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『駅構内の出会い~WithYou~』
今日も今日とて、八坂こうは遅刻していた。まったく…何時になったらあいつは遅刻しなくなるのだか。電車の駅構内で待ち合わせとは、今回何時間まで遅刻するつもりなのだろう。
「それにしても…」
駅のベンチに座る私の前では、鉄道好き(?)の人々が電車の写真を撮りまくっている。
「ああいうのの、どこがいいのかしらね…」
「男の人の趣味だから、女性には理解しがたいのかもね」
「は?」
「ごめんなさい、つい聞こえちゃって」
気がつかなかったけど、隣に女性が座っていた。何時の間に…。
「貴女は待ち合わせ?」
「え、ええ。友達を…」
一見して小学生だろうかと思ったが、どうにも彼女から感じる…オーラ?みたいなものが相手を年上のように思わせる。いや、実際年上なのかも。
髪の長い人だなぁ…でも白ワンピースって時季としては寒くないのだろうか?いや寒いはずよね。
「寒くないんですか?そのワンピースで」
「え?」
しまった。つい口に…。
「別に寒くはないのだけど…まぁ季節外れではあるかもね。まぁ私自体季節外れだし」
私自体が季節外れ?どういう意味だろう。
「まぁ私の格好は置いておいて。今の子なら駅で待ち合わせなんてあまりしないんじゃないの?携帯電話とかもあるのだし」
「そんなことはないですよ」
今の子…ね。やっぱり年上だったのか。
「駅で待ち合わせくらいします。それと、携帯があっても遅刻する人は遅刻しますし」
「そうね、そういうものなのかも…あら、随分撮ってる人が増えたわね」
…確かに。珍しい電車でも来たのだろうか、ドクターなんとかっていうやつみたいな?そんなのが。
「理解できませんね…あれも」
「アレもって…男の人の趣味が?」
「いや、性別は関係ない気がしますが」
同性でもレキジョは理解できないし。こうの趣味も。
「本人達は楽しいっていうのはわかります。でもどうして人に奨めたがるんですかね」
「あなたが待ってる友人の事?」
「いえ、こうの…友人の事ではなくて、別の人の話でして」
フィオリナにいる友人で。いわゆる…レキジョだ。
城がどうだの合戦がどうだの…わからないのに話してくる。時折、こうとの話題にあがるBLみたいなのが混ざっていた気もしたが(…なんでかしら?)。
「頷いてくれるだけでいい、とは言ってますけど…正直困りますよね。ただ頷いてるだけって何か悪いですけど、何が楽しいのかわからないし」
一度、こうに相談したら
「それで問題ない」
と言っていた。
『全部が全部、わかってもらえるなんて思ってないよきっと』
『ならなんで話したりするのよ?自己満足?』
『ちょ、それ言ったらオシマイだよ』
クスクス…とその人は笑いだした。
「あなたは優しいのね」
「なんでそうなるんです」
「わからないのを気にしてあげるなんて、普通しないもの。場合によっては、気味悪くて近づきたくないじゃない」
…こうの趣味みたいなものね。あれは引くことあるし。
「あら、そう君と趣味合いそうねその八坂さんは」
「そうなんですか?…誰かは知りませんけど、こうと似た趣味って…疲れませんか」
「貴女は疲れたりしないでしょ?引く事はあっても」
「それはまぁ」
…ん?何かおかしいような…
「思ってる事、口に出してたわよ」
「あ、それで。もしかして今も出てましたか?」
「ええ。…そろそろ時間だから手短にしちゃうけど、昔、私がそう君にその質問をした時の答えを教えてあげる」
似た質問をしたんですか。その人は彼氏さんか何かなんだろうか?……羨ましいけど、彼氏さんは危なそうだなぁ。色々な意味で。
「楽しんでるのをわかって欲しいから、だそうよ。スポーツをしたりするのと同じ感覚なんだって。だから…気味悪く思って欲しくない。得体の知れないものを見る目をして欲しくない」それはつまり
「そっちが何が楽しいのかわからないのと同じように、こっちには何故楽しいのがわからないのかと思っているから…と言ってませんでしたか?」
「あら、八坂さんに似た事を?」
違う。こうの言葉だけど、こんな質問はしていない。
私がこうに助けてもらった時に言っていた言葉がこれだっただけ。
「…時間ね」
どうやらお別れらしい。でも電車は来ていないのだけど…何故?別のホーム?それとも私のように待ち合わせ?…誰も来てないのに?
「そのお友達の八坂さんに興味はあるけど、それはまたどこかで会えたらにしましょう…そんな機会、ないかもしれないけど」
「どこか遠くに行くんですか?」
「…人生をレールに例えて、人を電車に例えることがあるけれど、その場合の駅は何の例えになるのかしら」
何を言い出すのだろうこの人は。
「…出会いと別れの場所?」
「かもしれないわね」
あ、名前聞いてないし、私も名乗ってない。呼び止めないと。名前、聞かなくちゃ…
…まと…やまと…やまと…。
なんだかうるさい。
「ちょっとやまと!うたた寝しないで!」
「え?こう?」
あれ?私寝てた?ベンチの上で?
「ねぇ、髪の長い背の低い女の人見なかった?」
「え?見てないよ。だいたい電車来るのまだ先だよ?」
さっきまで一緒だと思ったけど…随分寝てたのね私。
「こう、何分遅刻したの」
「う……ででも今日は二十分だけだよ」
20分?…本当だった。
「でも遅刻は遅刻よね」
「いやほら…あれですよ永森さん」
「あれってなんですか八坂さん」
…あ、あれ?私、あの時こうを『こう』と考えても『八坂』と名字で考えてたっけ?
まぁいい。機会があってまた会うことができたら聞けばいい。
そのときはこう…あなたも一緒に(With You)
END
『駅構内の出会い~WithYou~』
今日も今日とて、八坂こうは遅刻していた。まったく…何時になったらあいつは遅刻しなくなるのだか。電車の駅構内で待ち合わせとは、今回何時間まで遅刻するつもりなのだろう。
「それにしても…」
駅のベンチに座る私の前では、鉄道好き(?)の人々が電車の写真を撮りまくっている。
「ああいうのの、どこがいいのかしらね…」
「男の人の趣味だから、女性には理解しがたいのかもね」
「は?」
「ごめんなさい、つい聞こえちゃって」
気がつかなかったけど、隣に女性が座っていた。何時の間に…。
「貴女は待ち合わせ?」
「え、ええ。友達を…」
一見して小学生だろうかと思ったが、どうにも彼女から感じる…オーラ?みたいなものが相手を年上のように思わせる。いや、実際年上なのかも。
髪の長い人だなぁ…でも白ワンピースって時季としては寒くないのだろうか?いや寒いはずよね。
「寒くないんですか?そのワンピースで」
「え?」
しまった。つい口に…。
「別に寒くはないのだけど…まぁ季節外れではあるかもね。まぁ私自体季節外れだし」
私自体が季節外れ?どういう意味だろう。
「まぁ私の格好は置いておいて。今の子なら駅で待ち合わせなんてあまりしないんじゃないの?携帯電話とかもあるのだし」
「そんなことはないですよ」
今の子…ね。やっぱり年上だったのか。
「駅で待ち合わせくらいします。それと、携帯があっても遅刻する人は遅刻しますし」
「そうね、そういうものなのかも…あら、随分撮ってる人が増えたわね」
…確かに。珍しい電車でも来たのだろうか、ドクターなんとかっていうやつみたいな?そんなのが。
「理解できませんね…あれも」
「アレもって…男の人の趣味が?」
「いや、性別は関係ない気がしますが」
同性でもレキジョは理解できないし。こうの趣味も。
「本人達は楽しいっていうのはわかります。でもどうして人に奨めたがるんですかね」
「あなたが待ってる友人の事?」
「いえ、こうの…友人の事ではなくて、別の人の話でして」
フィオリナにいる友人で。いわゆる…レキジョだ。
城がどうだの合戦がどうだの…わからないのに話してくる。時折、こうとの話題にあがるBLみたいなのが混ざっていた気もしたが(…なんでかしら?)。
「頷いてくれるだけでいい、とは言ってますけど…正直困りますよね。ただ頷いてるだけって何か悪いですけど、何が楽しいのかわからないし」
一度、こうに相談したら
「それで問題ない」
と言っていた。
『全部が全部、わかってもらえるなんて思ってないよきっと』
『ならなんで話したりするのよ?自己満足?』
『ちょ、それ言ったらオシマイだよ』
クスクス…とその人は笑いだした。
「あなたは優しいのね」
「なんでそうなるんです」
「わからないのを気にしてあげるなんて、普通しないもの。場合によっては、気味悪くて近づきたくないじゃない」
…こうの趣味みたいなものね。あれは引くことあるし。
「あら、そう君と趣味合いそうねその八坂さんは」
「そうなんですか?…誰かは知りませんけど、こうと似た趣味って…疲れませんか」
「貴女は疲れたりしないでしょ?引く事はあっても」
「それはまぁ」
…ん?何かおかしいような…
「思ってる事、口に出してたわよ」
「あ、それで。もしかして今も出てましたか?」
「ええ。…そろそろ時間だから手短にしちゃうけど、昔、私がそう君にその質問をした時の答えを教えてあげる」
似た質問をしたんですか。その人は彼氏さんか何かなんだろうか?……羨ましいけど、彼氏さんは危なそうだなぁ。色々な意味で。
「楽しんでるのをわかって欲しいから、だそうよ。スポーツをしたりするのと同じ感覚なんだって。だから…気味悪く思って欲しくない。得体の知れないものを見る目をして欲しくない」それはつまり
「そっちが何が楽しいのかわからないのと同じように、こっちには何故楽しいのがわからないのかと思っているから…と言ってませんでしたか?」
「あら、八坂さんに似た事を?」
違う。こうの言葉だけど、こんな質問はしていない。
私がこうに助けてもらった時に言っていた言葉がこれだっただけ。
「…時間ね」
どうやらお別れらしい。でも電車は来ていないのだけど…何故?別のホーム?それとも私のように待ち合わせ?…誰も来てないのに?
「そのお友達の八坂さんに興味はあるけど、それはまたどこかで会えたらにしましょう…そんな機会、ないかもしれないけど」
「どこか遠くに行くんですか?」
「…人生をレールに例えて、人を電車に例えることがあるけれど、その場合の駅は何の例えになるのかしら」
何を言い出すのだろうこの人は。
「…出会いと別れの場所?」
「かもしれないわね」
あ、名前聞いてないし、私も名乗ってない。呼び止めないと。名前、聞かなくちゃ…
…まと…やまと…やまと…。
なんだかうるさい。
「ちょっとやまと!うたた寝しないで!」
「え?こう?」
あれ?私寝てた?ベンチの上で?
「ねぇ、髪の長い背の低い女の人見なかった?」
「え?見てないよ。だいたい電車来るのまだ先だよ?」
さっきまで一緒だと思ったけど…随分寝てたのね私。
「こう、何分遅刻したの」
「う……ででも今日は二十分だけだよ」
20分?…本当だった。
「でも遅刻は遅刻よね」
「いやほら…あれですよ永森さん」
「あれってなんですか八坂さん」
…あ、あれ?私、あの時こうを『こう』と考えても『八坂』と名字で考えてたっけ?
まぁいい。機会があってまた会うことができたら聞けばいい。
そのときはこう…あなたも一緒に(With You)
END
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