ID:7gpPqwAO氏:すれ違った記憶と再会

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桜藤祭を久々にやっていた時に思いついたモノを投下。 ネタバレがあるので一応注意。 『すれ違った記憶と再会』 季節は秋。 もうすぐ陵桜学園の学園祭である『桜藤祭』が近づいてきていたある日だった。 二年生の後輩の田村ひよりが発案した‘同人即売会’を何とか実行可能にし、一息ついて何人かで飲み物を買いにいった時。 星桜の樹が目に入った時に、口が勝手にこんな事を呟いていた。 「やっぱり咲いてるわけないか…」 「何が咲くって?」 「星桜。ほら、去年噂が流れたじゃん。山さん知らない?」 「ん~去年かぁ。去年ねぇ」 「やさこ、去年の学園祭のこと思い出せるの?」 「うんにゃ、曖昧」 毒さんに言った通り、その辺の記憶は曖昧だ。いや、私だけじゃない。学生はおろか、先生達の記憶も曖昧だ。 といっても、何をやったのかを覚えていないわけじゃない。 例えば三年生は『Fate』の劇を演じていた。 例えばミスコンのようなものをやった。 例えばひよりんのクラスはネットカフェをやったetcetc…。 問題は細部だった。 劇の士郎役は男がやったいや女だった。 ミスコンはミスコンでも女同士いや男同士いや普通に女のみだった。…一部ミスコンかすら怪しいのがあるのは気にしない。 優勝したのは教師だったとか有名な生徒だった。 コスプレ即売会もやっていた。 見慣れない外人がいた。 支離滅裂にも前日に舞台が壊れたという人までいた。 もちろんそんな事実はない。生徒会の記録にもない。 まぁ、時間とともに噂はほとんど消え去ったけど。 本当にどうなっているのか…。 曖昧な記憶、といえば私にもある。あるというか、思い出したと言うか。この前親友を学園祭に誘った日から思い出す。 私はひよりを連れて三年生の教室の前で、誰かを待っていた。 誰…だったろうか。 とにかく私は誰かに会おうと必死だった。そんな時に、『先輩』に会った。 どうやらひよりの知り合いらしかった。 『先輩』は私に、『約束』を思い出させてくれた。そして私は誰かに会えた。 でも、『先輩』にお礼を言った記憶と言えてない記憶がふたつ。 私はお礼を言えたのかどうか。『先輩』は誰なのか。…さっぱりわからない。 「…つーわけなんだけどさ、ひよりんは覚えてない?」 あまりに気になり過ぎた私は、ある時ひよりを喫茶店に呼び出してこの事を尋ねた。 「と言われましても、こうちゃん先輩に当時三年の先輩を紹介した事はありませんが」 「そうだよね…」 「ちなみにそれって男性っスか?」 「なんで聞くの?」 「いえ、似たような話をクラスで聞いたものでして。ネトゲ世界に引きずり込まれた時に先輩さんに助けられたとかなんとか」 …先輩の相談をクラスメイトの夢物語と同一視とはいい度胸してると思ったが、どうもひと悶着あったらしくツッコムのはやめておいた。 「いやホントに面倒なことになりまして」 「その話はいずれきいてやるから。」 まぁ、確かに男の先輩なのは共通してるが。 「しかし似た話ってあるんだねぇ」 「…あの、先輩」 「言っとくけど好きかどうかって話はすんなよ。で、何?」 「いやそれはそれで興味ありますが…先輩おかしくないっスか?」 「何が」 「だって、話を聞く限りだと『誰と』会おうとしたのかが気になるもんじゃないっスか。そっちは性別すらわかりませんし、なんで会おうとしてるのかも不明。なのに気にならないなんて変ですよ」 言われてみれば確かに。 でも何故か気にならなかった。なんというか、気にする必要がない、会おうとするのが当然の相手で理由があった…気がする。 「なんですかそれ。それこそ恋人かなんかみたいっスね」 「違うってんだろ。でもまぁ、気にならないんだから仕方な」 ー今の人。あの男の人。 「あのっ!」 「?俺?」 気がついたら追いかけて、声をかけていた。 「えっと…」 「何か用なの?」 「私、陵桜の後輩で、その」 「確かに陵桜のOBだけど、なんで知ってるの」 「あの、その」 やばい。なんで言葉が出ないんだろう。何を言うべきなんだっけ。 「あ、ありがとうございました。あの、ちゃんと写真渡せました!」 何を言ってるんだ私は! 相手きょとんとしてるよ! 「…渡せたんだ。良かった」 「え?」 「気になってたんだ。八坂さんだけ、どうなったのかがわかんなかったから。約束思い出したって事はわかってたけど。…お礼言われることじゃないよ。写真はずっと持っていたんでしょ」 「何の話…ですか」 「さっきのお礼の話だよ。たぶん、それを言うためだけに思い出せたんだと思うし、それを受け入れるために覚えてたんだと思う。長い時をかけてこの瞬間に…だからもぅ、思い出すことはないんじゃないかな」 「…じゃあ、もぅ会えないんですか?」 「わかんない。そもそも、八坂さんに再会するなんて思ってなかったから。……強く思い強く願えばいつかはきっと、会えたりして」 「なんですかそれ。ネタが似合いませんね相変わらず」 「ひどいなぁ」 「でも…だったらさよならは言わないでおいて」 「そうだね」 『またね』 「酷いじゃないですか!店に置いてきぼりなんて!」 「ごめんごめん。…って何そのチーズケーキは」 「追加注文っス。店員さんの目がキツくて」 「そりゃ悪かったね」 「それで、どうなりました?」 一応、全部終わった。そう伝えた。 ここの会計を済ませながら、私はそう答えた。 …強く思い強く願う、か。 おまけ …ビックリした。 まさか八坂さんがあのループを覚えていたなんて。 でも良かった。ちゃんと永森さんと会えたんだ。写真も渡せたみたいだし。 おっと、白石との約束に遅れそうだけど…まぁいいかな、白石だし。 完… **コメント・感想フォーム #comment(below,size=50,nsize=50,vsize=3) - ↓EP6だと見てるけどEP7だと見てない、PSPのエピローグだとデートしてるし -- 名無しさん (2012-09-01 00:40:13) - 主人公って、八坂さんと 永森さんが再会する所見てなかったっけ? &br()と、おまけ見て思った。 -- 名無しさん (2012-08-29 13:11:23) - 桜藤祭ED後の話ですね &br()まああのゲームはパラレルワールドっていうか最早スターシステムだよwww -- 名無しさん (2010-11-03 14:03:19)
桜藤祭を久々にやっていた時に思いついたモノを投下。 ネタバレがあるので一応注意。 『すれ違った記憶と再会』 季節は秋。 もうすぐ陵桜学園の学園祭である『桜藤祭』が近づいてきていたある日だった。 二年生の後輩の田村ひよりが発案した‘同人即売会’を何とか実行可能にし、一息ついて何人かで飲み物を買いにいった時。 星桜の樹が目に入った時に、口が勝手にこんな事を呟いていた。 「やっぱり咲いてるわけないか…」 「何が咲くって?」 「星桜。ほら、去年噂が流れたじゃん。山さん知らない?」 「ん~去年かぁ。去年ねぇ」 「やさこ、去年の学園祭のこと思い出せるの?」 「うんにゃ、曖昧」 毒さんに言った通り、その辺の記憶は曖昧だ。いや、私だけじゃない。学生はおろか、先生達の記憶も曖昧だ。 といっても、何をやったのかを覚えていないわけじゃない。 例えば三年生は『Fate』の劇を演じていた。 例えばミスコンのようなものをやった。 例えばひよりんのクラスはネットカフェをやったetcetc…。 問題は細部だった。 劇の士郎役は男がやったいや女だった。 ミスコンはミスコンでも女同士いや男同士いや普通に女のみだった。…一部ミスコンかすら怪しいのがあるのは気にしない。 優勝したのは教師だったとか有名な生徒だった。 コスプレ即売会もやっていた。 見慣れない外人がいた。 支離滅裂にも前日に舞台が壊れたという人までいた。 もちろんそんな事実はない。生徒会の記録にもない。 まぁ、時間とともに噂はほとんど消え去ったけど。 本当にどうなっているのか…。 曖昧な記憶、といえば私にもある。あるというか、思い出したと言うか。この前親友を学園祭に誘った日から思い出す。 私はひよりを連れて三年生の教室の前で、誰かを待っていた。 誰…だったろうか。 とにかく私は誰かに会おうと必死だった。そんな時に、『先輩』に会った。 どうやらひよりの知り合いらしかった。 『先輩』は私に、『約束』を思い出させてくれた。そして私は誰かに会えた。 でも、『先輩』にお礼を言った記憶と言えてない記憶がふたつ。 私はお礼を言えたのかどうか。『先輩』は誰なのか。…さっぱりわからない。 「…つーわけなんだけどさ、ひよりんは覚えてない?」 あまりに気になり過ぎた私は、ある時ひよりを喫茶店に呼び出してこの事を尋ねた。 「と言われましても、こうちゃん先輩に当時三年の先輩を紹介した事はありませんが」 「そうだよね…」 「ちなみにそれって男性っスか?」 「なんで聞くの?」 「いえ、似たような話をクラスで聞いたものでして。ネトゲ世界に引きずり込まれた時に先輩さんに助けられたとかなんとか」 …先輩の相談をクラスメイトの夢物語と同一視とはいい度胸してると思ったが、どうもひと悶着あったらしくツッコムのはやめておいた。 「いやホントに面倒なことになりまして」 「その話はいずれきいてやるから。」 まぁ、確かに男の先輩なのは共通してるが。 「しかし似た話ってあるんだねぇ」 「…あの、先輩」 「言っとくけど好きかどうかって話はすんなよ。で、何?」 「いやそれはそれで興味ありますが…先輩おかしくないっスか?」 「何が」 「だって、話を聞く限りだと『誰と』会おうとしたのかが気になるもんじゃないっスか。そっちは性別すらわかりませんし、なんで会おうとしてるのかも不明。なのに気にならないなんて変ですよ」 言われてみれば確かに。 でも何故か気にならなかった。なんというか、気にする必要がない、会おうとするのが当然の相手で理由があった…気がする。 「なんですかそれ。それこそ恋人かなんかみたいっスね」 「違うってんだろ。でもまぁ、気にならないんだから仕方な」 ー今の人。あの男の人。 「あのっ!」 「?俺?」 気がついたら追いかけて、声をかけていた。 「えっと…」 「何か用なの?」 「私、陵桜の後輩で、その」 「確かに陵桜のOBだけど、なんで知ってるの」 「あの、その」 やばい。なんで言葉が出ないんだろう。何を言うべきなんだっけ。 「あ、ありがとうございました。あの、ちゃんと写真渡せました!」 何を言ってるんだ私は! 相手きょとんとしてるよ! 「…渡せたんだ。良かった」 「え?」 「気になってたんだ。八坂さんだけ、どうなったのかがわかんなかったから。約束思い出したって事はわかってたけど。…お礼言われることじゃないよ。写真はずっと持っていたんでしょ」 「何の話…ですか」 「さっきのお礼の話だよ。たぶん、それを言うためだけに思い出せたんだと思うし、それを受け入れるために覚えてたんだと思う。長い時をかけてこの瞬間に…だからもぅ、思い出すことはないんじゃないかな」 「…じゃあ、もぅ会えないんですか?」 「わかんない。そもそも、八坂さんに再会するなんて思ってなかったから。……強く思い強く願えばいつかはきっと、会えたりして」 「なんですかそれ。ネタが似合いませんね相変わらず」 「ひどいなぁ」 「でも…だったらさよならは言わないでおいて」 「そうだね」 『またね』 「酷いじゃないですか!店に置いてきぼりなんて!」 「ごめんごめん。…って何そのチーズケーキは」 「追加注文っス。店員さんの目がキツくて」 「そりゃ悪かったね」 「それで、どうなりました?」 一応、全部終わった。そう伝えた。 ここの会計を済ませながら、私はそう答えた。 …強く思い強く願う、か。 おまけ …ビックリした。 まさか八坂さんがあのループを覚えていたなんて。 でも良かった。ちゃんと永森さんと会えたんだ。写真も渡せたみたいだし。 おっと、白石との約束に遅れそうだけど…まぁいいかな、白石だし。 完… **コメント・感想フォーム #comment(below,size=50,nsize=50,vsize=3) - ↓確認してみたらその通りだった。 &br()答えてくれてありがとう。 -- 名無しさん (2012-09-11 11:47:51) - ↓EP6だと見てるけどEP7だと見てない、PSPのエピローグだとデートしてるし -- 名無しさん (2012-09-01 00:40:13) - 主人公って、八坂さんと 永森さんが再会する所見てなかったっけ? &br()と、おまけ見て思った。 -- 名無しさん (2012-08-29 13:11:23) - 桜藤祭ED後の話ですね &br()まああのゲームはパラレルワールドっていうか最早スターシステムだよwww -- 名無しさん (2010-11-03 14:03:19)

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