ID:WrNrUnGq0氏:岩崎みなみの真実

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今の時期はもう12月、後4ヶ月もこの身も凍るような寒さと共に付き合わなくて はならないと思うと俺の足も自然とスローペースになっていくというものだ。 しかしスローペースと自分で言ってこんな事言うのもおかしいが少々早く着すぎた。 時刻は7時30分始業のベルが8時45分、教室に着くまでの廊下には他の生徒の 姿はまったく見えなかった。何故俺がこんなに早く着いた理由は伏せて置く別に仕事が あるわけじゃないただ単に偶然早く起きただけの話だ。 さていつものように登校していつものように我が教室に入ろうとする俺、何せここ にしか俺の居場所は無いし他の所に行ったらクラスメートの諸君から煙たい目で見られる のはもう明らかだ、別にノックする必要も無いだろう。ここは個室でも無いクラスの教室 なのだから。 習慣化とかした手馴れた手つきでガラガラと音を立てて扉を開けたその先に待っていたの は一人の女子だった。 「――――――」 いい加減喋って欲しいものだ、この教室には俺しか居ないと思っていたのに思わぬ 不意打ちだ。ここでにらめっこをしても意味が無い。とりあえず自分の席に着く事 にした。 「・・・・・・・・。」 席に座っても何やらこちらをじろじろと見ているばかりだ、まぁこの女は元々喋らない 女子だって事はわかってるがこうも2人っきりになると妙な気分だ。 この女子の名は岩崎みなみ、緑色のショートヘアーに吊り上がった目が特徴だ。こいつは あまりにも喋らない事で有名にもなっている女子だ。まいったなこういう時どうする? 俺はこの岩崎みなみと喋った事は無い、ただのクラスメート位しか面識が無いのだ。 こうしようちらっと見よう、相手には悟られないようにこっそりとだ。 その瞬間俺は違う世界に入ってしまうような衝撃を受けた。クラスでは目立たない 存在で男子の中ではあまり異性と見られていない岩崎だが早朝の柔らかい朝日が上手い 事差し掛かって普段無愛想に思われがちな岩崎とは違う雰囲気をかもし出している。 正直に言って綺麗だ、何故こんなにも美しい女子がもっと噂にならないか― 「!」 いかんいかん俺は何を言ってるんだろうか。俺が見とれていたのを岩崎に気つくかれ てしまった。すぐさまそっぽを向いてしまった。 カチャリと音が鳴った、ドアを開け人が入って来たんだな。赤い髪のツインテール。 こんな幼児体型のこの女が高一だから人生っていうものはわからないものだ。 「岩崎さん早いね。先に着てたんだ。」 小早川ゆたか、それがこの女の名だ、確か岩崎とよくくっついているな。 小早川は俺と岩崎をきょろきょろ見て何かを考える仕草をした。まったく一々 動作が幼稚過ぎるなこの女。 「ねぇ・・・2人っきりで何してたの?」 何言ってんだこの女!・・・と言いたかったがこの状況じゃ完璧に俺の方が分が悪い だろう、お互いに顔を合わせず俯いてる男女。小早川の危機察知センサーに引っ掛かっ たんだろうね。だが無実だぞ、俺は何もしていないよな。頼むから本当の事言ってくれよ 岩崎。 「何も・・・無い・・。」 おいおい岩崎それじゃあまるで俺が無理矢理お前を脅しているようじゃないか。 「本当に?」 「本当。」 「え・・でも―」 「小早川!」 思わず俺は叫んでしまった、まずい。小早川も岩崎も驚きの表情を隠しきれてない。 この2人とはまったくといって良いほど会話した事すら無い。 「えっと・・・その・・。」 何とか言葉を振り絞る俺。 「だから・・・小早川さんが何を思ってるか分からないがとにかく俺はやましい事は していない、断じてな。わかったか。」 小早川は少し間を置き、 「・・・・うん。」 と一言、まったくわかってるのかね? それから始業のベルが鳴り授業が始まった、ほんの数分だが岩崎と過ごした時間は 何か夢みたいな心地よさがあった、それが気になってか俺の心の憂鬱感がぐだぐだ して思いのほか晴れないのだ。しかしここで色々考えてみる。 ひょっとして岩崎と2人っきりで過ごした男子はひょっとして俺だけかもしれない。 岩崎は友人の人達でさえも全然口を開かない無口女だ、同姓でも無口なのに男との 色恋沙汰にも興味が無い言い切れるだろう。 何だかんだと考えたが所詮は教室での出来事、俺がどう思おうと岩崎がどう 思ってるかわからないんだ、相手にとってはただ一緒に居た男子としか思って無いだろう。 そして放課後動いたのは岩崎だった。 大した重みの無いカバンを引っさげ家路に着こうとした時だ、岩崎が俺の前に立ちは だかったのだ、立ちはだかるだけで何も言わない、元々吊り上がった目を下に向けちらちら とこちらの様子を伺うばかり、まぁ岩崎は無口だしこっちの方から優しさを見せてやらんとね。 「もしかして・・・朝の話?」 無言でこくりと頷く岩崎。 「俺岩崎さんの気に触るような事したのか?だったら謝るけど・・・。」 「違う!」 初めて岩崎の荒げた声を聞いた、本人も後悔したのか顔を赤らめてまた俯いた。 何が違うんだ?と聞こうとした時、 「待って!ここから先岩崎さんに言わせて挙げて欲しいの!」 小早川だ。 「岩崎さんね貴方に言いたい事があるって朝の時から練習してたんだよ。」 はて?練習するほどの俺の言いたい事って一体なんだ?告白・・・な訳無いよな。 クラスの半数が消えているこの教室では騒ぎが大きくなるだけだ、こんなのは岩崎 は好まないはず。 「じゃあ頑張ってね、岩崎さん。」 小早川は早々と帰っていった、待て待てこのムードは一体なんなんだ?告白とわかってない にせよこんなにもじもじされたらこっちだって気恥ずかしくなる。永遠と思われた岩崎の沈黙 が今破られた。 「ごめん・・・なさい・・。」 聞く所によると朝の出来事を気にしていたらしく俺に詫びを入れたかったらしい。 本来ならすぐさま言うべきだが無口な岩崎が自分の方から話し掛けるなんて相当な 一大事だったのだろう。そんな一大決心をしてくれた岩崎に対して俺は 「・・・そっか・・。」 の一言しか言えなかった、こんな自分が情けなくてしょうがないよ。 だがこれで「はい、さようなら。」じゃ味気が無い、俺はそこまで冷たく無いし 折角の下校時間だ、一緒に帰る事を提案しようとした時だ。 「一緒に・・・・帰ら・・・ない・・。」 岩崎は不器用な笑顔を作り、俺は岩崎と共に家路に着く。 「・・・・・・・・。」 お互いに沈黙を作ったまま、真っ赤な夕日を背景に歩く。まさか家と同じ方向だった とはな。 「岩崎。」 岩崎はこっちに顔を向けた。 「悪いな、何かこれだと付き合ってる思われそうで・・・。」 「嫌?」 無表情なだけに岩崎のこんな悲しい表情は見ていて心に衝撃が伝わった。 元々無愛想だけだがよく見れば結構いい顔つきしているんだよな。 岩崎は決して無愛想で冷たい奴なんかじゃない、誤解されがちなこいつの裏には 柔和な愛情が込められているのは朝のあの時に何と無く感付いた、偶然が岩崎 と俺をくっつけたと思うと偶然っていうのは恐ろしくも感じる。 「あの・・・さ・・・その・・・岩崎は周りから冷たいって言われてるけど 俺は・・・その・・・・・。」 俺は何とか会話しようと思った、「岩崎は決して冷たい奴じゃないのはわかてる」と 暖かい言葉をかけてやりたかった、だがこんな時に限って気の利いた言葉さえ浮かんでこない。 この時自分の乏しい想像力を恨んだよ。 「もういい。」 「ん?」 「わかってる・・・から・・・。」 目を細めて呟いた、恐らく俺のはっきりしない態度に何と無く理解したんだろう。 やれやれ、岩崎に1本取られちまったな。 喋れない・・・か、岩崎が無口でいる気持ちもわかったような気がする。 岩崎にだって友達は居る、そいつらも言葉で伝えなくてもその気持ちだけで お互いの事をわかりあえたんだろう。 最後の最後まで俺と岩崎は喋らないままだった。でもこんなのも悪くないな。 お互い言葉以上の気持ちは通じ合ってるんだ、これでいいんだよ。 翌日、俺は前みたいに早めに行かず普通どおりに登校した。 教室に入った途端岩崎に群がっている田村、マーティン、小早川が俺をちらっと見て 岩崎に質問責めに合っていた。 「男子と一緒に帰ったなんて大胆ね、とうとう春が来たか!」 「ち・・違うよ・・そんなんじゃ・・・。」 「否定すればするほど余計怪しいですね~。」 「もう!岩崎さんが困ってるじゃない!辞めてあげなよ!」 哀れ岩崎、だがこの場は自分で乗り切らなきゃいけないぞ。 岩崎の1番苦手な言葉の攻撃を迎撃してくれる事を祈りつつ俺はそ知らぬ不利をする、 ここで止めたらそれこそ怪しまれる。 昨日あんな事があっても岩崎はいつもと変わらず無口のままだ。 いつもどおりに授業受けていつもどおり変わらない日々だ。 だがそんな日常を楽しいと思ってる俺は変じゃないよな? 終了

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