ID:CATH0djK0氏:らき☆すたのもう一つの最終回

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こなた「だからさ、ここはかがみんとつかさの援護がほしいんだよ!!」 かがみ「もう絶対コミケはいかないから!わかってんの去年のこと?」 つかさ「そだね、わたしもちょっとつらいかな・・・・」 らき☆すた・・・・ かがみ「あれ・・・・いつの間にか寝ちゃったんだ。ほらつかさ風邪引くよ」 つかさ「ふにゅ~、あれ?こなちゃん帰っちゃったの?」 かがみ「そうみたいね・・・・いつの間に私達寝ちゃったんだろ?とりあえず電話しといてやるか」 電子音「おかけになった電話番号は現在つかわれておりません・・・・」 かがみ「あ・・・あれぇ?」 らき☆すた・・・・ 通学路 かがみ「んったくおそいなあいつ、携帯はつながらないし、駅にも来ないなんて!!」 つかさ「そうだねこなちゃんどうしたのかな?」 かがみ「あいつの事だからまたゲームでもしてんじゃないの?もういいや先いこつかさ」 つかさ「ああーんまってよ~」 らき☆すた・・・・ 廊下 かがみ「じゃあね、教科書とかちゃんと持っててよ」 つかさ「うん。大丈夫だよ」 みゆき「かがみさーん、つかささーん!」 つかさ「あ、ゆきちゃんおはよー」 かがみ「おっすみゆき」 みゆき「おはようございます。今日は遅かったんですね?」 かがみ「えー待ちぼうけ食らわされたせいでね」 みゆき「はー、ところでお二人は三年階に何か御用なんですか?」 つかさ「へ?ゆきちゃん何言ってるの」 らき☆すた・・・・ 昼休み かがみ「嘘よ!だって・・・私達は昨日もこなたと遊んだのよ!」 つかさ「おねーちゃん・・・・」 みゆき「・・・・・・・・・・・・かがみさん、でも今は2006年9月なんですよ」 かがみ「嘘!」 つかさ「ゆきちゃんもこなちゃんとごはん食べたり、一緒に遊んだりしたじゃない・・・・」 みゆき「ええ、それはそうなんですが」 かがみ「じゃあ、じゃあ!やっぱり嘘なのよ。こなたは昨日まで私達と一緒にいた!今日は風邪かなんかでやすんでいるだけそれでみゆきの携帯が壊れているの!」 らき☆すた・・・・ 昼休み つかさ「お姉ちゃん!待って」 みゆき「かがみさん!行ってしまわれました・・・・」 ななこ「なんや?なんや?柊の奴泣いとったで、あんたらなんかしたんか?」 つかさ「く、黒井先生・・・・・」 みゆき「実は・・・・・・」 らき☆すた・・・・ 以降はID:YrxUwgvG0氏による続き 「おじさんなら。こなたのお父さんなら、きっと覚えているはず……。こんにちは、柊かがみです」 「……柊さん? うーん。聞き覚えのない名前だなあ」 「こなたさんの高校の友達なんですが……えっと」 「そう君。誰だったの?」 「こなた!」 「おいおい、こいつはかなた。オレの妻だよ。悪いけど、こなたって子とは別人だぞ」 「あ……目の下のホクロが無い……」 「ホクロ? そうだな。オレたちに子供が産まれたら、泣きボクロのあるかなたそっくりの美人かもな」 「美人だなんて…………あ。走って行っちゃった。なんだったのかしら?」 「さあな」 らき☆すた・・・・ 「お姉ちゃん。ご飯持って来たよ」 「……いらない。食べたくない」 「ねえ、こなたちゃんが消えたのは信じられないし、心配だけど、お姉ちゃんが身体を壊したら……」 「つかさ。あんたはまだ、こなたのことを覚えてる?」 「う、うん。忘れてないよ。ほら、何かをするにもまずは腹ごしらえって言うし、ちょっとは食べて」 「部屋の外に置いていって。後で食べるから」 「……ひとりで考え込まないでね。私だってこなたちゃんの事は心配なんだから」 「そうね」(つかさはもう、こなたの呼び方すら忘れちゃったんだ……) らき☆すた・・・・ 「なあ柊。泉のことなんやけど」 「先生。こなたのこと、覚えてるんですか!?」 「その、言い難いんやけど……あんまり考えんほうがええで」 「質問に答えてください。覚えているのか、そうでないのかを」 「あんな……ウチが若い頃も、受験が迫るとそういうこと言い出す奴がおったんや。プレッシャーでな」 「プレッシャー?」 「将来の事が不安で、自分を理解してくれる友達を作りだすっちゅうもんらしい」 「黒井先生。私は先生の体験談を聞きたいわけでは……」 「柊はまだ二年やんか。成績だって上のほうやし、友達だってぎょうさんおる。何が怖いんや?」 「…………ああ、つまり。私は病気だってことですね」 「ちゃ、ちゃうって。こんくらい誰でも通る道や。だから心配事があるならウチにでも相談を」 「結構です。ご忠告ありがとうございました。さようなら先生」 「お、おい、柊! 話はまだ……」 らき☆すた・・・・ 「まだ帰っていなかったんですね。かがみさん」 「うん……。待っていたら、あいつがひょっこり顔を出すような気がしてね」 「あいつ。ええっと、こなたさんでしたか?」 「できれば泉って呼んであげて。みゆきはこなたをそう呼んでいたから」 「泉さん、ですね。実はその泉さんのことで提案があるのですが」 「提案?」 「何かを残してはどうでしょうか。泉こなたという人が存在したという、記録のようなものを」 「日記とかに書けって事か。それは治療の一環だったりして?」 「違います。信じてはもらえないかもしれませんが、病人と決め付けて騙すような事は絶対にしません」 「知ってる。ちょっと意地悪を言ってみただけよ。それに信じられないことを言ってるのはこっちだからね」 「信じたいです。ですが、他の誰も泉さんを覚えていないのでは……」 「私だってどちらの意見が常識的かわかってる。それでも、あいつが存在したことを嘘にしたくないのよ」 「かがみさん……」 「私は間違っている。だけど覚えていてみせる。誰が忘れても、私だけはこなたのことをずっと……」 らき☆すた・・・・ こなたがいない。 春になって雪が消えるのと同じように。 桜の花は彼女の存在を奪っていった。 私の記憶は食い荒らされて、今では彼女の声も思い出せなくなっている。 それでもいい。 たとえ断片でしかないとしても、私が覚えている間は彼女は消えていないのだ。 大丈夫。私はこなたを忘れない。 それは根拠の無い自信だったけれど、彼女が完全に消えることはないと思った。 私は彼女を待ち続ける。 ただ待つだけではなく、この春からこなたが喜びそうな部活に入ることにした。 らき☆すた・・・・ 「なんとか間に合ったわ……。徹夜もして、自分で必死にコピーしてのギリギリだったけど」 「うわー、目の下のクマとかやばいですよ。大丈夫ッスか?」 「ん、なんとかね。徹夜といっても三日くらいだし」 「それにしても、先輩と知り合った頃はこうして一緒に同人活動をするなんて考えもしなかったな~」 「もう、先輩はやめてよ。ひよりちゃんのほうが同人暦では先輩なんだしさ」 「あはは。売り上げはかがみ先輩に追い抜かれちゃってるし、それに私のほうが年下ですから」 「なんだか、自分のほうが若いと言っているようにも聞こえるわね」 「い、いや。そんなつもりじゃ……。そういえば先輩の描くキャラクターって、モデルがいるんですか?」 「いないと言えばいないけど、いると言えばいるわね」 「へえ、どんな人か聞いてもいいッスか?」 「うん。実はよく思い出せないんだけどね。こなた、って名前はよく覚えてるんだけど……」 「あのー。すみません、見せてもらってもいいですか?」 「あっ、はい。どう……」 見本を読み始めたお客の少女を見て、私は言葉に詰まった。 よく思い出せない? そんな事はない。彼女がどんな顔をしていたのか思い出せるし、声もそうだ。 私達は毎日くだらない話をしていて、それがとても楽しかった。 ありふれた日常を大切にしていて、それが突然終わってしまったのが悲しかった。 高校になって自分はもう大人になったと思って以来、初めて泣いたのは彼女が消えた日。 その少女のことで、忘れているものなど何一つ無い。 だから私は迷わず彼女の名前を呼んだ。 「こなた!」 「……ただいま。かがみ」 らき☆すた・・・・ 「だからさ、ここはかがみんとつかさの援護がほしいんだよ!!」 「え?」 「私はちょっと辛いかな……。こなちゃんみたいには動けないし、お正月の準備もあるから」 「そっか、つかさはダメか。かがみは?」 「こなた……?」 こなたがいる。つかさもいる。 そして私は、二人の会話に参加していなかったかのように、状況を把握できずにいた。 「どうしたのお姉ちゃん?」 「もしかして、立ったまま寝てたとか?」 「そ、そんなわけないでしょ。ちょっと話を聞き逃しただけよ」 「仕方ないなあ。今度のコミケに、かがみも来てくれるよね……って話だよ」 「はあ? 去年の惨状を考えたら、そんなところ」 そんなところ、行くわけがない。 そう言いかけた口は、私の意志とは違う言葉を続けていた。 「そんなところ……まあ、たまには付き合ってあげてもいいけどね」 「えっ、お姉ちゃん行くの?」 「やったー。やっぱり、かがみって微妙にいい人だよね。お礼にキスとかしちゃおうかな」 「気まぐれよ。気まぐれ。あんまり変なこと言うと、行くの取りやめるわよ」 そう。ただの気まぐれだ。 平凡な日々の中にある、小さなおふざけにすぎない。 けれど、それはどちらも本当に大切なもので、私はこの友人とその日々を過ごせることに感謝した。 「さあ、今年も買いまくるから、覚悟しておいてね。かがみ」 完
こなた「だからさ、ここはかがみんとつかさの援護がほしいんだよ!!」 かがみ「もう絶対コミケはいかないから!わかってんの去年のこと?」 つかさ「そだね、わたしもちょっとつらいかな・・・・」 らき☆すた・・・・ かがみ「あれ・・・・いつの間にか寝ちゃったんだ。ほらつかさ風邪引くよ」 つかさ「ふにゅ~、あれ?こなちゃん帰っちゃったの?」 かがみ「そうみたいね・・・・いつの間に私達寝ちゃったんだろ?とりあえず電話しといてやるか」 電子音「おかけになった電話番号は現在つかわれておりません・・・・」 かがみ「あ・・・あれぇ?」 らき☆すた・・・・ 通学路 かがみ「んったくおそいなあいつ、携帯はつながらないし、駅にも来ないなんて!!」 つかさ「そうだねこなちゃんどうしたのかな?」 かがみ「あいつの事だからまたゲームでもしてんじゃないの?もういいや先いこつかさ」 つかさ「ああーんまってよ~」 らき☆すた・・・・ 廊下 かがみ「じゃあね、教科書とかちゃんと持っててよ」 つかさ「うん。大丈夫だよ」 みゆき「かがみさーん、つかささーん!」 つかさ「あ、ゆきちゃんおはよー」 かがみ「おっすみゆき」 みゆき「おはようございます。今日は遅かったんですね?」 かがみ「えー待ちぼうけ食らわされたせいでね」 みゆき「はー、ところでお二人は三年階に何か御用なんですか?」 つかさ「へ?ゆきちゃん何言ってるの」 らき☆すた・・・・ 昼休み かがみ「嘘よ!だって・・・私達は昨日もこなたと遊んだのよ!」 つかさ「おねーちゃん・・・・」 みゆき「・・・・・・・・・・・・かがみさん、でも今は2006年9月なんですよ」 かがみ「嘘!」 つかさ「ゆきちゃんもこなちゃんとごはん食べたり、一緒に遊んだりしたじゃない・・・・」 みゆき「ええ、それはそうなんですが」 かがみ「じゃあ、じゃあ!やっぱり嘘なのよ。こなたは昨日まで私達と一緒にいた!今日は風邪かなんかでやすんでいるだけそれでみゆきの携帯が壊れているの!」 らき☆すた・・・・ 昼休み つかさ「お姉ちゃん!待って」 みゆき「かがみさん!行ってしまわれました・・・・」 ななこ「なんや?なんや?柊の奴泣いとったで、あんたらなんかしたんか?」 つかさ「く、黒井先生・・・・・」 みゆき「実は・・・・・・」 らき☆すた・・・・ 以降はID:YrxUwgvG0氏による続き 「おじさんなら。こなたのお父さんなら、きっと覚えているはず……。こんにちは、柊かがみです」 「……柊さん? うーん。聞き覚えのない名前だなあ」 「こなたさんの高校の友達なんですが……えっと」 「そう君。誰だったの?」 「こなた!」 「おいおい、こいつはかなた。オレの妻だよ。悪いけど、こなたって子とは別人だぞ」 「あ……目の下のホクロが無い……」 「ホクロ? そうだな。オレたちに子供が産まれたら、泣きボクロのあるかなたそっくりの美人かもな」 「美人だなんて…………あ。走って行っちゃった。なんだったのかしら?」 「さあな」 らき☆すた・・・・ 「お姉ちゃん。ご飯持って来たよ」 「……いらない。食べたくない」 「ねえ、こなたちゃんが消えたのは信じられないし、心配だけど、お姉ちゃんが身体を壊したら……」 「つかさ。あんたはまだ、こなたのことを覚えてる?」 「う、うん。忘れてないよ。ほら、何かをするにもまずは腹ごしらえって言うし、ちょっとは食べて」 「部屋の外に置いていって。後で食べるから」 「……ひとりで考え込まないでね。私だってこなたちゃんの事は心配なんだから」 「そうね」(つかさはもう、こなたの呼び方すら忘れちゃったんだ……) らき☆すた・・・・ 「なあ柊。泉のことなんやけど」 「先生。こなたのこと、覚えてるんですか!?」 「その、言い難いんやけど……あんまり考えんほうがええで」 「質問に答えてください。覚えているのか、そうでないのかを」 「あんな……ウチが若い頃も、受験が迫るとそういうこと言い出す奴がおったんや。プレッシャーでな」 「プレッシャー?」 「将来の事が不安で、自分を理解してくれる友達を作りだすっちゅうもんらしい」 「黒井先生。私は先生の体験談を聞きたいわけでは……」 「柊はまだ二年やんか。成績だって上のほうやし、友達だってぎょうさんおる。何が怖いんや?」 「…………ああ、つまり。私は病気だってことですね」 「ちゃ、ちゃうって。こんくらい誰でも通る道や。だから心配事があるならウチにでも相談を」 「結構です。ご忠告ありがとうございました。さようなら先生」 「お、おい、柊! 話はまだ……」 らき☆すた・・・・ 「まだ帰っていなかったんですね。かがみさん」 「うん……。待っていたら、あいつがひょっこり顔を出すような気がしてね」 「あいつ。ええっと、こなたさんでしたか?」 「できれば泉って呼んであげて。みゆきはこなたをそう呼んでいたから」 「泉さん、ですね。実はその泉さんのことで提案があるのですが」 「提案?」 「何かを残してはどうでしょうか。泉こなたという人が存在したという、記録のようなものを」 「日記とかに書けって事か。それは治療の一環だったりして?」 「違います。信じてはもらえないかもしれませんが、病人と決め付けて騙すような事は絶対にしません」 「知ってる。ちょっと意地悪を言ってみただけよ。それに信じられないことを言ってるのはこっちだからね」 「信じたいです。ですが、他の誰も泉さんを覚えていないのでは……」 「私だってどちらの意見が常識的かわかってる。それでも、あいつが存在したことを嘘にしたくないのよ」 「かがみさん……」 「私は間違っている。だけど覚えていてみせる。誰が忘れても、私だけはこなたのことをずっと……」 らき☆すた・・・・ こなたがいない。 春になって雪が消えるのと同じように。 桜の花は彼女の存在を奪っていった。 私の記憶は食い荒らされて、今では彼女の声も思い出せなくなっている。 それでもいい。 たとえ断片でしかないとしても、私が覚えている間は彼女は消えていないのだ。 大丈夫。私はこなたを忘れない。 それは根拠の無い自信だったけれど、彼女が完全に消えることはないと思った。 私は彼女を待ち続ける。 ただ待つだけではなく、この春からこなたが喜びそうな部活に入ることにした。 らき☆すた・・・・ 「なんとか間に合ったわ……。徹夜もして、自分で必死にコピーしてのギリギリだったけど」 「うわー、目の下のクマとかやばいですよ。大丈夫ッスか?」 「ん、なんとかね。徹夜といっても三日くらいだし」 「それにしても、先輩と知り合った頃はこうして一緒に同人活動をするなんて考えもしなかったな~」 「もう、先輩はやめてよ。ひよりちゃんのほうが同人暦では先輩なんだしさ」 「あはは。売り上げはかがみ先輩に追い抜かれちゃってるし、それに私のほうが年下ですから」 「なんだか、自分のほうが若いと言っているようにも聞こえるわね」 「い、いや。そんなつもりじゃ……。そういえば先輩の描くキャラクターって、モデルがいるんですか?」 「いないと言えばいないけど、いると言えばいるわね」 「へえ、どんな人か聞いてもいいッスか?」 「うん。実はよく思い出せないんだけどね。こなた、って名前はよく覚えてるんだけど……」 「あのー。すみません、見せてもらってもいいですか?」 「あっ、はい。どう……」 見本を読み始めたお客の少女を見て、私は言葉に詰まった。 よく思い出せない? そんな事はない。彼女がどんな顔をしていたのか思い出せるし、声もそうだ。 私達は毎日くだらない話をしていて、それがとても楽しかった。 ありふれた日常を大切にしていて、それが突然終わってしまったのが悲しかった。 高校に入って自分はもう大人になったと思って以来、初めて泣いたのは彼女が消えた日。 その少女のことで、忘れているものなど何一つ無い。 だから私は迷わず彼女の名前を呼んだ。 「こなた!」 「……ただいま。かがみ」 らき☆すた・・・・ 「だからさ、ここはかがみんとつかさの援護がほしいんだよ!!」 「え?」 「私はちょっと辛いかな……。こなちゃんみたいには動けないし、お正月の準備もあるから」 「そっか、つかさはダメか。かがみは?」 「こなた……?」 こなたがいる。つかさもいる。 そして私は、二人の会話に参加していなかったかのように、状況を把握できずにいた。 「どうしたのお姉ちゃん?」 「もしかして、立ったまま寝てたとか?」 「そ、そんなわけないでしょ。ちょっと話を聞き逃しただけよ」 「仕方ないなあ。今度のコミケに、かがみも来てくれるよね……って話だよ」 「はあ? 去年の惨状を考えたら、そんなところ」 そんなところ、行くわけがない。 そう言いかけた口は、私の意志とは違う言葉を続けていた。 「そんなところ……まあ、たまには付き合ってあげてもいいけどね」 「えっ、お姉ちゃん行くの?」 「やったー。やっぱり、かがみって微妙にいい人だよね。お礼にキスとかしちゃおうかな」 「気まぐれよ。気まぐれ。あんまり変なこと言うと、行くの取りやめるわよ」 そう。ただの気まぐれだ。 平凡な日々の中にある、小さなおふざけにすぎない。 けれど、それはどちらも本当に大切なもので、私はこの友人とその日々を過ごせることに感謝した。 「さあ、今年も買いまくるから、覚悟しておいてね。かがみ」 完

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