ID:9ovFAZc70氏:タイトル不明

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「すみませーん、警察のものですがー」 遅い、遅すぎるよ…来るのが… 遠くで聞こえた声に、今にも眠りに就きそうだった私の意識は再び現実に引き戻された。 そう、何もかも遅かった、私が来るのも…私が早く来ていればこんなことには… 横で眠るみなみちゃんを見ながらそんなことを考える。 ごめん、ゆーちゃん…私…全部…遅かっ…た…… 再び私の意識は遠のいていった……… 私がいつものように2ちゃんをしていると壁紙スレを見つけ、そこにzipが上げられた。 どうしてもそのzipが欲しかった私、でもそのファイルは容量がとても大きく今のHDDには入りきらなかった。 「そういえば最近zipスレ入り浸ってたからな~パソコンも股間もパンパンですわい…って私、女だった」 そんな寒いギャグを一人でつぶやく私、何か虚しい…そうだ、お父さんのHDD借りちゃえ。 早速私はお父さんのパソコンに接続している外付けのHDDをかっぱらってくると自分のパソコンに接続した。 「勝手に持ち出すなとか言われてるけどちょっと借りるだけだしいいよね…ん?」 なんとHDDにはパスがかかっている。 「も~どれだけ用心深いんだよ~、そんなに見られたくないビデオとか入ってるのかな?」 とりあえずパスのヒントを出すと、『俺の性癖』と出てきた、わかりやすいなあおい… loliと入力するといとも簡単にパスは解けてしまった。 お父さんの威厳のためにも中身はのぞかないであげようと思ったがパスまでかけてるぐらいだしどうしても中が気になる。 覚悟は出来ているしどんなに強烈なものが出てこようとお父さんを見る目は変わらないだろう、三次グロとかだと流石にあれだけど… 一応空ける前、きょろきょろと辺りを確認する、ゆーちゃんにでも見られたら大変だし。 安全を確認するとハードディスク内に進入した、が、中に入っていたのは以外にもファイル一つだけ、どうやらワードのファイルらしい。 仕事関係のファイルだろうか?だが容量が異様にでかい。もしかしたらワードの中に画像ファイルをクリップアートとして貼り付けて…ありうる! ワードならさっきも私が感じたように仕事関係のファイルだと思って覗かれないとでも考えたのだろうか。 だけどどう考えても怪しいよお父さん、私は一呼吸おくとそのファイルをダブルクリックした。 「な…何これ………」 画面に映し出されたものを見て、私は凍りついた。 グロ画像とかそんなレベルじゃない、そこには写真が貼られていた…私のお母さん、泉かなたの写真が… どれもまともじゃない。縛られてたり、殴られてたり、全裸で立たされてたり…顔にパンチを食らったのか目の上が腫れあがっているものもある。 さらに信じられなかったのはその横に添えられてる写真へのコメントだった。 多分この写真を撮影したであろう日付、そして撮影場所やどのような過程でこうなったかと事細かに書かれている。 そして感想、『この絶望的な表情が』『このときは興奮した』などと鬼畜なコメントが並ぶ。 あまりのひどさにめまいと吐き気がした私、そして強い衝撃になかなか働かなかった頭がようやく回転を始め、ある一つの結論に達する。 お父さんは、お母さんに暴力を振るっていた。 信じられない、あのバカでお調子者だけどだけど陽気でやさしいお父さんがこんなことをするなんて…信じられない… 画面をスクロールしていくとさらに衝撃の事実が発覚する。 「お父さんが…お母さんを…殺した…?」 そこにはお母さんが壁に寄りかかって虚ろな目をこちらに向けた写真と、『あの夜、つい興奮しすぎてかなたを殺ってしまった』とメッセージが書かれていた。 私はzipのことなど完全に忘れ、その場で放心状態になっていた。なんだか自分と関係ないことのようだ…いや、頭がこの現実を認めたがっていないのだろう。 病気で死んだんじゃ無かったんだ…。 だが現実はさらに残酷なものだった。画面の下のほうに何かまだ写真が見える。我に返った私は恐る恐る画面をスクロールした。 私の写真だった、ゆーちゃんの写真もある。だがこんなの撮った覚えは無い。 さらにかがみ、つかさ、ひよりん、みなみちゃんとあるはずの無い写真が出てくる。こんなのいつ撮ったの? 何枚か見ているとどの写真も同じ場所、同じ角度から撮られていることが分かった。この視点から推測するに撮影場所は押入れ、ちょうど…私の真後ろ! 急に背後にねっとりと嫌な気配を感じる。それでも勇気をもって振り返るとあの押入れを見た。ごくっとのどを鳴らした私は押入れに近づいていった。 よく中をのぞくと大量に詰まれたゲームカセットのすきまから不気味な輝きが見て取れる。どうやらカメラのようだ。 手を突っ込みそれを取り出す私。カプセルみたいな形状で先っぽにレンズが付いたそれはどうやらタイマーがセットされてあって一定周期で撮影を繰り返すカメラらしい。 だんだんと私は怖くなってきた。私がこれに気づいたこと、もしお父さんにばれたら…私どうなうるの? パニックを引き起こした私はとりあえずカメラを元の位置に戻すことにした。後のことはそれから考えよう。 そのとき突然扉がノックがされた。まさかお父さん!さらにパニックに陥る私、どどどどうしよう! 「入るよー?」 入ってきたのはゆーちゃんだった。安堵からため息が漏れる。 「おねえちゃん何持ってるの?」 「え?ううんなんでもないよゆーちゃん、パソコンの部品だよ」 ゆーちゃんにこのことを話すのは今の私にはとても無理だ。 自分ですらパニックのこの状況でゆーちゃんがパニックになったらとてもじゃないが私に落ち着かせることは出来ない。 とりあえず自分が落ち着かないと。それまでゆーちゃんにこのことを知られてはいけない。 『パシャッ』 「え?」 今確かに聞こえた、カメラのシャッター音が。 まずい!アングルが変わった写真があると誰かがこのカメラを動かしたことがばれてしまう。 さらにあせる私。 「ゆーちゃん!今ちょっと取り込んでるから部屋から出て行って!」 突然大声をあげた私を不思議がりながらもゆーちゃんは部屋から出て行った。ゆーちゃんのためにも何とかしないと… ゆーちゃん…そうか!ゆい姉さんがいるじゃん!ゆい姉さんにこのことを伝えれば! うまい具合に今日、ゆい姉さんは仕事が休みだった。今すぐゆい姉さんを呼んでこのファイルを見せよう。 私はゆーちゃんにゆい姉さんにすぐここに来てもらうように言うと、もしもの時のためにあのファイルのバックアップを取ろうパソコンに向かった。 するとさっきは気づかなかったが、写真には驚くべきメッセージがつづられていた。 それはゆーちゃんの友達のみなみちゃんに関してのメッセージだ。 『やばい、チョー好み』『いじめたら楽しそうだぜ』さらには 『ゆたかになってみなみんを食べたい』『ゆかりになってみなみんをからかいたい』と痛い妄想まで走らせていた。 最後の写真には『もう我慢できない、犯したい』と書かれていた、日付は…なんと昨日になっている。 悪寒が全身に走った。私は叫ぶ。 「ゆーちゃん!お父さんは今日どこへ行ったの?!」 「え?確か気晴らしに散歩に行くとか行ってたけど…」 普段家でごろごろ、散歩に行くことなどまず無いお父さんが… 「そうだ!みなみちゃんは?」 「それが今日さっき電話したんだけど出なくて、どこかへ遊びに行ったのかな?ねえ、何かあったのお姉ちゃん?」 大変だ、みなみちゃんが危ない!行かなきゃ、今すぐ。ゆい姉さんの到着を待っている暇は無いしゆーちゃんを連れて行くには危険すぎる、私一人で行くしかない。 私はコピーデータの入ったCDをゆーちゃんに渡すと手をぎゅっと握ってゆーちゃんを見た。 不安げな顔になるゆーちゃん。この子だけは、私が守らなきゃ! 「ゆーちゃんはこのCDをゆい姉さんに渡して、それとすぐにみなみちゃんの家に来るように言って、お願い」 「み、みなみちゃんに何かあったの?」 さっと顔が青ざめるゆーちゃん。この子を不安なままにしてここに置いては行けない。 「大丈夫、大丈夫だから」 いい言葉が思いつかずこんなことしか言えなかった。私はそのまま部屋を立ち去ろうとした。 「お姉ちゃん!」 ゆーちゃんが私を呼び止める。 「ねえ、何があったのか良く分からないけど…怖いよ…大丈夫だよね?おねえちゃん、無事に帰ってくるよね?」 「ゆーちゃん…」 私はぺたんと床に座り込むゆーちゃんに合わすようしゃがみこむとふわっと抱きしめた。 「大丈夫、私もみなみちゃんも。絶対無事に戻ってくるよ」 私は立ち上がり今度こそ部屋を後にした。 ゆーちゃんが最愛の恋人であるみなみちゃんを亡くしたらもう二度とゆーちゃんの笑顔が見られない気がする。 ゆーちゃんを悲しませないためにも、そして私のお母さんのような犠牲者をもう二度と出さないためにも、行くしかないのだ。 そして絶対に無事で戻ってきてもう一度ゆーちゃんの笑顔を拝むんだ。 固い決心を胸に、私は家の玄関のドアを開く………

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