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時は戻って、かがみがこなたの部屋で墓穴を掘る少し前。
つかさは台所におりて、3人分の飲み物を準備しはじめていた。
つかさ「えっと、喉にも優しい飲み物がいいよね……ミルクティーにでもしようかなぁ」
鍋に水を入れて火にかけ、ティーカップを食器棚から取り出す。
冷蔵庫から牛乳を出し、いつも使っている茶葉の入った缶と共に手元に置く。
あとはお湯が沸くまですることがないので、椅子に座って待つ。
つかさ「あ、そうだ。せっかくだから、ゆきちゃんからもらった葉っぱにしてみようかな」
つかさは椅子から立ち上がり、戸棚の引き出しを順番に開けていく。
もらった紅茶の缶をどこに置いてしまったのか覚えていなかったからだ。
一通り探してみるが、目的の物は出てこない。
つかさ「あれ?おかしいなぁ、この辺りにしまったと思ってたんだけど……?」
~さらば!怪傑かがみん! 其の弐~
おかしいなあ。こっちの引き出しにいれてたと思ったんだけどな。
えっと、もらったのがだいたい1ヶ月前で、その日の内に味見してみたんだよね。
でもその後、確かここにしまったハズなんだけどな。
あ、そうだ。そういえば、次の日にかがみお姉ちゃんにもご馳走してあげたんだったっけ。
それでその時、どんなのをもらったのか見せてほしいって言われて……
ああっ、思い出した!お姉ちゃんに見せるために、私の部屋に持って行ったんだ!
鍋の火を少し弱めてから自分の部屋へとむかう。
階段を登っている途中、2階の部屋の扉が何度か開け閉めされる音が聞こえてきた。
お姉ちゃんは寝てるはずだし、こなちゃんが何かしてるのかなぁ?何してるんだろ?
あっ、今はそんなことよりもいそいで飲み物の用意をしなきゃ。
自分の部屋の前まで来たとき、今度はお姉ちゃんの部屋の方からこなちゃんの声が聞こえてきた。
風邪のお薬か何かの話かな?『ぶいすりん』とか何とか叫んでたみたいだけど。
そんな事を考えながら私は自分の部屋のドアを開け、そして中を見て、とてもびっくりした。
なぜって、そこにはさっきまでお姉ちゃんが着ていたパジャマが脱ぎ捨てられていたからだ。
つかさ「え、ええ~?これって、どういうこと?」
このパジャマは紛れも無くお姉ちゃんのものだ。
でも、お姉ちゃんは隣の部屋でこなちゃんと一緒に会話しているはずなのになんで……?
よくわからない事態に直面して、私の頭は混乱しかける。
あっ、そうか。別に何も変じゃないや。普通に汗をかいちゃったから着替えたんだよね。
こなちゃんが来てるんだから、別の部屋、つまりは私の部屋で着替えるのは当然のことだよね。
なぁんだ、そういうことか。びっくりして損しちゃった。
すべての謎がとけて、私はほっとする。で、思い出した。
つかさ「あっ。私、お鍋を火にかけたままだ!」
ゆっくりしている暇はないので、急いで台所へと戻る。
階段を降りている途中、自分がゆきちゃんからもらった紅茶の缶を持っていない事に気がついた。
はうー。それを取るために自分の部屋まで行ったのに……
くるりと回れ右をして、再び自分の部屋へと足を向ける。
階段を登っている途中、また2階の部屋の扉が開け閉めされる音が聞こえた。
私が戻るのがあんまり遅いから、こなちゃんが様子を見に出てきたのかな?
しかし予想に反して、階段を登りきった瞬間、私に見えたのはこなちゃんの姿ではなかった。
私に見えたのは、白いマントをまとった人物が私の部屋に入っていく、その後姿だった。
つかさ(あれは確か……怪傑かがみんさんだっけ。でも、どうして私の部屋に?)
私に何か用事でもあるのかなぁ、今は別に困ってないんだけどなぁ。
う~、どうしよう。自分の部屋なのにとっても入りづらいよ~。
でも、もし本当にあの人が私に用事があるんだったら入ってあげなきゃ、いつまでも待たせちゃうことになるなぁ……
あっ、とりあえず鍋の火を一度止めてきた方がいいよね。
登った階段をまた引き返す。
その時、また扉の音が聞こえたので振り向いて首を伸ばすと、お姉ちゃんが私の部屋から出て来るところが見えた。
さっき私の部屋にあったパジャマを着たお姉ちゃんが。
つかさ(え?あれ?……怪傑かがみんさんが入って、お姉ちゃんがでてきた?……どういうこと?もしかして、お姉ちゃんが……?)
お姉ちゃんが自分の部屋に戻るのを確認してから、私はまたまた階段を引き返して部屋へと戻る。
案の定、さっきまで部屋にあったパジャマは無くなっていた。
つかさ(もし本当に、お姉ちゃんがそうなんだとしたら……)
数分後、私はベッドの下に押し込まれている白いマントと仮面を見つけてしまったのだった。
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