ID:QwrvfYg0氏:あずにゃん

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「はあぁぁ……。結局あいつ学校来なかったじゃない」 「こなちゃん?だから5月病だって」 今日は5月28日。いわばこなたの誕生日。しかしこなたは学校に来なかった。 せっかく大金はたいて買ったプレゼント渡そうと思ったのに……。 現在はその帰り道。いつもの通り東武伊勢崎線に乗って座席に座り、久喜駅で太田行に乗り換え。1駅向こうの鷲宮駅で降りてからは5分強の道を歩く。 柊姉妹の通学はそんなものだ。 私は柊かがみ。そして隣にいるのは私の双子の妹、柊つかさ。 「ほんとに5月病?」 「うん。信じないの?」 「信じるも何も、今日何の日か知ってるの?」 「うん。こなちゃんの誕生日だよ。大丈夫だよ。私はメールでお祝いの言葉送ったから」 つかさはそう言うと、膝元に置いていたかばんの中から携帯電話を取り出し、そのメールを私に見せてきた。 「こなちゃんへ、お誕生日おめでとう!今日はしっかり休んで、明日また元気な姿を私たちに見せてね☆」 そんな感じの本文。実際は見ただけだから本当の本文は違うかもしれない。 「明日きっと元気に学校来るよ。お姉ちゃんは何だと思ってるの?」 つかさはそう言うと携帯電話をかばんにしまった。 「あいつは、5月病だ~と言いながらもずっと学校来てたじゃない!だから…」 「だから?」 つかさはさっきまでの明るい顔から一変して、不思議そうな顔を私に向けた。 私は何が言いたかったのだろう。こなたとは、一緒にいても飽きない、それくらいにしか思っていなかった。当時は。 「な、何でもないわよ…」 私は結局つかさに何も言わなかった。ちなみにプレゼントのことはつかさは知らない。 「間もなく、久喜、久喜に着きます」 東武線は久喜にどうやら着くみたいだった。 「さ、つかさ、降りるわよ」 「う、うん…」 私たちは車掌のアナウンスと同時に立ち上がり、ドアの前へと足を運んだ。 「ほんとに何でもないの…?」 つかさの顔は「だから?」のときからずっと変わっていなかった。 「うん」 というかまず5月病で休む人間はそうそういない。5月病というのは、新しい環境に対する不適応で発生した病気のこと、つまりただだるくて何もしたくない、ということである。 こなたが学校を休むことなんてあまりなかったから、これは少し心配になってきた。 結局私は家に帰らず、そのままこなたの家に行った。こなたの家は幸手にある。幸手駅からは少し歩くことになるが。 理由はこなたが心配だから。それだけ。 プレゼントなら明日にでも渡せるし、今日はとにかく彼女の状態が知りたい。 それなら携帯電話か家に電話するかメールすればいいのにって思うかもしれないが、電話は留守だし、こなたの携帯電話に電話、メールしても返事がなかった。 夏前だから暑かった。6月にならないと衣替えが出来ないのだが、今からでもこのセーラー服を脱ぎたい気分。 だから駅前のコンビニで買った冷たい水、ボルビックを飲みながら泉宅へ向かっていった。 現在の時刻、17:00を過ぎたところ。まだ青空が広がっていた。 「あっつ~…」 しかし、歩くだけで汗が出てしまう。そしてこの独り言も出てしまう。 「暑いですよね~」 通行人も私の長袖を見てそう言った。私だって脱ぎたいわよ。しかしここで脱いでしまうと御用だ。我慢しよう。 そう思った私は、また冷たいボルビックを1口。若干この暑さで温くなっていた。 本当に遠い。鷲宮駅―神社ルートよりも距離が長い。 あいつ、この道のりを歩いているのか。結構体力あるな それから15分が経ち、私はようやく泉宅に着いた。 足がもう動かなくなっていた。どうやら私は体力がないみたいだ。 ただ平坦な道を歩いただけなのに、疲れてしまった私。帰ったらダイエットも兼ねてランニングするか。 ボルビックはすでに空。空きペットボトルはかばんの中へ。 汗も結構噴き出していた。タオルで拭いてもまだ出てくる。そんな季節なのかな。 私はとりあえず留守かもしれない泉宅のインターホンを押すことにした。 ぴんぽーん。 ……………。 10秒経過。 あれ?誰も出ない。もう一度…。 ぴんぽーん。 ……………。 こなた、もしかして寝ているの? そう思ったときだった。 かちゃ。 「あ、かがみ先輩?」 玄関のドアを開けたのは小さい背で制服姿の幼女だった。 そう、彼女は小早川ゆたかちゃん。私たちと同じ陵桜学園に通っており、自宅からそこまで遠いため、4月からこの家に居候をしているという。 「何か用ですか?」 「あ、うん。こなたに用があって」 「こなたお姉ちゃんはいませんよ」 しかし、どうやらこなたはこの家にはいないようだった。 「じゃあそうじろうおじさんは?」 「いませんよ」 つまり今この家には彼女しかいない、ということがここでわかった。 そして多分、今帰ってきたのだろうってこともわかった。 「かがみ先輩、結構お疲れのようですね。上がっていきます?」 私はその言葉に甘え、ふらふらと泉宅の中へと入っていった。 連れられた場所はゆたかちゃんの部屋だった。 当然といえば当然か。現在こなたはここにはいないのだから。 てことは、本当に5月病か?あいつ、帰ってきたらぶん殴ってやる。 「お待たせしました」 そのとき、ゆたかちゃんがこの部屋に入ってきた。ポカリスエットとクッキーをお盆に置いて持ってきて。 その間にどうやら部屋着に着替えたみたいだった。フリルのワンピース。もう見るからに夏のスタイル。本当にここを自分の家のように使っていた。 「あ、いや、そんな、おやつはいいわよ。もう17:30だし」 でもここでこんなものを食べてしまっては太ってしまう。だから私はこのおもてなしを申し訳なく拒否した。 「え、いいんですか?疲れたときは甘いものがいいって聞きますし」 しかし、ゆたかちゃんはこのクッキーを食べたそうにしていた。そんなにお腹が空いているのかな。 「じゃ、じゃあ食べるわよ」 ここで私が食べないわけにはいかないし、仕方なく承諾した。 「はい、じゃあいただきます」 そう言うと、ゆたかちゃんはそのお盆を私の目の前に置いて、私の前に座り込んだ。 「遠慮しないでどうぞ」 「う、うん…」 そう言うと、ゆたかちゃんはクッキーを1つ手に持ち、そのまま1口かじり、もう1口かじった。 彼女は本当にお腹が空いていた。それを物語るかのように。 「こなたはどこに行ったの?」 「コンビニです。何かプリンが食べたくなったみたいですよ」 「今日こなたの誕生日でしょ?何かしてあげたの?」 「看病しました。あとお姉ちゃんが私にしてほしいということを全部してあげました」 「してほしいことってどんな?」 「単純に言えば、着せ替え…?」 こなため…、ゆたかちゃんはリカちゃん人形ではないんだから……。 その会話の中、私とゆたかちゃんはクッキーをぱくぱく食べた。そのスピードは驚異的。 ものの3分で器のクッキーはなくなった。 「あっという間になくなりましたね」 「そだね」 ポカリスエットはまだ口をつけていない。口がぱさぱさなのに。 ゆたかちゃんはコップのポカリスエットを1口飲んでまた話し始めた。 「かがみ先輩はお姉ちゃんの看病しに来たんですか?」 「うん、まあ…」 とにかくこなたが心配、その思いでここに来た。そのことはゆたかちゃんにはお見通しのようだった。 「そうでないと17:00過ぎにここに来ませんもんね。心配なんでしょ?」 「うん、まあ…」 私もここでポカリスエットに口をつけた。 「お姉ちゃん、早く元気になってほしいですね」 この娘の声はよく通る。病弱といいながら、実は結構声は高い方。 「あいつ本当に5月病なの?」 「ただの風邪ですよ。5月病って言うと休めないって言ってたし」 こなたの休んだ原因が5月病でないことがわかった。それなら何で私たちには5月病って言ったのだろう。 「5月病って私は聞いたわよ」 「ふぇ?そうなんですか?」 「まあつかさから聞いたんだけどね」 風邪と5月病は違う。その理由はやる気の違い。前者はやる気があるのに体調を崩し、後者はやる気がないからだるくなる。 あいつは多分本当は学校に行きたかったのだと思う。しかし心配されたくないからわざと私たちには5月病って言ってきた。 しかし私は心配。それは何でだろう…。 「かがみ先輩」 「ん?」 ゆたかちゃんは私を呼ぶとにっと笑ってこう言った。 「ありがとうございます」 感謝の言葉だった。別に私は彼女に何もしていないのだが。 「何で私に感謝の言葉?」 「お姉ちゃんの看病しに来たから」 ゆたかちゃんはこなたのことはとっても大好きなんだと思う。他の誰よりも。 そのことは私から見ても一目瞭然だ。 「別に私、感謝されるようなことしてないわよ」 「でも私にとっては感謝に値しますよ。大好きなお姉ちゃんを、いつも支えてくれて、ありがとうございます」 「ば、ばか……」 私は照れるしかなかった。このときは。 この2人の組み合わせは珍しかった。 接点は何1つない。 そして彼女のことは全然知らない。 しかし、 「私、いっつもお姉ちゃんとかがみ先輩のこと話してますよ」 彼女は私のある程度を知っているみたいだった。 「あなた、本当にお姉ちゃんのことが好きなんですね」 「……………」 私はさらに照れた。彼女は話し出すと止まらないみたい。 「お姉ちゃんが言ってましたよ。「かがみは私の嫁だからね」って」 「……………」 「かわいいですね」 「……………」 「わざわざお見舞いに来るなんて」 「……………」 私は何も言えなかった。 当然といえば当然。彼女の口車を止める技術は私にはない。 「あいつだって、私が風邪で休んだとき、お、お見舞いに来たわよ!!」 「でももう18:00になりますよ。家の人、心配しませんか?」 あのとき、何時だったっけ。16:00頃かな。覚えていないや。 「大丈夫よ」 それよりまだこなたは帰ってこないの?インターホンの音も私が鳴らしてからしないし。 早くこなたの顔が見たいというのに……。 「それよりこなたはまだなの?」 「わからないですね。もう少し待ちます?」 「うん」 こなたの顔を見ないと帰らない。私は現在そういう気持ちだった。 だからこなたが帰ってくるまでずっと待ち続ける。 「じ~~~~」 そしてゆたかちゃんはずっと私を見続ける。 「な、何よ……」 「い、いや……、何も……」 私がそう言うと、ゆたかちゃんは私から目を逸らした。 「こなたお姉ちゃん、幸せなんだろうな……」 この娘には薄幸という言葉がお似合いなのだろうか。そんな感じもする。 「何でよ」 「だって、あなたといつも一緒にいるんですよ?絶対幸せですよ」 「本当に?」 「本当に」 「あんたは私の何を知ってるの?」 「ある程度は」 やはり彼女は私のことをある程度は知っているみたいだった。 しかし、その程度はわからない。 「私も……、幸せになりたいな……」 ゆたかちゃんは自信なさげにそう言った。 この時点で彼女が薄幸の美少女ということがわかった **コメント・感想フォーム #comment(below,size=50,nsize=50,vsize=3) - で、オチは? -- 名無しさん (2010-06-02 10:31:36) - タイトルのあずにゃんは「けいおん!!」の登場人物の1人である中野梓の事なんだろうけど・・・ &br()何処にそんな要素が・・・・・ -- 名無しさん (2010-06-01 19:18:32)
「はあぁぁ……。結局あいつ学校来なかったじゃない」 「こなちゃん?だから5月病だって」 今日は5月28日。いわばこなたの誕生日。しかしこなたは学校に来なかった。 せっかく大金はたいて買ったプレゼント渡そうと思ったのに……。 現在はその帰り道。いつもの通り東武伊勢崎線に乗って座席に座り、久喜駅で太田行に乗り換え。1駅向こうの鷲宮駅で降りてからは5分強の道を歩く。 柊姉妹の通学はそんなものだ。 私は柊かがみ。そして隣にいるのは私の双子の妹、柊つかさ。 「ほんとに5月病?」 「うん。信じないの?」 「信じるも何も、今日何の日か知ってるの?」 「うん。こなちゃんの誕生日だよ。大丈夫だよ。私はメールでお祝いの言葉送ったから」 つかさはそう言うと、膝元に置いていたかばんの中から携帯電話を取り出し、そのメールを私に見せてきた。 「こなちゃんへ、お誕生日おめでとう!今日はしっかり休んで、明日また元気な姿を私たちに見せてね☆」 そんな感じの本文。実際は見ただけだから本当の本文は違うかもしれない。 「明日きっと元気に学校来るよ。お姉ちゃんは何だと思ってるの?」 つかさはそう言うと携帯電話をかばんにしまった。 「あいつは、5月病だ~と言いながらもずっと学校来てたじゃない!だから…」 「だから?」 つかさはさっきまでの明るい顔から一変して、不思議そうな顔を私に向けた。 私は何が言いたかったのだろう。こなたとは、一緒にいても飽きない、それくらいにしか思っていなかった。当時は。 「な、何でもないわよ…」 私は結局つかさに何も言わなかった。ちなみにプレゼントのことはつかさは知らない。 「間もなく、久喜、久喜に着きます」 東武線は久喜にどうやら着くみたいだった。 「さ、つかさ、降りるわよ」 「う、うん…」 私たちは車掌のアナウンスと同時に立ち上がり、ドアの前へと足を運んだ。 「ほんとに何でもないの…?」 つかさの顔は「だから?」のときからずっと変わっていなかった。 「うん」 というかまず5月病で休む人間はそうそういない。5月病というのは、新しい環境に対する不適応で発生した病気のこと、つまりただだるくて何もしたくない、ということである。 こなたが学校を休むことなんてあまりなかったから、これは少し心配になってきた。 結局私は家に帰らず、そのままこなたの家に行った。こなたの家は幸手にある。幸手駅からは少し歩くことになるが。 理由はこなたが心配だから。それだけ。 プレゼントなら明日にでも渡せるし、今日はとにかく彼女の状態が知りたい。 それなら携帯電話か家に電話するかメールすればいいのにって思うかもしれないが、電話は留守だし、こなたの携帯電話に電話、メールしても返事がなかった。 夏前だから暑かった。6月にならないと衣替えが出来ないのだが、今からでもこのセーラー服を脱ぎたい気分。 だから駅前のコンビニで買った冷たい水、ボルビックを飲みながら泉宅へ向かっていった。 現在の時刻、17:00を過ぎたところ。まだ青空が広がっていた。 「あっつ~…」 しかし、歩くだけで汗が出てしまう。そしてこの独り言も出てしまう。 「暑いですよね~」 通行人も私の長袖を見てそう言った。私だって脱ぎたいわよ。しかしここで脱いでしまうと御用だ。我慢しよう。 そう思った私は、また冷たいボルビックを1口。若干この暑さで温くなっていた。 本当に遠い。鷲宮駅―神社ルートよりも距離が長い。 あいつ、この道のりを歩いているのか。結構体力あるな それから15分が経ち、私はようやく泉宅に着いた。 足がもう動かなくなっていた。どうやら私は体力がないみたいだ。 ただ平坦な道を歩いただけなのに、疲れてしまった私。帰ったらダイエットも兼ねてランニングするか。 ボルビックはすでに空。空きペットボトルはかばんの中へ。 汗も結構噴き出していた。タオルで拭いてもまだ出てくる。そんな季節なのかな。 私はとりあえず留守かもしれない泉宅のインターホンを押すことにした。 ぴんぽーん。 ……………。 10秒経過。 あれ?誰も出ない。もう一度…。 ぴんぽーん。 ……………。 こなた、もしかして寝ているの? そう思ったときだった。 かちゃ。 「あ、かがみ先輩?」 玄関のドアを開けたのは小さい背で制服姿の幼女だった。 そう、彼女は小早川ゆたかちゃん。私たちと同じ陵桜学園に通っており、自宅からそこまで遠いため、4月からこの家に居候をしているという。 「何か用ですか?」 「あ、うん。こなたに用があって」 「こなたお姉ちゃんはいませんよ」 しかし、どうやらこなたはこの家にはいないようだった。 「じゃあそうじろうおじさんは?」 「いませんよ」 つまり今この家には彼女しかいない、ということがここでわかった。 そして多分、今帰ってきたのだろうってこともわかった。 「かがみ先輩、結構お疲れのようですね。上がっていきます?」 私はその言葉に甘え、ふらふらと泉宅の中へと入っていった。 連れられた場所はゆたかちゃんの部屋だった。 当然といえば当然か。現在こなたはここにはいないのだから。 てことは、本当に5月病か?あいつ、帰ってきたらぶん殴ってやる。 「お待たせしました」 そのとき、ゆたかちゃんがこの部屋に入ってきた。ポカリスエットとクッキーをお盆に置いて持ってきて。 その間にどうやら部屋着に着替えたみたいだった。フリルのワンピース。もう見るからに夏のスタイル。本当にここを自分の家のように使っていた。 「あ、いや、そんな、おやつはいいわよ。もう17:30だし」 でもここでこんなものを食べてしまっては太ってしまう。だから私はこのおもてなしを申し訳なく拒否した。 「え、いいんですか?疲れたときは甘いものがいいって聞きますし」 しかし、ゆたかちゃんはこのクッキーを食べたそうにしていた。そんなにお腹が空いているのかな。 「じゃ、じゃあ食べるわよ」 ここで私が食べないわけにはいかないし、仕方なく承諾した。 「はい、じゃあいただきます」 そう言うと、ゆたかちゃんはそのお盆を私の目の前に置いて、私の前に座り込んだ。 「遠慮しないでどうぞ」 「う、うん…」 そう言うと、ゆたかちゃんはクッキーを1つ手に持ち、そのまま1口かじり、もう1口かじった。 彼女は本当にお腹が空いていた。それを物語るかのように。 「こなたはどこに行ったの?」 「コンビニです。何かプリンが食べたくなったみたいですよ」 「今日こなたの誕生日でしょ?何かしてあげたの?」 「看病しました。あとお姉ちゃんが私にしてほしいということを全部してあげました」 「してほしいことってどんな?」 「単純に言えば、着せ替え…?」 こなため…、ゆたかちゃんはリカちゃん人形ではないんだから……。 その会話の中、私とゆたかちゃんはクッキーをぱくぱく食べた。そのスピードは驚異的。 ものの3分で器のクッキーはなくなった。 「あっという間になくなりましたね」 「そだね」 ポカリスエットはまだ口をつけていない。口がぱさぱさなのに。 ゆたかちゃんはコップのポカリスエットを1口飲んでまた話し始めた。 「かがみ先輩はお姉ちゃんの看病しに来たんですか?」 「うん、まあ…」 とにかくこなたが心配、その思いでここに来た。そのことはゆたかちゃんにはお見通しのようだった。 「そうでないと17:00過ぎにここに来ませんもんね。心配なんでしょ?」 「うん、まあ…」 私もここでポカリスエットに口をつけた。 「お姉ちゃん、早く元気になってほしいですね」 この娘の声はよく通る。病弱といいながら、実は結構声は高い方。 「あいつ本当に5月病なの?」 「ただの風邪ですよ。5月病って言うと休めないって言ってたし」 こなたの休んだ原因が5月病でないことがわかった。それなら何で私たちには5月病って言ったのだろう。 「5月病って私は聞いたわよ」 「ふぇ?そうなんですか?」 「まあつかさから聞いたんだけどね」 風邪と5月病は違う。その理由はやる気の違い。前者はやる気があるのに体調を崩し、後者はやる気がないからだるくなる。 あいつは多分本当は学校に行きたかったのだと思う。しかし心配されたくないからわざと私たちには5月病って言ってきた。 しかし私は心配。それは何でだろう…。 「かがみ先輩」 「ん?」 ゆたかちゃんは私を呼ぶとにっと笑ってこう言った。 「ありがとうございます」 感謝の言葉だった。別に私は彼女に何もしていないのだが。 「何で私に感謝の言葉?」 「お姉ちゃんの看病しに来たから」 ゆたかちゃんはこなたのことはとっても大好きなんだと思う。他の誰よりも。 そのことは私から見ても一目瞭然だ。 「別に私、感謝されるようなことしてないわよ」 「でも私にとっては感謝に値しますよ。大好きなお姉ちゃんを、いつも支えてくれて、ありがとうございます」 「ば、ばか……」 私は照れるしかなかった。このときは。 この2人の組み合わせは珍しかった。 接点は何1つない。 そして彼女のことは全然知らない。 しかし、 「私、いっつもお姉ちゃんとかがみ先輩のこと話してますよ」 彼女は私のある程度を知っているみたいだった。 「あなた、本当にお姉ちゃんのことが好きなんですね」 「……………」 私はさらに照れた。彼女は話し出すと止まらないみたい。 「お姉ちゃんが言ってましたよ。「かがみは私の嫁だからね」って」 「……………」 「かわいいですね」 「……………」 「わざわざお見舞いに来るなんて」 「……………」 私は何も言えなかった。 当然といえば当然。彼女の口車を止める技術は私にはない。 「あいつだって、私が風邪で休んだとき、お、お見舞いに来たわよ!!」 「でももう18:00になりますよ。家の人、心配しませんか?」 あのとき、何時だったっけ。16:00頃かな。覚えていないや。 「大丈夫よ」 それよりまだこなたは帰ってこないの?インターホンの音も私が鳴らしてからしないし。 早くこなたの顔が見たいというのに……。 「それよりこなたはまだなの?」 「わからないですね。もう少し待ちます?」 「うん」 こなたの顔を見ないと帰らない。私は現在そういう気持ちだった。 だからこなたが帰ってくるまでずっと待ち続ける。 「じ~~~~」 そしてゆたかちゃんはずっと私を見続ける。 「な、何よ……」 「い、いや……、何も……」 私がそう言うと、ゆたかちゃんは私から目を逸らした。 「こなたお姉ちゃん、幸せなんだろうな……」 この娘には薄幸という言葉がお似合いなのだろうか。そんな感じもする。 「何でよ」 「だって、あなたといつも一緒にいるんですよ?絶対幸せですよ」 「本当に?」 「本当に」 「あんたは私の何を知ってるの?」 「ある程度は」 やはり彼女は私のことをある程度は知っているみたいだった。 しかし、その程度はわからない。 「私も……、幸せになりたいな……」 ゆたかちゃんは自信なさげにそう言った。 この時点で彼女が薄幸の美少女ということがわかった **コメント・感想フォーム #comment(below,size=50,nsize=50,vsize=3) - あずにゃんっていうから某黒い悪魔が出てきて大騒ぎする話だと思ったのに・・・ &br()一体どういうことなの? -- 名無しさん (2010-06-06 23:05:42) - で、オチは? -- 名無しさん (2010-06-02 10:31:36) - タイトルのあずにゃんは「けいおん!!」の登場人物の1人である中野梓の事なんだろうけど・・・ &br()何処にそんな要素が・・・・・ -- 名無しさん (2010-06-01 19:18:32)

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