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1ー予感ー
くす焦げた臭いがそこに充満していた。
目の前が赤い、鮮烈な赤が視界を覆う。
どこからか子供の泣き声が聞こえる。
子供だけではない。スーツを纏ったビジネスマン、髪を染めた若者、背を丸めた老人
あらゆる人が叫び、嘆き、そして何かから逃げていた。
見慣れた町にいるはずなのに、何もかもが違う。
それはまさしく非日常だった。
ー
音を立てて繁華街のデパートが倒壊していく。
黒煙を撒き散らし、瓦礫が階下の人々を襲う。
無慈悲にもそれは小さな子供の頭を砕き、助けようとした母親の命をも奪っていった。
赤い血溜りが灰色のコンクリを徐々に染め上げて行く。
その血も、更なる落盤が押し潰してしまった。
途端、業火が辺りを飲み込んでいく。
轟音と悲鳴が入り交じり、そこはさながら地獄であった。
ー
夢、こなたは夢を見ていた。
黒い怪物がこの世界を破壊する夢。
「…夢オチ…か」
ー
「行ってきま~す」
嫌な気分を拭えまま、こなたは家を出た。