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少女は夢を見ているような気分を味わっていた。
ふわふわと景色が揺らめき、そのうち宙に浮くんじゃないかとさえ思える。
なにかしなければならなかったはずなのだが、頭の中がボーっとし、うまく考えられない。
そもそも自分は今どこに居るんだろう。どこに向かっているんだろう。少女はそう考え、目の前に続くアスファルトに気がついた。
ああ、そうだ。歩かなきゃ。少女はそう思い出し、足を前へ踏み出した。
だが、地面をとらえるはずの足にはなんの感触も無く、少女はそのまま地の底まで落下していった。
「…お姉ちゃんっ!?」
その耳に、一緒に歩いていた妹の声が聞こえた。
― 暑い日 ―
コクコクと喉を鳴らし、かがみはペットボトルに入ったスポーツドリンクを一気に飲み干し、大きく息をついた。
「…びっくりした」
そして、ポツリとそう呟いた。
「びっくりしたのはこっちだよー。お姉ちゃん急に倒れるんだもん…」
かがみの座っているベッドの横で、つかさが泣きそうな顔でそう言った。
「…そうよね、ごめん…で、ここは…」
言いながらかがみは周りを見回し、棚の上においてある美少女のフィギュアを見てここがどこなのかを悟った。
「こなたの部屋…こなたんちに遊びにこようとしてたんだっけ?」
「違うよお姉ちゃん。勉強会だよー」
かがみの間違いを、つかさが訂正する。そして、つかさは心配そうにかがみの顔を覗き込んだ。
「お姉ちゃん。大丈夫なの?」
「…ちょっと大丈夫じゃないかな…まだ頭がボーっとしてる…」
つかさの質問に軽く頭を振りながらかがみが答える。
「お、かがみ気がついたんだ」
そこに、手にペットボトルを持ったこなたがドアを開けて部屋に入ってきた。その後ろにはバスタオルとバケツを持ったみゆきが続く。
「かがみさん、ご気分はいかがでしょう?」
「…まだちょっとボーっとする」
「そうですか…」
みゆきは床にバスタオルを引き、その上にバケツを置いた。そしてバケツの中から小さめのタオルを取り出し十分に絞った。
「かがみさん、少し失礼しますね」
みゆきはかがみの服の袖を肩が露出するまでまくり上げ、両腋に先ほどのタオルを挟ませた。
「…冷たい」
「はい、氷水に浸しておきましたので。これを動脈の集中する腋に挟むことで、体温の低下を促します。あとは…」
みゆきは説明しながらこなたのほうを見た。こなたはみゆきにうなずき、持っていたペットボトルをかがみに渡した。
「…なにこれ?」
ペットボトルに入っていたのは茶色く濁った液体。冷たくはなく、少し温かい感じがした。
「ま、飲んでみたらわかるよ」
こなたに言われ、かがみはキャップを取り中の液体を口に含んだ。
「これ…お味噌汁?」
一口飲んだかがみがそう言うと、みゆきがうなずいた。
「はい。熱中症の祭にスポーツドリンクを飲みすぎますと水中毒になる恐れがありますので、経口補水塩として用意しました」
「流石に作ってる時間無かったから、インスタントだけどね」
みゆきが説明しこなたが補足している間に、かがみは味噌汁を半分ほど飲み息をついた。
「…でも、お姉ちゃん倒れたの、こなちゃんちの近くで良かったよ。ゆきちゃんもすぐ来てくれたし」
かがみの身体を団扇で扇いでいるつかさがそう言うと、かがみは軽くうなずいた。
「そうね…人気の無いところでって思うとぞっとするわ…こなたが運んでくれたの?」
「いや、わたしじゃ流石に運べないから、お父さんに頼んだよ」
「そう…後でお礼言っとかないとね…変なことしてなかったら」
「いくらお父さんでもそれは無いよ」
こなたは顔の前で手を振りそう言って、その手の人差し指を立てた。
「せいぜい、縞々パンツが見えたくらいだよ」
にこやかにそう言うこなたに、つかさとみゆきが苦笑いを浮かべる。
「縞々…」
かがみはそう呟きながら、穿いていたスカートをまくり上げた。つかさとみゆきは慌てて顔を背け、こなたは唖然とかがみを眺めた。
「たしかに縞々ね…」
「いや、あの、かがみ…」
露出したパンツを眺めながら呟くかがみの肩を、こなたは呆れながら軽く叩いた。
「なに?こなた?」
「かがみがそれは、ちょっとないかと」
そう言いながらスカートを治すこなたを、かがみはボーっとした表情で眺めていた。
「今日は勉強会は無理ですね…」
眠ってしまったかがみを見ながら、みゆきがそう呟いた。
「そうだね…お姉ちゃん、大丈夫かな…」
心配そうにそう言うつかさに、みゆきが微笑みかける。
「容態も安定してますし、大丈夫ですよ」
「そっか、良かった…」
みゆきの言葉に、つかさが安堵のため息をついた。
「…いや、それはいいんだけど…」
そして、かがみの寝ているベッドからこなたの声が聞こえた。
「なんでこんなことに…」
呻くようにいうこなたのお腹には、かがみの頭が乗っていた。
「わたしを枕代わりにするなんて、ひどいなかがみ…ってみゆきさん、今笑ったね」
眉根を寄せたこなたにそう言われ、みゆきは口元を手で隠してそっぽを向いた。
「…いえ…そんなことは…」
「まあいいけど…」
こなたは諦めたようにそう言うと、自分のお腹を枕代わりに寝ているかがみの髪を撫でた。
「暑さでボケてるとはいえ、かがみらしくないなー」
「そうだね…でも」
こなたの呟きにつかさは頷き、少し嬉しそうに微笑んだ。
「こうやってこなちゃんに甘えてるお姉ちゃんも、たまにはいいかなって」
そう言うつかさを、こなたは呆れたような顔で眺めた。
「健康なときなら…ですよ。つかささん」
「え、あ…そ、そうだね…」
そして、みゆきの指摘につかさは恥ずかしそうに身を縮めた。
― おしまい ―
少女は夢を見ているような気分を味わっていた。
ふわふわと景色が揺らめき、そのうち宙に浮くんじゃないかとさえ思える。
なにかしなければならなかったはずなのだが、頭の中がボーっとし、うまく考えられない。
そもそも自分は今どこに居るんだろう。どこに向かっているんだろう。少女はそう考え、目の前に続くアスファルトに気がついた。
ああ、そうだ。歩かなきゃ。少女はそう思い出し、足を前へ踏み出した。
だが、地面をとらえるはずの足にはなんの感触も無く、少女はそのまま地の底まで落下していった。
「…お姉ちゃんっ!?」
その耳に、一緒に歩いていた妹の声が聞こえた。
― 暑い日 ―
コクコクと喉を鳴らし、かがみはペットボトルに入ったスポーツドリンクを一気に飲み干し、大きく息をついた。
「…びっくりした」
そして、ポツリとそう呟いた。
「びっくりしたのはこっちだよー。お姉ちゃん急に倒れるんだもん…」
かがみの座っているベッドの横で、つかさが泣きそうな顔でそう言った。
「…そうよね、ごめん…で、ここは…」
言いながらかがみは周りを見回し、棚の上においてある美少女のフィギュアを見てここがどこなのかを悟った。
「こなたの部屋…こなたんちに遊びにこようとしてたんだっけ?」
「違うよお姉ちゃん。勉強会だよー」
かがみの間違いを、つかさが訂正する。そして、つかさは心配そうにかがみの顔を覗き込んだ。
「お姉ちゃん。大丈夫なの?」
「…ちょっと大丈夫じゃないかな…まだ頭がボーっとしてる…」
つかさの質問に軽く頭を振りながらかがみが答える。
「お、かがみ気がついたんだ」
そこに、手にペットボトルを持ったこなたがドアを開けて部屋に入ってきた。その後ろにはバスタオルとバケツを持ったみゆきが続く。
「かがみさん、ご気分はいかがでしょう?」
「…まだちょっとボーっとする」
「そうですか…」
みゆきは床にバスタオルを引き、その上にバケツを置いた。そしてバケツの中から小さめのタオルを取り出し十分に絞った。
「かがみさん、少し失礼しますね」
みゆきはかがみの服の袖を肩が露出するまでまくり上げ、両腋に先ほどのタオルを挟ませた。
「…冷たい」
「はい、氷水に浸しておきましたので。これを動脈の集中する腋に挟むことで、体温の低下を促します。あとは…」
みゆきは説明しながらこなたのほうを見た。こなたはみゆきにうなずき、持っていたペットボトルをかがみに渡した。
「…なにこれ?」
ペットボトルに入っていたのは茶色く濁った液体。冷たくはなく、少し温かい感じがした。
「ま、飲んでみたらわかるよ」
こなたに言われ、かがみはキャップを取り中の液体を口に含んだ。
「これ…お味噌汁?」
一口飲んだかがみがそう言うと、みゆきがうなずいた。
「はい。熱中症の祭にスポーツドリンクを飲みすぎますと水中毒になる恐れがありますので、経口補水塩として用意しました」
「流石に作ってる時間無かったから、インスタントだけどね」
みゆきが説明しこなたが補足している間に、かがみは味噌汁を半分ほど飲み息をついた。
「…でも、お姉ちゃん倒れたの、こなちゃんちの近くで良かったよ。ゆきちゃんもすぐ来てくれたし」
かがみの身体を団扇で扇いでいるつかさがそう言うと、かがみは軽くうなずいた。
「そうね…人気の無いところでって思うとぞっとするわ…こなたが運んでくれたの?」
「いや、わたしじゃ流石に運べないから、お父さんに頼んだよ」
「そう…後でお礼言っとかないとね…変なことしてなかったら」
「いくらお父さんでもそれは無いよ」
こなたは顔の前で手を振りそう言って、その手の人差し指を立てた。
「せいぜい、縞々パンツが見えたくらいだよ」
にこやかにそう言うこなたに、つかさとみゆきが苦笑いを浮かべる。
「縞々…」
かがみはそう呟きながら、穿いていたスカートをまくり上げた。つかさとみゆきは慌てて顔を背け、こなたは唖然とかがみを眺めた。
「たしかに縞々ね…」
「いや、あの、かがみ…」
露出したパンツを眺めながら呟くかがみの肩を、こなたは呆れながら軽く叩いた。
「なに?こなた?」
「かがみがそれは、ちょっとないかと」
そう言いながらスカートを治すこなたを、かがみはボーっとした表情で眺めていた。
「今日は勉強会は無理ですね…」
眠ってしまったかがみを見ながら、みゆきがそう呟いた。
「そうだね…お姉ちゃん、大丈夫かな…」
心配そうにそう言うつかさに、みゆきが微笑みかける。
「容態も安定してますし、大丈夫ですよ」
「そっか、良かった…」
みゆきの言葉に、つかさが安堵のため息をついた。
「…いや、それはいいんだけど…」
そして、かがみの寝ているベッドからこなたの声が聞こえた。
「なんでこんなことに…」
呻くようにいうこなたのお腹には、かがみの頭が乗っていた。
「わたしを枕代わりにするなんて、ひどいなかがみ…ってみゆきさん、今笑ったね」
眉根を寄せたこなたにそう言われ、みゆきは口元を手で隠してそっぽを向いた。
「…いえ…そんなことは…」
「まあいいけど…」
こなたは諦めたようにそう言うと、自分のお腹を枕代わりに寝ているかがみの髪を撫でた。
「暑さでボケてるとはいえ、かがみらしくないなー」
「そうだね…でも」
こなたの呟きにつかさは頷き、少し嬉しそうに微笑んだ。
「こうやってこなちゃんに甘えてるお姉ちゃんも、たまにはいいかなって」
そう言うつかさを、こなたは呆れたような顔で眺めた。
「健康なときなら…ですよ。つかささん」
「え、あ…そ、そうだね…」
そして、みゆきの指摘につかさは恥ずかしそうに身を縮めた。
― おしまい ―
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