ID:PCE0cr.0氏:あい

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9月。 大学は夏休み真っ只中、バイトも休みでとにかく暇を持て余していた私は、唐突に思い立って小説を書くことにした。 別に職業が遺伝したとか書きたい物語があったとかいうわけではない。 ただ何となく、左手が文章を紡ぎ出したそうにしていたからだ。 そういうわけで、私は机に向かった。 机にあるのは紙とシャープペンシル。 ではない。 パソコンの筐体である。 私はその電源ボタンを押し、パソコンが起動の準備をしている間に、お題を考えた。 真っ先に頭に浮かんだのは「愛」。 なぜこんな綺麗な言葉が、汚れたオタクな私に思いつけたかはわからない。 しかしまあ、他に湧き出てくる言葉もないので、「愛」をテーマに話を書くことにした。 ……いや、待った。 やはり、これでは面白くない。 どうせなら、もう少し広げてみよう。 「愛」から何か連想を── 思いつく限りの言葉を、キーボードの傍に置いてあったメモ用紙に書き並べてみる。 結果、おおよそ「あい」から始まる言葉がリストアップされた。 同時に、ちょうどパソコンがマウス操作を受け付けるようになったので、アプリケーションであるメモ帳を開く。 よし、やってみるかと意気込み、私は頭をうんと捻らせて、考えつくままに文章を書き下ろした。  「アイス食べたいー!」  私がとある街道に陣取っていると、一人の小さな女の子が父親と思しき人物に向かって泣き叫んでいた。  父親は困りながら言った。  「愛、我慢しなさい」  「やだ!食べたい!食べたあい!」  少女は譲らない。父親は頭を掻いている。すると、そのそばを自転車に乗ったおじいさんが歌いながら通りがかった。  「アイアイ、アイアイ、おさーるさーんだよー」  少女はおじいさんに興味を持ったのかしばらく目を向けていた。が、おじいさんが遠くに行ってしまうと再びせびりだした。  「愛、アイス食べたいー!」  父親は首をもたげてため息をついた。相当困っている様子である。と、今度はアメリカ人のカップルがいちゃつきながら通り過ぎた。  「I love you.」  「I love you, too.」  少女はまたカップルを興味津津に見つめた。しかし、やはりというか、二者が通り過ぎると父親に向かって叫び出した。  「アイス食べたいー!」  父親はまたまた困った。すると今度は志村○んが妙ちきりんなポーズをしながら通り過ぎた。  「あいーん、あいーん」  少女はまたも興味ありげにそれを見つめるが通り過ぎると以下略。  「アイス食べたいー!」  父親はやはりのやはり困っていた。  私はとうとうその様子を見兼ね、親子に近寄ると、こう言った。  「アイスクリームはいかがですか?」 一応オチまでを書き上げたところで、私はんん、と背伸びをした。 これで完成としてもまあ悪くはない、そう思う。 しかし、まだ問題が残っていた。 キーワードを使いきれていないのだ。 はて困った。 文章が完結している以上、新たな展開を付け加えると蛇足になる。 とはいえ、使った言葉と使わなかった言葉があるのはフェアの精神に反する気がする。 私はまた頭をひねった。 数分悩み通した末、最終的にディスクに保存された文章はこうなった。  「アイス食べたい愛・地球博!」  私がとある街道に陣取っていると、あいやー、一人の小さな女の子が父親と思しき人物に向かって泣き叫んでいた。  父親はアイアイサー困りながら言った。  「愛、我慢しなさいIBMのために」  「やだ!食べたい!食べたi pod nano!」  少女は譲らない。父親は頭を掻いているというか愛撫している。すると、そのそばを自転車に乗ってアイマスクしたおじいさんが歌いながら通りがかった。  「アイアイ、アイアイ、おさーるさーんだよー アイドルマスター」  少女はおじいさんに興味を持ったのかしばらく目を向けていたよアイスクライマー。が、おじいさんが遠くに行ってしまうと再びせびりだした。  「愛、アイス食べたいー!」  父親は合気道をしながら首をもたげてため息をついた。相当困っている様子である。と、今度はアメリカ人のカップルがいちゃつきながら通り過ぎた。アイクは俺の嫁。  「あいつこそがテニスの王子様I love you.」  「I love you, too.」  少女はまたカップルを興味津津に見つめたIT企業。しかし、やはりというか、二者が通り過ぎると父親に向かって叫び出した。  「アイス食べたいー! 挨拶代わりだ」  父親はまたまた困った。すると今度は志村○んがアイロンで妙ちきりんなポーズをしながら通り過ぎた。  「あいーん、あいーん」  IDが神の少女はまたも興味ありげにそれを見つめるが通り過ぎると以下略。  「アイス食べたいー!」  アイバーの父親はやはりのやはり困っていた。  私はとうとうその様子を見兼ね、親子に近寄ると、こう言った。  「アイスクリームはいかがですか? 必ず最後に愛は勝つ」 **コメント・感想フォーム #comment(below,size=50,nsize=50,vsize=3) - 世の中には簡単で儲かる仕事があるもんだ(´-ω-)♂ http://s.64n.co/ -- 名無し (2012-03-02 23:11:57) - ワロタwww -- 名無しさん (2010-01-19 08:55:54)
9月。 大学は夏休み真っ只中、バイトも休みでとにかく暇を持て余していた私は、唐突に思い立って小説を書くことにした。 別に職業が遺伝したとか書きたい物語があったとかいうわけではない。 ただ何となく、左手が文章を紡ぎ出したそうにしていたからだ。 そういうわけで、私は机に向かった。 机にあるのは紙とシャープペンシル。 ではない。 パソコンの筐体である。 私はその電源ボタンを押し、パソコンが起動の準備をしている間に、お題を考えた。 真っ先に頭に浮かんだのは「愛」。 なぜこんな綺麗な言葉が、汚れたオタクな私に思いつけたかはわからない。 しかしまあ、他に湧き出てくる言葉もないので、「愛」をテーマに話を書くことにした。 ……いや、待った。 やはり、これでは面白くない。 どうせなら、もう少し広げてみよう。 「愛」から何か連想を── 思いつく限りの言葉を、キーボードの傍に置いてあったメモ用紙に書き並べてみる。 結果、おおよそ「あい」から始まる言葉がリストアップされた。 同時に、ちょうどパソコンがマウス操作を受け付けるようになったので、アプリケーションであるメモ帳を開く。 よし、やってみるかと意気込み、私は頭をうんと捻らせて、考えつくままに文章を書き下ろした。  「アイス食べたいー!」  私がとある街道に陣取っていると、一人の小さな女の子が父親と思しき人物に向かって泣き叫んでいた。  父親は困りながら言った。  「愛、我慢しなさい」  「やだ!食べたい!食べたあい!」  少女は譲らない。父親は頭を掻いている。すると、そのそばを自転車に乗ったおじいさんが歌いながら通りがかった。  「アイアイ、アイアイ、おさーるさーんだよー」  少女はおじいさんに興味を持ったのかしばらく目を向けていた。が、おじいさんが遠くに行ってしまうと再びせびりだした。  「愛、アイス食べたいー!」  父親は首をもたげてため息をついた。相当困っている様子である。と、今度はアメリカ人のカップルがいちゃつきながら通り過ぎた。  「I love you.」  「I love you, too.」  少女はまたカップルを興味津津に見つめた。しかし、やはりというか、二者が通り過ぎると父親に向かって叫び出した。  「アイス食べたいー!」  父親はまたまた困った。すると今度は志村○んが妙ちきりんなポーズをしながら通り過ぎた。  「あいーん、あいーん」  少女はまたも興味ありげにそれを見つめるが通り過ぎると以下略。  「アイス食べたいー!」  父親はやはりのやはり困っていた。  私はとうとうその様子を見兼ね、親子に近寄ると、こう言った。  「アイスクリームはいかがですか?」 一応オチまでを書き上げたところで、私はんん、と背伸びをした。 これで完成としてもまあ悪くはない、そう思う。 しかし、まだ問題が残っていた。 キーワードを使いきれていないのだ。 はて困った。 文章が完結している以上、新たな展開を付け加えると蛇足になる。 とはいえ、使った言葉と使わなかった言葉があるのはフェアの精神に反する気がする。 私はまた頭をひねった。 数分悩み通した末、最終的にディスクに保存された文章はこうなった。  「アイス食べたい愛・地球博!」  私がとある街道に陣取っていると、あいやー、一人の小さな女の子が父親と思しき人物に向かって泣き叫んでいた。  父親はアイアイサー困りながら言った。  「愛、我慢しなさいIBMのために」  「やだ!食べたい!食べたi pod nano!」  少女は譲らない。父親は頭を掻いているというか愛撫している。すると、そのそばを自転車に乗ってアイマスクしたおじいさんが歌いながら通りがかった。  「アイアイ、アイアイ、おさーるさーんだよー アイドルマスター」  少女はおじいさんに興味を持ったのかしばらく目を向けていたよアイスクライマー。が、おじいさんが遠くに行ってしまうと再びせびりだした。  「愛、アイス食べたいー!」  父親は合気道をしながら首をもたげてため息をついた。相当困っている様子である。と、今度はアメリカ人のカップルがいちゃつきながら通り過ぎた。アイクは俺の嫁。  「あいつこそがテニスの王子様I love you.」  「I love you, too.」  少女はまたカップルを興味津津に見つめたIT企業。しかし、やはりというか、二者が通り過ぎると父親に向かって叫び出した。  「アイス食べたいー! 挨拶代わりだ」  父親はまたまた困った。すると今度は志村○んがアイロンで妙ちきりんなポーズをしながら通り過ぎた。  「あいーん、あいーん」  IDが神の少女はまたも興味ありげにそれを見つめるが通り過ぎると以下略。  「アイス食べたいー!」  アイバーの父親はやはりのやはり困っていた。  私はとうとうその様子を見兼ね、親子に近寄ると、こう言った。  「アイスクリームはいかがですか? 必ず最後に愛は勝つ」 **コメント・感想フォーム #comment(below,size=50,nsize=50,vsize=3) - ワロタwww -- 名無しさん (2010-01-19 08:55:54)

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