ、私の分も生きてもらわなきゃ」 …じゃあこれは幸せな夢、と言うことなのかな…。 「私の写真、飾ってくれてたんだね。嬉しい…」 当然じゃないか、忘れられないし、忘れたくもない。できれば、また… 「そうくん、デジカメの写真、消去とかお炊き上げとか、ひどいんじゃない?」 え… 「まぁ、あれは私に見えなかったもんね。私もびっくりしちゃった♪」 あれは確か、こなたにかなたの話をして… 「もし私が生きてたら、こなた、変わってたのかな?  そうくんの性格を受け継がないこなた、きっと普通の女の子、になったんだろうね」 くすっと一笑い。それと、多分火を消した音。美味しそうな匂いだ。 「おまたせ、そうくん」 お盆に土鍋とお椀を載せて、かなたが部屋に入ってくる。 かなた…本当にかなたなのか? 「まだ疑ってる。そうくん?だったらこれ、食べてみて?ふーふー。はい、あーん」 わけぎののった卵おじや、昔作ってくれたよな… 「あーん」 あるお菓子のCMが頭をよぎった。うまい!テーレッテレー♪ 目頭が熱くなるのを感じる。 この味は、俺のものでも、こなたのものでもない。これは かなたの味だ。 「そうくん?あまりの美味しさに感動してる?」 俺は確信した。理由はわからないけど、かなたはここにいる。 「美味しいよ、かなた。涙出るくらい」 俺の頬を一筋の涙が流れた。    「ありがとう、そうくん」 涙で視界が霞む。俺の目の前のかなたは、よくはる演出の半透明だったり 揺らいでいたり、そんな事は何もなくて、まるで一人の人間としている様。 おじやを頬張る俺を、微笑みながら見ている。 嬉しい様なこっ恥ずかしい様な…。 「ごちそうさま。相変わらず美味かった」 「お粗末様♪味、ほんとに覚えてた?」 「この味が出せるのはかなただけだ」 この味を食べたくて何度も挑戦したことがあった。結果はどれも惨敗。 「かなたの事だったら何だって覚えてるさ。子供の頃からな」 「もぅ…」 再び台所に向かったかなたの顔は、多分赤かったんだろう。  それから兎型に切ったりんごを持って、かなたはまたやってきた。 夫婦水入らずの時間、求めても叶わなかった時間が今、ここにあった。 既に体の不調は消えていた。意識も視界も肉体も、全てが完全に働いている、気がする。 かなたはこなたの事をよく聞いてきた。 やはり色々勝手にやらせすぎていた様だ。…少し怒られてしまった。 俺はふときいてみた。 「かなた、昔みたいに、一緒に暮らせないのか?俺は今のままでも十分。かなたと暮らしたいんだ」 うつ向き視線を落とすかなた。やはり…なのかな。 「ごめんね。私もそうしたいけど…体はあってないようなものだから。…でもまたそうくんがピンチだったら、駆け付けるよ!?」 「そっか。無理言って悪かったな。かなた、俺はお前に触れられるのか?」 「…うん」 かなたの肌は柔らかくて、体温があって、それはまるで生きている人間だった。 「その…かなた…」 「そ、そうくん。病み上がりだよ?」 「完治完了」 「そっか。…なら…」 かなたは白いワンピースを脱ぎ、久しぶりに俺の前にその姿を露にした。   あの頃と変わらないかなた。記憶にあるかなた。 小さくて、可愛くて、でもそれれがまた魅力的で。 「久しぶり…だね」 「…ほんとに…いいのか?かなた?」 「私はそうくんの奥さんなんだよ?」 そうだよな。夫婦だもんな。遠慮はいらないんだよな。んじゃ 「かなたーハァ(;´Д`:)ハァ」 数時間後 永遠なんてものはなく、やはり別れの時はやってきてしまった。 「もうタイムリミットだね」 時刻はもう夕方、学校も終る頃。 「せめて、こなたに会ってやってくれないか?」 「ごめんね。多分こなたは私を見れないし、感じられない。こなたは私の記憶、あまりないし」 記憶が存在を認識する、か。 「少し寂しいね…でも大丈夫!いつか3人で会えるわ!」 「ああ、そうだよな。それまでにこなたに思い出させなきゃな」 「うん♪」 何故かなたはやってきたのか、俺は聞けなかった。理由いらない。 かなたと時間が過ごせた、それだけで十分。 「また来てくれよ」 「うん♪また来る。だって私の家はここだもん」 後光がさしているかの様にかなたが眩しい。もう長くはないのだろう。 「そうくん、ありがとう。楽しかったよ♪」 「俺もだ」 また涙が流れてきた。人には見せたくない面だなw 後光、いや、かなたの姿が虚ろになっていく。光の粒になり、かなたが消えていく。 「またね、そうくん♪」 「おう!いってらっしゃい。寂しからって泣くなよ!」 「もう…あ、それじゃ、ばいばい、そうくん」 そしてかなたは虚空に消えた。 おじやの味、かなたの声、かなたの感触。 どれも鮮明に覚えている。 夢なんかじゃない。かなたはさっきまで俺と一緒にいたんだ。 その証拠に、俺の布団には長くて青い髪が貼り付いている。 じつは混濁した俺がこなたを…とかだったら最悪なオチだなw 今度はいつ、かなたに会えるだろうか… 5時の時報と共に玄関が開かれた。 「ただいまー、お父さん、体の具合どお?メール読んだ?」 メール?何それ?…携帯を見ると『お父さん、生きてる?何だったら早引きするよ?』 まったく。色々夢中で気付かんかったよ。 「ごめんな、こなた。寝てて気付かなかった」 「あ、お父さん…ブー!もう!ズボンくらい履いてよ!」 え?あ…色々夢中で…ね。 「は、ははははは、す、すまん。こなた」 やっちゃったぜ…。 こんな俺(達)だけど、暖かく見守ってくれ。かなた。 ー終りー  

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