ID:TWGnqKoH氏:出張先で……

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みゆきは今、ある研究所近辺の社員寮にいた。 本来の勤め先から遠く離れた、山の麓に建てられたその寮で、みゆきは1週間ほどの出張生活を送っていた。 3日目の研修を終え、疲れた身体を癒す間すらもなく、みゆきは今日も残務をこなさなければならなかった。 みゆきは自前のノートパソコンに今日得たデータを打ち込んでいく。 以前のデータと見比べて、おかしな点がないか何度となく確認する。 コンマ1のずれが大惨事を引き起こしかねない。そんな数式を見るみゆきの目は極めて真剣なものだった。 夕食の買い物を終え、みゆきが寮に着いたのは6時を回った頃だった。 そして今、モニターの端に見えるのは9:30。3時間以上、みゆきはこうして数字と向き合っていた。 みゆきは溜息を1つ吐き、首を横にならす。コキッコキッと骨の鳴く音が聞こえる。 手を肩に添えて強く押してみる。弾力は思ってた以上に感じられなかった。 「疲れました……」 眼鏡を外して天井を見上げてみる。 蛍光灯の光に目が眩みそうになり、みゆきは目を瞑って軽く瞼の上をマッサージをし、それから立ち上がって小さなキッチンへと向って行った。 少し遅い夕食だった。 「自炊ができればいいのですが……」 スーパーの袋からお弁当を取り出す。家に帰ってもやるべき事は沢山あり、 料理の時間すらも惜しんで仕事に打ち込むみゆきだった。 お弁当を電子レンジで暖め、みゆきは思い出した様に仕事用のバッグから携帯を取り出した。 ランプの灯しがメールの受信を伝えていた。 最初のは朝の8時にきたものだった。 「かがみさん」 『みゆき、誕生日おめでとう。そっちは出張だっけ?案外そっちで春がきたり、とか?  この前できなかった話もあるし、時間が空いたらまた一緒に食事しましょう』 「ありがとうございます。かがみさん。出会いは残念ながら……」 それから正午にもう1通。 「つかささん」 『ゆきちゃんおめでと~。あれ?お誕生日今日で良いんだよね?間違ってたらごめんね。  最近新しいお菓子の作り方覚えたんだよ?今度ゆきちゃんにもご馳走してあげるね。じゃ、またね』 「ええ、私の誕生日は10月25日、今日です。つかささんのお菓子、私、大好きです。楽しみにしています」 そして夜、8時を回ったところでもう1通届いていた。 「こなたさん」 『みうぃきさ~ん、おめ~。ちゃんとメール届いてる?着信拒否なんかにしてないよね?  そうそう。今日はみゆきさんの誕生日だったので、それっぽい事をしてみました。画像参照』 「そんな、拒否なんかにはしませんよ。……画像、ですか?えっと」 画像を表示させてみる。 そこは机の上だろうか、コレクションらしいフィギュア類と共に、学生時代、4人で撮った写真が飾られ、 その中心には、白い、苺が沢山乗せられたデコレーションケーキが置かれていた。 更にケーキの上には『みゆきさんおめでとう!』と書かれていたチョコの板までもが乗せられていた。 「……これ、この為にわざわざ?……こなたさん、頑張りすぎです。でも、ありがとうございます」 こんな祝い方などしてもらえるとは思ってもおらず、みゆきは驚いていいのやら呆れていいのやら、 でも、そんなサプライズに胸を暖かくするみゆきだった。 卒業して何年も経ち、年に数回しか会えなくても、それでも昔と変わらず接してくれる友人達。 みゆきは掛替えのない友人達へ心からの感謝の言葉を延べ、食事も忘れてメールを打ち出すのとともに、 そしてその事に集中するあまり、最後の1通、ゆかりからのお祝いを見落としていたのであった。 「みなさん、ありがとうございます。みなさんの役に立つよう、一層がんばります!」 『みゆきちゃん、お誕生日おめでとう。みゆきちゃんがいなくって、お母さん寂しい。 そうそう、最近悪い風邪が流行ってるみたいだから、身体に気をつけてね。  それとね、昨日TVでね(割愛)。お仕事頑張ってね。母より』 (終わり) **コメント・感想フォーム #comment(below,size=50,nsize=50,vsize=3)

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