めか☆生体・紫狼

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機体を薄紫色に施した柊かがみの専用機、ケーニッヒウルフ・TT。戦闘時、尾が2門の砲に変わる改造機だ。 新鋭の機狼は、静かに闇に潜み、時を待っていた。 時折センサーにかかるのは森の住民達。かがみの対峙すべき相手は、未だ影一つ現さないでいた。 暗視ゴーグルが絶え間なく状況を伝える。静寂、当たり前ながら、深夜の森は静まりかえっていた。 このルートには来ない、かがみは何度もそう思ったが、過去がその考えを容易く打ち消していく。 敵はいつ何時現れるかわからない。既に見破られている可能性すらあったのだ。 陣を敷いて半日、途切れぬ緊張、機体を隠す為、空調も最低限の働きしかしていない。 絶え間なく汗が額を流れ、インナーを濡らしていた。 「ここはサウナかっつーの!」 スーツをはたかせ、手ウチワで風を送る。 「早くきなさいよね…まったく、茹であがっちゃうわよ」 外に出て涼みたい、そんな気持ちを抑え、モニターを凝視する。定期的に時だけが過ぎていく。 ふとカメラが何かを捉えた。近付くにつれて演算機が答えを導きだしてくれる。 森に住むモノではない。モニターが出した答え、それはグスタフだった。 かがみの任務はこの地を行くグスタフの撃破と、積み荷の奪取。帝国の技術を得る事だった。 「来たわね…」 TTの由来、2門の砲がグスタフを狙う。 「いくわよ!」 爆煙を放ち、弾がグスタフの装甲を貫いた。 次弾、休む間もなく弾丸がグスタフを襲う。 屈強な装甲の持ち主も、集中砲火の前ではただの獲物でしかなかった。 接近すると、コクピットは砕け、そこは血の海だった。 「…あとは…」 コンテナに寄るウルフ。コンテナは無償であった。 「…これか」 ウルフのマシンアームがコンテナを開錠した、その時、 不意に天窓が開き、そこから何かが飛び出してきた 「えっ!?ちょ!?」 空を飛ぶ小型のゾイド、アタックゾイドだった。 「あ、あなた…」 それに乗っていたのはまだあどけない1人の少女。 「お…お姉ちゃん…共和国の人?」 ウルフの国章をみ、少女はおどおどと訪ねた。 「そう…だけど、あなたは?」 少女はひかげと名乗った。姉と共に帝国に拐われたのだと言う。 聞けば少女達の住む地区は非戦闘区域、言わば中立区とも言える場所だった。 「人拐い…穏やかじゃないわね…まあ、良いわ。あなたを保護するわね。それを後ろにのせて、あなたはこっちね」 コンテナには彼女達しかいなかった。話に聞く物はどこにも見当たらなかった。 「お姉ちゃん…」 「大丈夫よ。私達がなんとかしてあげるから」 しばらくモニターを確認するも、第2陣の来る様子はない。 「…(今ので逃げられたか?…別ルートには日下部達がいるけど…)」 「お姉ちゃん…」 「ん?あ、お腹すいてるよね。ゴメンね、今…」 振り向いてかがみは驚愕した。ひかげの体には無数の爆弾が巻かれていたのだ。 ひかげは泣いていた。泣いてかがみに銃を向けていた。 「ごめんね…ごめんね…ごめんなさい…ごめんなさい」 「ど、どういう…事よ…」 「これが…これが、私の…任務なの…」 「任務って…自爆する気?…あなた…まさか…」 「…ごめんなさい…ごめんなさい」 ふと、ひかげの指が動いた。と同時にかがみも素早く手を出した。 「あ…」 かがみの手刀がひかげの首を捉えていた。
機体を薄紫色に施した柊かがみの専用機、ケーニッヒウルフ・TT。戦闘時、尾が2門の砲に変わる改造機だ。 新鋭の機狼は、静かに闇に潜み、時を待っていた。 時折センサーにかかるのは森の住民達。かがみの対峙すべき相手は、未だ影一つ現さないでいた。 暗視ゴーグルが絶え間なく状況を伝える。静寂、当たり前ながら、深夜の森は静まりかえっていた。 このルートには来ない、かがみは何度もそう思ったが、過去がその考えを容易く打ち消していく。 敵はいつ何時現れるかわからない。既に見破られている可能性すらあったのだ。 陣を敷いて半日、途切れぬ緊張、機体を隠す為、空調も最低限の働きしかしていない。 絶え間なく汗が額を流れ、インナーを濡らしていた。 「ここはサウナかっつーの!」 スーツをはたかせ、手ウチワで風を送る。 「早くきなさいよね…まったく、茹であがっちゃうわよ」 外に出て涼みたい、そんな気持ちを抑え、モニターを凝視する。定期的に時だけが過ぎていく。 ふとカメラが何かを捉えた。近付くにつれて演算機が答えを導きだしてくれる。 森に住むモノではない。モニターが出した答え、それはグスタフだった。 かがみの任務はこの地を行くグスタフの撃破と、積み荷の奪取。帝国の技術を得る事だった。 「来たわね…」 TTの由来、2門の砲がグスタフを狙う。 「いくわよ!」 爆煙を放ち、弾がグスタフの装甲を貫いた。 次弾、休む間もなく弾丸がグスタフを襲う。 屈強な装甲の持ち主も、集中砲火の前ではただの獲物でしかなかった。 接近すると、コクピットは砕け、そこは血の海だった。 「…あとは…」 コンテナに寄るウルフ。コンテナは無償であった。 「…これか」 ウルフのマシンアームがコンテナを開錠した、その時、 不意に天窓が開き、そこから何かが飛び出してきた 「えっ!?ちょ!?」 空を飛ぶ小型のゾイド、アタックゾイドだった。 「あ、あなた…」 それに乗っていたのはまだあどけない1人の少女。 「お…お姉ちゃん…共和国の人?」 ウルフの国章をみ、少女はおどおどと訪ねた。 「そう…だけど、あなたは?」 少女はひかげと名乗った。姉と共に帝国に拐われたのだと言う。 聞けば少女達の住む地区は非戦闘区域、言わば中立区とも言える場所だった。 「人拐い…穏やかじゃないわね…まあ、良いわ。あなたを保護するわね。それを後ろにのせて、あなたはこっちね」 コンテナには彼女達しかいなかった。話に聞く物はどこにも見当たらなかった。 「お姉ちゃん…」 「大丈夫よ。私達がなんとかしてあげるから」 しばらくモニターを確認するも、第2陣の来る様子はない。 「…(今ので逃げられたか?…別ルートには日下部達がいるけど…)」 「お姉ちゃん…」 「ん?あ、お腹すいてるよね。ゴメンね、今…」 振り向いてかがみは驚愕した。ひかげの体には無数の爆弾が巻かれていたのだ。 ひかげは泣いていた。泣いてかがみに銃を向けていた。 「ごめんね…ごめんね…ごめんなさい…ごめんなさい」 「ど、どういう…事よ…」 「これが…これが、私の…任務なの…」 「任務って…自爆する気?…あなた…まさか…」 「…ごめんなさい…ごめんなさい」 ふと、ひかげの指が動いた。と同時にかがみも素早く手を出した。 「あ…」 かがみの手刀がひかげの首を捉えていた。 「自爆テロ?…あいつら、こんな小さな子に何やらしてんのよ」 刺激せぬよう爆弾を一つ一つ取り除いていく。 芯管を抜き、次第に爆弾がただの火薬の集まりになっていく。 「これで良いわよね…。あ、まさか!?」 嫌な予感を覚え、かがみは勇み足にウルフの背中に回った。 固定されたそれに爆発物センサーを這わせると、反応した。1箇所ではない。 装甲の下、至るところにそれは設置されていた。 「ちょっと…えぐすぎるわよ…これ」 気の遠くなる様な作業だった。いつしか朝日が山から顔を覗かせていた。 「…基地に帰らないと」 再びウルフに乗り、始動させる。ひかげは寝息を立てていた。 「もう…そんな年で死なないでよ…」 「お姉ちゃん…お肉…またそんな本買って…zzz」 「お姉ちゃんは…本当にいるのか…」 基地に着いて早速声をかけてきたのはみさおだった。 「ひぃらぎぃ~、その娘、お前のアレか?」 と小指を立てる。見ればみさおの頭には包帯が巻かれていた。 「あんた、それ…」 「なはははは、コクピットの中でやりあっちゃってね。迂濶だったZE!」 けらけら笑うみさおの額は血でにじんでいた。 「その娘も?」「うん…お互い無事よ?」「そっか。それは何より」 気が重い。ひかげはずっとうつ向いたままだ。 「まぁ、戦争は私達の仕事だ。子供は無理すんな。んじゃ、私は整備があるから行くな」 本作戦でコマンドウルフ3機が大破し、同乗していたパイロットは皆死亡した。いずれも子供を助けた後の惨事であった。 結局帝国の技術で得るべきモノは何もなかった。 得たのは唯一つ、子供すら爆弾にしうる冷酷さだけ。 その日、かがみは珍しく枕を濡らしながら床についた。…(紫狼・完)…

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