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「あーめあーめふーれふーれ、かーさんがー♪じゃのめーでおむかーえ、うれしーいなー♪」
降りしきる雨の中。一つの傘で一緒に歩く幼いこなたの歌声に、そうじろうは目を細めた。
「こなた。その歌は?」
「きょうのおうたのじかんにうたったの。ねえおとうさん」
「ん、なんだ?」
「じゃのめってなに?」
こなたの質問に、そうじろうは難しい顔をした。
「んー…こなたにわかるかなあ…じゃのめってのはへびの目のことで、歌のは蛇の目傘のことをさしてるんだよ。蛇の目傘ってのは和傘で蛇の目模様がついたのをそう言うんだ」
「う、うーん?」
「はは、やっぱ分からなかったか」
頭の上にクエスチョンマークを浮かべるこなたに、そうじろうは可笑しくなって笑ってしまった。そのそうじろうのズボンをこなたが引っ張った。
「ん、なんだこなた?」
「へびなんだよね?」
「そうだよ」
「へびこわいよね?なんでそんなのかさにつけるの?」
「え、あー…は、ははははははは」
「えー。なんでおとうさんわらうのー?」
こなたの勘違いに、そうじろうは大きな声で笑い続けた。
― じゃのめ ―
「よく振るねー」
そう呟きながら、肩を引っ付けて歩くつかさにこなたはうなずいた。
「う、うん。だからもうちょっと寄ってよつかさ」
梅雨のある日。こなたは傘を忘れたつかさと一緒に帰ることになったのだが、こなたの体格にあわせた傘に二人はいるのは難しく、お互い肩を濡らしながら歩くことになってしまっていた。
「そういえばこなちゃん、じゃのめって知ってる?あーめあーめふーれふーれって歌に出てくるの」
急につかさにそう聞かれて、こなたは首をかしげた。
「じゃのめ…えっと、なんだっけ。たしか、傘のことだったような…」
「うん、そうそう。蛇の目傘っていって、目玉みたいな丸い模様の付いた傘のことなんだって。わたし、ずっとなんだか知らなかったんだけど、昨日ゆきちゃんが教えてくれたんだ」
「あー、思い出した。幼稚園くらいにお父さんに聞いた気がするよ」
「へー、おじさん物知りなんだね」
「意外とね…まあ、噛み砕かないで説明されたから、ちゃんと意味理解したのずっと後だったよ」
「そうなんだ」
その後、二人はしばらく無言で歩いていたが、こなたが急に口を押さえて笑い出した。
「え?え?なに?こなちゃんどうしたの?」
「い、いや、ちょっと思い出して…わたし、じゃのめの事教えてもらったとき、蛇がそのまま傘についてるって勘違いしたんだよ。なんでそんな怖い傘で迎えにくるんだって」
「ぷっ…あははははっ」
こなたの話を聞いたつかさも笑い出した。
「いやー、子供ってなんかとんでもない勘違いするよねー。自分の事ながら呆れるよ」
しばらく二人で笑った後、こなたがそう言うとつかさがうなずいた。
「そうだねー」
つかさが少し間延びした声で答えると、こなたは急に立ち止まった。
「わっ…こ、こなちゃん?どうしたの?」
歩く勢いを止められず、傘を持ったままこなたを置いて前に出てしまったつかさは、慌てて傘をこなたの頭上に戻した。
「ん…あ、ごめん。ちょっと何か思い出しそうでさ」
こなたはそう言いながら、自分の頭上の傘を見上げた。
『ねえ、おとうさん。そんなこわいかさでおむかえきても、おかあさんだったらうれしいのかな』
思い出した言葉に、こなたは思わずうつむいてしまった。
「…こなちゃん?」
つかさが心配そうにこなたの顔を覗き込む。
「ん…あ、いや、なんでもないよ、つかさ」
こなたは顔を上げてパタパタと手を振った。
「そう?だったらいいけど…」
そう言いながらも心配そうな顔を崩さないつかさに、こなたは軽いため息をついた。
「…ねえ、つかさ。あの歌みたいに、雨の日にお母さんが迎えに来てくれたら、やっぱり嬉しかった?」
「え?うん、それは…嬉しかった…よ」
つかさは、こなたの問いに答えようとしてこなたの家庭事情を思い出し、途中から声を詰まらせた。
「そうだよね…うん、まあへんなこと聞いてごめん」
こなたはそう謝り、つかさが持っている傘の柄を掴んで歩き出した。
「…ねえ、こなちゃん…わたしはお父さんでも嬉しかったよ」
それに引きずられて歩き出したつかさが、こなたにそう言った。
「かがみお姉ちゃんでも、まつりお姉ちゃんでも、いのりお姉ちゃんでも…迎えに来てくれたら、嬉しかったよ」
こなたはつかさの言葉を聞きながら、また一つ思い出していた。
『…なあ、こなた。やっぱり、俺よりお母さんに迎えに来て欲しいか?』
『んーと…どっちでもいい。おとうさん、ちゃんとむかえにきてくれるもん』
『…そうか』
「…うん、そうだよ」
あの日の父親にそう答えながら、こなたは思い出させてくれたつかさの手を軽く握った。
「え?なに?こなちゃん、今度は何?」
「なんでもないよ」
今度は笑顔でそう言いながら、こなたは少し足を速めた。
― おわり ―
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#comment(below,size=50,nsize=50,vsize=3)
- 読んでたら何か暖かくなったよ。 &br() &br() &br()コメント欄でネタ的な発言してる人は寒すぎるけど &br() -- 名無しさん (2010-07-26 12:29:31)
- 幼稚園の頃のこなた可愛いwwwこなた、ちょっとお兄さんの所においでw(←いかん、危ない危ない危ない) &br()所で結局じゃのめってなんなんですか?(←ググれカス!) -- 名無しさん (2010-07-22 21:45:21)
「あーめあーめふーれふーれ、かーさんがー♪じゃのめーでおむかーえ、うれしーいなー♪」
降りしきる雨の中。一つの傘で一緒に歩く幼いこなたの歌声に、そうじろうは目を細めた。
「こなた。その歌は?」
「きょうのおうたのじかんにうたったの。ねえおとうさん」
「ん、なんだ?」
「じゃのめってなに?」
こなたの質問に、そうじろうは難しい顔をした。
「んー…こなたにわかるかなあ…じゃのめってのはへびの目のことで、歌のは蛇の目傘のことをさしてるんだよ。蛇の目傘ってのは和傘で蛇の目模様がついたのをそう言うんだ」
「う、うーん?」
「はは、やっぱ分からなかったか」
頭の上にクエスチョンマークを浮かべるこなたに、そうじろうは可笑しくなって笑ってしまった。そのそうじろうのズボンをこなたが引っ張った。
「ん、なんだこなた?」
「へびなんだよね?」
「そうだよ」
「へびこわいよね?なんでそんなのかさにつけるの?」
「え、あー…は、ははははははは」
「えー。なんでおとうさんわらうのー?」
こなたの勘違いに、そうじろうは大きな声で笑い続けた。
― じゃのめ ―
「よく振るねー」
そう呟きながら、肩を引っ付けて歩くつかさにこなたはうなずいた。
「う、うん。だからもうちょっと寄ってよつかさ」
梅雨のある日。こなたは傘を忘れたつかさと一緒に帰ることになったのだが、こなたの体格にあわせた傘に二人はいるのは難しく、お互い肩を濡らしながら歩くことになってしまっていた。
「そういえばこなちゃん、じゃのめって知ってる?あーめあーめふーれふーれって歌に出てくるの」
急につかさにそう聞かれて、こなたは首をかしげた。
「じゃのめ…えっと、なんだっけ。たしか、傘のことだったような…」
「うん、そうそう。蛇の目傘っていって、目玉みたいな丸い模様の付いた傘のことなんだって。わたし、ずっとなんだか知らなかったんだけど、昨日ゆきちゃんが教えてくれたんだ」
「あー、思い出した。幼稚園くらいにお父さんに聞いた気がするよ」
「へー、おじさん物知りなんだね」
「意外とね…まあ、噛み砕かないで説明されたから、ちゃんと意味理解したのずっと後だったよ」
「そうなんだ」
その後、二人はしばらく無言で歩いていたが、こなたが急に口を押さえて笑い出した。
「え?え?なに?こなちゃんどうしたの?」
「い、いや、ちょっと思い出して…わたし、じゃのめの事教えてもらったとき、蛇がそのまま傘についてるって勘違いしたんだよ。なんでそんな怖い傘で迎えにくるんだって」
「ぷっ…あははははっ」
こなたの話を聞いたつかさも笑い出した。
「いやー、子供ってなんかとんでもない勘違いするよねー。自分の事ながら呆れるよ」
しばらく二人で笑った後、こなたがそう言うとつかさがうなずいた。
「そうだねー」
つかさが少し間延びした声で答えると、こなたは急に立ち止まった。
「わっ…こ、こなちゃん?どうしたの?」
歩く勢いを止められず、傘を持ったままこなたを置いて前に出てしまったつかさは、慌てて傘をこなたの頭上に戻した。
「ん…あ、ごめん。ちょっと何か思い出しそうでさ」
こなたはそう言いながら、自分の頭上の傘を見上げた。
『ねえ、おとうさん。そんなこわいかさでおむかえきても、おかあさんだったらうれしいのかな』
思い出した言葉に、こなたは思わずうつむいてしまった。
「…こなちゃん?」
つかさが心配そうにこなたの顔を覗き込む。
「ん…あ、いや、なんでもないよ、つかさ」
こなたは顔を上げてパタパタと手を振った。
「そう?だったらいいけど…」
そう言いながらも心配そうな顔を崩さないつかさに、こなたは軽いため息をついた。
「…ねえ、つかさ。あの歌みたいに、雨の日にお母さんが迎えに来てくれたら、やっぱり嬉しかった?」
「え?うん、それは…嬉しかった…よ」
つかさは、こなたの問いに答えようとしてこなたの家庭事情を思い出し、途中から声を詰まらせた。
「そうだよね…うん、まあへんなこと聞いてごめん」
こなたはそう謝り、つかさが持っている傘の柄を掴んで歩き出した。
「…ねえ、こなちゃん…わたしはお父さんでも嬉しかったよ」
それに引きずられて歩き出したつかさが、こなたにそう言った。
「かがみお姉ちゃんでも、まつりお姉ちゃんでも、いのりお姉ちゃんでも…迎えに来てくれたら、嬉しかったよ」
こなたはつかさの言葉を聞きながら、また一つ思い出していた。
『…なあ、こなた。やっぱり、俺よりお母さんに迎えに来て欲しいか?』
『んーと…どっちでもいい。おとうさん、ちゃんとむかえにきてくれるもん』
『…そうか』
「…うん、そうだよ」
あの日の父親にそう答えながら、こなたは思い出させてくれたつかさの手を軽く握った。
「え?なに?こなちゃん、今度は何?」
「なんでもないよ」
今度は笑顔でそう言いながら、こなたは少し足を速めた。
― おわり ―
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- ↓空気嫁 &br() &br() &br()作者GJ! -- 名無し (2010-07-28 01:04:01)
- 読んでたら何か暖かくなったよ。 &br() &br() &br()コメント欄でネタ的な発言してる人は寒すぎるけど &br() -- 名無しさん (2010-07-26 12:29:31)
- 幼稚園の頃のこなた可愛いwwwこなた、ちょっとお兄さんの所においでw(←いかん、危ない危ない危ない) &br()所で結局じゃのめってなんなんですか?(←ググれカス!) -- 名無しさん (2010-07-22 21:45:21)